生理の前に出血がある場合、何が原因で出血したのかわからないと不安になりますね。生理前出血の4つの原因や、症状を確認していきましょう。生理前出血は病気が原因の出血の場合もあるので、症状を見極めて早めに婦人科での受診も考慮に入れましょう。
生理前出血があると、妊娠を望む女性であれば「着床出血かもしれない」と期待してしまうものですよね。着床出血なら、妊娠している可能性があるからです。そうでなければ、何が原因で出血があったのか不安に思うでしょう。
今回は、生理前の出血の原因やどんな症状になるのか、着床出血ならどのような状態なのか、出血があったらどうしたらいいのかなどの疑問におこたえします。
不正出血とは、生理予定日とは違う日に出血することをいいます。不正出血が身体のどの部位から出ているのかを見分けるためには、出血した色を見るとわかります。色による見分け方を知っておきましょう。
茶色いおりもののような不正出血の場合は、血は少量しか混じっていません。経血が体内にたまっている場合に、血液が体外に出るまでに時間がかかると、酸化して色が茶色になります。前回の生理経血が子宮内に残っていて、それがあとから出てくる場合も茶色っぽい不正出血です。
茶色の不正出血は、ホルモンバランスの乱れやストレス、卵巣の病気などが原因で出血していることが多いといわれています。
真っ赤な鮮血の場合は、子宮や膣など出口に近い部分で出血しているため、血の色は真っ赤な色をしています。また、生理数日前におりものに経血が混じって、ピンク色になることがあります。さらに妊娠超初期に、切迫流産や絨毛膜下血腫などが原因で、ピンク色のおりものが出る場合もあります。
生理ではないときに、生理時のような鮮血がたくさんでる場合は、子宮内膜から出ている出血の可能性があるので、婦人科でみてもらったほうがよいでしょう。
生理前の出血で考えられる症状は、排卵出血、無月経出血、着床出血、病気などが原因で起こります。それぞれの症状には違いがあるので、どのような症状なのかみてみましょう。
ホルモンがたくさん分泌されると、卵巣でできた卵胞が卵巣の壁を突き破って、卵管内に飛び出すことを「排卵」といいますが、卵巣の壁を突き破るときに、出血することがあります。また、卵胞ホルモンの分泌が急に減少したことによる,ホルモンバランスの著しい乱れで出血がおきることも。
排卵出血の見分け方は、出血の色が鮮血だったり、ピンク色のようなおりものが出ることです。基礎体温を測っていると、排卵が起きると急に低温期から高温期になるので、そのときの出血は排卵出血の可能性が高いです。
排卵がない場合にも、出血することがあります。生理痛がなく、血の色が赤黒いもしくは茶色く、出血量は少ない場合は、無排卵月経が考えられます。生理が2カ月に1回しかこない人や、1カ月に2回くる人は、無排卵出血がおきる場合があるので、注意が必要です。
無排卵出血が長く続く場合は、将来不妊のリスクが高まるので、無理なダイエットやストレス、過度な運動などを避けましょう。生理周期の乱れが続くようなら、婦人科での治療も必要です。
排卵後に、卵管で授精すると、受精卵となって子宮膜に着床します。着床する際に、受精卵が子宮膜に根を張るように入り込みます。すると、子宮内膜が少し溶けて、少量だけ出血する場合があります。その場合の出血は、着床出血の可能性があります。
出血には個人差があるので、同じように出血するとは限りません。生理のときのようなどろどろの出血や、薄茶色やピンク色が混じったようなおりものが出る場合があります。着床出血は、生理予定日から数えて、1週間前から2、3日前までに起こる出血なので、14日ほど前に起こる排卵出血と見分けがつきます。
出血した場合は、婦人科系の病気が原因の場合もあります。例えば、良性の腫瘍である子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮頸管ポリープや、悪性の腫瘍である子宮頸がん、子宮肉腫、膣がん、卵巣嚢腫などがあります。また、子宮内膜症、子宮腺筋症、卵巣機能不全、月経異常などが根本原因で起きることもあります。
そのような病気が原因の場合もあるので、生理でもないのに出血が多い、下腹部が膨れているなどの場合は、医師の診察を受けることをおすすめします。
排卵出血は、排卵が原因の場合と、ホルモンバランスの乱れが原因で起こる場合があります。排卵出血が起きたときの症状や原因、そして、排卵出血がおきたときの対処の仕方を詳しく紹介します。
