女性の社会進出が増え、晩婚化といわれている中、不妊症は決してめずらしい問題ではありません。
不妊かなと思っても、いざ病院に行くとなると、不安なことが多く腰が重くなる人も少なくないはず。
不妊治療の正しい知識を身に着け、治療を検討してみましょう。
自然妊娠できる確率は、年々低下していく一方。
結婚して子どもがほしいなと思っているのに、なかなかできない人は、そろそろ不妊治療を検討してもいいタイミングかもしれません。
ここでは、不妊の原因や不妊治療の内容などを紹介。
不妊治療を始める前に、知識を増やし、少しでも不安な気持ちを取り除きましょう。
排卵がない場合、卵子を排出することができないので、不妊の原因になります。
排卵が正常におこなわれないのは、無理なダイエットや、ホルモン分泌の異常などが原因。
環境の変化や過度なストレスが、月経不順を引き起こし、排卵障害を招きます。
また、排卵は、卵巣機能の低下に伴い、年齢とともに自然に減少します。
排卵とは、卵胞から卵子がでてくることをいい、排卵日とは卵子が排出される期間のことを指します。
排卵は、妊娠するための最初のステップであり、排卵日が毎月正常であることが、妊娠確立を高める条件でもあります。
卵管が詰まっていると、卵子と精子が受精することができません。
卵管とは、卵子と精子が出会う場所。
卵管が詰まり、うまく卵子を取り込むことができないと、不妊症の原因になります。
卵管通過障害は、卵管炎やクラミジア感染症などが原因です。
とくに、クラミジア感染症は、発症しても症状がないため気づかないことが多く、知らない間に不妊症になっていることがあります。
子宮の状態が悪いと、受精卵の着床が正常におこなわれないため、不妊症になります。
子宮内膜症や子宮内膜ポリープなどは、卵管周囲の癒着など子宮の内膜に異常がある状態です。
この子宮状態では、卵子をうまく取り込むことができないため、妊娠することが難しくなります。
また、子宮の異常は、受精卵の成長にも影響を及ぼします。
妊娠しても育てることができず、流産をしてしまう可能性を高めます。
とくに月経痛がひどい人や、貧血気味の人は、子宮内膜異常の可能性があるので、一度婦人科で検査を受けてみましょう。
精子の数が少ないことや、運動率が悪いのは男性不妊症の原因の一つです。
男性から射精される精子が卵子と出会うことで、受精し、妊娠につながります。
一回の射精で何億匹という精子が、女性の膣に排出されます。
しかし、卵管を通り、卵子と出会うまでには、約99%の精子が死滅しています。
卵子と出会い受精できるのは、たった一匹の精子です。
妊娠するためには、精子が元気であることも非常に重要なポイントです。
有効な勃起が起きないため、性行為がうまくできない、EDなどの勃起障害は男性不妊症といえます。
正常な勃起が起きないと、妊娠のための行為そのものができないため、妊娠することが難しくなります。
EDなどを含めた性機能障害は主にストレスや糖尿病、動脈硬化などが原因です。
また、性行為に関しては問題はなくても、膣内での射精がうまくおこなえない、膣内射精障害という不妊症も存在します。
いずれも、病院で診察を受け、早めに治療していくことが大切です。
超音波検査は、最も一般的な初診の一つで、子宮の状態、卵巣の形や位置を調べます。
検査方法は、主に経膣下と経腹下の二種類。
経膣下は、膣からプローブという器具をいれて検査する方法です。
観察できる範囲は限定されますが、映し出される画像は鮮明です。
経腹下は、お腹の上に器具を当て検査する方法です。
広範囲の検査が可能ですが、映像は経膣下より劣ります。
超音波検査で問題がなければ、子宮内膜症などの子宮障害による不妊症の可能性が少なくなります。
ヒューナー検査は、頚管粘液を採取して、精子自体の活動に異常がないかを調べます。
