2018.08.08

着床が失敗する原因を知りたい。体の変化や気をつけたい生活習慣

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妊活中に特に気になるのが「排卵日から着床まで」の期間です。しかし中には、受精卵ができても着床が失敗してしまうケースもあります。流産としてカウントされない化学流産が起きる原因や、それによる体の変化、気をつけたい生活習慣を知っていきましょう。

着床に失敗する原因と失敗した時の症状について

妊娠を目指している人にとって、陽性反応が出た後に着床に失敗したことが分かると、とてもショックで悲しい気持ちになることも多いでしょう。「どうして失敗したの?」「何が原因だったの?」と悩みを抱えてしまう人も少なくありません。

着床が失敗する原因は、生活習慣や体への負荷、体質など様々な理由で起こります。失敗したときの症状や、排卵日までの過ごし方を知って、次の機会に向けて前向きに妊活に取り組んでいきましょう。

着床失敗は化学流産という

着床に失敗した状態は、臨床的には妊娠や流産としては扱われません。「生化学的妊娠」や「生化学的流産」といった名称で、正式には扱われます。一般的には化学流産とよばれ、1度は着床するため血液検査や尿検査では陽性反応が確認されます。

ところが、なんらかの理由で着床を継続できなくなり、胎嚢が形成される前に子宮内膜から受精卵が剥がれ落ちてしまうことがあります。「受精はしたけど着床が継続できなかった」という状態が化学流産であり、着床失敗の状態です。ほとんどの場合自覚症状もなく、そして健康な女性であっても起こりうることです。一般的に、性交渉から7日目以降、次の生理予定日の1週間後くらいの間に起こります。

基本的にはそのまま生理が来てしまうため、化学流産が起きたかどうかは不明です。しかしフライング的に妊娠検査薬を使用したことで陽性反応があることを知っていた場合は、生理が来れば化学流産してしまったことが分かります。

期待して待っていたのに生理が起きてしまうと、気持ち的にもショックが大きいのは確かです。ですが化学流産は流産と名前こそつきますが、妊娠には至っていないため、不育症というわけではありません。あまりに心配したり落ち込みすぎたりする必要もないことは覚えておきましょう。

生活習慣が原因の着床失敗

「出来るだけ化学流産の原因は排除したい」という場合は、まずは生活習慣の面から着床失敗の原因をみていきましょう。

お風呂をシャワーで済ませている

ついつい、お風呂をシャワーだけで済ませていませんか。シャワーは体の表面を温めてくれますが、皮膚についた水分が蒸発するときに体が冷えてしまいます。体が冷えると血液の流れが滞り、子宮や卵巣へ十分な血液が送られなくなってしまうため、妊活中の体には良くないとされます。しっかり入浴して、きちんと体を温めましょう。

性交渉や自慰行為を控えてない

性交渉や自慰行為の際、男性の精液からはプロスタグランジン、女性からはオキシトシンというホルモンが分泌されます。このホルモンには子宮収縮の作用が含まれており、これが着床を妨げる可能性があります。

だからといって、絶対に性交渉や自慰をしてはいけない、というわけではありませんが、少しでも着床する確率を挙げたいのであれば、子宮収縮しやすくなる性交渉や自慰行為は控えておきましょう。

カフェインの摂りすぎ

体の冷えを招くものの1つに、利尿作用を持つカフェインを摂取しすぎてしまうというものが挙げられます。カフェインを多く含む飲み物にはコーヒーや紅茶、ほうじ茶、ウーロン茶などがあります。

体の中の水分を排出させると、同時に体が冷えてしまいます。1杯飲んだからといって絶対に着床失敗する、というわけではありませんが、毎日何杯も飲んでいる人は控えるか、カフェインを含まないものに変えてみましょう。

喫煙している

喫煙は体の血流を低下させるため、卵巣や子宮への血流が低下して子宮内膜などの機能も下がってしまう恐れがあり、妊娠を望む男女は禁煙した方がよいといわれています。

男性も喫煙により精子の数や運動性が減少する可能性があり、また男女ともに副流煙を吸ってしまう受動喫煙も有害とされます。妊娠を目指すのであれば、夫婦で禁煙を行うことで、お互いの体への影響を抑えられます。

飲酒している

飲酒の妊娠への影響は医師によって意見が分かれており、適量ならよいとする報告もあれば、飲酒で不妊率があがるとする報告もあります。ただ、妊娠の確率を少しでも上げたいのであれば、できればしない方がよいでしょう。たとえば妊娠の可能性がない生理期間だけ飲むようにするなど、期間を区切るのもおすすめです。