個人差があり、排卵出血がない人もいれば、出血がある人もいます。排卵出血は、女性ホルモンが活発な性成熟期に多く見られます。出血があるかないかは、その人の年齢や体の状態によっても違います。28日周期の人は、排卵が起こる時期は生理周期の14日前後なので、生理開始前14日前後が排卵予定日です。
排卵のときに卵胞から卵子が飛び出し、卵巣の壁を傷つけ、そのときの出血が、卵管から子宮へと流れて出血します。基礎体温を測っていると、低温期から急に高温期になったときが、出血を起こしている時期です。そのときの出血の量は、少量で下着につく程度です。
また不正出血は、更年期障害の前触れとして出る場合もあります。婦人科で受診すると、排卵出血といわれる場合が多いです。
排卵出血は、1週間くらい続く人もまれにいますが、数日間で終わることがほとんどです。出血があるのは排卵日ですが、排卵出血があってから、体外に出るまでに時間がかかります。そのため、排卵日が何日前だったかは、推測でしか分かりませんが、基礎体温をつけていれば、低温から高温になったときが排卵日だとわかります。
卵子が生きている期間は半日~1日なので、排卵出血のあとに性交のタイミングを取っても、妊娠は難しい可能性があります。出血中の性交も病気の感染リスクがあり、不妊になる可能性もあるので、避けたほうがよいでしょう。
排卵出血が起きる時期に、下腹部に生理痛のような痛みを感じる場合があります。これは、排卵するときに卵巣が傷ついて、出血とともに腹膜も刺激されて痛みを感じるためです。痛み方は人それぞれ違い、チクチクした痛みや、生理痛のような鈍痛が起きることも。
排卵痛は、右か左の卵巣から卵管へと排卵されるので、排卵痛が起きるのは、右か左のどちらかに限られることが多いです。それ以外の症状としてめまいや頭痛、腰痛、吐き気があったり、おりものに変化がみられたりする場合もあります。
女性の生理周期は、排卵前の卵胞期には卵胞ホルモン、つまりエストロゲンが多く分泌されています。しかし、排卵期になるとエストロゲンの分泌が減少します。
排卵出血は、エストロゲンが減少して子宮内膜がはがれ落ちるため、少量の出血が起きることがあります。また、ストレスなどの精神的要因となり、ホルモンバランスが乱れることで、排卵出血する場合もあります。
排卵出血は、病気ではないので通常数日でおさまり、特別な治療をするなどの対処は必要ありません。しかし、出血量が多くて長く続いたり、排卵の痛みが我慢できないほどの痛みであるような場合は、医療機関で受診して、適切な処置や対処をしてもらIましょう。
つらい排卵痛には、豆乳などの大豆イソフラボンを摂取することや、ストレスをためないことが大切で、睡眠も十分にとりましょう。また、暑い夏でも冷たいものを摂りすぎないようにして、適度な運動をし、入浴などで身体をあたためることも大切です。
出血量が多く長く続く場合は、病気による出血の場合もあるので、きちんとした検査をする必要があります。その場合は、早めに受診することをおすすめします。
月経異常を抱えている人の半数が、無排卵月経を起こしています。無月経排卵の時の症状の表れ方や原因も、詳しく知っておきましょう。わかりにくい排卵日出血と、無排卵出血の違いも説明します。
無排卵月経の場合は排卵がないので、卵巣を傷つけることがないため、生理痛がありません。月経が月に2回来たり、周期がバラバラだったりなど、生理周期が乱れることがあります。無排卵出血だと、出血の量が少なく、ダラダラと1週間以上出血が続くことがあります。
逆に、過多月経が起きる場合もあります。過多月経になると、昼でも夜用のナプキンが必要なくらいに量が多く、レバー状のかたまりが出てきます。月経過多では経血量が多く、経血の日数も多くなっています。
不規則な生活習慣や過度なダイエット、ストレスなどが原因でホルモンバランスが乱れると、無排卵月経になることがあります。また、体が冷えたり、薬の副作用があったり、甲状腺疾患があったりする場合も、無月経排卵を起こす原因となることがあります。
それだけでなく、不規則な生活習慣や強いストレスが続いた場合にも、それが原因になるケースもあります。しかし、月経の量や周期が通常通りにすぐ戻る場合は、あまり心配はいりません。
無排卵月経が長期的に続いた場合は、骨粗しょう症や子宮体がんのリスクを高めることにつながるため、大変危険です。放置することで、将来妊娠を希望するときに、治療が難しくなる可能性があります。
長期的に無排卵の状態が続いたときは、治療が困難になる前に、婦人科で受診して早めに対処し、治療をすることをおすすめします。
