生理不順で肌の調子が悪かったり、だるかったりなどの体調不良を感じている場合。ホルモンバランスの乱れが原因かもと考えるかもしれませんが、どのように改善すべきかをご存じですか?今回は、その改善方法をくわしく解説したいと思います。
最近なんだか生理が不順で、肌の調子が悪い、ちょっと身体がだるいなど、感じていませんか?女性は30代以降ともなると、これらの不調は「年齢のせいかな?」と思ってしまいがちです。
しかし、その不調がホルモンバランスの乱れから来るものであれば、安易に「年だから…」とあきらめるのではなく、生活で改善できるかもしれません。あなたの生活習慣を、今一度チェックしてみましょう。
ホルモンバランスの乱れを改善するために、普段の生活で改善できること・気をつけることをピックアップしました。
不規則な生活な食事のとり方は、ホルモンバランスを乱す要因となります。食事を抜いたり、遅い時間に食事をしたりなどを繰り返していると、自律神経に負担がかかり、結果、ホルモンの分泌が乱れてしまうことになります。
時間どおりに食事をしても、内容が偏っていては意味がありません。食事の内容も、インスタント食品やコンビニ弁当ばかりでは、栄養バランスが崩れがちになってしまいます。
栄養が偏ると、ホルモンバランスも崩れやすくなります。女性ホルモンの原料となる栄養素などを、バランスよく摂取するためには、インスタントやコンビニ弁当だけでは難しいでしょう。できるだけ自炊で、食生活を整えましょう。
30代からの女性は、仕事や育児などで充実する反面、時間をとることが難しい場合も多いです。忙しくて、どうしてもバランスのよい食事を取れない場合は、食事で足りない栄養素を補うために、サプリメントなどの利用も検討してみましょう。女性向けサプリメントは多くの種類があるので、自分の食生活に足りないものを考えて選びましょう。
カボチャなどに含まれるビタミンE、豆腐や味噌に含まれる大豆イソフラボン、肉や魚に含まれるたんぱく質は、女性ホルモンの原料となります。女性ホルモンを分泌するためには、原料となる栄養素を取り入れる必要があります。これらの栄養素は、積極的に摂取していきましょう。
特にタンパク質は、毎食とるように心がけましょう。肉や魚、卵、大豆製品などからとることができます。また、ダイエットのためにバナナのみ、ヨーグルトのみなど、偏った食事をとることは避けましょう。
とりすぎると悪影響があるのが、コーヒーなどに含まれるカフェィンです。カフェィンが含まれている飲料を好んで飲んでいる人は、ノンカフェインのハーブティなどにするとよいでしょう。
特に夕方以降のカフェインの摂取は、睡眠の質にも影響してくるため、ノンカフェインの温かい飲み物をとるようにしましょう。
ホルモンの分泌には、良質な睡眠が必要不可欠です。日付が変わる前に就寝し、睡眠時間は十分に確保するように心がけましょう。22時から2時の間に睡眠を取ると、より効果的です。逆に12時以降の就寝、6時間以下の睡眠で、ホルモンバランスが乱れやすくなるといわれています。
しかし、睡眠時間もただ長ければよいわけではなく、深夜に何度も目が覚めたりするようであれば、休息がきちんと取れているとはいえません。また、生活リズムは昼夜を意識して、「朝は陽の光を浴びる」「夜は暗くして睡眠をとる」などを心がけ、スッキリとした目覚めの朝を迎えられるようにしましょう。すると、自然に朝食をとる食欲もわいてくるはずです。
「女性は身体を冷やしてはいけない」とは、昔からいわれていることですが、これには現代的な裏付けがあります。冷えは、女性のホルモンバランスの不調につながっていくからです。
体を冷やすことは、ホルモンバランスの崩れにつながります。特に暑い時期は、アイスクリームや氷の入った飲み物がおいしく感じられますが、冷たい飲み物や食べ物を食べると体が冷えるので、冷え性になりやすくなってしまいます。したがって、とりすぎないように心がけましょう。
冷え対策として有効なのがお風呂です。お風呂に入って温まると、血流がよくなるためです。忙しくてもシャワーのみで済まさずに湯船に浸かり、しっかり身体を温めましょう。
湯船に張るお湯の温度は38~40℃の、少しぬるいと感じる程度が最適で、ベッドに入る1時間程前に入浴すると、睡眠の改善も期待できます。
体を締め付けると、血流が悪くなって冷え性の原因となり、ホルモンバランスも崩れやすくなります。おしゃれのための極端な薄着や、スタイルをよく見せるための締め付けの強い下着などを、長時間着用することは避けましょう。
たばこや過度なお酒は、冷え・ストレス・血行不良の原因となり、ホルモンバランスを崩す元となるので、注意が必要です。
ストレス発散の手段として、お酒やたばこを摂取し続ける生活は、長期的に見てもほかの病気の元にもなります。趣味を持つなどして、別のストレス発散方法を見つけるようにしましょう。
痩せすぎ(BMI17以下)はもちろん、肥満(BMI30以上)も、ホルモンバランスの崩れの原因となりますが、過度なダイエットはホルモンバランスを乱す原因となります。急激なダイエットをきっかけに、生理不順などになってしまう女性もいます。
1カ月に3kg以上、体重を減少するダイエットは、身体に負担をかけ、ホルモンバランスが乱れてしまうきっかけになるため、避けるようにしましょう。