頚管粘液とは、排卵の数日前から子宮の入り口に存在する、粘り気のある透明な膣内分泌のこと。
その頚管粘液を注射器などで採取し顕微鏡で、頚管粘液中にいる精子の運動率など精子の状態を確認します。
ヒューナー検査は、女性の排卵期に合わせて性交渉をおこない、その当日か翌日に来院し検査を受けます。
ヒューナー検査が良好と診断されれば、男性の精子には異常はないと判断できます。
卵管造影検査は、子宮や卵管の状態を確認するための検査です。
子宮内に造影剤を注入し、レントゲンや超音波を使って調べます。
また、卵管造影検査は、排卵日前におこないます。
卵管の正常な状態とは、しっかり開通しているかが重要です。
開通していれば、卵管に詰まりなどの問題はないと判断できるため、卵管障害による不妊症の心配はないと判断できます。
子宮頚管粘液検査は、排卵日前におこなう検査で、排卵期に分泌される頚管粘液の量と質を調べます。
通常、頚管粘液の分泌により、精子がスムーズに卵管へと入り込むことができます。
精子を問題なく取り込めるだけの頸管粘液が分泌されていれば、妊娠確立は高まります。
しかし、頸管粘液の分泌量が少ない場合、精子が卵管を通りにくくなり、不妊症の原因の一つとなります。
この場合、感染症の可能性もあるので、早めの治療が望ましいです。
精液検査は、男性の射出された精液を採取し、精子の数や濃度、運動率を調べます。
これにより、乏精子症(数が少ない)・精子無力症(運動率が低い)・精子奇形症(正常精子が少ない)・無精子症(精子が存在しない)など、精子自体の問題がわかります。
妊娠確立は、女性側の問題だけでなく、精子の質も重要です。
精子も卵子と同様、年をとるにつれ、減少し質も低下していきます。
元気な精子で妊娠するためにも、できるだけ早い時期に検査を受けることが大切です。
タイミング法は、正確な排卵日を調べ、排卵と射精のタイミングを合わせることで、妊娠確立を高めるという方法です。
健康保険が適用され、1周期(約3回から4回の受診)で約1万円から2万円の費用がかかります。
タイミング法は、自然妊娠を目指し、不妊治療の最初に用いられる治療法です。
排卵周期、粘液の状態や卵胞の大きさから排卵日を確定し、性交渉をおこないます。
結果がでない場合や、排卵が正常におこなわれない場合は、排卵誘発剤を使用します。
人工授精は、男性から採取した精液を、女性の子宮の奥に直接注入する方法です。
病院やクリニックによって異なりますが、健康保険適応外となり、1回につき約2万円から3万円の費用がかかります。
妊娠率の高い日に性交渉をもっても、なかなか妊娠しない場合の次の治療法として用いられます。
また、射精障害や、ヒューナー検査が不良の場合なども効果が期待できる治療法です。
人工授精は人の手を介した治療法ですが、受精から着床、妊娠に至るまでは、自然妊娠と同じ流れです。
体外受精は、卵子と精子を体外で受精させた後、一定期間培養し、体内に戻すという治療法です。
病院やクリニックによって異なりますが、一回につき約20万円から50万円の費用がかかります。
健康保険適応外ですが、助成金を受けることができます。
人工授精を一定期間チャレンジしたが結果が出ない場合の次のステップとして用いられる治療法です。
高度な治療法になるので、他の治療より費用がかかりますが、卵管の閉塞や精子障害などによる重度な不妊症に効果が期待できます。
顕微受精は、体外受精の一種ですが、受精方法に違いがあります。
体外受精は卵子の上に精子をふりかけて自然に受精するのを待つのに対し、顕微授精は精子を卵子に直接注入して受精させます。
体外受精に適応できる精子の数が満たない場合は、顕微授精による治療を受けます。
費用は、病院によって異なりますが、約20万円から100万円程度。
健康保険適応外ですが、助成金が受けられる治療法です。
