体外受精で使用するセトロタイドとは｜効果とリスクについて知ろう

体外受精で使用されるセトロタイドは、排卵をコントロールし自然排卵を抑制する薬剤。排卵日の調整がしやすく、良質な卵子が採卵できるメリットがありますが、副作用なども理解しておく必要があります。効果、リスク、価格などについて知識を深めましょう。

セトロタイドについて知る

不妊治療で使用される、自然排卵を抑えるためのセトロタイド。排卵のコントロールがしやすくなるため、体外受精などで使用され採卵日の調整に役立っています。

使用する薬剤の量が少量で済むため、卵巣過剰刺激症候群を引き起こしにくいといったメリットがある反面、排卵抑制の効果が大きくて卵胞が未成熟であったり、通院回数が多くなるなどのデメリットも挙げられます。薬剤についての知識をしっかりと身に付けてから、使用するようにすることが大切です。

セトロタイドの効果

セトロタイドは卵胞が成長する前に排卵されるのを防ぐ薬であり、「調節卵巣刺激下における早発排卵防止」の効果があるといわれています。

体外受精を行う際には、自然に排卵される前に卵子を採卵する必要があります。そして、より多くの良質な卵子を採卵することが妊娠成功へとつながります。セトロタイドを使用すると、採卵前に排卵してしまった、ということや、卵胞があっても中の卵子がない空胞などがほとんどない、という利点があります。

セトロタイドの副作用

セトロタイドは強い効果を得られる反面、副作用があるといわれています。薬剤を使用する際には、使用するメリットとデメリットをしっかりと確認するようにしましょう。

主な副作用

セトロタイドの主な副作用としては、内分泌系では頭痛、ほてり、性器出血、消化器では悪心、下痢、肝臓ではAST上昇、ALT上昇、Y-GTP上昇などが挙げられます。肝臓の数値はいずれも上昇すれば肝機能障害を疑うもの。特にASTの数値が高いときは肝臓と心臓や筋肉の病気も疑いが出てきます。

セトロタイドは注射薬剤のため注射部位にも副作用が出る可能性があります。症状としては、そう痒感、発赤、熱感、刺激感など。副作用の発生傾向には個人差がありますが、これらの症状が見受けられたときには、すみやかに医師に相談するようにしましょう。

重大な副作用

セトロタイドを使用した場合、起こる可能性のある重大な副作用として、アナフィラキシー、血圧低下、一時的意識喪失、一時的見当識喪失などが挙げれます。これらの症状が現れた場合は、薬剤の使用を中止、適切な処置を行う必要があります。

セトロタイドの使用法

セトロタイドは病院での投薬以外にも、自宅で自分でも投薬が認められている薬剤になります。使用法をしっかりと守って投薬することが重要です。

セトロタイド3mg単回投与法

卵巣刺激を始めて6～7日目に単回投与します。卵胞の発育が不十分などの理由によって投与して5日以内に排卵誘発をしないときは、投与の5日後から排卵誘発当日までセトロレリクスとして0.25mg、一日一回連日投与していきます。

セトロタイド0.25mg反復投与法

卵巣刺激を始めて6日目から、排卵誘発当日まで一日一回を連日投与します。おへその下あたりに直接注射を行い、どろっとした薬剤のため、痛みを訴える人も多いのが特徴です。毎日注射のために通院する必要があります。

投薬時の注意

セタトロイドは注射タイプであり、注射する部位は腹部の皮下、おへその周辺になります。毎日注射する必要がありますが、注射部位は毎日変更し、局所刺激を最低限にするため、同じ場所への注射は避けます。注射する際には、針が血管内に入っていないことを確認し、注射後は部位をもまないようにしましょう。妊婦や産婦、授乳婦への投与はしないとされています。

費用について

体外受精は人によって治療内容が異なる上に、自由診療のため病院や治療期間によって価格が異なりますが、1回の治療平均価格は30万円前後といわれています。

体外受精は保険適用外の治療法が多いですが、厚生労働省によると国からの助成金が受けられる制度があり、所得制限や年齢制限があるのでチェックしておくことがおすすめ。また市町村によっては助成金が出る場合もあるので、確認をしてみるとよいでしょう。

セトロタイドの費用は病院によって異なりますが、0.25mgは7,500円ほど、3mgは30,000円ほどが目安になります。使用前にしっかりと価格の確認をし、計画を立てておくとよいでしょう。

ガニレストとセトロタイドの違い

セトロタイドと同様の効果に期待できる薬剤に、ガニレストがあります。効果や使用法、副作用などのリスクについてもしっかりと知っておくことが大切です。

ガニレストとは

ガニレストは、セタトロイド同様「調節卵巣刺激下における早発排卵防止」の効果がある薬です。排卵を促す働きをする黄体形成ホルモンの分泌を抑えて、排卵を抑制する効果があります。セタトロイドよりも遅れて認可された薬で、2009年に発売された不妊治療薬。

効果に大きな差はありませんが、使用感には大きな違いがあり、セスタロイドが粉末か白色の軽質の塊なのに対し、ガニレストは無色透明の液体で開封してすぐに使えるように工夫がされています。

使用法や副作用

卵胞刺激ホルモン製剤投与6日目からガニレスト0.25mgを1日1回、皮下に連日投与します。自宅にて自分で注射することも認められているので、その場合は、医師の説明をしっかり聞き指示通りに行いましょう。

副作用として悪心、頭痛、骨盤通、腹部膨満、倦怠感などが挙げられます。妊婦や産婦、授乳婦などへの使用は原則禁止されている薬剤になります。

卵巣刺激法の１つアンタゴニスト法で使用される

体外受精で行うアンタゴニスト法とは、排卵誘発剤で卵巣を刺激して卵子を十分に育てつつ未熟な卵子が排卵されないようコントロールを同時に行う卵巣刺激法の一つ。ガニレストやセトロタイドはそのアンタゴニスト法で使用される薬剤になります。

効果や副作用を正しく知って不妊治療を行う

不妊治療ではセトロタイドのように卵巣に刺激を与えて、排卵をコントロールする薬剤を使用することもあります。より多くの良質な卵子を採卵することに効果が期待できますが、使用にはリスクも伴ってきます。薬剤の使用をすすめられた場合には、効果とリスク、費用に関しても、しっかりと確認をして検討することが必要です。