着床時期に下痢の症状が見られることがあるらしい、妊娠の兆候として下痢になることなんて本当にあるの?という疑問の声にお応えして、「着床と下痢との関連性」について探っていきます。妊娠と下痢には、このような関係がありました。
着床時に起こるさまざまな症状の一つとして下痢も知られています。なぜ着床時に下痢が起こるのかその原因や下痢になった時の対処法などをお伝えします。
医学的な定義ではありませんが、妊娠0週から4週頃のことを「妊娠超初期」と呼ぶことがあります。妊娠をしていない時期も含まれていますが、妊娠週数は最後の生理の初日を”妊娠0週0日”として数えます。そのため、最後の生理初日から次の生理予定日までが妊娠超初期にあたります。
精子を受け入れた卵子は受精卵となり、子宮内膜にたどり着きます。そして受精卵をしっかり固定するため、胎盤の根となる絨毛が子宮内膜にもぐり込んで根を張ります。このことを着床といい、もぐり込む時に血管を傷つけ出血することを「着床出血」とよびます。ただし、着床出血は誰もが起きることでは無く100人に1、2人という多くない割合です。
着床出血は、少量の出血で、生理の時とは異なりほとんどの場合3日程度で終わります。着床出血の色は個人差が大きく、茶色やピンクのおりもののようだったり、鮮血であったりします。また、着床すると受精卵を守るためにおりものの量が増えることがあるようです。
妊娠超初期の着床時にはホルモンのバランスが変化して、胸が張ったり痛みが出ること、乳首にチリチリとしたかゆみや痛みの症状が出ることがあります。これは、妊娠をしたことで産後に赤ちゃんに必要な母乳をつくるための準備として、乳腺や乳管が発達してくるためです。この胸の張りや痛みは着床時期だけでなく妊娠期間中は継続して起こります。
着床時に下腹部に違和感やチクチクとした「着床痛」とよばれる痛みを感じる人もいます。これは、着床した受精卵が子宮内膜にもぐり込むときの痛みだと考えられています。ただし、医学的な根拠はなくよく分かっていません。この症状は、あくまで参考になる程度だと思っておいてください。
着床時に起こることのある下痢の主な原因についてお伝えします。
着床すると、卵巣の黄体や胎盤で作られるプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されるようになります。このプロゲステロンは、着床前には子宮内膜を厚くして受精しやすい状態を作り、着床後は妊娠を維持するために子宮の収縮を抑える、妊娠には欠かせないホルモンです。
ただし、子宮の収縮を抑えると同時に胃腸の働きも弱めてしまう働きがあり、自律神経のバランスが乱れて下痢もしくは便秘を起こすことがあります。
妊娠超初期の着床時期は、ホルモンの影響で体温調節が難しくなっています。そのため、身体やお腹を冷やしてしまうことで腹痛や下痢が起こることがあります。また、妊娠中のホルモンの乱れや不安などのストレスによって血流が低下し身体が冷えることもあります。温かいものを摂取するように心がけたり、自分のリラックスできる方法を考えたりと、身体を冷やさないよう注意することが大切です。
着床時に腹痛や下痢が起こってしまったとき、どのような対応をとるべきか知っておきましょう。
身体が冷えて下痢を起こしていることもあるため、下痢のときにはなるべく身体を温めるようにしましょう。腹巻やストール、ひざ掛けなどを利用して暖かい服装をすると効果的です。また、お風呂は湯船にゆっくりとつかり身体を温めるのはリラックス効果もありおすすめです。
加えて、食べやすさを重視して冷たい飲み物や食べ物を摂り過ぎないよう注意しましょう。意識して常温や温かいものを摂取することが必要です。下痢の時には胃腸の機能も弱くなっているため、生ものや脂っこいものは避け、消化の良いものを選んでください。食欲がない場合も、脱水に注意し水分はこまめに摂取しましょう。