超高度な技術が必要なため、費用もかかります。
しっかり吟味し、納得のいく病院選びが必要です。
ED治療薬の服用は、勃起障害などに効果的で、1錠1,500円から2,000円の費用がかかります。
基本的にED治療薬は、医師の診療を受けてから、処方してもらいます。
いま、インターネットなどでED治療薬のようなものが簡単に手に入りますが、効果や安全性は不明なため、自分だけで判断して購入しないよう注意しましょう。
男性不妊の場合も、女性の不妊治療と同様、問診などの一般的な診療からはじまります。
その後、画像診断や精液検査を受け、結果に応じた治療を受けます。
20代後半や30代前半の場合は、タイミング法だけで妊娠する確率も高いです。
タイミング法をチャレンジする回数の目安は、約6周期。
年齢や自身の排卵状況にもよるので、病院の先生と相談しながら進めていく必要があります。
結果がでなければ、早めに次のステップに進むのも妊娠確立を高める一つの手段です。
性交渉のタイミングを見極め、妊娠確立を高めるタイミング法は、専門の病院に行かなくても自分で予測することができます。
基礎体温表や排卵検査薬を使って、排卵日を確定する方法です。
ただし、結果がでなければ、排卵期がずれている可能性もあるので、病院を受診するようにしましょう。
人工授精は、年齢にもよりますが、タイミング法より妊娠確立が高い治療法といえます。
ただし、1回の人工授精で結果が出るというわけではないので、数回チャレンジする必要があります。
35歳を過ぎていれば、タイミング法での治療を諦め、人工授精に早めに切り替える決断も大切です。
とくに、受精がうまくできない場合や、卵子の質が低下している場合に効果が期待できます。
不妊の原因は人それぞれです。
先生と相談しながら数回チャレンジし、結果がでなければ体外受精も検討してみましょう。
年齢が上がるとともに、成功率は減少。
とくに40代では15%から20%に下がります。
年齢が上がるにつれ、卵子の老化や、精子の数や運動機能の低下などの問題が生じます。
女性の年齢や排卵状況、卵子の質などによっては、治療方法を早めに体外受精に切り替えるのも、妊娠確立を上げるための方法といえます。
医療の発展や進歩により、体外外受精の成功率は上がってきています。
胚盤胞移植や凍結胚移植など、治療法はさまざま。
せっかく体外受精に挑戦するなら、先生としっかり相談し合って、できるだけ自分にあった治療法でチャレンジしましょう。
顕微授精は、卵子の中に精子を直接注入するので、体外受精よりも妊娠確立は高くなります。
体外受精で妊娠できない場合の次の治療法です。
主に、卵管や卵巣のトラブルで、正常な受精や妊娠がおこなえない場合に効果が期待できます。
自然妊娠に比べると、流産や早産などの産科的リスクは高まります。
体外受精と同様、できるだけ早い時期に治療を決断することが、妊娠につながります。
厚生労働省調べによる「平成23年度特定不妊治療費助成事業における助成対象者の状況」によると、30代になり不妊治療を受ける夫婦が増えだし、35歳を過ぎると急増していることがわかります。
20代前半は、まだ社会にでたばかり。
大きく環境が変化し、心身ともに負担が多い時期です。
体自体は妊娠環境にはありますが、それだけでは子どもをつくるのに適した環境とはいえません。
妊娠や結婚、ましてや不妊について考える余裕もなく、認識も低いのが現状です。
この時期は、結婚し子どもを望めば、1年以内には妊娠するといわれているので、不妊治療はまだ早いかもしれません。
ただし、月経不順や月経痛がひどい場合は、婦人科系の病気の可能性もあるので、一度婦人科を受診してみましょう。
妊娠適齢期といわれる20代後半は、心身ともに安定し、経済的にも心配がなく、色々考える余裕がある時期です。
