2018.08.07

【射精と排尿に違和感】予測できる前立腺からわかる病気と対策

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射精と排尿に違和感を感じることがある……という人が居る場合には、それらの症状から前立腺の状態を予測し、病気を判断することができます。男性にとって前立腺はとても大切な器官です。また、前立腺に起こるさまざまな病気とそれに対しての対策を解説します。

射精時と排尿時の違和感に不安を感じる

最近、射精時に精液の量が減ったり、頻尿や残尿感があったりなどの症状で、お悩みではないでしょうか?その場合、「もしかして、前立腺の病気では?」と、不安に感じてしまうかもしれませんね。

実は、男性にしかない器官である前立腺の状態は、射精や排尿から予測できるということを知っていますか。前立腺の病気にはさまざまな種類がありますが、それらを知る前に、まずは射精と排尿の仕組みについて解説していきたいと思います。

どこで何が作られているのかを知ることで、どのような要因によって前立腺に異常が起こるのかを知っていきましょう。

射精と排尿の仕組み

精子と尿は作られている場所が違いますが、どちらも尿道を通って、体外に放出されます。では、射精と排尿の仕組みを見ていきましょう。

射精が起こる仕組み

男性は思春期を迎えると、男性ホルモンの分泌によって、精巣内にある多数の精細管で、精子は作られています。細胞から一個の精子になるのに、約80日かかります。

男性器は性的な興奮が高まると、陰茎海綿体と尿道海綿体の内にある動脈がゆるみ、海綿体の細い溝に多量の血液が流れることで、海綿体は膨らみ、外側から包んでいる白膜が血液の圧力を受け、硬くなります。その際に、精巣で作られた精子は、蠕動運動の働きで精管を通って、前立腺まで運ばれます。

そこで、精嚢の分泌液と混ぜられて精液となります。射精の際は、精液が膀胱への逆流を防ぐために、膀胱出口にある内尿道括約筋が収縮して、尿道を閉じます。その後、外尿道括約筋のみ弛緩して生じる圧力で、外尿道口から射精されます。

排尿が起こる仕組み

体内を巡った血液は、「腎臓」にある糸球体毛細血管により、電解質やアミノ酸、ブドウ糖など、低分子成分のみが濾過され、水分と共にボーマン嚢から排出されます。その水分が、原尿と呼ばれます。その後、原尿は尿細管へ移行し、電解質・アミノ酸・ブドウ糖などを再吸収されることで、尿が濃縮されていきます。

そして、作られた尿は「尿管」を通って「膀胱」へ送られ、尿が蓄えられます。膀胱にたまった尿は、「尿道」を通って体外に排泄させます。

また、男性にしかない身体器官である前立腺は、膀胱のすぐ下にあり、真ん中を通っている尿道の周囲に巻き付いています。大きさはクルミ程度で、非常に小さな器官です。前立腺は、精液を尿道内に押し出すと同時に、膀胱側の尿道を狭め、精液が尿道側へいかないように調整を行っています。炎症などで肥大してしまうと、尿道がふさがれてしまい排尿障害が起こります。

射精と排尿の違和感から考えられる病気

もし、射精や排尿をする際に、痛みなどの違和感を感じることがあれば、泌尿器系の病気を発症している可能性があります。以下の症状がみられる場合には、かかりつけの病院で受診しましょう。

精液量が減る逆行性射精

逆行性射精は、射精時に精液が膀胱側へ射精してしまう症状です。痛みは特にありませんが、精液量が減っているという特徴があります。精液量の正常値は、1.5ml以上といわれているのに対し、1mlに満たない場合があります。また、射精後に尿が白く濁ったり、尿と一緒にどろっとしたものがでてくるなどの症状がみられる方もいます。

原因が糖尿病の場合には、糖尿病を治療して血糖値を安定させられれば、尿に関しては自然治癒する可能性があります。しかし、射精の場合は、神経の問題のため難しいです。一方で、薬剤が原因の場合は、内服を中止すれば自然治癒します。また、前立腺肥大の手術後になりやすいといわれています。

頻尿や残尿感がある前立腺肥大

尿漏れ、頻尿は、男女ともに悩みのタネといわれています。男性の尿漏れや頻尿は、前立腺が肥大していることが原因で、尿道を圧迫されるこによりさまざまな尿のトラブルが生じます。

前立腺は、加齢とともに徐々に肥大していくので、誰もがなりやすい病気です。主に40代ごろから徐々に肥大し、年代別での排尿障害の割合は、50代で30%、60代で60%、70代で80%、80代で90%です。

前立腺肥大は、高脂肪・高たんぱくの過剰摂取、もしくは運動不足で下半身の血流が悪くなり、前立腺に滞ることで、招きやすくなると考えられています。

射精時や排尿時の痛みがある前立腺炎

前立腺炎は、前立腺に痛みと晴れ、炎症、もしくはその両方が症状として現れます。原因は明確にされていませんが、陰茎の根元にある前立腺で、細菌、その他に感染して起こったのではといわれています。また、前立腺炎は「急性前立腺炎」と「慢性前立腺炎」の2タイプに分けられます。

