卵子凍結保存とは、若いうちに卵子を採取して凍結保存しておき、パートナーができてから子作りするときに、その凍結しておいた卵子を活用し、高確率で妊娠を目指す技術。しかし、保険適用外のため費用が高額です。卵子凍結保存の現状を知っておきましょう。
女性の社会進出や晩婚化、不妊治療の技術の発展によって不妊治療などを受ける人が多くなってきています。人工授精や体外受精などさまざまありますが、その中でも注目されているのは「卵子の凍結保存」です。
若い頃の卵子の方が子供ができやすいという話もあり、卵子を凍結保存する人が増えています。卵子を凍結して保存する施設にはさまざまあり、それぞれの特徴を理解して利用することが大切です。卵子凍結保存のバンクごとの違いはどのようなことがあるのでしょうか。
卵子凍結保存にかかる費用とはいくらぐらいかかるのでしょうか。かかる費用の考え方を見ていきましょう。
卵子を採取して冷凍保存しておき、使うときに解凍する「卵子凍結保存技術」ですが、風邪や怪我などの治療のように保険が適用される治療ではなく、実費での治療になります。
そのため、高額な費用がかかり、利用者が増えてるといってもまだまだ利用者自体は少ないのが現状です。また、保険適用外の自由診療に該当するため、医療機関によって治療にかかる費用に大差があります。
保険適用での治療ではなく、保険適用外の治療のため医療機関によって治療は異なってきます。卵子の凍結保存にかかってくる費用は血液検査や超音波検査、検診に排卵誘発といった採卵にあたっての準備や検査にかかる費用、そして卵子を採取するための採卵費用がかかり、凍結保存中にも保存料や事務費用などがかかてきます。
それらの費用が自由診療であり、医療機関ごとに点数が決められるため、医療機関ごとにかかる費用が変わってきます。
卵子凍結保存にかかる費用は、採卵する卵子の数でも変わってきます。採卵する卵子の数が少ないほど低価格で行え、採卵する卵子が増えていくにつれて価格も高くなっていきます。
採卵する卵子の数によって価格が変動するため、どれだけの卵子を採卵するかは予算と相談して決めることになります。
採卵した卵子は、独自に開発された方法によって凍結保存されていきます。凍結保存にかかる保存料金は1年ごとの更新で行われるところが多く、保存する個数と年数によって必要になってくる費用が変わることも。
保存料は数万円で、卵子の採取にかかる費用よりも少ないですが、毎年保存費用がかかってくるため、経済的負担はかなり大きなものとなります。
卵子を採卵して凍結保存する治療は自費診療なので医療機関によってかかる費用が変わってきますが、採卵費用が医療機関によって10万円~50万円と大差があるのはなぜでしょうか。
卵子凍結保存の治療を行っている医療機関は卵子の採取のみ行っている医療機関と、保存まで行ってもらえる医療機関の2種類があります。費用面でいえば、卵子採取のみ行っている医療機関で卵子を採取し、別の場所で保存してもらう方が、比較的安価で済むケースが多いです。
卵子の採取のみ行っている医療機関では、卵子の採取を行った場合の相場はおおよそ15万~50万円。別途保存のための費用がかかってきます。
卵子の採取から凍結保存まで行っている医療機関のメリットは、卵子を採取してから処理を施してすぐに凍結保存できるという点です。
しかし、デメリットは費用面。卵子の採取のみを行っている医療機関で卵子を採取して保存するよりも治療費は高額です。相場は70万~80万円ぐらいかかり、保存のために年間2万円近くかかります。
卵子凍結保存は自由診療のため医療機関によって治療費の設定が変わってくるため、ほとんどの医療機関で治療にかかる費用を公開しています。
また、卵子凍結保存にかかる費用はすべて妊娠の成功失敗問わず発生し、前納が基本。そのため、経済的負担は大きく、なかなか手を出せない状況が続いています。
卵子の冷凍保存は、とても高技術です。日本国内で卵子の凍結保存ができる医療機関はどのくらいあるのでしょうか。
卵子の凍結保存はかなりの高技術が必要であり、整った設備も必要なため、治療を行える医療機関は限られてきます。この卵子の凍結保存は、元々乳がんなどの抗がん剤治による卵巣機能の低下が予想されるため、20代~30代前半の若い女性が将来的に妊娠の可能性を温存するために開発された技術です。
凍結保存を行える医療機関は全国に約40カ所ありますが、採卵のみを行っている医療機関と凍結保存までのすべての処置を行っている医療機関の合計数のため、実際に保存をできる医療機関は数少ないのが現状。そのため、治療にかかる費用は高額になってしまいます。
卵子凍結保存を行うには、多額な費用がかかります。そのため、全国でもまだまだ利用している人は少なく、2018年現在では日本全国で1,000人の女性が利用しており、凍結して保存しておいた卵子を使って出産まで経過したケースもあります。
凍結して保存しておいた卵子で出産までいった女性は、2018年現在で全国に12人おり、まだまだ出産までこぎつけることができたケースは少ないのが現状です。日本産婦人科学会や、現場の医師の中には採卵時の体への負担や必ずしも妊娠できるわけではないこともあり、高い費用を払ってまでも卵子凍結保存をすることはあまり勧めてはいません。
若い女性で抗がん治療を行い、卵巣機能の低下が予想される際に、将来的な妊娠の可能性を温存を希望する人の1つの選択肢として提案しているのも、実際に利用している人が少ない理由の1つになっています。
不妊治療の1つである卵子の凍結保存ですが、自由診療のため保険適用外のため治療には多額の費用がかかります。しかし、卵子の凍結保存を行っている女性のほとんどが「将来的に子供を産みたいときに若い頃の卵子を使ってなんとか産みたい」と願っているため、医療機関が保存を行っているケースがほとんどです。
卵子の凍結保存には多額費用がかかり、必ずしも妊娠に繋がるわけではないので、熟考して判断するようにしましょう。