周りの友達も結婚や妊娠をしはじめるので、結婚や妊娠について考える時間も多くなってきます。
体的にも女性ホルモンの分泌が最高潮に達し、ホルモンバランスも安定。
自然妊娠がしやすい時期といえます。
また、体力の回復も早いため、体力が必要な出産や育児をおこなうには、最も適した年齢といえます。
28歳や29歳で妊娠を希望した場合、妊娠や出産が30代を超えてしまう可能性があります。
子どもを望んでいるにも関わらず、この時期に1年以上妊娠しない場合は、生活習慣の改善や、婦人科を受診してみることを考えましょう。
30代に入ると、自然妊娠の確率が徐々に低下しはじめます。
20代後半と比べ、妊娠力や体力がおちるためと考えられます。
晩婚化が進むいま、30代の妊娠はめずらしくないですが、この時期になかなか妊娠できない場合は、不妊症の可能性も考えられます。
30代前半の不妊治療は、成功率が高く、早めの妊娠が期待できます。
まだ、そこまで焦る必要はない時期ですが、不妊症や婦人科系の病気のリスクは、徐々に高まっています。
こういったリスクは、35歳を過ぎると、急速に増えだします。
早めの妊娠を希望しているのなら、一度検診や治療を受けてみましょう。
30代後半は、高齢妊娠・高齢出産といわれ、妊娠に関してさまざまなリスクが生じ、自然妊娠が難しくなってくる時期です。
この時期は、1年1年が大切。
1年経過ごとに、卵子の数が急激に低下し、質もおちていきます。
不妊かなと感じたら、できるだけ早めに不妊治療を検討しましょう。
30代後半は、不妊症で悩んでいる人が最も多い年齢です。
自分だけと悩まず、不妊治療が受けられる病院やクリニックに行き、一度先生に相談してみましょう。
余計なストレスがとれて、ふと妊娠したなんてことが起きるかもしれません。
まずは、行動してみることが大切です。
40代になると、個人差はあるものの、自然妊娠の確率は急激に減ります。
また、不妊症の場合、45歳を過ぎたら、体外受精や顕微授精を試みても妊娠できる可能性はかぎりなく低くなります。
妊娠を望んでいる場合は、40代前半が、妊娠できるタイムリミットと考え、不妊治療に踏み切りましょう。
40代の妊娠は、婦人科系疾患や産科的リスクだけでなく、胎児異常のリスクも高まります。
母子ともに健康であるためにも、早めに不妊治療を受けましょう。
国は、不妊治療の経済的負担を軽減することを目的に、不妊治療にかかる高額な医療費の一部を負担するための助成金をだしています。
対象となる治療は、特定不妊治療と位置づけられる体外受精と顕微授精です。
女性が対象の場合は、初回治療のみ30万円、2回目以降が15万円が助成されます。
男性が対象の場合は、1回につき15万円です。
助成してもらうには、年齢や所得など条件をクリアしている必要があります。
助成金をもらうための条件の一つとして、所得制限があります。
夫婦合算所得が730万円以上の場合は、助成金を受けることはできません。
ただし、自治体独自の不妊症の取り組みとして、所得制限を設けていない地域もあります。
国の制度とは別に、自分の住んでいる地域の制度も確認するようにしましょう。
助成金がもらえない場合でも、不妊治療にかかった費用は医療費控除の対象になります。
これは、1年間の医療費が10万円を超えた場合のみ利用できる制度で、確定申告で申請すると、支払った税金の一部が戻ってきます。
特定不妊治療は、高額な治療費がかかります。
利用できる制度は、しっかり活用し、できるだけ自己負担を減らしましょう。
「治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦」が対象になるため、妻が43歳以上の場合は助成金をもらうことはできません。
また、年齢により助成金がもらえる回数も異なってくるので、注意しましょう。
