2017.06.29

不妊症の原因⑤~免疫因子による不妊とは?

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人間には、細菌やウイルスなどの外敵と闘い自分を守るための防衛反応として免疫という仕組みが存在します。
体内に侵入した異物を体外に排出したり、殺したりすることで、身体を守るために大切な機能の一つですが、時に抗体といわれる免疫の力で体内を攻撃してしまうことがあります。

この免疫の異常反応が原因となり、精子や卵子・精巣・卵巣の正常機能や受精・着床を妨げることがあるのです。
こうした免疫異常が、免疫因子となります。

身体の防御機能が本来害ではないものに対して過剰に反応し、排出しようとする免疫機能の異常は、卵子や精子に対しても起こることがあります。

なぜ自分自身が作り出す卵子や卵巣を異物と判断してしまうのか、精子や受精卵を異物として排出しようとしてしまうのかについては、未だ完全に解明はされていません。
現在解明されている免疫因子に関しては、大きく分けて2つあります。

それは、抗精子抗体抗透明帯抗体です。

◆抗精子抗体と抗透明帯抗体について

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1.抗精子抗体

女性の頸管粘液の中に、精子を異物として認識して攻撃する抗精子抗体が存在することがあります。
何らかの免疫異常で抗精子抗体が作られしまうのです。

特に精子の運動を止めてしまう精子不動化抗体を産生する女性では、抗体が頸管粘液内にも分泌され、例え運動性の良い精子でも通過を妨げてしまいます。
精子は動きが悪くなり、全く動けなくなったりするので、子宮腔へ進めなくなり、受精することもできなくなります。

また卵管内にも精子不動化抗体は分泌され、人工授精で精子を子宮腔の奥まで注入しても、卵管内でその通過が妨げられてしまいます。
受精の場面でも、精子不動化抗体は精子が卵子と結合することを妨害し、不妊症になることがあります。

抗精子抗体は、自分の体の中にもともと存在する成分に対してできる自己抗体として男性の体からも検出される場合もあります。

2.抗透明帯抗体

卵細胞の周囲を取り巻く透明帯は、精子を認識したり、多くの精子が受精することを防ぐなどの役割を担っています。
これに対する抗体である抗透明帯抗体は、卵胞の発育や受精における精子の結合、精子の先体反応の誘起障害、透明帯からの胚の脱出障害の原因となる可能性があるといわれています。

免疫因子によって阻害される頻度は3%程度とそれほど多くありませんが、不妊の原因の一つとして知っておくことが重要です。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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