2018.03.03

人工授精に失敗する原因は?注意点や対処法を知って治療法を決めよう

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人工授精に失敗すると、どうして失敗したのかと悩み、不安な気持ちになるものです。

治療の注意点や失敗しないための対処法を知ることで、悩みや不安が軽くなるかもしれません。

何度も失敗して悩んでいる方は、対処法を確認してから治療の仕方を決めましょう。

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気になる人工授精の失敗理由

妊娠を希望しているとき、不妊治療の中でもつらい人工授精の失敗。

1度の失敗でもショックは大きいのですが、失敗が何度も続くということも。

失敗する原因にはどのようなことがあるのでしょうか?

気になる失敗理由についてを知り、注意点や対処法を考えるきっかけにしましょう。

人工授精に失敗する原因

受精に問題がある

人工授精をするのは、卵子は正常でも精子の数や運動面で問題がある場合、子宮頚管に問題があり精子が通りにくい場合、女性の体が抗精子抗体の場合など、自然妊娠が難しいと判断された場合です。

一般的には、6周期以上タイミング療法をしても妊娠できなかった場合に、人工授精のステップに進みます。

人工授精は1回で妊娠できる可能性は低いといわれているものの、5~6回繰り返しても妊娠できないとなると、それ以上人工授精を続けても妊娠は難しいでしょう。

その場合、何か妊娠できない原因があることが考えられます。

その原因の1つとして考えられることは、精子に障害があるということ。

精液検査が正常であったとしても、卵子に付着しないという精子の受精障害が起こることがあります。

確率は5%くらいで少ないのですが、精子の検査のデーターでは問題なかったとしても、能力が弱かったという可能性もあるのです。

卵を取り出し、精子と出会わせることで、正常に受精するかどうかを確認することができます。

卵管のピックアップ障害

卵管が卵子をうまく取り込めない状態になっていることを、卵管のピックアップ障害といいます。

ピックアップ障害になっていると、受精ができません。

人工授精により、採取した精子を子宮の奥に入れて卵子と精子が出会う確率を高めても妊娠ができないということは、卵管の中で精子と卵子が出会うことができていないということ。

卵管が卵を拾い上げていないピックアップ障害が起こっていることが、妊娠できない原因として考えられます。

卵管の検査では、卵管の通過性についてはわかりますが、ピックアップ障害についてはわからず、人工授精等で精子が卵に出会いにいく周期を重ねた結果で推測するしかないのです。

体外受精であれば、卵管を通さずに受精できるのでピックアップ障害であっても関係なく妊娠を望めます。

卵子の質が低下

卵子の質が低下していることが原因で、赤ちゃんを授かることができないということも20~30%くらいの確率で起こります。

卵子の質が低下する原因として多いのは加齢によるもので、35歳を超えた女性に多いです。

妊娠しても流産してしまう場合、卵子の質が原因だということが疑われます。

卵子の質が良いか悪いかは、超音波でもホルモンを測っても判断できません。

妊娠し、無事に健康な赤ちゃんが生まれたときに、初めて卵子の質が良かったということがわかるのです。

男女ともに原因不明

人工授精は6回までに90%以上の方が妊娠するといわれています。

人工授精を6回行っても妊娠しない場合は、卵管の障害、受精の障害、着床の障害が原因として考えられ、次の体外受精のステップに進むことになるでしょう。

夫婦ともにあらゆる検査をしても、男女ともに原因不明だという結果になることもあります。

妊娠できない原因が特定できればその治療をするなどの対策をとることができますが、原因不明で妊娠できない状態が続くと、不安な気持ちはより大きくなるものです。

しかし、不安な気持ちを抱えてストレスになるのもよくないので、医師の判断を聞き、これからの治療をどうするのかを前向きに考えて検討しましょう。

人工授精に失敗しないための注意点とは?