無排卵月経の対策や治療法には、規則正しい生活をすることや、無理なダイエットは避ける、ストレスを解消することが大切です。そして、婦人科で適切な治療を行いましょう。
無排卵月経の対策をするには、ホルモンバランスを整えるために、バランスのよい栄養豊かな食事をとることと、睡眠などの生活習慣を見直すことが必要です。暴飲暴食や喫煙、冷えは自律神経の乱れを引き起こします。節度がある規則正しい生活を送ることは、月経不順を改善する対策です。
無排卵月経には、ホルモンバランスを整える「ビタミンE」がたくさん含まれているナッツ類や、女性ホルモンと同様の働きをする「大豆イソフラボン」が含まれている、豆乳などの大豆製品を積極的に摂ることで、無排卵月経を改善することが期待できます。
太ると体重が気になりますが、1カ月に体重の10%を落とすと、月経に影響を及ぼすといわれています。過度のダイエットによって空腹状態が続くと、レプチンと呼ばれるホルモンの分泌が減少します。そのため、性腺刺激ホルモンや甲状腺の機能が、低下することになります。
特に、卵巣が成熟する時期の過度のダイエットは、将来不妊症になったり女性ホルモンの分泌の妨げになったりするので、避けるようにしましょう。
日々のストレスを蓄積しないように、ストレス発散を心掛けることも、無排卵月経を改善することになります。
リラックスして入浴する、好きな音楽を聴く、読書をする、友だちとおしゃべりをする、睡眠を十分にとる、カモミールやラベンダーなどのハーブティ―を飲んでリラックスする、適度な運動をするなどして、ストレスを解消することが大切です。
無排卵月経の場合は、早めに婦人科で受診することをおすすめします。早めに治療をすることで、症状を改善し、再発を防げます。甲状腺疾患についての可能性も考えると、総合病院や大学病院の婦人科で受診すると安心です。
婦人科では、女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」を含む、ピルを服用することによって、周期的に出血を起こし、ホルモンバランスを整えるホルモン治療や、漢方薬による治療が行われています。ピルを服用することで、ホルモンバランスを整えて排卵を促すことで、周期的な月経周期になるように改善します。
漢方薬では、加味逍遙散や当帰芍薬散が用いられることが多いです。加味逍遙散は、交感神経を調整して、イライラした症状やのぼせを改善する効果があり、血行をよくします。当帰芍薬散は、全身から栄養や血液を集めて、生理不順の改善に役立ちます。
妊娠を希望する場合は、卵巣から卵子が排出されるのを促す「排卵誘発剤」を内服する治療が行われます。排卵誘発剤は、黄体機能の改善にも効果があり、月経不順を改善して、妊娠する確率を高めます。
排卵誘発剤には飲み薬と注射薬があり、飲み薬で難しい場合は、hMG注射薬やhCG注射薬が併用して用いられます。
妊娠の早い時期に着床出血をすると、でてくる症状があります。着床出血のタイミングや、妊娠検査薬のタイミング、痛みの度合いなどをみてみましょう。
着床出血は多くの人は経験がなく、出血があるのはおよそ50人に1人で、確率でいうと約2%くらいです。着床出血がない人でも、おりものが多くなったり、粘りけのあるおりものがでたりします。
もしも、そのような変化があれば、着床出血がなくても着床した可能性があります。
着床出血がおきるタイミングは着床するときなので、一般的に生理予定日の1週間前から数日前で、排卵日の1週間後くらいです。つまり、排卵して着床するまでの期間が1週間、生理が28日周期の人だと生理予定日の2週間前が排卵日です。
それから1週間後に着床するので、着床出血が起きるのは、前回の生理から21日目以降ということになります。そのため、生理予定日よりあとに出血があった場合は、着床出血ではない可能性があります。ただし、ホルモンのバランスが崩れると生理周期が長くなり、生理予定日よりあとに着床出血が起きる場合もあります。
着床出血の量は少量しかなく、一般的に出血の色は、おりもの状の薄い茶色や茶褐色、またはシミのように水っぽいピンク色といわれています。着床出血の色や量は、個人の体調や年齢などによって違い、生理のような赤い鮮血がでるケースもあります。
黒っぽい色や赤黒い色の出血があったときは、婦人科系の疾患の可能性もあるので、早めに受診しましょう。
着床出血があって、すぐに妊娠検査薬を使っても、妊娠していても陰性が出ることがあります。これは、妊娠検査薬はhCGホルモンに反応しますが、着床してすぐは、あまりhCGホルモンの分泌量が多くないからです。