体への負荷が原因での着床失敗

普段の生活や仕事、人間関係など精神的な体への負荷、睡眠時間のように肉体的な体への負荷も、着床失敗の原因になる可能性があるといわれています。

自律神経が乱れている

自律神経は人間の体の体温を一定に保つ役割があり、また生殖機能にもかかわりがあります。交感神経が活発になる場合と、副交感神経が活発になる場合がありますが、バランスが崩れると体温が下がってしまうため血流が悪化し、妊娠する力に大きく関係することがあります。

体の体温が低くなると「肺や肝臓を守らなきゃ!」と、生命維持に欠かせない部位に積極的に熱を配分するため、直接生命維持に関わらない子宮や卵巣が冷えてしまいます。またホルモンバランスが乱れることで、生殖機能のリズムも乱れてしまうことがあり、結果としてスムーズな妊娠につながらない恐れがあります。

睡眠時間が足りていない

睡眠は体の疲労回復や精神的な安定など、人間にとって重要な時間です。日本生殖医学会の発表論文では、ストレス指標に有意な差がなくとも、着床群の方が有意に睡眠時間が長く、非着床群の方が睡眠時間が短かったということが分かっています。それがどのような機序で人の体に影響するかどうかはまだ分かっていませんが、寝不足は肉体の疲労やホルモン分泌に影響を及ぼします。

また夜22時から翌朝の2時は、成長ホルモンの分泌が高まります。成長ホルモンは体内の傷ついた卵子を修復する働きもあり、美容や健康面を考えてもきちんと休んでおきたい時間帯です。仕事によっては難しいケースもありますが、眠れるタイミングがあれば積極的に休んでおきましょう。

ストレスが溜まっている

卵巣はもともと、ストレスに弱い臓器の1つです。卵巣への命令を司るのは脳の「視床下部・下垂体」という部分ですが、ここはストレスに弱く、強いストレスを感じるとダメージを受けてしまい命令が出せず、これが原因で排卵に影響が出る事があります。

またダイエットのし過ぎも、体にとっては「命が危ない」と危機感を感じる行為です。妊娠が継続できない状態だと体が判断してしまうため、着床の可能性があるタイミングでのダイエットや不規則な食事は控えましょう。

体質が原因の着床失敗

女性の体は時期や年齢によっても体質が変化します。その体質が、着床失敗の原因になっていることもあります。

受精卵の染色体異常が原因

染色体異常とは、男性と女性それぞれの遺伝子のうち、染色体の数が変化したり形が変わることを刺します。この原因には様々な理由があり一概にはいえませんが、染色体異常を持つ受精卵のほとんどが着床してもそれ以上成長せず、体の外へ排出されてしまいます。

受精卵の40%以上が染色体異常になるといわれており、これは健康的な女性でも同様です。しかし年齢が上がるにつれ、染色体異常を持つ卵子が増えるため、化学流産の確率は上がってきます。だとしても、1度の化学流産で不妊症だと決めつける必要がないということは覚えておきましょう。

黄体機能不全が原因

化学流産の原因のほとんどは染色体異常によるもの、といわれていますが、黄体ホルモンの分泌が少ない「黄体機能不全」が原因となっている場合もあります。黄体ホルモンは子宮内膜を厚くするなど、妊娠の際に子宮内の環境を整えてくれる働きがあります。

しかし黄体機能不全の場合、何らかの理由で黄体ホルモンが分泌されにくくなり、着床しても妊娠にまで至らない状況になってしまいます。しかし黄体機能不全による着床失敗とはっきり分かった場合には、治療を受けることで妊娠を継続できる可能性もあります。もし化学流産を繰り返すようであれば、婦人科を受診して「なぜ起こるのか」を探るのも大切なことです。

運動不足による血行不良

仕事で立った状態や座った状態が続く、運動をあまりしない、という人は骨盤内の血行が悪くなっているケースがあります。子宮や卵巣周りの血流は、良好であるのが理想的です。下半身が特に血流不足という人は「冷え症だから」と甘く見ずに、運動や入浴を活用していきましょう。

家の中で手軽にできる運動として、下半身を中心に鍛えられるスクワットや立ったまま踵を上下するレッグ・レイズがおすすめです。またストレッチも体を解し、血流を改善しやすくしてくれます。

体が冷えている

卵巣や子宮は冷えに弱いため、腰回りを温めるのが大切です。また自分の体温がどのくらいの温度かも、把握しておきましょう。一般的に体内の温度が37度以上であると、内臓が活発に働きやすくなります。これは脇の下で体温を測ると、36.5度以上になる温度です。