ずっと腹痛や下痢が続いている、寝込んでしまうなど症状が重い、便に血が混じる、便の色がおかしいなどといった場合は、妊娠したことだけが下痢の原因ではないかもしれません。放置せずに早めに病院を受診することが大切です。
妊娠超初期といわれる着床時は規則正しい生活を心がけましょう。
着床時期の体温調節が難しく身体が冷えやすいときには、適度な運動をして身体を温めるのがおすすめです。運動をすることで基礎代謝も上がるので身体が冷えにくくなるという効果もあります。また、妊娠初期の不快症状で気分がすぐれない時は身体を動かすことでリフレッシュできることもあります。
運動方法としては、ストレッチや軽いウォーキングなどが適切です。身体を動かすというだけなら、家事を15分などでも十分な運動になります。注意点としては、妊娠初期は体調がすぐれなかったり、イライラなど情緒不安定で注意力が散漫になっていることもあるので、屋外で運動する場合は周りの安全にも注意して行きましょう。
ホルモンバランスの乱れやすい着床時期は、栄養バランスのとれた規則正しい食生活も大切です。食事、特に朝食をしっかりと摂ることには、体内時計がリセットされ自律神経を整える働きもあります。食事は、妊娠中に必要だといわれているビタミンの「葉酸」や胎児のからだをつくる「タンパク質」、糖の代謝に必要な「炭水化物」はもちろん、どの栄養素もバランスよく摂取することを心がけましょう。
また、身体を冷やさないように、冷たい飲み物や食べ物はなるべく控えてください。ショウガなど身体を温める作用のあるものを摂取するのもおすすめです。一度に食べるのが難しい場合には、少量を頻回にして摂取するなど食べ方に工夫をするとよいでしょう。
妊娠超初期や着床時期に注意すべきことを挙げました。母子ともに健康を維持するためにも守ってください。
喫煙は胎児に悪影響を与えてしまう可能性があります。喫煙すると、子宮に栄養や酸素を送るための血管を収縮させ、胎児に十分な栄養や酸素が届かなくなってしまうためです。普段から喫煙をしているという方は、妊娠が分かったら、もしくは妊活をしている時点から禁煙を心がけましょう。また、副流煙も喫煙と同様な影響があるため気を付けましょう。
妊娠中にアルコールを摂取すると、知能障害、発育障害を伴う胎児性アルコール症候群の発症の原因になる場合があるため注意しましょう。また、アルコールは血行不良の原因にもあるので妊娠が分かったら控えるようにしましょう。
カフェインには、中枢神経を刺激して血管を収縮させる働きがあります。妊娠中にカフェインを過剰摂取すると、お腹の張りや流産の危険性があります。またカフェインには、母体に慢性的なカルシウム不足や貧血を起こす場合があるので、なるべく控えるようにしましょう。カフェインはコーヒーだけでなく、緑茶やチョコレートにも含まれているので注意してください。
市販薬は、着床時期や着床後の胎児に悪影響を与えてしまう可能性があるため妊娠中には服用しない方が良いと言われているものがあります。症状が重く薬が必要な場合は、事前に医師もしくは薬剤師に相談をして服用しても良いか確認をとることが大切です。
できれば、市販薬でなく病院を受診して医師に処方してもらった薬を服用するようにしましょう。まだ妊娠しているかどうかわからない時期でも、妊娠の可能性がある場合には市販薬の服用には注意しましょう。また、サプリメントなどもなるべく事前に医師に相談し、服用しても良いものかどうか確認しましょう。
妊娠初期は、妊娠維持や胎児にとってとても大切な時期です。妊娠中のよくある症状やつわりだと思っても、長期間不調が続いたり、重い症状や不安に思っている症状があるのであれば、安易に自己判断をせずに病院を受診しましょう。早めに対処した方が良い症状の場合もありますし、不安に思うストレスも妊婦さんにはよくありません。大切な命を守るためにも、早め早めの受診をおすすめします。