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長すぎる禁欲期間は置かない

禁欲期間が長いほど人工授精の成功率が高まると思っている方が多いようですが、そんなことはありません。

禁欲期間が長すぎると精子の質が低下するので、人工授精に成功しにくくなるのです。

特に3日以上禁欲期間を置いた場合、精子の運動率が低下してしまい、妊娠率も低下するといわれています。

禁欲期間を置かなくてもいいと指導されるクリニックもあるくらいです。

中には2~3日の禁欲期間を置いてくださいと指導されるクリニックもありますが、それ以上長い禁欲期間は置かないようにしましょう。

タバコを吸うのはやめる

タバコを吸うことは、女性だけでなく男性であっても妊娠率の低下と流産率の上昇を招く原因になります。

臓器に酸化ストレスを与え、体を錆びさせてしまうのです。

精子は特にこの酸化ストレスに弱く、タバコを吸うと精子の質が低下するといわれています。

喫煙者の精子は、運動率の低下、正常な形態の精子の数の低下、卵子との結合率の低下が確認されています。

具体的には、喫煙者の精子と非喫煙者の精子を比べると、喫煙者の精子濃度は15.3%低下、精子の数は17.5%低下、運動精子の数は16.6%低下という研究データが報告されているのです。

妊娠を希望するなら、タバコを吸うのはやめましょう。

夜更かしや乱れた食生活は避ける

夜更かしや乱れた食生活など、不規則な生活を送っていると、ホルモンバランスが乱れてしまい妊娠しにくい体質になってしまいます。

これは女性だけでなく男性にもいえること。

不規則な生活が原因で酸化ストレスを受け続けると、精子の質が悪くなり男性不妊になってしまうのです。

人工授精の成功率を上げるためには、夫婦ともに夜更かしや乱れた食生活を見直し、規則正しい生活を送るようにしましょう。

そうすることで女性はホルモンバランスが整って妊娠しやすい体質になり、男性は健全な精子がつくられるようになります。

人工授精の失敗が多い場合の対処法は?

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一旦治療を休んで心と体を回復させる

人工授精で失敗が続くと、心も体も疲れてしまいます。特に女性は、またうまくいかなかったという精神的なショックが大きく、不安とストレスが溜まってしまい、簡単には立ち直ることができません。

人工授精を続けても妊娠できず心も体も疲れてしまったら、一旦治療を休んで心と体を回復させましょう。

そうすることでストレスが軽減されてリフレッシュできます。

決して多くありませんが、治療を休んで精神面が安定したことで、その間に自然妊娠できることがあるのも事実です。

体外受精にステップアップする

人工授精を5~6回行っていずれも失敗し妊娠に至らなかった場合、体外受精にステップアップするという選択肢が出てきます。

人工授精により妊娠する確率は、平均で10%前後。(正確には、治療を受けた方の年齢や体質や医療機関により確率にばらつきがある。)

つまり、人工授精をした方のうち、妊娠できない方のほうが圧倒的に多いのです。

体外受精にステップアップしたことで妊娠できる可能性はあります。

2012年のデータによると、35歳以下の方の体外受精の成功率は約35~40%。

しかし40歳になると約25%、44歳で10%以下となり、年齢が上がるほど成功率は低くなります。(正確には、治療を受けた方の体質や医療機関により確率にばらつきがある。)

一方で、体外受精にステップアップするとなると、治療費が高くなるので、経済的な負担が増えてしまうということも考える必要があります。

医師と相談し、夫婦でよく話し合ってから決断しましょう。

hcg注射を使用してみる

hcg注射(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)を使用することで、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌が促されます。

卵胞を育てるのではなく、育った卵胞から確実に卵子が出るように排卵を促進させる作用があるのです。

hcg注射をした後、24~36時間後くらいに排卵します。

さらに、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を補う役割もあるので、黄体機能不全などの黄体ホルモンの分泌の異常が原因で不妊になっている方への効果が期待できる治療法です。

黄体ホルモンの分泌に異常がある場合、受精卵が着床してもはがれてしまうことが多く、妊娠が継続できません。

その問題を解決するため、hcg注射により人工的に黄体ホルモンを補います。

夫婦の話し合いで治療の仕方を決めよう

人工授精に何度も失敗してしまうと、落ち込んでしまい、不安な気持ちでいっぱいになることでしょう。

しかし、失敗する原因として考えられることを知ることで、今後の治療をどうしたらいいのかの判断材料になり、不安な気持ちを軽くすることができます。

もう一度人工授精に挑戦する、体外受精にステップアップする、治療を一旦やめるなど、治療の仕方はいろいろです。

夫婦でよく話し合い、今度の治療の仕方をどうしたらいいのか決めましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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