赤ちゃんを授かりたいのになかなか授からない、そんな悩みを抱える人はたくさんいます。
その中には、不妊治療を受けようか悩む若い女性も増えてきており、不妊外来は不妊に悩む女性たちで、いつも混み合っているのが現状です。
それだけ多くの方が受ける不妊治療ですが、不妊の治療方法には種類があり、方法別によってかかる費用や妊娠の確率に、違いがあることをご存じでしょうか。
一体どのような方法があって、それぞれの費用がどのくらいかご存知でしょうか。
この記事で治療方法をよく理解し、あなたに合った授かりやすい方法を是非見つけてみてくださいね。
不妊治療にはステップがあり、そのステップごとにさまざまな方法があります。
まずは不妊治療を始めるにあたって、不妊の原因を調べる検査を行います。
検査には、超音波検査、血液検査、子宮卵管造影検査と、主に3つの種類があります。
超音波検査では、子宮の大きさや位置、動きなどを見て、子宮筋腫や卵巣腫瘍、子宮内ポリープ、多嚢胞性卵巣など、不妊治療を始める前に、治療が必要な病気の有無を調べます。
血液検査では、卵胞の成熟を促す卵巣刺激ホルモンや、排卵を促す黄体化ホルモンなどを調べ、妊娠の妨げの原因となる甲状腺の異常や、クラミジアの感染症の可能性を検査します。
その結果、甲状腺の異常やクラミジア感染の可能性がある場合には、そちらの治療を先に行うことになります。
子宮卵管造影検査では、子宮内にカテーテルという器具を挿入し、造影剤を入れてX線検査をし、卵管のつまりがないかの検査を行います。
この検査によって、卵管が広がって卵子の通りがよくなることがあり、妊娠しやすくなることもあります。
タイミング法とは、排卵日に合わせて性行為を行う方法で、受精の確率を上げる不妊治療の中で、最も自然に近い形で妊娠をするための治療方法です。
排卵日を知るために、まずは一定期間、基礎体温の計測を毎日行って生理のリズムをつかみ、低温期と高温期を把握することが重要です。
排卵は、低温期の一番体温が下がる前の日から、高温期になるまでの間に行われますので、このタイミングを計って、性行為を行います。
基礎体温とは、朝一番の目覚めたときの安静時の体温のことです。
基礎体温をつける際には、必ず口内の舌の下に挟んで計測する「婦人用体温計」を使用して、朝目覚めたらすぐに、起き上がらずにそのまま寝た状態で、安静にして計測しましょう。
また、基礎体温は体調やホルモンのバランスによって、変化することがあるため、最低でも3カ月は基礎体温を記録し続けて、自分の基礎体温の高温期と低温期を、しっかりとつかんでからタイミング方法を行います。
基礎体温にプラスして、排卵検査薬を使用すると、さらに正確に排卵日を予測できます。
排卵検査薬とは、尿中のLH(黄体形状ホルモン)の濃度が高くなることで陽性反応となり、陽性反応が出てから約40~48時間の間に、排卵することを予測できる検査薬です。
LH(黄体形状ホルモン)とは、排卵の直前に一気に分泌量が上がるホルモンです。
よって、排卵検査薬を使用し、LH(黄体形状ホルモン)の濃度が高くなったことを確認することで、排卵日をより正確に把握できます。
そのタイミングでタイミング法を行うことで、妊娠の確率を上げられるのです。
不妊には、男性側にも原因があることが多いです。
男性不妊症は、精液検査によって、精子の確認ができない無精子症、乏精子症、精子無力症、膿精液症、性機能障害、射精障害など、さまざまな原因があります。
こういった原因がある場合に、効果的な男性の不妊治療法を紹介します。
この男性不妊の効果的な治療方法として、まずは人口受精があげられます。
精子が正常に作られている場合には、精子を人工的に女性の卵子と受精させる治療法です。
また、精子を女性の子宮内に、器具(カテーテル)を使用して直接注入する、体外受精という治療方法もあります。
どちらの場合も、精子が正常に作られていることが条件であり、精液から精子が採取できない場合には、精巣精子採取術という、精巣から精子を取り出す手術を行うこともあります。
排卵をする力が低下して排卵がない人や、排卵はあるけれど、なかなか妊娠をしないなどといった場合には、排卵誘発剤を使用して、人工的に排卵を促す治療方法があります。
排卵誘発剤とは、卵子を育てる働きを促す薬で、卵子を刺激して卵巣で育つ卵胞の数を増やし、良質な卵子を育てる効果があります。
卵子を包んでいる卵胞の数が増えると、排卵率が高くなるため、受精の確率があがる自然妊娠に近い治療方法です。
顕微授精とは体外受精と同じように、子宮の外で、人工的に精子と卵子を受精させる治療方法です。