助成回数は妻の治療開始年齢が重要になってきます。
39歳までに治療を開始した場合は、42歳までに通算6回。
40歳から42歳までに治療を開始した場合は、42歳までに通算3回です。
詳しくは厚生労働省のホームページで確認することができます。
他の概要についてもチェックするようにしましょう。
指定された医療機関を利用することも、助成金をもらう条件の一つです。
各都道府県・指定都市・中核市ごとに指定されている医療機関が、厚生労働省のホームページ「不妊に悩む方への特定治療支援事業指定医療機関一覧」で確認することができます。
チェックしながら、自分の通いやすい病院を探しましょう。
また、各都道府県・指定都市・中核市ごとに不妊専門相談センターが設置されています。
不妊に関しての知識や情報を提供してくれたり、不妊の専門家が相談にのってくれますので、利用してみましょう。
助成金が受けられる対象として「法律上、婚姻している夫婦である」ことが条件になります。
したがって今のところ事実婚の夫婦は、助成金をもらうことはできません。
また、代理出産や卵子提供なども助成金をうける対象にはならないので、注意しましょう。
この条件に関しては、見直すべきという動きもありますが、地方自治体も追随したところが多いのが現状です。
地域によっては異なる場合もありますので、ホームページで確認するようにしましょう。
参照リンク:厚生労働省 不妊に悩む夫婦への支援について
専門医がいる病院は、不妊の原因がみつかったら、すぐに治療がはじめられるというメリットがあります。
とくに30代や40代で不妊治療を受ける場合は、婦人科ではなく不妊専門の医院または先生がいるところを選ぶようにしましょう。
専門医の先生は、不妊治療に関する知識に詳しく、経験が豊富なため、一人ひとりにあった治療の提案が期待できます。
また、男性医師か女性医師かも重要なポイントです。
できるだけ、不安やストレスなく治療を受けるために、先生の専門性や相性を見極めましょう。
本や雑誌、インターネットなどで、目星のつけた病院の評判を調べることも大切です。
いまの時代、芸能人も不妊治療を受けていることを公表している人も多く、ブログやSNSでチェックすることができます。
各病院のホームページでは確認できない、通っている側目線からの情報を得ることができるため、より詳しい治療内容や費用、雰囲気を知ることができます。
気になるところがあれば、勉強会や相談会を開いているクリニックもあるので、一度訪れてみましょう。
最新の設備が整っている、大学病院や総合病院は、他の科とも連携が取りやすいことが特徴です。
また、多数の診療科があるため、異常が発見されたら、それぞれの専門医からあらゆる治療がすぐに受けられるのも安心できる点の一つです。
大きな病院は、先生の数も多いため、緊急時も対応が可能。
不妊治療・妊娠・出産・産後まで同じ病院で継続してみてもらうことができます。
ただし、担当医制でなかったり、待ち時間が長いというデメリットもあります。
病院選びをする上で、優先したい点を決めておくことも重要です。
病院を選ぶ際、通いやすさも大切です。
不妊治療は、数回通って結果がでるというものではありません。
通い続けることを考え、駅の近くなどの立地条件・自宅から病院までの距離・職場から病院までの距離・時間・利用する交通機関など、あらゆる面から通院しやすいかどうかを考えましょう。
また、車で通院を考えている人は、その病院の駐車場の設置状況や、近くにパーキングがあるかどうかもチェックする大切なポイントです。
できるだけ、ストレスがかからず通院できる病院を選びましょう。
不妊治療専門の病院の先生は、全員が不妊治療に対しての専門知識があるため、細かなメンタルケアから高度な体外受精や顕微授精などの治療も受けることができます。
