2018.08.08

「体外受精での受精を確認する方法」判断するタイミングについて

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体外受精は難しいイメージだけど、一体どんな治療なのでしょう。これから体外受精の治療を受けられる、不安な気持ちを抑えきれない方へ。卵子と精子の採取が終わって結果が気になって仕方がない方も、体外受精の過程と受精確認について学んでみましょう。

受精の有無が確認できるタイミングが知りたい

「体外受精」というと、何か高度で難しい治療を思い浮かべてしまいます。しかし、治療を検討している人にとっては、具体的な治療内容やその結果がいつ判明するのかは、とても気になるところです。

今回は、体外受精とはどういう治療なのか、受精はいつ確認できるのかなどについて、正しい知識を身につけましょう。

受精操作の方法

体外受精とは、女性から卵子を男性から精子を採取し、体外で受精させる治療です。受精の方法には2種類あり、それぞれ特徴があります。

自然に近い体外受精

通常の体外受精は、女性から採取した卵子を、男性から採取した精子と掛け合わせたあと、再度女性の体に戻す治療法です。具体的には、シャーレの中で卵子に多くの精子をふりかけ、精子が自力で卵子に入り込むことで受精が成立します。受精後の卵子は培養液の中で育てられ、ある程度まで細胞分裂を繰り返したところで、女性の子宮に移植します。

この方法は、精子が自力で受精することを待つため、顕微鏡受精と比べて自然に近い方法といえます。そして、この方法で受精するためには、卵子の殻を破れるだけの強い精子が必要です。

受精に至る確率の上がる顕微受精

顕微受精は、採取した卵子と精子を使用して、体外で受精させる治療ですが、こちらは極細の針を用いて、一匹の精子を慎重に卵子の中に送り込みます。

通常の体外受精が、大量の精子をふりかけて自力で受精させるのに対し、こちらは一匹の精子がいれば受精が可能です。さらに、卵子の殻を破る力のない精子でも、受精させられます。

人工受精にかかる時間

自然な妊娠では、排卵後の卵子が受精可能な時間は、約6?12時間程度ですが、体外受精でもそのタイミングを狙って、精子を送り込みます。採卵された卵子は、すぐに受精が可能な状態とは限りません。そのため、最初の3?5時間は卵子が成熟するように培養しておきます。

その間、採取した精子は不純物を取り除き、遠心分離機にかけるなどして、活きのいいものとそうでないものに分別します。精子もそのままでは使用せず、なるべく運動能力の高いものを選別して、受精の確率を上げるのです。

そして、シャーレの中に調整した卵子と精子を入れ、精子が卵子の殻を破って受精するまで待ちます。この方法を媒精といいます。媒精も顕微授精も、卵子と精子を掛け合わせてから、およそ2?3時間で受精するといわれています。

体外受精の確認方法

媒精や顕微授精の方法で受精操作をしたあとは、受精が成功しているかどうかを確認をします。受精が成功したときの卵子の状態や、その確認方法を見てみましょう。

受精の確認は前核が決め手

正常に受精ができたか、異常が起きていないかは、次のポイントに注意して、卵子を観察することで確認します。受精が成立すると、前核といって、卵子と精子のそれぞれを由来とした核が見られます。この前核がいくつできているか確認することで、正常に受精が完了したのかどうかの判断が決まります。

しかし、この前核は受精後約20時間で消えてしまい、次の成長工程への移行が始まってしまうので、見逃さないように観察します。

受精確認のタイミング

卵子と精子を掛け合わせたあとに、17?20時間が経過したら、受精が成功しているかどうか確認をします。無事に受精しているかどうかの確認は、受精操作をした翌日に行われます。

問題なく受精しているかどうかは、卵子にできた前核を観察することによって行われます。この段階で、異常受精をしてしまった受精卵や、そもそも受精をしなかった卵子は排除され、健康な受精卵のみが成長を許されるのです。

受精卵の判別方法

卵子の状態の確認は、顕微鏡で卵子を観察し、受精すると現れるという前核の数で判断します。

前核の数がニつ

前核は卵子由来の核と、精子由来の核とで成り立ちます。通常の受精卵なら、卵子と精子は一つずつなので、前核も一つずつあるはずです。よって、前核がニつある場合は、正常な受精卵であるといえます。この場合は特に問題がないので、受精卵を培養液で2?3日に浸したあとに、子宮に移植します。

前核の数が三つ以上

前核の数が三つ以上ある場合は、多精子受精といって、精子がニつ以上入り込んでしまった状態です。一つの精子を送り込む顕微授精でも、核分裂に異常があった場合は、核が三つできてしまうこともあるようです。この状態になると、残念ながら大多数の受精卵は成長できないので排除されます。

前核の数が一つ

前核が一つしか確認されていない場合は、正常受精と異常受精の場合があります。ニつの前核が融合して消える途中だった場合、または、それぞれの核の形成のタイミングがずれてしまった場合は、核が一つに見えますが、観測のタイミングを逃してしまっただけで、正常に受精しています。それに対して、受精していないのに単体の核が形成されてしまった場合は、異状受精とされます。

判断が難しい状態ですが、そのあとの培養で細胞分裂を繰り返し、胚盤胞と呼ばれる段階まで成長できた受精卵は、正常であるとされています。

前核が確認できない

前核が見えない場合も、正常受精とそうではない場合があります。受精卵の成長スピードにも、個体差があります。観察する頃には、前核がすでに融合して消えてしまった場合、これは正常受精なので、その後順調に細胞分裂をしていきます。

それ以外で、前核がないとすれば、そもそも受精ができない未受精卵ということになります。

受精確認は前核が出現している間に行われる

人工授精を受ける夫婦から、卵子と精子を採取し受精操作を行ったあとは、前核の数が決め手となります。人工授精においてはどの工程も重要ですが、なかでも、受精を確認するための判断材料となる前核は、出現時間が限られる特別なものであるといえます。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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