不妊症の治療者は、年々増加傾向にあります。
不妊症の人の割合は、現在では5組に1組のカップルが不妊の時代と言われる程、不妊に関する問題は人ごととは言えない社会問題となっています。
そこで今回は、不妊症の治療を受けている人の年齢別割合や、不妊症の原因、不妊症治療に成功した人の割合など、不妊症に関わる割合を見ていきましょう。
ぜひ参考にして、治療に向けて動き出す足掛かりにしてくださいね。
子どもがほしいと思いながらも、なかなか授かることができず、自分が不妊症かもしれない、という不安にかられている人もいるでしょう。
人には相談しづらく、1人で悩んでいる人が多い問題でもあります。
不妊症で悩んでいる人はたくさんいます。
「不妊症」というとひとつの病気のようですが、その原因はさまざまで、治療法も原因によって変わってきます。
不妊症の原因や治療に取り組んでいる人の割合など、不妊症にまつわるさまざまな割合を知ることで、一歩前に踏み出す足掛かりにしてください。
不妊症に悩んでいる人が増えているという話を耳にすることがあります。
実際に、不妊症に悩み、不妊治療に取り組んだことのある人はどのくらいいるのでしょうか。
国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに実施している出生動向基本調査のデータを基に年齢別の割合を確認してみましょう。
2015年に調査を実施した第15回の出生動向基本調査によると、20代で不妊症の検査を受けたことがあるもしくは不妊症治療に取り組んだことがある夫婦は約11.9%です。
20代では、自然妊娠の確率も高いため、30代、40代と比較すると、検査や治療を受けている割合も低い傾向にあります。
また、20代で不妊の心配をしたことがある夫婦が約29.9%なので、不妊かもしれないと悩みながらも検査や治療に踏み込んでいない夫婦が6割以上であることが分かります。
同じく第15回の出生動向基本調査によると、30代で不妊症の検査を受けたことがあるもしくは不妊症治療に取り組んだことがある夫婦は約18.6%と、20代の11.9%を大きく上回ります。
少しずつ自然妊娠の確率が低くなり、不妊治療に取り組む人が増えてくるということでしょう。
検査や治療に取り組む夫婦の割合も増えますが、不妊の心配をしたことがある夫婦も約38.5%に増えます。
30代になると、不妊を心配した夫婦の半数が不妊症の検査や治療に取り組んだことになります。
同データによると、40代で不妊症の検査を受けたことがあるもしくは不妊症治療に取り組んだことがある夫婦は19%と、20代、30代と比較してもっとも高い割合で不妊症対策に取り組んでいることがみえてきます。
年齢を重ねるごとに自然妊娠が難しくなっていくので、不妊症の解決に取り組む夫婦の割合も増えています。
40代で不妊の心配をしたことがある夫婦は33.4%です。
20代とは逆に、不妊を心配する夫婦のうち、6割近くが検査や治療に踏み出しています。
年齢的に、治療をせず、自然妊娠の可能性にかけることが難しくなっていることが要因といえるでしょう。
第15回の出生動向基本調査の結果によると、20代~40代の夫婦全体では、18.2%が不妊症の検査や治療を受けたことがあることが分かります。
6組に1組の夫婦は不妊治療の経験があるということになります。
2010年に実施された前回調査では16.4%だったので、不妊治療に取り組む人の割合は増加傾向であるといえます。
また、子どもがいない夫婦に限定すると、不妊症の検査や治療を受けたことがある夫婦は28.2%と数字が跳ね上がります。
子どもがいない夫婦では、4組に1組が不妊治療に取り組んでいるという現実がみえてきます。
なかなか子どもを授かることができないと、女性側に原因があると思われがちで、女性自身も自分に問題があると抱え込むことが多いのですが、不妊症の原因は、女性側にあることもあれば、男性側にあることもあります。さらにいえば、どちらにも原因がみあたらず、原因が分からないケースもあります。
不妊症の原因の割合はどのようになっているのでしょうか。WHO(世界保健機構)が発表した統計を基にみていきましょう。
WHOの統計によると、不妊症の原因のうち41%が女性側にあるとされています。女性側の不妊の原因として考えられるものには次のようなものがあります。
・排卵障害
・卵管障害(癒着、閉塞、狭窄)
・子宮の問題(子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜症など)
・卵巣機能不全
・その他原因不明など
不妊症というと、女性側の原因を想像しがちですが、男性側の原因であるケースが24%という調査結果がでています。男性側の不妊の原因として考えられるものには次のようなものがあります。
・性交障害(性行為がうまくいかない)
・造精機能障害(無精子症、乏精子症、精子無力症)
・精路閉鎖
・その他原因不明など
WHOの統計によると、女性か男性のどちらかに原因がある場合以外に、男女の双方に原因があることが24%あることが分かっています。
となると、あと11%の原因はどこにあるのでしょうか。
実は、不妊症の原因の11%については、原因が不明とされています。
女性側にも男性側にも原因が見当たらず、不妊症となる原因が分からないケースです。
不妊症は、さまざまな原因が複雑に絡み合っていることが多く、原因をひとつに特定することが困難です。
子どもを授かりたいと考えている場合には、なるべく早めに専門医に相談しましょう。
その際にはどちらか一方ではなく、男女双方の検査をしてもらうようにしましょう。
不妊症の治療に取り組んでいる人の割合が分かると、次に気になるのが不妊症治療の成功率です。
どのくらいの割合で不妊症の治療に成功し、子どもを授かることができたのでしょうか。
治療法ごとの成功率をみていきましょう。
女性の排卵のタイミングに合わせて、性行為をする治療法をタイミング法といいます。
排卵日は月に1回しかないので、そのタイミングを逃さないようにすることが重要です。
妊娠しやすいのは排卵日の2~3日前といわれています。
基礎体温から自分で排卵日を予測することもできますが、なかなか妊娠しない場合は、病院で診察を受け、排卵日を正確に把握することで妊娠の可能性は高くなります。
タイミング法の成功率は約20%で、とくに不妊症の原因となりうる問題がない夫婦であれば、80%が1年で妊娠に至るといわれています。
人口受精は、女性の排卵のタイミングを見計らって、男性の精液を人為的に子宮内に注入する方法です。
女性側の排卵があること、卵管が詰まっていないこと、男性の精液のなかに活発な精子が一定数いることが条件になります。
人口受精の成功率は10%前後といわれており、1回で妊娠できるという治療法ではありません。
人口受精を5~6回続けておこなっても妊娠しない場合には、次の治療のステップに進むことを検討してみましょう。
タイミング法や人工授精でも妊娠しない場合、体外に取り出した卵子と精子を体外で受精させる体外受精や体外に取り出した卵子に、極細の針で精子を注入する顕微授精という治療に進むことになります。
体外受精や顕微受精が成功する割合は約16%で、そのうち実際に赤ちゃんが産まれたのは約12%という調査結果がでています。
日本産婦人科学会の発表によると、2015年に行なわれた体外受精は42万4,151件で、5万1,001にんの赤ちゃんが誕生しました。
2015年に誕生した赤ちゃんの20人に1人が体外受精によって生まれた赤ちゃんということになります。
不妊症かもしれないという悩みは人に相談しづらいものですが、悩んでいるうちに年齢を重ねてしまい、さらに妊娠しづらい状況になってしまうこともあります。
不妊症は女性だけの問題ではありません。
子どもがほしいと望んでいる場合には、夫婦そろって一度検査を受けてみましょう。
原因が特定できれば、治療にも早く取り掛かることができ、自らの力で妊娠の確率を上げることができます。
これを機に一歩前に踏み出してみてはいかがでしょうか。