射精の瞬間に感じる痛みや不快感。男性からして見たら深刻な問題かもしれませんが、場所が場所なだけに笑い話で済まされてしまうことも多々ありそうです。でもこれ、放っておくとかなりヤバイことになるかもしれないんです。症状から原因、治療法まで射精痛についてじっくり学んでみましょう。
普通セックスは快感を伴うものですが、一部の男性にはそうでない場合があります。「射精痛」といわれる症状を患った男性は、気持ちよくセックスを楽しんでいても、オルガズムを感じ射精をするまさに絶頂に男性器の痛みや違和感を感じてしまうのです。
何とも不憫な状態ではありますが、これが悪化すると夫婦仲がギクシャクしてしまったり、最悪の場合不妊症や生死に関わる病気を発症してしまう可能性があり、なかなかバカにできません。
一体射精痛とはどのようなメカニズムで起こるのでしょうか?治療法や予防法も含め、詳しく調べて見ましょう。
そもそも射精とは、雄(男性)の性器から精液が出ることを指します。自慰や性行為で男性器を刺激すると、男性はオルガズムを感じ、その反射で尿道から精液が放出されます。射精は快感を得られる行為だからこそ、人は本能的にセックスを行い結果子孫を残していくというわけです。人間に限ったことではありませんが生物の身体はとても上手くできていますね。
さて、「射精」自体は多くの人が知る所となっていますが、「射精痛」というと知らない、またはよく分からないという人がほとんどなのではないでしょうか?
射精痛(Painful ejaculation)とは、男性が射精する時に肛門や性器周辺に起こる痛みのことを言い、人によっては灼熱感を感じたり、尿道に痛みを感じる場合もあるそうです。原因としては骨盤のトラブル、精子が通る各器官の炎症、心理的要因やガンなどさまざまです。
しかし妊活に限定にて言えば、問題なのは射精痛を体験することで男性が射精=セックスについて恐怖感を持ってしまうことです。毎回射精をするたびに快感を得るはずが代わりに痛みが走るのですから、患ってしまった男性にとってはとても苦痛なことかと思われます。
女性の側も毎回苦しむパートナーを見ることは胸が痛んでしまいます。お互い遠慮しあったりイライラをぶつけたりする内に夫婦関係も悪化してしまい兼ねません。
自身の身体の為にも夫婦円満の為にも、もし射精痛を患ってしまったら、1人で抱え込まずに医療機関を頼りましょう。
もしも貴方が、または貴女のパートナーが射精痛を患っているようでしたら、泌尿器科を受診してみましょう。泌尿器科では腎臓や尿管、膀胱など尿に関する臓器の病気の他、生殖器の悩みや病気を治療することも得意としています。女性の場合は産婦人科を頼ることもできますが、男性の場合はまず泌尿器科を訪れましょう。
泌尿器科は治療する場所が尿や生殖器周辺のため、初めて受診する男性は恥ずかしいかもしれません。しかし射精痛の裏に何か重篤な病気が隠れている可能性もあるので、恥ずかしがらずに堂々と受信しましょう。
ここで射精痛の原因として考えられる病気を挙げていきます。放置しておくと大変な病気もありますので注意が必要です。
前立腺とは、膀胱の下あたりにある玉のような臓器で中心には尿管が通っています。ここでは精子の生産の他に膀胱の開け閉めなど排尿のコントロールに関わる働きをしています。
前立腺肥大症とはこの前立腺が大きくなる結果引き起こされる症状で、前立腺が大きくなると尿管を圧迫し排尿障害が起こります。最初は尿が少し出にくくなる排尿障害だけですが、肥大化が進むと細菌感染や腎不全などに発展しますので速やかに医師に相談しましょう。
前立腺の病気で恐ろしいものが前立腺がんで、この病気を患う人の数は年々増加しています。死者の数も2015年には2000年の2倍、1995年の3倍と増加傾向にあり、今後も死亡率は増加すると考えられています。
この病気は特有の症状はなく、前立腺肥大症と共存していることもあります。ただし前立腺肥大症と共存している場合には排尿が困難になったり頻尿などの症状が現れます。射精痛でもこのがんが原因の可能性がありますので、我慢せずにすみやかに医療機関にかかりましょう。
