不妊症の原因②～卵管因子による不妊とは？

卵管は、卵巣から放出された卵子を取り込み、受精した卵子を子宮へと運ぶ細い管のことです。

子宮の両側にあり、直径は細い所で１mm未満しかありません。

その卵管に癒着・閉鎖・炎症が起きていると、卵子の位置まで精子が辿り着くことができません。

受精しても、その受精卵が子宮へと移動することは容易ではありません。

そのような卵管のトラブルのことを卵管障害・卵管因子と呼んでいます。

女性の不妊原因で最も多いとされるのがこの卵管因子による不妊です。

卵管因子による不妊は、不妊症の35％を占めています。

卵管因子を引き起こす原因に、卵管炎や子宮内膜症がありますが、最も多い原因はクラミジア感染症です。

◆卵管因子の主な原因について

1.クラミジア感染症

クラミジア感染症はクラミジアトラコマティスという病原体に感染することで起こります。

おりものや腹痛・出血の症状が出る場合もありますが、初期では自覚症状がほとんどありません。

慢性化して炎症が広がり、体に異常があった時に、初めて病院で検査してわかるという場合が多いです。

クラミジアは子宮頸管に感染し、子宮内へと移動し、卵管へと辿り着きます。クラミジアに一度かかると、子宮頸管炎や子宮内膜炎・卵管炎を発症し、卵管を通り過ぎると、腹膜炎をおこすこともあります。

治療は抗生物質の服用です。

夫婦間での再感染を防ぐため、共に治療を行う必要があります。

2.子宮内膜症

子宮内膜症とは、簡単に言うと子宮の内側にある子宮内膜組織が、卵巣や卵管・腹腔内・直腸の表面に発生し、増殖してしまう病気です。

月経期になると子宮内膜は剥がれ落ち、体外へ排出されますが、他の臓器に発生した場合は排出される場所がないため、出血した血液は、その臓器内部にたまってしまいます。

毎月出血が繰り返されることで、その部分が炎症をおこしたり他の臓器や組織と癒着したり、様々な症状を引き起こします。

卵管に発生した場合は、卵管癒着を起こし卵管障害に繋がりますし、子宮の筋層に発生すると子宮腺筋症になり、それが原因で着床障害になる恐れもでてきます。

卵巣内で内膜組織が増殖すると、血液がたまり卵巣が大きく腫れてしまいます。

これが「チョコレート嚢胞」と呼ばれ、そこから排卵障害になってしまう人も少なくありません。

このように、子宮内膜症は場所によって不妊の原因に繋がる恐れがあるのです。

◆卵管因子の対処療法について

1.クラミジア感染症における検査法と対処法

検査方法は、まず血液採取して抗体検査で調べます。

一度でも感染したことがあれば陽性反応が出るので、不妊治療の検査には必ず含まれます。

ただ血液検査では現在感染しているかどうかがわからないので、抗原検査が行われます。この治療法は、1～2週間抗生物質を服用すれば簡単に治ります。

2.子宮内膜症における検査法と対処法

診断方法としては、超音波、ＭＲＩの画像検査で子宮や卵巣に腫れものがないかどうかを調べることから始まります。

チョコレート嚢胞の癌化を未然に防ぐ目的もあり、腹腔鏡や開腹手術を行う場合が、従来は多かったのですが、チョコレート嚢胞を切除すれば、かなりの数の原始卵胞を失い、卵巣予備能が下がることがわかってきました。

このため、現在では一律に手術をお勧めするのではなく、注意深く観察しながら不妊治療を進めていくケースが多くなっています。

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