受精卵が着床したことで生じるとされる着床出血。しかし、生理以外で起こる出血なので、どんな色が正常なのか正しく知っておきたいという人もいるでしょう。今回は、心配の必要がない範囲とされる着床出血の特徴や、実際のタイミングなどをお伝えします。
妊娠の可能性がある女性にとって、着床したかどうかが分かる目安の一つとされる「着床出血」は、気になる現象ではないでしょうか。しかし、生理以外のタイミングで起きるため、いつもの生理とは違って色が茶色だったりしたら、「ひょっとして異常?」と気になる人もいるかもしれませんね。
そこでこの記事では、着床出血はそもそもどんなことを指すのか、その原因は何か、正常なタイミングやその見分け方をお伝えします。正しい知識を身に着けて、落ち着いて対応するようにしましょう。
そもそも着床出血が「異常なのでは?」と思っている人もいるかもしれません。着床出血とは、妊娠初期症状の一つといわれている症状ですが、以下でくわしく解説します。
妊娠のためには、精子と卵子が無事に出会い、受精卵が1週間ほどの期間をかけて子宮内に到達する必要があります。その期間に、子宮内膜と呼ばれる血液などでできた、ふかふかのクッションが子宮内に作られます。もし受精卵が作られなければ、子宮内膜は月経として体の外に出てきます。しかし、受精卵が無事に着床し、妊娠に成功すれば、受精卵のためのベッドとなります。
この子宮内膜に、受精卵が着床したときに起きる妊娠初期症状の一つが、「着床出血」とよばれるものです。医学的には「月経様出血」と呼ばれ、異常な症状ではありません。
着床出血の確率は2%、もしくは0~10%ともいわれており、誰にでも起きるとは限りません。また、出血といっても、おりものに血が混じっている程度で終わってしまう人も多く、まったく気づかないことも多いことが特徴です。
さらに、起きることが正常な反応ではないため、まったくなかった、あるいは分からなかったからといって、焦る必要はありません。
着床出血は超初期に起こる症状のため、詳しいことはまだ分かっていません。そんな着床出血の原因は、大きく分けてニつ考えられています。
受精卵は、お母さんから栄養や酸素をもらうために、子宮内膜に潜り込んだあとに、絨毛という根っこのようなものをどんどん伸ばしていきます。栄養や酸素をもらうためには、血管にたどり着く必要があるため、子宮内膜を溶かし、血管を壊しながら絨毛を伸ばしていきます。
このときに出血が起こり、その出血が体の外に漏れ出てしまうことで、着床出血になるといわれています。
黄体ホルモンは着床後、妊娠を保つために重要なホルモンです。生理が始まる場合は着床がないため、黄体ホルモンの分泌が止まり、不要になった子宮内膜が体の外に出てきます。
通常、着床すると黄体ホルモンの分泌が保たれますが、保たれなかった場合は、着床していても生理のような出血をすることがあります。
着床出血が起きるタイミングは、人それぞれ異なります。二つのパターンをみていきましょう。
受精卵による血管の破壊が原因の場合、受精しなければ起きないため、排卵日から1週間後、もしくは生理予定日から1週間前に起こります。
どちらにせよ、生理予定日からはずれるため、驚いてしまう人が多いようです。しかし、日数もほんの2~3日程度で、ごくごく微量のため、気づかない人も大勢います。
生理予定日頃が、着床出血が起きる時期にあたります。黄体ホルモンが減少した場合は、受精卵による血管の破壊よりも日数が伸びやすく、1週間から数週間ほど続くケースがあります。また、出血量も通常の生理に近い場合もあり、そのために「生理が来たから妊娠していないと思っていた」という場合もあるようです。
しかし、この出血が長期間続くようなら注意が必要です。もしかすると、何か別の原因が潜んでいる可能性があります。どのくらい出血が続いているか、様子や色合いなどを含め、医療機関に相談してみましょう。
どのような着床出血が正常の範囲か気になる、という人も多いでしょう。しかし、着床出血が正常かどうか見分けることは、とても難しいとされています。その理由は、次の三つです。
着床出血の色は、実は人によってさまざまです。茶色、ピンク、鮮血などがあり、色だけでは正常か、生理かは判別がつきません。比較的、茶色や赤茶色の暗い色をしていることが多いようですが、おりものに混ざることで、ピンクっぽいおりものが出てくることもあります。
このように、個人差が非常に大きく、また本当に生理の場合もあるため、着床出血であるかどうかは分かりません。また、色が茶色かったから正常、あるいは異常とも言いきれないことが事実です。
受精卵は非常に小さいため、血管が傷ついて出血するといっても、非常に少量の出血となることがほとんどです。そのため、微量な出血の人もいますが、中には生理と変わらない量を出血する人も。また、黄体ホルモンが関係した出血の場合は、期間が長くなる傾向にあるようです。
しかし、これも個人差が大きいため、どちらが正常ともいえません。ただし、下腹部痛があったり、1週間以上だらだらと続く長期出血になったりした場合は、違う原因が潜んでいる可能性が高いといえます。いつもの生理と違う、何かおかしいと不安に思ったら、病院に相談してみましょう。
基礎体温表をつけている人なら活用できる方法です。生理が始まると基礎体温は下がっていきますが、着床出血の場合は妊娠が継続されるため黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され続け、その影響で基礎体温は下がらず高い状態を保ちます。
そのため、普段の基礎体温表とは異なる様相であれば「いつもの生理じゃなくて着床出血かも」と判断する1つの材料になります。また病院に相談するときも、いつもと違うことを的確に伝えられるため、妊娠を希望している人は体調管理のためにもつけてみましょう。
このように、着床出血は起きる可能性は誰にでもあり、起きても起きなくても問題はありません。しかし中には、病気が潜んでいる場合もあります。もし「いつもの生理と違う」と気になって不安に感じたら、医療機関を受診してみましょう。
自分1人で判断し、対応を間違えてしまうのが一番怖いことです。まずは落ち着いて、どのくらい出血があったのか、どんな様子なのか、いつもとどう違うのか、ほかに症状はないのか確認してみることが大切です。