不妊症と聞くと、何かの病気かと思われるかもしれませんが、不妊症とは症状の事であり、病気ではありません。
しかし、性生活を送っていても妊娠しないことに、大きな不安を抱えている人もたくさんいます。
そのような方たちに向けて、ここでは不妊症の特徴や原因、悩む前に知ってほしいことについて解説していきます。
子供を願う夫婦にとって、不妊症かもしれない、という悩みはとても重いものです。
夫婦間でもなかなか相談しあえず、悩んでいる人もたくさんいます。
悩む気持ちを少しおさえて、まずは不妊症の特徴などを知っておきましょう。
今の状況をきちんと把握することで、前向きな対策がしやすくなります。
不妊症は「症」とついているように、病気ではなく症状を指します。
まずは悩む前に、どんな状態なら不妊症を疑うべきか、知っておいてほしいことを2つお伝えします。
メルクセローノ株式会社の調査によると、男性4人に1人、女性3人に1人が不妊で悩んだ経験を持っています
また、既婚男性では23.5%、既婚女性では30.5%が妊活を経験していることが分かりました。
さらに不妊治療を受けた人は、女性だと7人に1人という結果も出ており、多くの人が妊娠するということに対して悩みを抱えているのです。
だからこそ、誰にでも「不妊症かもしれない」と悩む可能性は十分にあります。
避妊せずに性生活を送った場合、半年で7割、1年で9割近い夫婦が妊娠するといわれているためです。
2年もすれば、ほとんどの夫婦が妊娠するとされています。
しかし妊娠できない、あるいは妊娠させることができない理由はとても多岐にわたり、それらが絡み合って不妊という状態を作り出しています。
ですが、不妊症とは症状であり病気ではありません。
不妊であること自体で、何かしら症状が出るわけではないからです。
不妊症というと、女性の問題というイメージが日本ではまだまだ根強く残っています。
しかし女性だけの問題ではない可能性は、十分にあります。
世界保健機関(WHO)の調べによると、不妊症の原因は41%が女性側と確かに多いのですが、不妊症の男女のうち原因は24%が女性男性ともにあり、24%が男性側となっています。
つまり、48%の割合で男性に原因があり、女性だけが妊活や不妊治療を受けても、結果として改善しないことは十分に考えられます。
そのため、夫婦で妊活や不妊治療に臨むことが、とても重要になるのです。
女性側の原因は、月経異常によって正常に卵子が排卵されない場合や、性感染症・骨盤腹膜炎を経験したことで子宮頸管や卵管に炎症が起きていた場合も原因になります。
月経周期が正常だったとしても、実際は排卵が行われていない無排卵月経の可能性もあります。
また冷え性や夜更かしといった、個人の特性や過ごし方によっても、子宮や卵巣、ホルモンに影響が出る場合もあります。
年齢も一つの目安とされており、35歳以上になると体内の卵子も同じく35歳以上となり、その分だけ元気がない卵子となってしまい、妊娠しにくくなるのです。
たとえば小児期の病気でヘルニア手術や停留睾丸の手術を受けていると、実は精液の通る管が詰まっていたり、実は精子が作られていなかったという可能性もあります。
また、おたふく風邪にかかったあと高熱が続いた経験や、睾丸炎の経験がある場合。成人期の糖尿病も、男性側の不妊の大きな原因となりかねません。
糖尿病は勃起障害、射精障害、重度のものになると精子をつくる力そのものが低下します。
また男性不妊の可能性がある特徴として、左右の精巣の大きさが違う、睾丸が柔らかくて小さいというものがあげられます。
これは精液を作る量が少ないために、良質な精子の数も少ないということが理由と考えられています。
男女ともに自覚症状が無い場合は、どちらか、あるいは両方が「抗精子抗体」という免疫を持っている可能性もあります。
これは男性なら精子が極端に少なくなったり、女性なら精子を受け入れても卵子にたどり着けないことが起きたりします。
不妊に悩む男女の3%が抱える原因という報告もある免疫です。
また不妊症の場合、原因不明という可能性も十分にありえます。
ただし、全く原因がないのではなく、検査ではみつけることのできない要因が絡んでいるということです。
その場合は症状をみながら、不妊治療にトライしていくことになります。
女性の場合は産婦人科で基本検査が行われ、また男性の場合は、男性は泌尿器科で精液検査を行うことで不妊症かどうかが分かります。
特に異常が見られなければ、まずは排卵に合わせて射精が行われるようにトライする、タイミング療法がおこなわれます。
それで結果が出なければ、次の治療に移るというように、夫婦それぞれの原因やペースに合わせてステップアップするような形で治療法が選択されていきます。
これをステップアップ療法といい、なによりも夫婦の希望が重視されます。
不妊症かもしれない、と悩むと、なかなか検査には行きにくくなりがちです。
頑張っていることを否定されるようだと、我慢してしまう人もいます。
ですが、年齢を重ねるごとに体力的にも辛くなることを考えると、不妊症は原因を測定して早めに治療することが何よりも大切です。
もし少しでも怪しいと感じたら、一度婦人科や泌尿器科で検査を受けてみましょう。
自分の状態を正しく知ることも、不妊治療への第一歩です。