気温の高い春や夏も、冷房や冷たい飲み物、食べ物で体が冷えてしまうことがあります。夏にも使いやすい薄手の腹巻やレギンスなどを活用して、足や腰回りを温めていきましょう。

着床が失敗した際の体の症状

「着床が失敗したかどうか早く知りたい」「もしかしてこの体調の悪さは着床失敗?」と不安にならないように、着床が失敗したときの体の症状についても知っておきましょう。

一般的な流産のような症状は出ない

化学流産では、基本的にほとんど何も症状が現れません。一般的な流産ではだるさや腹痛は見られないため、そもそも受精したことにも気が付かず、数日後に生理が起こるため「受精できなかったんだな」と解釈していることもあります。ですが普段より重い生理になることが多い傾向にはあるようです。

腰痛が悪化する

厚くなった子宮内膜が剥がれる影響から、生理痛や腰痛が起こりやすくなり、普段生理中に腰痛が起こる人はそれが重くなったりします。受精を受けて普段より子宮内膜がぶ厚くなっていることもあり、痛みが増すこともあるようです。

下腹部が痛む

こちらも子宮内膜が剥がれる影響で、普段から生理中に下腹部や子宮の痛みを覚える人は強くなる傾向があるようです。ただ腰痛も下腹部痛も絶対に起こるとは限らず、中には何事もなく生理が終わることもあります。どちらも、個人差が大きい症状です。

妊娠初期症状がなくなる

また受精・着床したことから、妊娠初期にある吐き気などの症状を覚える人もいますが、着床が継続しなかったことでこうした妊娠初期症状が感じられなくなり、化学流産かもと感じる人もいるようです。「体調不良=妊娠初期症状」とは限らないため、単純に風邪など体調を崩していたというケースもあります。

基礎体温が下がる

化学流産後、妊娠を維持する方向から普段の体調へ戻るように体が切り替わるため、基礎体温は高温期から低温期へと変わっていきます。そのため体が普段より冷えているように感じやすく、通常の生理よりも強く感じられることが多いようです。

着床が失敗した後の生理の状態

着床が失敗すると、生理予定日より1~2週間後を目安に出血が起こります。化学流産は着床後すぐの状態なので、そのまま生理が始まってしまうためです。

生理が遅れる

妊娠の準備が一時的とはいえ体内で進んでいるため、1~2週間ほど遅くなることがほとんどです。中には生理予定日の1週間前に起こる人もいますが、基本的には次の生理や排卵が停止した状態から再スタートするため、生理はいつもより遅い時期になることが多いと考えておきましょう。

生理の出血量が多くなる

妊娠した状態が短期間でもあったことから、子宮内膜が厚くなっている関係で普段よりもレバーのような塊のある出血が見られます。また普段よりも出血の量が増えることも多く、いつものナプキンだと対応しきれないこともあるようです。

生理痛が重くなる

厚くなった子宮内膜が剥がれる影響で、いつもより生理痛を強く感じる人が多いようです。出血が始まってからは普段の生理痛と変わらないため、痛み止めなどを活用しても問題はありません。また腹痛以外にも、腰痛などを感じる人もいます。個人差がどちらにしても激しいため、一概にそうなるとはいい切れません。

排卵日から着床までの過ごし方

生活習慣が必ずしも着床を失敗させるわけではありませんが、着床時の子宮の状態や自分の健康を整えることはとても大切な要素の1つです。

バランスのよい食事を摂る

ホルモンバランスを安定させるため、栄養バランスのよい食事が必要になります。普段から糖質制限や食事制限を積極的に行っているという人は一度それを控えて、様々な種類の食事を食べるようにしましょう。コンビニのおかずやファストフードは保存料などが豊富に含まれていることも多く、できれば避けておきたいところです。

とはいえ、あまり縛りすぎてしまうと、仕事をしている人にとっては負担になってしまいます。安全性にこだわったお弁当を活用するなど、できるだけ食事から栄養素をまんべんなく摂るように心がけましょう。

適度に体を動かす

排卵が近付いた際のイライラの解消に、軽い運動が適しています。特に一定のテンポで行えるジョギングやウォーキングは体にかかる負担も少なく、手軽に行えるためおすすめです。また一定のテンポで何かを行うことは、脳内のセロトニンという幸福感をもたらすホルモンの分泌を高めてくれます。

