子宮筋腫は多くの女性がもっていると言われています。しかし手術するとなると、手術そのものに対する不安だけでなく、入院日数や費用、術後の妊娠などについて多くの不安を抱えます。子宮筋腫手術の種類や費用を知り、手術の時慌てないように備えましょう。
子宮筋腫の手術はどのくらいの費用がかかるのでしょうか。手術費用について不安を感じる方も多いと思います。また、子どもがいると入院日数や術後、どれくらいで日常生活が支障なく送れるようになるのか不安に感じることも多いでしょう。
子宮筋腫の手術方法や費用、入院日数などを知り、入院の時に慌てずに自分にあった最善の手術法が選べるように役立てて下さい。
子宮筋腫のほとんどの手術には健康保険が適用されます。しかし子宮動脈塞栓術や集束超音波療法などのように保険が適用されず、全額自己負担となるものもあります。
開腹手術、腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術など、手術方法によって入院期間や費用は異なります。また、病院によって手術法や費用は違いますので、納得がいかない時には他の病院に行って別の意見を聞いてみるのもよいでしょう。
単純子宮全摘術とは、子宮頚部付近の靭帯を切断し、子宮を全て取り除く手術法です。この手術は筋腫の再発や子宮がんのリスクをゼロにすることができます。卵巣を残しておくことで、卵巣が機能している限り、更年期障害に悩まされることもありません。また、膣は残るので性交は可能です。
デメリットは、術後、自然妊娠ができなくなることです。手術費用は20~25万円かかり、入院日数は7~14日間になることが多いようです。
腹腔鏡手術で子宮全摘を行う場合は、お腹にカメラや鉗子や電メス、持針器をいれて手術を行います。傷は2~3cmくらいの小さな穴で済むことが多く、痛みも軽いです。そのため、退院や全身状態の回復が早く、社会復帰しやすいというメリットがあります。
デメリットは、手術の難易度が上がり、手術にかかる時間が開腹手術より長くなるところです。開腹手術より少し高めで、25~35万円かかります。また、入院日数は5~8日になります。
膣式手術での子宮全摘とは、お腹を切らずに膣から子宮を摘出する手術です。皮膚を切らないので痛みが少なく、術後の回復が早いのが特徴です。傷が残らないので美容上、傷が残るのが気になる人には向いています。
しかし子宮筋腫が大きくなっていると手術時間が長くなる場合があり、またあまりにも子宮が大きくなっていると膣から摘出できないこともあります。手術費用は保険が適用されて20万円前後になります。また、入院日数は5~8日間になります。
子宮筋腫核出の開腹手術は、子宮を残して筋腫だけを取り除く手術です。子宮に直接触れて筋腫を切除するため、手術前検査のMRIで見つけられなかった小さな筋腫も核出することができます。また、術後に妊娠できるというメリットもあります。
子宮筋腫核摘出の開腹手術は子宮全摘の手術よりも安くなり、手術費用は15~20万円です。入院期間は7日から10日間となります。また、開腹手術なので、手術創はだいたい10cmくらいとなり傷跡が残ります。
子宮筋腫核出の腹腔鏡下手術では手術創が5mm~数cmと小さく、また傷の数も3~4箇所であるため、回復が早く入院期間は5~8日間と短くなるのが特徴です。しかし、子宮筋腫の場所や大きさによっては腹腔鏡下では手術ができない場合があります。
また、筋腫が大きい時には、筋腫核を縮小して子宮体部の血流を減少させるために、手術前に偽閉経療法が行われることもあります。手術費用は保険が適用されて20万円前後となります。
子宮筋腫核出の子宮鏡下手術は、子宮内を液体で膨らませて、子宮腔内をモニターに映し出して筋腫を切除摘出する手術です。この手術は膣から器具をいれて取り除く手術なので、体表に傷が残ることはありません。また、回復が早ければ次の日に退院も可能です。
筋腫が大きい場合には2、3回に分けて手術を行うこともあります。手術の費用は7~10万円と腹腔鏡下の手術や開腹手術より安くなります。体を切らないので回復が早いため入院日数は1~3日ととても短いです。
子宮動脈塞栓術(UAE)は体にメスを入れずに筋腫を小さくする方法です。太ももに5mmほどの穴を開け、血管の中に2mmほどの細いカテーテルを入れて子宮動脈まで通し塞栓物質を注入します。そうすることにより、血液を遮断し筋腫への栄養の供給を止めて、筋腫の成長を防ぐことができます。
傷は太ももの穴の傷だけなので、回復が早く3、4日の入院で済みます。再発などの可能性は少ないのですが、感染などの合併症を起こす可能性があります。手術費用は保険が適用されないので全額自己負担になり、40~60万円とほかの手術に比べると高額になります。
MRIガイド下で超音波振動エネルギーを熱エネルギーに変換させて筋腫を焼却する治療法を、集束超音波治療法をいいます。筋腫自体はなくなりませんが、細胞は壊死し、次第に小さくなり症状が改善します。副作用が少なく、傷口もないので日帰りでの治療が可能です。手術費用は保険の適用がされないので、全額自己負担になり、50~80万円とないります。
日本でもまだ数台しか稼働しておらず、保険が適用されないので手術費用は高額になります。筋腫の大きさが10cm以上や3cm未満の場合や、筋腫核が4つ以上ある場合は適応外です。その他にも、妊娠中の人や手術痕がある人など、この治療法で治療できない人や筋腫があるので事前に確認が必要です。
子宮筋腫の手術前には、血液検査、尿検査、MRI、胸部・腹部レントゲン、心電図、肺活量、血圧などさまざまな検査があります。また、出血量が多かったときの輸血用に自己血を採血する場合もあります。
これらの検査の費用がだいたい1~2万円になります。また、初めてかかる病院ならこれにプラスして初診料がかかります。