細菌感染が原因の急性前立腺炎

「急性前立腺炎」は、尿道から侵入した細菌が、前立腺に感染して起こる病気です。炎症のため、患部は充血して腫れます。排尿時痛・排尿困難・頻尿・発熱・悪寒などといった症状がみられ、血尿が出たり、尿道から膿が出たり、食欲不振などの身体症状も起こります。比較的、慢性前立腺炎よりも症状が強いことが特徴です。

高齢者の前立腺肥大症と異なり、思春期以降の男性であれば、年齢に関係なく起こります。また、糖尿病の人は、細菌に対して抵抗力(免疫力)が低下しているため、感染をおこしやすいので急性前立腺にかかりやすいです。

細菌感染とそれ以外の炎症の慢性前立腺炎

細菌感染、またはそれ以外の原因によって起こる炎症を、「慢性前立腺」と呼びます。慢性前立腺は急性前立腺に比べて、症状が急激に現れることはほとんどなく、程度も比較的に軽いことが多いです。排尿時に、排尿困難、頻尿、下腹部・股間・睾丸・尿道・陰茎の痛みや不快感がみられます。しかし、この病気は症状が軽い一方で、薬の効果が出来るのに時間がかかってしまい、中々症状が改善されないことがあります。

また、急性前立腺と同様に、発症原因が明確になれておらず、一般的には長時間のデスクワーク、乗り物での移動など前立腺への刺激が大きく要因になっているほか、ストレスなどによる体の免疫力低下も、要因の一つといわれています。

排尿時の痛みや血尿がある前立腺がん

前立腺がんは、前立腺の細胞が何らかの原因で、無秩序に増殖を繰り返す病気です。年齢と共に増加し、65歳以上の人に多く、80歳以上では20%前後の人が、前立腺がんを発症しています。症状の進行はさまざまで、比較的ゆっくりなものもあれば、中には速く進行する場合もあります。

前立腺がんは、早期から中期にかけて特徴的な症状がなく、がんが進行してから、排尿時に違和感や痛みを感じるなどの自覚症状がみられるようになります。その他の症状では、頻尿・残尿感・排尿困難・血精液症などがあります。また、がんが進行すると骨に移転しやすいため、腰痛などの骨の検査で発見されるケースもみられます。

射精と排尿による病気の対策

病気の予防として、日々の運動や睡眠、食事の改善が一番の手段です。これらを行うことで、前立腺にかかる負担を軽減させましょう。

定期的な運動

定期的な運動は、前立腺がんや前立腺炎、前立腺肥大を防いだり、症状を軽くしたりする効果があります。1日30分、ウォーキングやジョギングなどの適度な運動を習慣づけることで、排尿がスムーズになり、下半身の症状が軽くなります。血行をよくすることで、前立腺に血液が滞ることがないため、肥大を防げます。

デスクワークなど、長時間座りっぱなしの状態が続くと、前立腺周辺の血行が悪くなり、血液がうっ滞してしまいます。そのため、1時間に1回は立ち上がり、ストレッチなどをして身体を動かすことで、血液の流れを良くしましょう。

ストレスを溜めない

ストレスは、慢性前立腺炎の原因といわれています。身体的なストレスのほか、精神的なストレスも大きく関係してきます。排尿時に痛みや違和感を感じていても、下半身のことを診察することを避けてしまいがちに。すると、不調を我慢するなどしてストレスが溜まっていき、さらに症状が悪化する悪循環を引き起こす可能性があります。

よって、運動や身体を温めるなど、リラックスする時間を意識して持つことが大切です。ストレスを解消するために、自分なりのリラックス法を見つけてみましょう。

アルコールの摂取に気を付ける

飲酒を控えたことで、前立腺肥大や前立腺がんの症状が、緩和した例があることから、前立腺肥大とアルコールは大きく関係しており、アルコールによって加速してしまうのではと考えられています。前立腺は血行のよい器官のため、アルコールの刺激でうっ血しやすく、急激に症状が現れる場合もあります。

アルコールには利尿作用があり、尿の量を抑える抗利尿ホルモンを、抑制する働きがあります。そのため、余計な水分が膀胱にたまっていき、頻尿を引き起こす可能性があります。

普段からの意識で違和感を見逃さないことが大事

男性だけに存在する臓器の前立腺ですが、外見からは異常があるかどうかは判断できません。年齢とともに肥大していくため、誰しもが排尿障害を引き起こしやすいです。だからこそ普段から意識して、違和感を見逃さないことが大事です。違和感や痛みを感じた場合には、我慢をせずに悪化する前に受診しましょう。

また、症状を軽減するために、日常生活からできることを心がることも大切です。適度な運動を行い、十分な睡眠やバランスのよい食事をとり、気分がリフレッシュができるように、自分なりの方法を考えてみることも一つの手です。

 

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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