掃除や洗濯など家事もテンポを意識して行ったり、仕事中も定期的に体を動かすことで運動不足の解消にもつながります。無理のない範囲で取り組んでいきましょう。

腹巻きで子宮周りを温める

排卵から着床までの時期にとって、体の冷えは体調悪化や血流の低下などを招く要因の1つです。できるだけ体を冷やさないように、特に腹巻や下着で子宮周りを温めるようにしましょう。また普段はシャワーだけという人は、お風呂に浸かるのもおすすめです。

体を冷やすといわれる食べ物や飲み物も、できれば避けておきましょう。特に夏の時期は冷たいものが欲しくなりますが、可能な範囲で控えると体温を下げすぎずに過ごせます。

レッグウォーマーを活用する

足元を冷やさないために、靴下やレッグウォーマーを活用しましょう。足の中でも特にふくらはぎは静脈を流れる血液が心臓に戻るのを助けるポンプ機能を備えるため、第2の心臓ともいわれます。このふくらはぎを含め、足が冷えていると冷たくなった血液が全身に巡り、体が冷えてしまいます。

レッグウォーマーはふくらはぎも含めて保温できるため、寒い時期は特におすすめです。またつま先立ちを繰り返す運動も、ふくらはぎを手軽に鍛えられるので、試してみましょう。

睡眠時間をしっかり確保する

しっかり睡眠をとり、ホルモンバランスを安定させることも重要です。生理や妊娠に関わるホルモンの分泌は、視床下部、脳下垂体、そして卵巣がコントロールを担当していますが、睡眠が不足しストレスが高まると視床下部や脳下垂体はそのコントロールバランスを崩してしまうこともあります。

睡眠時間は個人差はありますが、6時間から8時間を目安に、特に成長ホルモンが分泌される夜22時から翌朝2時の時間は、できるだけ体を休めるように心がけましょう。

排卵日から着床まで控えるべき事

生活習慣として、できれば避けておきたいことを4つおさえておきましょう。

飲酒はしない

受精卵は小さな異常であれば分裂を繰り返す過程で修復し、問題なく着床してくれますが、アルコールによる受精卵へ影響を及ぼさないためにも排卵日近くなったら飲酒をしないように心がけましょう。

「どのくらいなら飲んでも大丈夫?」と思う人もいるかもしれませんが、現段階で妊婦にとって問題がないといえる飲酒の量も明確ではなく、また妊娠3週を過ぎると飲酒による奇形リスクも生じるため、できれば飲まない方が賢明です。

カフェインは摂取しない

「生活習慣が原因の着床失敗」の項目でもお伝えしたように、意見は分かれるがカフェインも妊娠への影響があるといわれています。どの程度の危険性があるかは専門家でも意見は分かれていますが、流産の可能性が高まるかもしれないという研究もあるため、できれば摂取しないようにしましょう。

コーヒーを飲むのが日課、という人は、妊娠を目指す間はカフェインを含まないタイプのコーヒーに切り替えるのもおすすめです。

服薬について医師に相談する

妊娠を目指しているなら、排卵から着床までの服薬やサプリメントの利用について医師に相談する必要があります。内服した薬やサプリメントの影響で受精卵に異常が発生し、結果として着床が失敗することもあるためです。

既に妊娠の可能性がある場合は、普段から飲んでいる薬を使用するかどうか、市販薬は飲んでもよいかどうか、自分で判断せずにかかりつけ医や薬剤師へ1度相談しましょう。

喫煙は控える

喫煙は胎児に大きな影響を及ぼすため、妊活中はパートナーを含めすべきではないとされます。煙草に含まれる成分は血流を妨げ、子宮に送られる酸素や栄養素を低下させてしまいます。またホルモンの分泌への影響も考えられ、これらは副流煙を吸うことでも起きてしまいます。

そのため妊娠の可能性がある、また妊娠を望んでいるのであれば、夫婦で禁煙に取り組んでいけるとベストです。

排卵日から着床までの過ごし方に注意しよう

排卵日から着床までの過ごし方として、特に優先的に気をつけたいのは「喫煙」と「飲酒」です。普段からこうした習慣がある場合は、排卵日から着床までと限らず、普段の生活から見直すようにしていきましょう。

また確実に影響があるわけではありませんが、体の冷えや運動不足の改善、栄養バランス、ストレス解消なども心掛けていきましょう。そして何より、基礎体温的にも問題がなく、健康状態も悪くないのに、定期的に性交していてもなかなか妊娠しない状況が続くなど、気にかかることがあれば専門医に相談することも大切です。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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