細菌の感染でも射精痛を伴う急性前立腺炎という病気になる可能性があります。これは年齢関係なく起こり、前立腺肥大症の合併症として起こることもあります。
この病気は尿道から細菌が入り感染することで前立腺に炎症を引き起こします。これにかかると射精痛のほかに排尿時の痛みや熱感、残尿感などを感じるようになり血尿や膿がでる場合もあります。
こちらはあまり頻繁に発症する病気ではありませんが、20代から40代に多く、会陰部不快感や排尿障害や精液に血が混じったりとさまざまな症状を引き起こします。どの症状もなんとなく違和感がする程度のもので激しい痛みなどは伴いません。
しかし疲労や飲酒、長時間の座り姿勢などで悪化する場合がありますのでこれらの要因に該当する人は気をつけましょう。
精巣上体炎は、男性不妊の原因にもなる病気です。細菌やウイルスが排尿経路に侵入し、精巣(睾丸)の横にある、副睾丸とも言われる精巣上体という器官に感染することで炎症を起こします。
精巣上体炎が進行すると、精巣を覆っている陰嚢全体が赤く腫れ上がり、触ると激しい痛みを伴います。さらに進行すると歩くだけで痛みを感じたり発熱を伴うなど、日常生活に支障が出ますので、射精痛の他にこの病気の症状がある場合も早めに医師に相談することをお勧めします。
何らかの原因で陰茎に傷がついたりすると、射精時に痛みを感じることがあります。この場合は病気ではないので傷が治れば痛みも治りますが、ダメージの規模によっては長く治療を必要とする場合がありますので一応注意してください。
男性の性器はとてもデリケートなものです。もし病気でもなく炎症反応や傷もない場合でもないのに射精痛があるという時は、心理的な要因が痛みを引き起こしている可能性があります。毎月いつ終わるとも分からず続く妊活に疲れ、それがプレッシャーになってしまっている場合など、心に抱えた大きなストレスが射精の際の痛みとなって現れるということもあります。
心理的なストレスが問題になっている場合には、医師によるカウンセリングを受けると良いでしょう・
いろいろな病気が隠れていて馬鹿にできない射精痛ですが、では実際に掛かってしまった時にはどのように治療を進めて行くのでしょうか?症状別に見ていきましょう。
前立腺肥大症の治療は主に薬の投与になります。以前は肥大化した前立腺を手術で切除する治療が一般的でしたが、現在いではそのリスクもなく安心して治療ができます。
前立腺肥大症が発症した場合には前立腺及び尿道をリラックスさせて排尿障害を軽減する薬を投与します。症状の程度や合併症などに注意しながら他の薬品の使用も検討して治療は進んでいきます。発症はしていないけれど元々前立腺が大きく将来的に発祥のリスクが高い人には、血中のテストてロンを減らさずに前立腺を縮小させるタイプの薬品を投与します。
前立腺がんは患者数は年々増えているのに自覚症状がない厄介な病気です。前立腺癌が疑われる場合にはまず検査をして確認します。検査の方法としては、前立腺に含まれるPSAの量を調べる血液検査、前立腺を直接触って調べる直腸診、その他超音波で前立腺の形状を確認したり細胞を採取しがん細胞がないか調べる前立腺生検があります。
ガンが発見されたら治療となりますが、その段階と患者の年齢によってその対処法が変わります。まだがん細胞が小さい場合は経過観察から始まり、ガン細胞が前立腺内の被膜内に収まっているか、被膜外まで進行しているのか、さらに他の臓器に転移しているかで治療を使い分けます。
治療の内容としては男性ホルモンをブロックする作用のある薬品を注射する内分泌療法(ホルモン療法)、ガン細胞に放射線を当てて死滅させる放射線療法、そしてガンが他臓器に転移していなければ前立腺そのものを切除してしまう根治的前立腺摘除術といったものがあります。
いずれにしろガンは早期発見が治療の鍵となります。前立腺ガンは年齢の増加と共に発症率が上がっていく病気なので男性は50歳を過ぎたら年に一度は検査をすることをお勧めします。
