射精後に頭痛を訴える人が、近年増えてきています。頭痛が起こる原因やきっかけには、さまざまな要因があるといわれています。症状から病気が疑われる場合もあります。頭痛の対処法などのコツを知り、安心して性行為を臨めるように理解を深めていきましょう。
性行為、または射精を行ったあとに頭痛を訴えてくる人が少なくありません。毎回、射精時に頭痛に悩まされてしまうと、ストレスなどがたまってさらに症状が悪化し、精神的にも身体的にも疲労がたまってしまいます。
もしも、だんなさんにこのような症状があるとしたら、パートナーとしてとても心配になりますね。その原因には、さまざまな要因が絡まっていると考えられますが、その原因や対処法などについて、くわしく解説したいと思います。頭痛の原因などの疑問を、一つずつひもといていってみましょう。
射精は精管を通り、尿道を通じて体外に放出されます。射精時に頭痛が生じる場合には、以下の病気が疑われます。
脳の血管が拡張することで血圧が上昇し、それに伴って頭痛が生じることも。収縮期血圧が200を超えると、両側頭部に脈拍に同調した痛みが生じます。また、拡張期血圧が110を超えると、後頭部に板を張ったような、重い痛みになることが多いです。急な動作や射精時に、キーンとした痛みを感じやすく、降圧治療を受けなければ、重症化する恐れもあります。
初期の高血圧に自覚症状はほとんどありませんが、長期的に続くと、気づかないうちに血管や臓器にダメージを受けて、さまざまな合併症を伴う場合があります。
性行為をしているときにあらわれる頭痛を、「性交時頭痛」といいます。痛みを感じる部位では、後頭部、耳の後ろ、首の後ろなどが痛みやすいです。痛みの続く時間は数分~1時間程度が目安ですが、個人差があるため、人によっては何時間も続くことがあります。
その原因は明確にされていません。痛むタイミングは、オルガズム(一番気持ちがいいとき)や、その後に多いとされています。性行為の影響で、精神的に緊張しているせいか、短期間に血圧が急激に変化したり、首に負担がかかるためではと考えられています。
勃起不全(ED)を改善するために処方される、ED治療薬を服用して性行為に及んだ場合に、副作用として頭痛が起こると考えられています。
日本では、バイアグラ・レビトラ・シアリスという3種類のED治療薬が認可されています。そのなかでも、シアリスは最も新しい治療薬で、利用者数は一番多いです。
現在、日本人の約800~900人が、日ごろから頭痛持ちというデータがあります。その中でも片頭痛は、発作的に出現することが多く、突然起こる痛みに悩まされます。「ズキン、ズキン」という拍動性の痛みが、頭の片側だけに続いたり、脈に合わせて痛みが走る場合は、片頭痛の可能性があります。
何らかの原因で、脳の血管が急激に拡張することで起きます。ストレスなど神経が刺激されることで、神経終末から炎症物質を放出し、それにより血管が拡張されて「ズキン、ズキン」といった拍動性の痛みが生じる片頭痛が、発症すると考えられています。性行為の動作によって、片頭痛の症状が悪化することもあります。
射精後に起こる頭痛には、注意しておきたい症状があります。時間がたつと収まる痛みもありますが、中には長時間続いたり、ときには危険な状態になってしまう場合もあるため、注意しましょう。
激しい痛みが突発し、安静していても激痛が続く場合には、くも膜下出血を起こしている危険性があります。くも膜下出血は、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)という、弱い血管の分岐部に風船のように発症します。その膨らみが、ある日突然に破裂することで起こります。破裂した瞬間に脳の圧が高まり、脳に血が流れない状態になってしまいます。
頭痛に伴う症状として、吐き気や嘔吐、意識障害などで消耗がひどいです。重症度は、発症したときの意識障害の程度で判断されます。早期発見、早期治療がよく、昏睡状態になるほどの重症度になってしまうと、治療ができなくなってしまいます。そのため、くも膜下出血の疑いがあれば、速やかに医療機関で受診する必要があります。
くも膜下出血に比べて致命的ではありませんが、侮ってはいけない病気として、「急性副鼻腔炎」に伴う頭痛があります。鼻づまりや熱など風邪に似た症状が続き、前頭部の片側に、痛みと頭が膨張するような感覚が生じます。
鼻周囲の副鼻腔に膿がたまり、内圧が上がることが原因といわれています。放置してしまうと、炎症が眼窩に広がり、数日で失明する危険性があります。風邪のあとに、日ごとに悪化する頭痛が残っている場合には、要注意です。
初めての性交時に、頭痛を自覚した場合には要注意です。基礎疾患として高血圧や糖尿病、脂質異常症などの動脈硬化や、喫煙歴がみられる場合があります。先天的に脳動脈瘤が存在している人は、性行為中に血圧が急速に上がったことで破裂してしまい、くも膜下出血や脳出血が起こる可能性があります。
上記の危険因子を持っている人や、性交後の頭痛を経験したことのない人は、自身の身体の状態を見てから、医療機関で受診しましょう。健康に性行為を行うためにも、自身の体調を考えることが重要になってきます。