専門医院のため、通院している人は、ほぼ全員が同じ悩みを抱えた人たち。
待合室で妊婦さんや赤ちゃんを目にすることも少ないので、余計なストレスがかからないのもメリットです。
ただし、専門医院は、全国でみても数が少ないため、人気がある病院は予約がとりにくく、待ち時間も長いです。
妊娠を望むことは、夫婦の問題です。
病院選びは、どちらか片方に任せるのではなく、夫婦そろっておこないましょう。
卵管の詰まりなどの異常がわかる卵管造影検査では、治療中痛みを感じることがあります。
造影剤の逆流を防ぐために、子宮の中に管を入れて風船を膨らますとき、子宮が圧迫され、痛みが発生します。
また、造影剤を流した際にも、卵管が非常に細いため、流れるときに強い痛みを感じることがあります。
痛みの感じ方は、人それぞれ。
病院によっては、痛み止めを処方してくれる場合もあります。
体外受精の治療で、卵子を採取するときに、針を卵胞まで刺す必要があります。
この際、細菌が入り込んでしまい、感染症を引き起こす可能性があります。
採卵後に、強い腹痛や熱が出た場合は、感染症の可能性があるので、すぐに病院で診察を受ける必要があります。
症状や炎症によっては、治療を途中で中断しなければならない場合があります。
排卵誘発剤の投与により、双子や三つ子などの多児妊娠の可能性が高まります。
排卵誘発剤とは、排卵を促したり、卵子を育てたりする目的で投与される薬のこと。
誘発剤の作用により、2つ以上の卵子排卵されるため、自然妊娠よりも多胎率が上がり、出産リスクも高まります。
なお、投与する誘発剤の種類によって、多胎率は異なります。
また、誘発剤の副作用として、気分が悪くなる場合があります。
仕事との両立も考えながら投与する必要があります。
体外受精や顕微授精などの生殖補助医療は、男性不妊の遺伝が問題視されています。
とくに、顕微授精は、受精方法からもその可能性が高いといえます。
原因としては、卵子に直接精子を注入し受精させる技術が、自然受精するときと、伝達情報が異なるためとされています。
あくまでも可能性なので、不妊治療を受ける人全員が、リスクを発症するわけではありません。
ただ、自然に妊娠し問題なく出産することが、どれだけ難しく奇跡的なことなのか、不妊治療のリスクを通し考えることが大切です。
ビタミンEは、排卵の促進・血行促進・冷えむくみ解消・ホルモンバランスの調整などに効果が期待でき、妊娠しやすい体づくりには欠かせない栄養素です。
また、活性酸素を除去する作用もあり、体内の老化を防ぎます。
おもに、カボチャ・ホウレンソウ・モロヘイヤなどの緑黄色野菜から摂取することができます。
妊娠前だけでなく、妊娠中も胎盤の血流を促してくれるため、継続してとり続けたい栄養素です。
ポリフェノールは、活性酸素を除去する、抗酸化作用の高い栄養素です。
活性酸素とは、日常生活において自然に体内に発生する物質のこと。
過剰に発生すると、妊娠に必要な細胞まで傷つけ、老化させてしまいます。
ポリフェノールは、活性酸素を体内から除去し、卵子などの老化を防ぐ働きが期待できます。
ポリフェノールを含む食材で有名なのが、ルイボスティー。
赤ちゃんにも害がないので、妊娠前から継続して飲むようにしましょう。
ビタミンB群は、タンパク質・糖質・脂質を体内に吸収するのに役立つ栄養素です。
おもに、肉のレバー・マグロ・サバ・バナナ・イチゴ・ホウレンソウなどから摂取することができます。
ただし、ビタミンは水溶性のため、水に溶けやすいという特徴があります。
茹ですぎや洗いすぎなど、調理方法には注意しましょう。
また、ビタミンB群は、葉酸の働きを高める効果も期待できます。
葉酸は妊活には欠かせない栄養素。
卵子の発育を促し、流産や胎児の先天性奇形などの予防にも効果的です。
ビタミンB群や葉酸は、食べ物からだけでなく、サプリメントでも摂取することがおすすめです。