体外受精との違いは、多量の精子の中から卵子との受精を行いますが、顕微授精の場合は、1匹の精子をピンポイントで卵子へと送り込みます。
細い針を使用して、卵子に差し込んで精子を送り込みます。
そのため、万が一、精子の力が弱くても、精子自身の力で受精をさせる体外受精よりも、受精の確率が高い治療方法となっています。
不妊治療には、さまざまな治療方法がありますが、各費用はどのくらいかかるのでしょうか。治療方法別に費用を紹介します。
血液検査によってホルモン検査を行う場合は、保険が適用となって費用は約2,000円です。
そのほかは自費となり、超音波検査には約10,000円、また、子宮卵管造影検査は約6,000円~15,000円、さらに、子宮卵管造影検査を行わずに、卵管通気・通水検査を行うためには約2,000円の費用が掛かります。
これらをすべて合わせると、約20,000~30,000円の費用がかかります。
男性の不妊検査では、精液検査にて精液の量や精子の濃さ、精子の運動率や運動量、精子の形状などの検査を行います。
病院によって異なる場合もありますが、2~5日間の禁欲期間後の精液を、病院または自宅で採取して、精液の検査をします。
費用は、保険適用である精子量や運動量の基本項目は、1回あたり約300円から1,000円程度で行えて、保険適用外の検査の場合には5,000円から30,000円と、病院によって差があります。
この検査は自分でもでき、市販の精液検査キットを使用しても行えますが、あくまでも簡易的なものであるため、病院よりも検査結果の正確さは劣ります。
この検査キットは、約1,500円から8,000円で、インターネットなどで購入が可能です。
精液は、体調やストレスなどによって変化しやすいので、精液検査は数回は行うことが望ましいです。
そのため、検査の回数分、費用がかかることを覚えておきましょう。
タイミング法では、初診、排卵日の検査、排卵の確認と、少なくとも3回の受診をします。
受診の費用は、保険の適用で1回3,000円前後です。
1周期に3回ほどの受診となるため、1周期当たりの費用は約10,000円となります。
しかし、卵子の大きさを調べる超音波検査が、月に2回以上となった場合には保険適用外となるため、1回の受診で約4,000円前後となります。
また、卵子の成長が遅く不規則な場合にも、詳しい検査のために受診回数が増えますので、回数分の費用がかかります。
不妊治療は、保険適用外となる治療方法が多いこともあり、高額となります。
たとえば、高度な不妊治療を行う場合、1回あたりの費用は、人口受精で10,000円、体外受精では20万円を超えてしまいます。
治療のほかにも、1周期に受診料や投薬料などの費用もかかるため、医療機関によっても異なりますが、人口受精の場合には約30,000円、体外受精には約30万円~50万円かかります。
不妊治療を行う際に、国や自治体から助成金が出ます。
特定不妊治療である体外受精、顕微授精、凍結胚移植など、高度不妊治療の対象となる生殖補助医療であるARTは、厚生労働省が実施している「不妊に悩む方への特定治療支援事業」より、全国どこでも助成金を申請することが可能です。
この国の助成金を受けるためには、以下の要件があります。
1. 所得制限があり、夫婦合算で年収730万円以下であること
2. 特定不妊治療に要した費用に対し、1回の治療につき助成限度15万円、排卵を伴わない凍結胚移植の場合は、1回の治療につき助成限度75,000円
3. 通算助成回数は、初めて受精を受けた際の治療機関の初日時点での妻の年齢が、40歳未満の場合は6回まで、40歳以上の場合は3回まで
4. 排卵を伴わない凍結胚移植以外の初回の特定不妊治療に限り、助成限度30万円
5. 特定不妊治療のうち凍結胚移植以外で、精巣または精巣上体から採取する手術を伴った場合、初回及び1回の治療につき助成限度15万円
また、各自治体によって独自の不妊治療費用の助成を行っている地域もあります。
国の助成金と合わせて、助成を受けることが可能なので、お住いの地域に助成制度があるか、また、どのような助成制度であるのかを確認しましょう。
不妊治療には、タイミング法の自然に近い治療法から、人口受精の高度な治療法までさまざまな方法があり、高度になればなるほど、費用の負担も大きくなりますが、その分、妊娠の可能性も高くなります。
自分の納得のいく治療法を行い、使える助成制度などはしっかりと利用して、費用面の負担も軽くし、不妊を改善して妊娠という幸せを授かりましょう。