排卵誘発剤は、排卵障害の人や無排卵の人にホルモンの分泌を促し、排卵を促すために必要な製剤です。不妊治療は高額になるケースもあるので、計画出産のために排卵誘発剤の費用を知っておきたいですね。排卵誘発剤の種類や費用を知って妊娠に備えましょう。
タイミング療法では、排卵誘発剤を使用して排卵を促し、授精するようにタイミングをはかります。排卵誘発剤を使用する場合は、不妊治療には高い費用がかかるため、どのくらい費用がかかるのか、気になる人は多いでしょう。
この記事では、排卵誘発剤を使用するには保険がきくのか、どのくらいの費用がかかるのかなどについてお伝えします。正しい知識を身につけて、妊活のための備えをしておきましょう。
妊娠しにくい人の3分の1は、排卵障害によるものという報告がなされています。そのため、妊活中の女性にとって、排卵誘発剤は妊娠しやすくするうえで大切な製剤です。排卵誘発剤の効果や使用タイミング、副作用を知っておきましょう。
女性は、卵巣の中に卵子の元になる卵胞がたくさんはいっています。毎月、1個の卵胞が成熟して、黄体形成ホルモンが多量に分泌されると、その刺激で卵胞ホルモンが分泌されます。すると、卵巣が刺激を受けて卵子が飛び出します。
しかし、排卵障害があると、排卵がうまくいきません。排卵誘発剤は、卵子を育てる袋(卵胞)の発育をサポートし、成熟させ、排卵を起こしやすくするので、排卵誘発剤を使って排卵を促すことは、妊活にとって必要なことです。排卵誘発剤には、大きく分けて内服薬と注射剤とがあり、成分や特徴、副作用にも違いがあります。
不妊治療の場合は、最初のステップでは、自然排卵による「タイミング法」を行います。それで妊娠できなかった場合に、次のステップとして自然排卵を起こすために、「タイミング法」で排卵誘発剤を使います。また、人工授精や顕微授精を用いる場合に採卵を行う際や、排卵障害があるときにも排卵誘発剤を使用しています。
タイミング法で排卵誘発剤を併用する場合は、基礎体温や超音波検査などで排卵時期を予測し、その時期に排卵されるように、排卵誘発剤を投与します。体外受精や顕微授精では、多数の成熟卵を採取するので、排卵誘発剤のゴナドトロピン製剤などで、強い刺激を与えて採卵します。
排卵誘発剤の使用は効果が高い反面、多胎妊娠で双子や三つ子が生まれやすくなります。一番多い副作用は、卵巣が腫れて腹水や胸水ががたまったりする「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」です。排卵誘発剤を使用することで、たくさんの卵胞が発育し、卵胞を刺激すると黄体もたくさん形成され、卵巣が肥大する病気です。
また、内服薬のクロミッドなどは、子宮内膜が薄くなったり、子宮頸管粘液分泌が少なくなったりするなどの副作用があります。
排卵誘発剤のには、内服薬と注射薬があります。それぞれの薬の費用の相場をみてみましょう。また、保険が適用される場合についてもみてみます。
クロミッドは、脳下垂体に作用することで、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体刺激ホルモン(LH)を分泌させる薬です。クロミッドは、比較的軽い排卵障害があるときなどに処方されます。通院しなくても内服でき、副作用も少ない薬で、スタンダードな排卵誘発剤です。
一般に、月経が始まった5日目から服用し、1日1~2錠を5日間ほど服用します。かかる費用は、内服薬の場合は比較的安価です。病院によって異なりますが、クロミッド50mg10錠で、保険適用だと300円程度、自費だと1,000円程度です。? ?
作用はクロビットと同じで、卵巣を刺激するホルモンの分泌を促す薬です。生理がこない「無月経」や、生理周期が長い「稀発月経」などの排卵障害に対して、改善効果を発揮しますが、排卵誘発剤としての効果は、クロミッドより弱いとされています。
また、クロミッドに比べて、副作用のリスクが少ないので、クロミッドで副作用が出た場合は、セキソビットに代わることもあるようです。セキソビット100mg10錠で、保険適用だと100円程度、自費で300円ほどです。? ? ?
テルグリドは、下垂体前葉ホルモン(プロラクチン)の分泌を抑えるための内服薬で、排卵が止まりやすい多量のプロラクチン分泌量を少なくします。高プロラクチン血性の排卵障害や乳汁漏出、下垂体腫瘍にも効果がある内服薬です。
副作用として、飲み始めたときは吐き気や食欲不振などが起こり、気分がすぐれないなどの症状が出ます。テルロン(テルグリド)0.5の10錠の費用は、保険適用だと400円ほど、自費で1,200円ほどです。? ? ??
注射タイプのhMG製剤とFSH製剤は、卵胞を発育させる作用があります。hNG製剤には、注射薬の成分にFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)が含まれ、副作用として「卵巣過剰刺激症候群」が起きることがあります。
FSH製剤は、LHをほとんど含まず、卵巣が過剰に刺激されることを抑制して、卵胞を発育させます。注射薬は胎内に直接投与するため、内服薬より排卵の効果が高くなります。効果が高い反面、副作用のリスクも高く、卵巣過剰刺激症候群や腎不全、血栓症などの合併症を引き起こす可能性があります。
注射薬は保険適用外になるケースが多く、1回500円~3,000円程度かかります。? ? ??
hCG製剤は、排卵を誘発することと、黄体ホルモンを補充する効果があります。クロミッドやhMG注射で、卵胞を発育させたあとに、hCG注射をすると高い確率で排卵が誘発されます。副作用として、「卵巣過剰刺激症候群」が起きるリスクが高いです。
hCG製剤の費用は、1回あたり500円から1,000円程度で、注射薬によっては5~10日ほど通院することになり、複数の注射をするのですぐに高額になります。自己注射の場合は、注射指導料がプラスされるので、製剤料プラス1,000~3,000円程度かかります。
シリンジタイプの注射器とハリのセットで1,500円~2,000円程度、ペン型注射器の場合は3,000円~3,500円程度です。? ?
排卵誘発剤は内服薬の場合は、ほとんど保険が適用されますが、注射薬の場合、体外受精の場合は保険が適用されません。保険が適用されると、3割負担になるので負担額がかなり低くなります。
適用された場合の費用は、 内服薬が1カ月分で500円、 注射が1回あたり1,000~1,500円が相場です。? ? ??
保険が適用されない場合には、体外受精や顕微授精といった、高度生殖医療や抗精子抗体検査があります。健康保険が適用される場合は、妊娠指導や超音波検査、血液中のホルモン値を測定する血液検査、精液検査、タイミング療法や排卵誘発剤などです。
無排卵月経(排卵がない)や無月経(そもそも生理がない)、生理がくる周期が異常に長い場合などに、排卵誘発剤を使用する場合は、健康保険が適用されます。? ?
排卵誘発剤には、飲み薬と注射薬があります。排卵誘発剤は、自然排卵を促す場合や体外受精、顕微授精の採卵でも使用されます。飲み薬は、ほぼ保険適用で比較的安価ですが、注射薬は保険適用でも高めで、高度生殖医療は保険適用外です。その場合は条件が合えば、国や自治体の助成金を利用できます。
排卵誘発剤は、卵巣過剰刺激症候群や腎不全、血栓症などの合併症を引き起こすこともあるので、薬や費用について夫婦や医師と相談しながら、自分の身体にあった排卵誘発剤を選びましょう。