手足のしびれを伴う頭痛の場合は、脳出血の前兆の可能性があります。徐々に頭痛が強くなったり、突然に激痛が生じ、手足がしびれたり力が入らなかったり、言語障害や視野障害を起こしながら、意識障害を起こしたりなどの症状がみられます。
脳出血は、早期発見・早期治療が完治への重要な段階です。射精後にこのような頭痛や症状を確認した場合には、速やかに医療機関に受診しましょう。
射精後に頭痛が生じた場合には、以下の対処法を実行してみましょう。脳の血管が拡張することで、痛みが生じているので、血管を収縮できる術を知っておくと、痛みを緩和させることが可能です。
ツボ押しは、血の巡りのうえで重要なポイントである「経穴」を刺激することで、体の状態を改善できます。頭痛の種類に合わせて、痛みを和らげられるツボがあります。
緊張型頭痛による後頭部や側頭部の痛みには、頭頂部にある「百会」、耳の後ろと後頭部のくぼみの中間にある「風池」、首と肩先の筋肉の中心にある「肩井」などがあります。片頭痛による側頭部や前頭部の痛みには、小指と薬指の骨が合流する部分にある「足臨泣」、人差し指と親指の骨が合流する部分から、少し人差し指側にある「合谷」、などがあります。
頭痛が起こったら、まずは安静にしましょう。頭痛が起こっているのは、脳が敏感になってしまっている状態なので、少しのにおいでも吐き気がしたり、騒がしい場所に居るだけで症状が悪化してしまいます。
階段の上り下りなど、少しの動作だけでも痛みが増し、光にも強く反応してしまいます。したがって、頭痛が生じている間は明かりを落とし、なるべく光が当たらない場所で、リラックスできる体勢になると、痛みが緩和します。また、光に反応してしまうので、スマホやテレビなど目の疲れにつながるものの使用は、避けるようにしましょう。
カフェインを含む飲み物を適量摂取することも、頭痛の緩和に効果的です。有名なのはコーヒーですが、ほかにも紅茶や日本茶にもカフェインは含まれています。カフェインには血管を収縮する作用があり、痛みはじめに飲むと、血管の拡張が抑えられて、痛みが軽減する可能性があるといわれています。
しかし、痛みは緩和しますが、飲みすぎはおすすめしません。カフェインが切れたところで、血管が拡張してしまい、逆に痛みが増してしまうからです。次々に摂取してもあまり効果はありません。よって、カフェインは薬のプラスアルファとして考えましょう。
性交後に頭痛があった場合は、まずは数週間は性行為を控えるようにします。それでも頭痛が改善されない場合は、医療機関にかかって医師に頭痛の症状を相談し、自分に合った頭痛薬を処方してもらうという方法もあります。
その場合、「βブロッカー」か「COX-2阻害薬」を処方してもらい、性行為前に服用します。
射精後の頭痛を予防するコツをご紹介します。性交時頭痛の原因が不明なため、明確な予防策はありません。以下に挙げたことを行うと、頭痛を予防できるといわれているので、ぜひ一度試してみましょう。
体が冷えると血管が収縮してしまい、頭や首のまわりの血行が悪くなり、頭痛を引き起こしやすくなることがあります。特に冬の時期は、気温が下がってくるのでベッドやシーツも冷たくなっています。
よって、性行為に及ぶ場合は、エアコンやヒーターなどで事前に室温を調整しておきましょう。
同じ体勢を長時間続けると、肩や首に負担がかかってしまいます。それによって、筋肉の緊張や血行が悪くなり、頭痛を引き起こしやるくなることがあります。
性行為のときに、つらさを感じたら相手に事情を伝え、我慢せずに楽な姿勢を取りましょう。こまめに体位を変えるように工夫することで、肩や首への負担を減らせます。
性交時頭痛は、性行為による血圧上昇や、オルガズム時の後頭部における拍動増加が原因と考えられています。また、長時間同じ体勢を続けることによる、首や肩の筋肉を過度に緊張させることも、要因とされています。
予防法として、2~3週間ほど性行為を控えて性交時頭痛が収まるまで待ち、症状が発現しないようにしましょう。
マグネシウムやビタミンB2は、頭痛の予防に効果があるといわれています。大豆や豆腐、ひじき・わかめなどの海藻類に多く含まれているので、食事やサプリメントで積極的に摂取しましょう。
また、アルコール・赤ワイン・チョコレート・チーズ・ピーナッツ・豚肉・人口甘味料などは、頭痛を引き起こしやすい食べ物で、避けたほうがいいといわれています。しかし、頭痛が起こるきっかけや程度は、人によって差があります。
アルコール以外の食べ物で、頭痛が起きることは少ないといわれているため、神経質になる必要はありません。発作が続いている間は、飲酒や喫煙は避けましょう。
頭痛が起こるきっかけや痛みの程度は、人それぞれで個人差があります。また、頭痛にもいろいろな種類があり、対処法もさまざまです。したがって、自身の頭痛のタイプに合った対策をとりましょう。
頭痛の原因として、多くの場合にストレスが挙げられます。ストレスは日ごろから、何かしらの原因で発生してしまいます。ストレスがたまって解消されたときに、頭痛が起きるとも考えられています。よって、長時間のデスクワークなどは避け、1日の終わりには入浴したりアロマを焚いたりなどして、リラックスできる時間を作り、自分に合った解消法を見つけましょう。