2018.08.07

【黄体ホルモンを増やす方法】少なくなると起こる症状を知ろう

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黄体ホルモンは女性にとってかかすことのできないホルモンです。しかし、最近ホルモンが少なくなっている気がすると感じることはありませんか。黄体ホルモンが少なくなるとどのような症状が起こりうるのか、またホルモンを増やす方法を見ていきます。

ホルモンの減少で心身の状態が崩れる

ホルモンは生物の体内で分泌される物質で、さまざまな器官や組織をコントロールする重要な役割を果たしています。人間の体にはたくさんのホルモンが存在しており、減少すると心身の状態が崩れてしまいます。

そのホルモンの中で、女性特有の体つきや体のリズムに大きな影響を与えるのが女性ホルモンです。年齢を重ねるごとに、なんとなく黄体ホルモンなどの女性ホルモンが、少なくなってきたかもと感じていませんか?

今回は、ホルモンが減るとどうなるのか、またホルモンを増やすためには、どうすればよいのかを見ていきましょう。

女性ホルモンを構成する2つの成分

女性ホルモンは「エストロゲン」と「プロゲステロン」のニつでできています。まずは、このニつのホルモンについて見ていきましょう。

女性らしさに影響するエストロゲン

エストロゲンは女性らしい体を作るホルモンで、「卵胞ホルモン」ともいいます。エストロゲンは、おもに卵巣から分泌されます。思春期から分泌が始まり20~30代で多く分泌されるので、妊娠や出産に適しているといわれています。

さらに肌や髪の潤いを守り、女性特有の丸みを帯びた体を作ったり女性の体全体の健康を支える働きをします。また、脳の働きを活発にしたり、自律神経を安定させたりする働きも。

このエストロゲンの分泌量が少なすぎると、乳腺の発達が止まったり、肌や髪のツヤがなくなり、抜け毛が多くなったりなどの問題が起こります。しかし、分泌量が多すぎても、乳がんや子宮体がんのリスクが高まるといわれています。

妊娠に関わるプロゲステロン

プロゲステロンは、受精卵の着床のために子宮内膜を整えたり、基礎体温を上昇させたりする働きがあります。妊娠維持に大きな役割を果たすホルモンで、「黄体ホルモン」ともいいます。また、体内に水分を保つ作用もあり、生理前に体に変化が現れるのは、このプロゲステロンの働きのためといわれています。

プロゲステロンは、20代・30代で分泌される量が一番多く、更年期頃に急激に低下します。子宮内膜を厚くして、受精卵が着床しやすくするなど、子宮の環境を整えて、妊娠の成立や維持に大きな役割を果たしています。

プロゲステロンの分泌量が少なすぎると、妊娠しにくいといわれています。また、エストロゲンと同様に、多すぎても乳房が張ったり、腰痛や頭痛が生じたり怒りっぽくなったりと、よくありません。

黄体ホルモンの乱れで起こる症状

「黄体」とは、卵巣にある卵子を含んだ卵胞が、排卵後に変化したもので、そこから分泌するホルモンを「黄体ホルモン」といいます。このホルモンが乱れることで、起こる症状を見ていきましょう。

生理の周期が乱れる

黄体ホルモンは、排卵後から生理前に多く分泌されます。生理の周期は25~38日が正常範囲とされていますが、この黄体ホルモンが乱れると、月経の周期が短くなることがあります。月経の周期は、卵胞期と黄体期が交互に訪れます。

この二つの周期が、それぞれ短くなるのは病気の一つで、卵胞期が短くなる病気を「卵胞期短縮症」、黄体期が短くなる病気を「黄体機能不全」といいます。黄体期ホルモンの分泌が十分でない場合、基礎体温をつけると以下の三つの特徴が見られます。

1. 黄体期(高温期)が短い
黄体期の正常範囲は11~14日間ほどですが、黄体機能不全の場合、この範囲より短くなり、月経周期が短くなります。

2. 低温期と高温期の基礎体温の差が0.3℃以下になる
無排卵月経(月経の周期に排卵が行われていない状態)の場合と同じです。低温期と高温期の基礎体温の差が0.3℃以下になる場合は、排卵があるかどうか確かめる必要があります。

3. 高温期の体温に凹凸がある

月経前症候群の原因にもなりうる

黄体ホルモンが乱れると、精神が不安定になったり、頭痛や肌の調子が悪くなったりします。また、月経前症候群(PMS)や、月経前不快気分障害(PMDD)の原因にもなる可能性があります。月経前症候群とは、月経(生理)前に起こる心身の不調の症状のことで、この症状には200種類以上あるといわれています。

身体的症状の例としては、乳房のハリや痛み・肌荒れやニキビ・体重増加・下腹部のハリや下腹部痛・眠気または不眠・疲れやだるさ・頭痛や頭が重い・腰痛・むくみ・のぼせ・便秘または下痢・動悸・過度な食欲増加などが挙げられます。

