2018.08.08

排卵誘発剤のクロミッド。覚えておきたい効果とリスクについて

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排卵誘発剤の中でもクロミッドは最も使用されることの多い薬剤になります。強い効果を得られる特徴がありますが、使用に伴うリスクもあります。使用を始める前に、クロミッドへの知識を深め、しっかりと理解をした上で治療を始めるようにしましょう。

排卵誘発剤クロミッドは不妊治療でよく使われる

排卵誘発剤には、投薬タイプと注射タイプがありますが、投薬タイプで最もよく使われている薬がクロミッドです。無排卵や無月経の方はもちろんのこと、広範囲な方に使われている一般的ともいえる薬になります。

強い効果を得られることが特徴ですが、使用に伴い副作用などがある場合も。効果とリスクについて、しっかりと理解しておくことが大切です。

排卵誘発剤クロミッドの特徴

クロミッドは排卵誘発剤として一般的に使用されることの多い薬剤です。不妊治療で用いられることが多く、内服と注射の2タイプがあります。

主な効果は卵胞の成熟と排卵の促進

クロミッドは錠剤タイプの排卵誘発剤で、一般名を「クロミフェンクエン酸塩(クロミフェン)」といいます。排卵障害に効果があるため、無排卵、無月経の方に使われることが多いです。

クロミッドは主成分のクロミフェンが脳の視床下部に「エストロゲン」が足りないと認識させ、それが脳下垂体に伝わることで、「黄体化ホルモン(LH)」と「卵胞刺激ホルモン(FSH)」の分泌が刺激されます。LHとFSHの刺激によって、卵胞が成長し排卵が促され、クロミッドを服用終了後、7日~10日後に排卵が起こります。

タイミング法での服用

タイミング法は不妊治療の初期に試される方法で、排卵日に合わせて夫婦生活を行う療法です。そのタイミング法で重要なことは、排卵日がいつかを予測すること。

病院にてさまざまな検査を行った上で、卵胞の成長が不十分な場合などに排卵誘発剤(クロミッド)が処方されます。一般的には生理5日目頃から1日1錠~2錠を5日間服用しますが、クロミッドを飲む時期や量などは、クリニックによって異なるので医師の指示通りに服用するようにしましょう。

人工授精での服用

人工授精は、女性の排卵のタイミングに合わせて子宮内に人工的に精子を注入して受精させる方法です。人工授精でも、妊娠率を高めるために、クロミッドを使用することは一般的です。必ずしも使用するわけではなく、卵胞の状態によって排卵誘発剤を使用するかどうかを判断します。

体外受精での服用

体外受精でもクロミッドの服用をすすめられることがあります。体外受精は採卵した卵子に精子をふりかけることで受精させる療法。体外受精には、自然周期で採卵する方法と、排卵誘発剤などの薬剤(クロミッド、hMG注射など)を使用する方法があります。

クロミッドを用いた体外受精は副作用のリスクが比較的低いため、「クロミッド法(低刺激法)」と呼ばれるのに対して、hMG注射やFSH注射などを用いた体外受精を「高刺激法」といいます。クロミッド法は、通院回数が少なくて済むこともあり、コストが安い点もメリットです。

服用時期は生理開始から5日目

クロミッドの服用方法は、一般的に生理開始5日目からとされています。病院により生理1日目や3日目と服用開始時期が異なる場合もあるので、きちんと確認するようにしましょう。1日1錠(50mg)を5日間飲み続けます。うまく効果が発揮されれば服用終了後、数日後に排卵が起こりますが、効果がなければ1日の服用量が2錠、3錠と増えていきます。

飲み忘れがあった場合や効果が弱いと感じた場合でも、必ず自己判断で飲む量を調整せず、医師の指示通りに服用することが大切です。

排卵誘発剤クロミッドの副作用

使用されることの多いクロミッドですが、高い効果に期待できる反面、リスクが伴います。多胎妊娠だけでなく、身体への影響も無視できません。効果とリスクをしっかりと確認し、検討する必要があります。

双子を妊娠する確率が上がる

クロミッドの副作用の一つに、双子を妊娠する確率が上がることが挙げられますが、その原因は、クロミッドにより卵胞が同時に複数個成長させることがあることにあります。自然排卵では、毎月1個の卵胞が育ち、1個の卵子が排卵されますが、クロミッドの効果により卵胞が育ちやすくなり、複数個同時に成長してしまうことが起こるのです。

クロミッドを服用せず自然排卵で双子を妊娠する確率は約1%に対し、クロミッドを服用した場合、双子異常の多胎の妊娠確率は約4%~5%といわれています。多胎妊娠だと、母体への負担などのリスクがあるため、排卵誘発剤の使用に慎重になっている医師もいます。

OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の危険性

排卵誘発剤の副作用で最もこわいものがOHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。卵巣が過剰に刺激され、腹水や胸水などの症状が現れます。重症だと血栓ができたり、腎機能障害になることも。

クロミッド単体の使用では、OHSSの発症は少ないとされていますが、他の排卵誘発剤(FSH、hMG、hCG)を併用した場合はリスクは高まるとされています。リスク回避のため、人工授精や体外受精も視野に入れて考えておくとよいでしょう。

ホルモンバランスの変化

クロミッド単体での使用ではリスクが低いといっても、長期間使用し続けることには注意が必要。排卵誘発剤によって、体外からのホルモン補充に身体が追い付かずホルモンバランスが乱れることがあります。吐き気や頭痛、倦怠感などの症状を感じたら、すみやかに医師に相談するようにしましょう。

子宮内膜が薄くなる

子宮内膜は、受精卵が着床する場所であり、ベッドのような役割があります。なので受精卵が着床後にしっかりと根を張れるようふかふかである必要があります。子宮内膜の厚みは10mmが理想。最低でも6mmは必要と覚えておきましょう。6mm以下の薄い子宮内膜の状態では、受精卵が着床しづらくなり妊娠することができなくなります。

排卵時の頸管粘液の量が少なくなる

「頸管粘液」とはおりものの一部で、子宮頸管から分泌される粘液で妊娠するためにとても重要な役割を果たします。頸管粘液のよい状態とは、排卵日前後に分泌される卵白のような状態のおりもの。精子を卵管へ導くために必要な粘液ですが、分泌量が減少すると精子がスムーズに移動できなくなる可能性も考えられます。

効果とリスクを理解し前向きに治療をしよう

排卵誘発剤の中でも最も使用されることの多いクロミッド。強い効果を得られることは魅力ですが、副作用もあります。子供が欲しくて使用した排卵誘発剤が原因で、妊娠できなくなってしまうことのないよう、しっかりと効果とリスクについて学ぶことが大切です。医師としっかりと相談をして、前向きに治療していきましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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