いざ入院するとなると、パジャマや下着類、洗面用具、箸、履物などたくさんの日用品が必要になります。病院によってはレンタルできますし、院内の売店で購入できる場合も多いです。また、生理用品やイヤホンも必要に応じて持っていると便利かもしれません。
また、手術までに何度か通院することになりますが、その度に交通費がかかります。入院費用、手術費用のほかにも、こまごまとした費用がかかると考えておいてください。
子宮筋腫の手術をするとき、多くの場合、20万円前後の費用がかかります。高額療養費制度を理解して、高額療養費の補助を受ける申請をしましょう。また、限度額適用認定証を申請することで立て替えの必要がなくなり、窓口での負担が減ります。
医療費が一定の金額を超えた場合、超えた分を支給してもらえる高額療養費制度という制度があります。申請が必要で、時効は2年です。手術が決まったときに前もって書類を揃えておくと、申請がスムーズにできます。
高額療養費制度は所得や年齢によって負担額が違います。報酬金額にもよりますが、70歳以下で標準報酬月額が27万~50万円なら自己負担の上限額が80,100円になります。この金額を超える時は高額療養費の補助を受けることができます。
ただしこれには規則がありますので、下記の項目に注意してください。
高額療養費制度には申請が必要で、自動でお金が戻ってくるわけではありません。基本的には加入している健康保険組合に自分で申請します。加入の健康保険組合によりますが、申請書類はネットでダウンロードできるのですぐに申請することができます。
申請してもお金が戻ってくるのは約3カ月後になります。時効は2年なので、もし忘れているものがあれば早めに申請しましょう。
実際、高額療養費制度によってお金が戻ってくるのがわかっていても、入院費用などは高額になることが多く立て替えるのも大変ですよね。もし、前もって医療費が高額になることがわかっているのなら、限定額適用認定証を発行してもらうことをおすすめします。
限度額適用認定証を持っていると、退院の際窓口で支払う費用が、高額療養費制度の自己負担限度額までとなります。この認定証は加入の健康保険組合に申請して入手することができます。
子宮筋腫とは、子宮を形成している筋肉の一部が増殖してできる良性の腫瘍です。成人女性の4~5人に1人にあるといわれ、多くの場合は多発性で複数個できます。子宮筋腫が大きくなるのは、女性ホルモンが関係していると言われています。
子宮筋腫には3種類あり、できる場所によって呼びかたが変わります。粘膜下筋腫は子宮の内側にできて、小さくても症状が強く、月経量も多くなる傾向があります。筋層内筋腫は子宮の筋肉の中にできる筋腫です。子宮筋腫の7割がこの筋層内筋腫で初期症状はあまりないものの、大きくなると過多月経などの症状がでます。漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)は子宮の外側にできる筋腫で、大きくなっても症状がでにくいのが特徴です。
子宮筋腫は女性ホルモン(卵胞ホルモン)によって大きくなるので、閉経すると小さくなっていくことがほとんどです。
子宮筋腫は成人女性の4~5人に1人が持っていますが、悪性化する確率は0.5%以下と低いです。しかし大きな筋腫の場合、約0.5%に悪性の子宮肉腫が含まれており、この子宮肉腫は子宮筋腫と見分けるのは難しいです。年齢や子宮筋腫の大きさ、大きくなるスピードで判断します。
月経時の経血の量が多い場合や、月経痛がひどい場合は、子宮筋腫がある可能性がありますので、早めに産婦人科を受診しましょう。
子宮筋腫ができる原因は不明で、遺伝やストレスが関係あるのではないかと言われています。初潮前の女性にはなく、閉経後は新しい子宮筋腫ができないことから、子宮筋腫の成長には女性ホルモンが関わっていると考えられています。
生理痛がひどかったり、月経の出血量が多いと子宮筋腫がある可能性がありますので、産婦人科を受診しましょう。日常生活に支障をきたさない程度の小さな筋腫なら、経過観察になることがほとんどです。
子宮筋腫は日常の生活に支障をきたさない限り、小さなものなら問題ありません。しかし症状が強かったりする場合には、薬物療法や手術での摘出手術が行われます。
子宮筋腫による過多月経やひどい生理痛の治療法には、まず薬物での治療が行われます。出血の量を減らすだけならば、ピルを服用することで出血をコントロールすることができるからです。また、たばこを吸わない女性ならば副作用もなく、長期間服用できます。
偽閉経療法は人工的に閉経させる治療法で、女性ホルモンが出なくなるので月経がなくなります。しかしその影響から,のぼせ、ほてり、骨がもろくなるなどの更年期の症状が出てくるので、この治療法は半年間しかできません。したがって、閉経が近い女性や、手術のために筋腫を小さくしたい人が行う治療法となります。
子宮筋腫の手術は、筋腫の場所や大きさなどにより方法が変わります。まず、今後妊娠を希望するかしないかで、子宮を全摘出するか温存するかを考えます。そして、開腹手術、腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術などさまざまな方法を検討します。
子宮筋腫の手術はそれほど慌ててしなければならないものではないので、担当の医師に自分の筋腫の症状からどのような手術が選択できるのか教えてもらい、自分で納得する手術法を選択しましょう。
子宮筋腫の手術をすることになると、高額療養費制度の対象となることが多いと思います。入院中には手術費の他にこまごまとしたことで費用がかかりますので、金銭的負担を減らすためにも高額療養費制度を正しく理解して利用できるようにしておきましょう。
子宮筋腫の手術の手術法や費用は病院によっても異なります。自分が納得できないのなら他の病院で診察を受け、セカンドオピニオンを求めることも大切です。
自分が納得できるまで、医師と話し合い、最善の方法を選択できるようにしましょう。