月経前不快気分障害は、月経前症候群と比べて精神症状が重いものをいいます。睡眠や食欲にも変化がある精神障害です。

着床しにくくなる

黄体ホルモンは、別名「妊娠維持ホルモン」と呼ばれるほど、妊娠においてとても重要なホルモンといわれています。この黄体ホルモンが正常に働くと、子宮内膜が柔らかく、厚みのあるふかふかの布団の役割をし、受精卵がきても居心地のいい環境になっています。

しかし、黄体ホルモンが十分に分泌されないと、子宮内膜の形成がうまくいかずに、受精卵にとって居心地の悪い環境となります。すると、受精卵が着床しにくく、着床できても子宮内膜がはがれて、妊娠はできても、流産や死産をくり返し、生児を得られない「不育症」の可能性も出てきます。

また、子宮内膜の維持や基礎体温の上昇、乳腺の発達など、妊娠・出産に大切な役割も果たせなくなってしまい、結果的に、妊娠しにくい体になってしまいます。不妊症の約1割は、これが原因といわれています。

精神面へのダメージ

黄体ホルモンが乱れると、精神が不安定になることもあります。精神的症状の症状として、イライラする・泣きたくなる・ぼーっとする・怒りっぽい・情緒不安定になる・憂鬱な気分になる・落ち着かない・いつも張りつめた気分になる・家族や身近な人に八つ当たりしてしまう・集中できないなどが挙げられます。

また、怒りやすく闘争的・無気力・判断力低下・疲れやすい・眠れない・パニックを起こす・妄想症・涙もろくなる・悪夢を見る・異性に対してのみ攻撃的になるなどの症状もあります。これらの症状は、一つだけではなくいくつも現れます。また、症状の現れ方は、同じ人でも月によって変わることがあります。

反対に、ストレスによってホルモンバランスが崩れてしまうこともあるので、日頃からストレスをためないように、気分転換をしたりストレスを発散したりするようにしましょう。

黄体ホルモンを増やすには

黄体ホルモンは、女性にとってはとても重要ですが、黄体ホルモンをどのようにすれば増やせるか見ていきましょう。

基礎体温を測り身体の管理をきちんとする

毎日基礎体温を測り、ホルモンの増加具合を把握することで、自分の体の変化もわかりやすくなります。基礎体温の正しい測り方を、しっかり把握しておきましょう。

基礎体温を測るタイミングは、朝目が覚めて動く前です。基礎体温を測るときは、風邪を引いたときに測る体温計ではなく、婦人用の専用の体温計を使い、寝たままの状態で測りましょう。また、脇の下ではなく、口の中で測るとより正確に測れます。

食事に気をつける

黄体ホルモンを増やすためには、食事に気を付けて、栄養素をたくさん摂ることが大切です。特に、ビタミンEとビタミンCは欠かせません。ビタミンEは別名「妊娠ビタミン」とも呼ばれているほど、妊娠力を高める栄養素がたっぷり入っています。

ビタミンEが多く含まれる食べ物としてアーモンド・落花生・カボチャ・ホウレンソウ・アボカド・キウイ・豆乳などがあります。また、ビタミンCには抗酸化作用があります。ビタミンCが多く含まれる食べ物として、イチゴ・バナナ・キウイ・モロヘイヤ・カリフラワーなどがあります。ビタミンEと一緒にとると、効果がアップするのでおすすめです。

サプリを摂取する

葉酸は、赤ちゃんが健康に育つうえで、とても重要な栄養素です。厚生労働省は、1日400μg(マイクログラム)摂取するように推奨していますが、毎日食事でとるのには限界があります。

そこでおすすめなのが、サプリで葉酸をとる方法です。必要量の葉酸をとることで、黄体ホルモンのコントロールにつながる効果が期待できます。

適度な運動で血流を改善

黄体ホルモンの分泌量減少の理由の一つに、血流の悪さがあります。どんなによい栄養素をとっても、血流が悪ければ、黄体ホルモンの分泌を妨げてしまいます。冷えは女性の大敵です。

冷え対策として、お風呂につかって体を温めたり、ストレッチやマッサージをしたりして、血流をよくするといいですよ。また、冷たい飲み物を控えたり、ストレスをためたりしないことも大切です。

黄体ホルモンを増やして心身ともに健康になる

女性ホルモンが少なくなると、心身ともにさまざまなトラブルがでてきます。本来持っているホルモンを、増やすことはできませんが、日々の生活の中で、自分の体内のホルモンの分泌量を多く出すことは可能です。

黄体ホルモンは、生理前の症状に悩んでいる人や、妊活している人にはもちろん、女性には欠かせないホルモンです。日々のちょっとした行動で、黄体ホルモンが増え、心も体も健康になります。まずは、自分のできるところから始めて、快適な毎日を過ごしましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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