2018.08.07

ゴナピュールって何に使うの?不妊治療に大事な排卵誘発剤について

ARTICLE

不妊治療で用いられる薬剤の中で、主に使われるのは「ゴナピュール」というものです。名前だけ聞いても、その存在は知らないことが多いです。不妊治療で欠かせないといわれるゴナピュールについて、使用によっておこる副作用について解説します。

不妊治療に使われるゴナピュール

不妊治療を行い始めたところ、「ゴナピュール」を使用することになったけれど、一体どのようなものなのかわからないという人もいるのではないでしょうか。不妊治療にはさまざまな方法があり、使用される薬剤もさまざまなです。日本で主に使われている薬剤として、5種類の中の一つが「ゴナピュール」です。

よく知らない薬剤を使うことは、不安が大きいです。では、ゴナピュールとは一体どのようなもので、何につかわれているのか、また使用によっておこる可能性のある副作用など疑問を一つずつ解消していきましょう。

ゴナピュールの特徴

ゴナピュールは、主に不妊に悩んでいる人などにとって欠かせない薬です。以下の特徴を知っておきましょう。

卵胞を育てる排卵誘発剤

ゴナピュールは排卵誘発剤です。排卵誘発剤には、主に卵胞を成熟させるためのものと、排卵を促すものの2種類があります。

ゴナピュールは卵巣に刺激を送ることで、卵胞を育てる効果があるといわれています。自然妊娠が困難な人に効果があると考えられています。

閉経後の女性の尿由来の薬

ゴナピュールは閉経後の女性の尿を採取し、ろ過することで薬成分を作ります。その理由は、閉経後の女性には機能が低下した卵巣を刺激するために、ゴナドトロピンという性腺刺激ホルモンが大量に分泌され、尿の中に多く含まれているためです。

この尿中のゴナドトロピンの効果によって、ゴナピュールは排卵誘発剤の役割を果たしています。

自己注射をする場合がある

病院の定めた量と、タイミングで自己注射をする場合があります。初めは不安が大きいかもしれませんが、自力で注射する場合には、病院で注射する方法を講習で受けられます。

自己注射後は、病院のほうで卵胞の状態を確認したあと、体外受精に向けて採卵の準備に移行します。妊娠に至るまで、病院で医師から決められたルールを守り、ゴナピュールの注射を欠かさずに行うことが大切です。

他と比べて安価な薬

ゴナピュールは、ほかの排卵誘発剤と比べると安価であり、経済的な薬です。不妊治療は長期化することも多く、効果面だけでなく経済的な面でも考慮し、諦めてしまう人もいます。しかし、ゴナピュールは経済的な理由で、治療を諦めてしまう可能性が低くするメリットがあります。

諦める可能性が低く、長期に渡って治療を試みることができるため、妊娠成功率を高められます。よってゴナピュールは、不妊に悩む人の解決策として効果に期待を持たれています。

ゴナピュールを使うのはこんなとき

排卵誘発剤を用いて、卵子の排卵を促す、成熟させる方法を排卵誘発法といいます。排卵剤であるゴナピュールを使うのは、二つの場面が挙げられます。

一つは、排卵障害がある場合です。排卵誘発剤は通常、排卵障害がある人に行うため、一番一般的な使い方です。しかし、妊娠率を高めるために、排卵周期が正常な人にも行うことがあります。

二つ目は、体外受精をする場合です。人工授精や体外受精では、妊娠の成功率があげるために、排卵誘発剤を併用することが多いです。また排卵障害がなくても、卵子をたくさん育てる目的にも使用されます。

ゴナピュールの副作用

ゴナピュールは、世界的にも広く使われていて安全な薬剤の一種です。しかし、効果が期待される一方で、以下に挙げる副作用がみられる例があります。薬剤の使用量や回数は人によって異なるため、一概にいえませんが、起こる可能性があるということを視野に入れておきましょう。

多胎妊娠の確率が上がる

多児とは、双子や三つ子以上の子を、同時に宿すことをいいます。通常、自然妊娠では一つしか排卵しないので単児となりますが、中には一卵性双生児など多児になることがあります。排卵誘発剤を使用すると、ニつ以上排卵される可能性が高くなります。

自然妊娠では、1%が多児とされていますが、クロミフェンによる多児率は約4~5%、ゴナピュールによる多児率は約15~20%とされています。双子はかわいいものですが、早産などの周期リスクが高く、出産後の育児負担が相当であるといわれています。

卵巣の障害が起こる場合がある

現在、発症することは少なくなってきましたが、ゴナピュールによって「卵巣過剰刺激症候群」が生じることがあります。クロミフェンでは通常はおこりませんが、ゴナピュールではおこることがあるといわれています。体外受精などで大量に投与されたことで、両側の卵巣が腫れて、血管の中に水分が卵巣から滲み出し、腹腔内に溜まってしまう場合があります。

すると、血管内は脱水状態になって血行が悪くなり、血栓ができやすくなります。この状態が悪化すると、肺梗塞や脳梗塞などを引き起こして、命にかかわります。また、妊娠するとさらに重症化してしまうため、重症化の疑いがある場合には、その周期での体外受精は行わないことになります。重症化した場合には、入院して点滴治療が必要になります。

さまざまな体の不調が現れる場合がある

ゴナピュールの副作用として、頭痛・吐き気・だるさ・むくみ・体のしびれ・体重増加・頻尿など、身体にさまざまな症状が現れる場合があります。これらが重症化すると、呼吸困難や下腹部の痛みなどがみられるようになります。そして、合併症として、腎不全を引き起こされた例もあるといわれています。

体の不調を見逃したり我慢したりしてしまうと、かえって症状が悪化してしまいます。少しでも異変を感じた場合には、すぐにかかりつけの病院で受診しましょう。

ゴナピュールについて理解して不妊治療を行おう

ゴナピュールは、不妊に悩んでいる人の解決への糸口であり、世界的にも広く使われ、効果が期待されている薬剤です。また不妊治療に併用することで、妊娠成功率を高められます。

しかし、排卵誘発剤の大量投与にとって、何らかの副作用が出る可能性があることを念頭に置いておきましょう。病院と決めたルールや投与のタイミングをしっかり守り、欠かさずに投与を行うことが大切です。

さらに、副作用で起こる多児妊娠など、妊婦にかかる負担をなるべく軽減させるためにも、使用方法や効果などを事前に医師から説明を受け、ゴナピュールについての知識を得て、理解を深めておきましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

妊活部編集スタッフです。妊活に関するお悩みを解決するためのサポートをします。最新情報から妊活にまつわる情報を提供します。