急性前立腺炎は尿道から細菌が入る事で感染します。尿検査や血液検査、直腸診での検査となりますが、腸に直接指を入れて前立腺に触れると症状を悪化させてしまう場合があるので直腸診は避ける病院もあるようです。
治療としては緊急の場合は入院して点滴をしたり、細菌に有効な抗生物質の投与が必要となりますが、軽度の症状なら外来で医者にかかり、経口薬を飲む事で比較的簡単に治療ができます。
慢性前立腺炎・慢性骨盤疼痛症候群の治療は症状によって使用する抗菌剤の種類が変わりますが、基本的には抗菌剤の投与と、前立腺のむくみを取る薬の投与となります。症状が落ち着いたら漢方薬を使用し数ヶ月かけて今期よく治療を進めていきます。
精巣上体炎の治療も慢性前立腺炎などと同じく細菌によるものなので、治療法としては検査で原因となる細菌を突き止め、その後はその菌に対する抗生剤の投与になります。
抗生剤での治療の他、痛みが激しかったり熱を持っている場合は痛み止めや熱を冷やす治療が行われます。症状が酷いと入院をする羽目になってしまいますが、適切な治療を受ければ痛み自体は数日で弱まり、腫れは数週間?数ヶ月で徐々に引いていきます。しかし精巣上体に硬いシコリが残ってしまう場合もあります。
精巣上体炎は性病が原因で発症することもあります。性病が原因の場合には性行為を通じてパートナーである女性も淋病やクラミジアに感染してしまっている可能性があります。そうなると最悪の場合2人揃って不妊症となってしまうこともありえますので、少しでも自覚症状が現れたら早急に泌尿器科へ受診をしましょう。
心理的な要因で射精痛がある場合、投与や手術といった直接的な治療よりも原因であるストレスの特定と緩和が重要になります。ストレスを軽減させるために場合によってはカウンセリングの治療を受けることもあります。
射精痛を伴う病気の多くは前立腺の症状に応じた薬を使用することがわかりましたが、実際にはどのような働きをする薬品を投与するのでしょうか?ここでは治療に用いる薬品を挙げていきます。
よく治療に用いられる薬品がa1遮断薬というものです。この薬は前立腺や尿道の周りの筋肉をリラックスさせ、尿を出しやすくするという作用があります。前立腺が何らかの理由で腫れると排尿障害が起こりますので、その対処法として使用されます。
PED5剤は前立腺や膀胱の筋肉を緩めることにより下部尿路障害を改善させ排尿を促すという働きがあります。筋肉が緩むことで血流が増加した結果、勃起を促すので、EDの治療薬としても使用されており、2014年から前立腺の治療にも用いることができるようになりました。
生薬とは主に植物など自然素材から精製された植物エキス製剤のことを指します。これらの薬品は炎症を抑え排尿を促進する作用があります。しかし副作用として食欲不振や吐き気など消化器に不快症状が現れる場合もあります。
前立腺の治療に用いられる漢方薬としては八味地黄丸(はちみじおうがん)が挙げられます。この漢方は体を温めることで副腎、膀胱、生殖器の機能低下の回復を促し、結果排尿障害の改善を目指すという働きがあります。八つの生薬が配合されており、新陳代謝を高めます。
性行為の最中、または射精時に頭痛がするという症状があります。これを「性行性頭痛」と言いますが、射精痛に加え頭痛まで発症したらとてもセックスを楽しんでなどいられませんね。これらはどういった症状でどのような原因で引き起こされるのでしょう。
性行性頭痛は、文字通りセックスやオルガズムの最中に起こる急性の頭痛のことです。性行性頭痛は「オルガズム前頭通」と「オルガズム時頭痛」の2種類に分類されます。偏頭痛と同様、性行性頭痛も発祥のメカニズムは正確に解明されていませんが、基本的に生死に関係するような悪性のものではないとされています。
オルガズム前頭痛は性行為中?オルガズム前(射精前)に発症する頭痛のことです。これは性行為中に発症した頭痛が性的興奮で増強されたもので、頸部や顎部の筋肉が収縮し鈍痛が走るのが特徴です。
