着床出血と生理、どちらの可能性もある時期に出血があると困惑してしまいます。出血の期間や量など、判断のポイントはいくつかありますが、それでも見分けがつかないとき、手掛かりとなるのが基礎体温です。数値の推移を知って、上手に活用しましょう。
妊活中に出血があると、着床出血なのか生理が来てしまったのか、判断に迷うことがあります。排卵や生理の日が少しズレているとどちらかの可能性もあるため、すぐには見分けることが難しい場合が多いです。
そんな中で手掛かりとなるのが、基礎体温の推移です。継続して記録をとっていくと、数値の上下から、さまざまな可能性を見つけることができます。生理と着床出血では、基礎体温の変化に大きな違いがあります。それぞれの場合で基本的な傾向を挙げることができるので、自分のケースに当てはめてみましょう。
基礎体温は、通常の28日周期で高温期と低温期が14日間ずつ繰り返されます。生理開始から排卵日までは低温期、排卵日後から次の生理が始まる前までが高温期です。
女性ホルモンのプロゲステンは、排卵期に向けて分泌量が増加して卵子の成熟を促し、排卵日に最大量になります。プロゲステンには子宮内膜を厚くして維持する、血流量を増やす、そして体温を上げるといった、妊娠を継続するための働きがあり、その影響で高温期が続きます。分泌量は、排卵を期にゆっくりと減少していきます。
その後、妊娠が成立しないとプロゲステンの分泌量はさらに減り、子宮内膜は維持されずに剥がれ落ちて生理が始まります。同時に体温は下がり、低温期に入るのです。つまり基礎体温を記録していれば、低温期に入った状態の出血は生理であることがわかります。
生理ではなく着床出血であった場合、プロゲステンの分泌量が減らないため、基礎体温は下がらず高温期が続きます。通常の高温期が14日間だとすると、16~17日以上高温期が続くならば、着床出血の可能性が高いといえます。ただ、この判断基準をネット上で調べると、サイトによっては18日以上とするなど、日数には個人差があり確実ではないことが分かります。
そもそも着床出血とは、胚が子宮内膜に着床する際に傷が付き、少量の出血があることをいいます。症状が見られるのは妊婦全体の約2%といわれ、妊娠の兆候のひとつとされています。出血量は多くの場合ごく少量で、生理のような独特の臭いはなく、色はピンクや鮮血です。たいていは1~3日で止まりますが、まれに1週間ほど続く人もいます。
着床している場合でも突然基礎体温が下がるケースがありますが、1~2日ほどで高温に戻ります。3日以上体温が下がったままなら、着床出血である可能性は低いといわれます。
はっきりと生理と分かるほどの出血量はないのに、基礎体温が下がることもあります。どんな可能性があるでしょうか。
着床(インプランテーション)と下がる(ディップ)を組み合わせた言葉です。高温期の中頃、5~12日目頃に起こる、基礎体温の一時的な低下のことを指します。ちょうど着床する時期と重なるため、妊娠兆候のひとつといわれていますが、必ず起こるわけではありません。
基礎体温が低下するのは1~2日ほどで、翌日からまた高温に戻ります。3日以上の体温低下は、着床せず低温期に入ったと考えるのが一般的です。ただ、インプランテーションディップは医学的根拠のない現象であり、着床が基礎体温に影響するメカニズムは解明されていません。
基礎体温の低下が3日以上続いている場合、着床出血ではなく生理が来た可能性が高いです。プロゲステンの分泌量が下がり、体温が低下して生理が始まっています。
ただ、出血量が増えないままであったり、出血が1週間以上続くようなら、何らかの異常のサインである可能性があります。出血の始まった日付と基礎体温の記録を持参して、婦人科を受診するようにしてください。
高温期が極端に短い場合、黄体機能の病気の可能性があります。黄体とは、卵子を包んでいた卵胞が排卵後に変化して、卵巣内に一時的に形成される組織で、プロゲステンなどのホルモンを分泌する働きを持ちます。黄体が正常に機能していないと、プロゲステンの分泌が不足し高温期が短くなることがあります。
高温期が10日以内で終わり低温期に入った場合、黄体の病気が隠れている確率が高くなるため、とくに注意が必要とされます。不妊につながる恐れもあるので、早めに婦人科を受診し医師に相談しましょう。
体温が下がったのではなく、正確に測れていないだけということもあります。基礎体温が低くなってしまう原因で考えられるのは、以下のようなものがあります。
またそれまでの測り方が間違っていて、高温になりすぎてしまった可能性もあります。基礎体温が高くなってしまう原因は以下のとおり
睡眠時間は長すぎても短すぎても基礎体温に影響してしまいます。些細な要因でも体温は変化するので、測定は正確にする必要があります。毎朝、睡眠時間や測定時間などをできるだけ同じ環境にして測定するようにしてください。
正確なデータをとるために、気を付けるべき点をチェックしましょう。
基礎体温は、朝に目が覚めて身体を動かす前に測るのが原則です。起きてすぐに測るため、起きあがる必要がないように手の届く場所に体温計を準備しておきましょう。さらに、忘れないうちにメモできる用意もあると万全です。
起きた直後にやるべきことが複数あると大変ですが、アプリと連動して自動で記録を付けてくれる婦人体温計も売られています。自分にとって、毎朝の負担をできるだけ軽減できる方法を試していきましょう。
意外と多いのが、正しい測り方ができていないこと。「口の中で測る」とだけ把握して、ただくわえるだけでは基礎体温は測定できません。
婦人体温計を差し込むのは、舌の上ではなく裏側だということが重要です。舌裏側の中央の筋の横に体温計を当て、口は軽く閉じます。そして毎日同じ位置に当てるのが正しい方法です。詳しい位置や注意点などは、体温計の説明書やネット上の図解で確認しましょう。
目が覚めて、測定する前にトイレに行ったり起きあがったりするのはもちろんNG。婦人体温計は上体を起こさず腕を伸ばしてとるようにします。頭を起こさないと見えないような位置に体温計を置くと、それだけで体温が変化し、正確な測定ができない可能性があります。
起床の1時間前にトイレに立ってしまった場合は、正確な基礎体温の測定はあきらめましょう。起床2時間前までの少しの活動なら、気にしなくてよいことが多いです。
妊活中の身体の変化を知る上で、基礎体温がとても参考になることがわかりました。基礎体温だけで妊娠成立を確定することはできませんが、生理と見分けるには有効な方法です。また妊娠以外にも、体調不良や病気など、いろいろな可能性を知ることができます。
基礎体温を数周期記録し続けると、排卵や生理などの自分のサイクルがつかめるようになります。正しい測り方を踏まえて、まずは3カ月間測定を続けてください。基礎体温のグラフを作って、妊娠の可能性に早めに気づけるようにしましょう。