タンパク質は、栄養を細胞に届け、働きを促す作用がある栄養素です。
筋肉・血管・内臓・骨などはタンパク質からつくられます。
また、妊娠するために必要な精子や卵子の質を高める効果が期待できるため、妊活中から積極的に摂取したい栄養素です。
おもに、肉・魚・大豆食品・卵などから補えるため、朝昼夕それぞれで簡単に摂取することができます。
納豆や味噌汁、卵焼きなど、簡単な料理から取り入れていきましょう。
亜鉛は、粘膜をつくったり、子宮環境を整えるのに役立つ栄養素です。
また、妊娠初期は、胎児の細胞分裂を促進する働きも期待できるため、妊娠前から摂取したい栄養素です。
亜鉛は、偏った食生活や極端なダイエットで、不足しがちな栄養素。
亜鉛不足になると、女性ホルモンの働きが低下し、卵子の成長にも問題が生じる可能性があります。
生活習慣を見直し、亜鉛不足に陥らないよう注意しましょう。
妊娠しやすい体型とは、標準体重にちかいことをいいます。
痩せすぎていても、太りすぎていても、妊娠しやすい体型とはいえません。
かといって、無理なダイエットも不妊治療中には、よくありません。
ホルモンバランスが崩れ、生理周期の乱れにつながります。
ひどい場合は、無月経の原因になる可能性もあるので、極端なダイエットはやめましょう。
不妊治療中は、バランスのよい食生活が何より大切です。
栄養素や摂取カロリーを気にすることが、妊娠しやすい体づくりにつながります。
睡眠不足に気をつけ、毎日、規則正しい生活を送ることを心がけましょう。
乱れた生活習慣が継続すると、体の免疫力が下がり、ホルモンバランスも乱れ、不妊の原因となります。
生理不順により排卵が不規則になったり、活性酸素の発生により卵子が老化するなど、妊娠するための機能がどんどん低下してしまいます。
妊娠しやすい体や環境をつくるためには、夫婦それぞれの生活習慣を見直すことからはじめてみましょう。
不妊治療中は、体を温め、血行をよくすることが大切です。
季節を問わず、薄着や冷たい飲み物はできるだけ避け、とくに冷えやすい下半身を重点的に、常に温めておくよう心がけましょう。
体が冷えると、血行が悪くなり、子宮や卵巣に栄養素が行き渡らなくなります。
結果、子宮環境が悪くなり、着床障害などを引き起こす可能性があります。
体を温め、血行を良くすることが、子宮環境をよくして妊娠しやすい体をつくりあげます。
お酒やたばこの過剰摂取は、ホルモンバランスを乱し生理不順の原因となったり、卵子の質を低下させます。
妊娠を望んでいる人にとっても、胎児にとっても悪影響です。
お酒は飲み過ぎると、妊娠に必要な葉酸の吸収を抑制、体内は慢性的な葉酸不足になります。
タバコの吸い過ぎは、体内のビタミンCを大量に消費し、ニコチンの血管収縮作用により、体内の血流が悪くします。
不妊治療中は、夫婦そろって控える努力をしましょう。
過剰なストレスにより、自律神経のバランスが乱れ、ホルモンの分泌が低下し、排卵が抑制、不妊の原因となります。
不妊治療中は、周囲の言葉に敏感になりがち。
気持ちが安定せず、ストレスが多い環境といえます。
妊娠しやすい元気な体と心を維持するためにも、できるだけストレスを溜め込まないように心がけましょう。
買い物や旅行など、自分なりのストレス発散方法をみつけることがポイント。
ウォーキングやジョギングなど、軽い運動を日常に取り入れてみるのもおすすめです。
妊娠は、年齢を重ねるにつれ難しくなります。
子どもを望んでいるにも関わらず、なかなか妊娠できないと感じている人は、早めに病院を受診することが妊娠への第一歩です。
不妊の原因の特定が早ければ早いだけ、妊娠する確率が高まります。
不妊治療は、不安なことも多く、勇気のいることです。
決して一人で悩まず、パートナーや家族、病院の先生と一緒にチャレンジしていきましょう。