対してオルガズム時頭痛はオルガズムに達すると感じる頭痛で、性行為の後に起こる頭痛として報告されている症例も大体このオルガズム時頭痛だと言われています。突発的に生じることがある為、爆発型とも言われれいます。
オルガズム前、オルガズム時頭痛は発症しても痛みがあるだけで重篤な問題はありませんが、中には生死に関わる重大な病気が隠れている場合があります。普段から糖尿病や高血圧、脂質異常症等で動脈硬化疾患を抱える人や喫煙歴のある人、脳に腫瘍のある人が性行為中に興奮すると、蜘蛛膜下出血や脳内出血を引き起こす可能性がありますので、注意が必要です。
射精の際に痛みがあるだけでも辛いのに、さらに血液が混じっていたら驚いてしまいますよね。ここでは精液に血が混じった際の対応をご紹介します。
精液に血が混じる症状を「血精液症」といって20?30代によく見られる現象ですが、40?50代の男性にも現れます。大体は生殖器や泌尿器への細菌が炎症を引き起こしていたり、膀胱や尿道のどこかが傷ついた際の出血が原因で、精液に血が混じることの他に症状はありません。しばしば下腹部や会陰部に不快感や頻尿、残尿感が現れる場合がありますが、1?2ヶ月の間様子を見ていて大丈夫です。もしそれ以上出血が長引くようでしたら悪性腫瘍の可能性がありますので医療機関に受診してください。
血精液症が2ヶ月以上続くようでしたら医療機関で検査を受けましょう。前立腺ガンなどの悪腫瘍の可能性があり、特に発症率の上がる50歳以上の男性は注意してください。献血や検尿、直腸診などの検査を経て病名が判明したら、それぞれの症状に応じた治療が始まります。
男性は歳を重ねるごとに前立腺ガンの発症率が上がりますが、実は前立腺肥大症を患う可能性も上がっていくということはご存知でしょうか?
前立腺が肥大すると、尿道が圧迫され排尿がしずらくなります。そのため一度に排出される尿の量が減り、頻尿になってしまいます。男性で1日8回以上の排尿がある人は前立腺肥大症に掛かっている可能性がありますので注意が必要です。特に夜中に何度もトイレに行きたくなる場合は要注意です、なるべく早く泌尿器科を受診しましょう。
前立腺肥大症も前立腺ガンも男性にとっては恐ろしい病気ですが、普段から射精をすることで前もって予防することは可能です。
前立腺肥大症も前立腺ガンも、前立腺の機能が滞ることで発症します。逆を言えば、前立腺が常に正常に機能していればこれらの病気は避けることができるのです。ハーバード大学のあるグループの研究では、月に21回以上射精をした男性は、そうでない男性と比べ2割程前立腺ガン発症のリスクを下げることができたという結果が報告されています。
ここで重要なのは、新しく精液を放出させるということより、古い体液を貯めたままにしておかないということです。精液が前立腺に溜まり続けると、それらは劣化し細胞組織のがん細胞化を促進してしまいます。古くなった精液を排出させ、前立腺の中を常に新しい状態に保つことが病気予防の第一歩です。
第二の予防として、週に2回射精をするというものがあります。これは前立腺の血行をよくすることが目的で、血流がよくなることにより前立腺に酸素を大量に送り込むことができ、結果ガン細胞の発生の予防になります。月に21回も射精をすることは困難かもしれませんが、週2回は射精して古くなった精液を排出できるように頑張りましょう。
ここまで射精痛の症状や、原因に合わせた治療法を紹介してきましたが、お役に立ちましたでしょうか?一言で「射精痛」といっても、さまざまな原因がありそれによって治療法も無数にあるということがお分かりいただけたと思います。
特に50代以上の男性は若い頃に比べ前立腺由来の病気の発症率が上がっています。たかが射精痛と放置せず、この機会に医療機関で検査をして一度前立腺の健康をチェックしてみてはいかがでしょうか?
射精痛は男性なら誰でも患う可能性があり、時に前立腺肥大症やガンなどの可能性を秘めています。そうでなくても射精痛は身体的な痛みだけでなく精神的にも苦痛をもたらします。しっかり症状と向き合い、パートナーと快適なセックスライフを満喫してください。