一般の妊娠検査薬は、hCGホルモンの分泌量の基準値50mlU/mLを超えると陽性になります。そのため、生理開始予定日の1週間後以降で、hCGホルモンの分泌量がかなり増えてきたときに、使用するように記載されています。それ以降になると、妊娠かどうか正しい判定がでる確率が高くなります。
着床出血のような出血があってから、出血がダラダラと長く続き、1週間以上もあるようなら、何かトラブルがあった可能性があります。
下腹部のチクチクとするような痛みは、着床出血のときによく確認できますが、強く下腹部が痛むようなら、婦人科で早めに受診しましょう。
病気が原因の不正出血には、器質性出血や機能性出血があります。病気が原因による、不正出血の症状について知っておきましょう。
器質性出血では膣や子宮、卵巣が原因の病気による出血によるものです。器質性出血には、良性の腫瘍と悪性の腫瘍があります。機能性出血は、卵巣機能と関係があります。更年期などで、卵巣機能が低下することで起きる出血や、子宮や卵巣が未熟な年齢の思春期に、起こりやすい出血があてはまります。
それ以外に、ビタミンC欠乏症、急性伝染病、敗血症、血液疾患などの場合も、機能性疾患になることがあります。
器質性出血で良性腫瘍が原因の疾患は、子宮膣部びらんや子宮頸管ポリープ、子宮筋腫、子宮内膜ポリープなどです。子宮膣部びらんは、子宮の出口がびらん状態なので、物理的な刺激で出血しやすくなります。出血が多い場合は、レーザーで出口を焼きます。
子宮頸管ポリープは良性なので、そのままでもよいのですが、出血しやすい状態なので、何回も出血する場合は切除をする方法もあります。子宮筋腫は子宮内にあるため、月経量がかなり増えたり、月経でもないのに多量に出血したりすることがあります。
子宮内膜ポリープは、子宮の奥にあるポリープで良性ですが、子宮体がんになることもあるので、薬物治療や手術でポリープをとります。
器質性出血の場合で、悪性の腫瘍が原因の疾患は、卵管がん、外陰がん、子宮頸がん、子宮肉腫、子宮体がんなどです。卵管がんは卵管でできるがんで、子宮頸がんは子宮頸部に発生するがん、外陰がんは大陰唇、陰核などに発生するがん、子宮頸がんは子宮の出口にできたがんです。
子宮肉腫は、子宮の筋肉組織やその他の支持組織にできたがん、子宮対がんは子宮の奥のがんで、悪性の場合は、手術や化学療法、放射線療法が必要です。
生理前の出血があった場合は、受診しなくても大丈夫な場合と、早く受診したほうがよい場合があるので、病院を受診するタイミングに関してみていきましょう。
不正出血の原因は、排卵出血、無排卵出血、着床出血以外に、ホルモンバランスの乱れやストレスなどの機能性出血などの不正出血がほとんどです。そのため、1日で止まったような場合には、すぐに受診せずに様子を見ても大丈夫です。
不正出血をすると、何か病気ではと心配になり、婦人科受診をためらうケースもあります。しかし、出血が続く場合は、良性のポリープだけでなく、悪性のポリープの可能性もあるので、早めの受診を心がけましょう。
婦人科検診は子宮頸がん、子宮体がん、またその前がん病変状態、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症がわかります。性交渉がある人なら、20歳以上の人は1年に1回は、子宮頸がんの経腟超音波検査を受けることをすすめられています。
もし、半年から1年以内に婦人科検診を受けておらず、不正出血があった場合は、子宮体がんの可能性を考えて、婦人科検診を受けたほうがよいでしょう。経腟超音波検査は、子宮の奥まで検査器具を入れるので痛みがありますが、子宮体がんを早期に発見できます
特に、閉経後の出血には注意が必要です。不正出血を1年前から自覚していたのに検査を受けずにいて、進行した子宮体がんになってしまい、手術と放射線治療が必要になってしまったというケースもあります。
出血中でも診てくれる病院が多いので、すぐに止まらない出血の場合は、出血が止まるのを待ってから受診する必要はありません。出血があれば、炎症している部分を確認しやすいです。最近は、婦人科系のがんが増えているので、悪性のポリープだったとしても、早期に発見することで治癒率がかなり高くなっています。
生理前の不正出血には、排卵時期に起きる排卵出血、排卵をしていない無排卵月経、着床出血、病気が原因の出血などがあります。生理前の不正出血が出たときは、その出血が生理予定日のいつなのか、色の状態、出血量、出血の長さなどで、様子を見ていても大丈夫なものか、それとも婦人科で受診したほうがよいかを判断しましょう。