2018.08.08

子宮内膜症の治療を腹腔鏡手術で。メリットとデメリットは?

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重い生理痛や腰痛だと思っていたら、実はその痛みは子宮内膜症のせいかもしれません。女性なら誰もがかかるリスクを持っている病気です。子宮内膜症の治療法として提案されている腹腔鏡手術について知り、ベストな治療法が選択できるようにしましょう。

子宮内膜症の治療について

つらい生理痛や腰痛に悩まされてはいませんか。ただの生理痛だと思っていたら、実は子宮内膜症だったということもあります。女性なら誰でもかかるリスクのある子宮内膜症について知っておきましょう。

子宮内膜症について

子宮内膜症とは、いったいどのような病気なのでしょうか。

子宮内膜症とは

子宮内膜症とは、子宮の内側にしかないはずの細胞である子宮内膜とよく似た細胞が、なぜか身体のさまざまな場所に勝手に発生、活動してしまう病気です。初経後10代後半から発症のリスクがあり、今のところ発症後は閉経まで完治しない病気です。

子宮内膜症は、発生部位によって4種類に分けられます。腹膜内や臓器の表面に病気が発生する腹膜病変、卵巣の中に発生する卵巣子宮内膜症(卵巣チョコレートのう胞)、子宮と直腸の間にあるダグラス窩(か)と呼ばれる個所に発生する深部子宮内膜症、直腸や尿管、膀胱などその他の部分に発生する多臓器子宮内膜症です。

主な症状は、生理痛や腰痛、性行痛などがあります。月経の度進行していき、ひどくなると痛くて立てられない、吐き気やめまいを伴うこともあります。さらに子宮内膜症が、不妊状態と関係あるのではないかともいわれています。

子宮内膜症の治療法

子宮内膜症の治療法は、大きく分けて2種類あります。薬物療法と手術療法です。薬物療法は、ピルや黄体ホルモン剤などを使い長期的に子宮内膜症を治療していきます。よほどの事情がない限り、日本ではまずこちらの薬物療法を進められます。

手術療法では薬物療法と違い、直ちに回復が見込めます。手術では病変を焼いたり、臓器の位置を補正したり、腹膜内を洗浄したりします。手術はもちろん人の手によってされるものなので、術者によって大きく差があります。できるだけ経験の豊富な、信頼のおける先生にお願いしましょう。

腹腔鏡手術と開腹手術

子宮内膜症の手術方法には、腹腔鏡手術と開腹手術があります。どのように違うのでしょうか。

腹腔鏡手術について

腹腔鏡手術は、良性の婦人科疾患のほとんどが適応しています。開腹手術に比べて、傷跡が小さく、痛みも少なく済みます。そのため術後の癒着も少なく、出血量も少なく済むため回復も早く、入院日数も短く済みます。入院はだいたい4日程度です。

しかし、開腹手術に比べ手術に時間がかかります。また手術を始めて解ることや対応の限界がくると開腹手術に切り替えられることもあります。

開腹手術について

悪性が疑われる場合や、腫瘍が大きく腹腔鏡では手術が困難な場合に開腹手術が行われます。腹腔鏡手術に比べて、患者さんへの負担が大きくなるため入院が長くなり、術後の回復にも時間がかかります。入院期間は大体2週間程度です。腹腔鏡手術は比較的新しい技術のため、国内で行われるのは、まだ開腹手術の方が多いです。

腹腔鏡手術が向くのはこんな人

腹腔鏡手術はどのような人に向いているのでしょうか。

卵巣子宮内膜症(卵巣チョコレートのう胞)の治療をする人

卵巣子宮内膜症は不妊の原因となる場合が多く、手術が必要になることが多いです。術後の身体への負担のことを考えると開腹手術よりも傷が小さく済む腹腔鏡手術の方がおすすめです。

重い生理痛や骨盤痛で生活に支障がある人

子宮内膜症による重たい生理痛や、骨盤痛で起き上がるのも困難になってしまう場合もあります。そのとき、臓器の癒着が強い場合は薬ではどうにもなりません。その場合は手術で治療すると痛みが軽減する可能性があります。

すぐに妊娠したい人

不妊で婦人科を受診した場合、約半数に子宮内膜症が認められています。不妊と子宮内膜症のどちらが原因で結果なのかはわかっていません。

不妊治療に積極的に使用される、注射タイプの排卵誘発は子宮内膜症を悪化させる可能性があります。そのため程度によりますが、そのままでは妊娠しにくいと診断された場合は、早めに治療しないと加齢による不妊に繋がっていく可能性があります。

手術の場合にも、症状や医療者の技術によって卵巣の機能低下や新たな癒着による問題が起きる場合があります。妊娠を希望する際は慎重に病院を選択しましょう。

腹腔鏡手術の詳細について

腹腔鏡手術とは、いったいどんな術式なのでしょうか。

手術方法について

腹腔鏡手術では、症状に合わせて1カ所~4カ所程度の小さな穴を開け、そこから炭酸ガスを送り腹部をふくらませカメラをいれます。そのカメラの情報をモニターに映し出し、その映像を見ながら鉗子を挿入して手術を行います。

手術費用は約20万

腹腔鏡手術の費用は、保険が適用されるため約20万円ほどです。ただし入院時に別途部屋代などがかかる場合もあります。高度療養費制度も適応が可能で、他にも任意の医療保険でも対象となる場合があります。保険会社や病院に問い合わせを忘れないようにしましょう。

入院期間は約4日

腹腔鏡手術は開腹手術と比べて、身体への負担が少ないので早く帰ることができます。しかし全身麻酔を使用する場合が多いので日帰り手術は難しいです。約4日程度の入院期間になります。

また深部子宮内膜症の場合は、腸などの修復や経過観察が必要になる場合があり、その際は1週間~2週間程度入院になる場合があります。

術後の経過について

腹腔鏡手術の場合は、術後2週間程度で仕事復帰が可能です。不妊に影響するといわれている、卵巣や卵管などの治療をした場合、妊孕(にんよう)率が上がる可能性があります。また重い月経痛や、腰痛などの疼通に苦しんでいた場合は、症状が軽減することが多いです。

子宮内膜症は、術後放っておくと再発の可能性があるので、術後の状態を維持するためや再発予防を期待して、黄体ホルモン製剤を使い薬物療法を行うことが多いです。

手術を希望する場合は医者とよく相談しよう

どんな病気にもいえますが、手術にはメリットもデメリットもあります。手術前は自分にどのような治療が合っているのかお医者さんとよく話し合うことが大切です。自分が信頼できるお医者さんを見つけ、納得できる治療法を選択しましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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