運動不足で自律神経の働きが鈍ると、ホルモンバランスを整える働きも鈍ります。適度な運動をすることで、自律神経の働きが整い、結果としてホルモンバランスを整えることにつながります。
しかし、特別なジム通いやスクールは必要ではありません。毎日の習慣として続けられる、軽いウォーキングやストレッチなどを、継続的に生活に取り入れていきましょう。
これまでほとんどスポーツなどの経験がない人が、急に激しく運動すると、身体に過度な負担がかかるため、女性ホルモンの減少につながってしまうことがあります。
運動を始めるときには、無理をせず徐々にはじめ、習慣として続けられるような強度で行いましょう。ダイエットの食事制限だけではなく、激しすぎる運動も避けましょう。
生活の改善だけでは、治療できない女性ホルモンの乱れは、漢方薬やピルなどの服用で、改善させられます。しかし服用するためには、婦人科や漢方外来、漢方内科などの専門家に相談することが必要です。
漢方薬では、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)の三種が、婦人科三大処方と呼ばれ、よく用いられており、漢方薬も健康保険適用となります。
ピルは「避妊薬」の印象が強いですが、避妊のほかにもホルモンバランスを整える効果があり、生理不順などの治療にも用いられます。また、生理前のホルモン変動をなくすので、月経前症候群(PMS)の改善も期待できます。現在では、これらの目的のために服用する人も多くなりました。ちなみに、ピルはホルモンバランスの改善が目的の場合は、健康保険の適用にはなりません。費用などは婦人科受診時に、確認するようにしましょう。
東洋医学のツボにも、女性ホルモンのバランスを整えたりするのに、効果的といわれているツボがあります。ツボは、東洋医学では「経穴(けいけつ)」と呼ばれ、「気」「血」「水」が滞る場所だといわれています。それを刺激して、血流などを促進・改善するのがツボ治療です。
ツボの一つは、名前もズバリ「内分泌」といい、耳の穴の下のほうにあり、自分の指で刺激できます。もう一つは「神道」といい、背骨の肩くらいの高さの位置にあります。こちらは背中にあるため、自分で押すことは難しいので、マッサージや器具などを使うとよいでしょう。
ほかにも、内くるぶし付近の「三陰交」や、おへそから指4本下にある「関元」のツボなどが、女性特有の疾患に効果があるといわれています。
ホルモンバランスの乱れによって、実際に女性の身体に現れる症状は、以下のようなものがあります。
・生理不順
・PMS(月経前症候群)
・更年期障害
・オス化(ヒゲが生えるなど)
・疲れやすくなる
・ニキビ
・肌荒れ
・むくみやすい
また、ホルモンバランスが乱れることで、自律神経の働きも不調になります。自律神経には、呼吸や代謝など、自分の意志ではコントロールできない身体の機能を調整する働きがあります。そのため、自律神経の働きが弱まると、頭痛やのぼせ(ホットフラッシュ)などの更年期の症状が出るといわれています。
思い当たるものがないか、普段の生活を振り返って、チェックしてみてはいかがでしょうか。肌や髪質の変化、生理の様子など、最近急に症状がひどくなったものがないか、考えてみましょう。
ホルモンバランスの乱れの原因は、40代以下と以上でも変わってきます。女性ホルモンは、生理周期の中だけでなく、一生の間でも分泌量が大きく変化するからです。
10代後半?30代以下の女性で、ホルモンバランスが乱れている場合、多くの原因は、自律神経や脳の視床下部に原因があります。その場合、女性ホルモンの分泌の指令を、出せなくなっていることが考えられます。そのため、卵巣の働きは正常でも、必要な女性ホルモンをうまく分泌できなくなるのです。
原因として、「生活の乱れ」や「ストレス」などが、自律神経や脳の視床下部に影響を及ぼしていることが考えられます。この場合は、生活習慣の見直しで改善できるかもしれません。
40代以上の女性については、年令による卵巣の機能低下が、原因になると考えられます。脳からは、正しく分泌の司令が送られてきても、卵巣がそれに応えられなくなり、結果として自律神経のほうにも不調が起こります。これらがいわゆる更年期の症状(頭痛・めまい・イライラなど)として現れてきます。しかし更年期の症状も、生活習慣や食習慣である程度は緩和することは可能です。
また、これ以外に病気(卵巣など)の可能性もあるので、気になる症状がある場合は、医療機関で受診するなどの対応が必要になります。ホルモンバランスは、卵巣の働きと、脳と自律神経の働きの両方が正しく働くことで保たれます。どちらが不調でも、結果としてさまざまな女性特有の症状となって現れてくるのです。
「なんとなく調子が悪いけど、年齢的にもそういうものなのかな?」と、漠然と思っている方も、食事や睡眠などの生活習慣で、症状の改善が期待できることもあります。女性特有の悩みは、生涯を通じて付き合っていくものです。
それらの症状が軽減されることで、女性としての幸福度や生活の充実感が大きく変わるのではないでしょうか。「年だから」で諦めてしまうのではなく、手軽に取り入れられるところから、継続できる範囲で、生活改善を心がけてみませんか。