痛みを感じることが多い体外受精。どうしても憂鬱になってしまいます。
ここでは、体外受精での痛みの原因や、痛みを軽減させるコツをご紹介。
治療に対する不安や心配を和らげ、少しでもリラックスした状態で治療に踏み切れるよう、気持ちの準備をしましょう。
体外受精をするうえで最も気になるのが「痛み」。
痛みは、個人差はあるものの、体外受精の治療過程の中でどうしても感じてしまいます。
少しでも不安や心配を軽減するためには、治療前に「体外受精の痛み」について知っておくことが大切。
少しでも痛みをコントロールし、憂鬱な治療を前向きな治療に変えましょう。
卵巣の位置や、採卵するときの針の太さによって、痛みを感じる場合があります。
採卵とは、体外受精前に卵子を含んだ卵胞液を取り出す処置のこと。
膣に針をさして、卵巣から卵胞液を取り出し、卵子を採取します。
治療自体は、日帰りで終了しますが、体外受精の治療過程の中で、一番苦痛に感じてしまう人が多い治療です。
痛みは採卵中に感じることが多く、個人差があります。
例えば、採卵したい卵胞が膣より遠く採取しにくいところにある場合、経腟超音波エコーで膣の奥を圧迫したり、卵巣の位置を動かすためにお腹をおしたりすることがあり、その際に痛みを生じます。
また、採卵する際に使用する針の太さによっては、痛みや出血をともなう場合があります。
針の太さは病院によって異なり、太い針細い針それぞれに、使用する際のメリットデメリットがあります。
カテーテルを挿入し、子宮の中に受精卵を移植する際に、少し痛みを感じる場合があります。
カテーテルに受精卵を入れ、超音波で状態を確認しながら、子宮の中に受精卵を戻していきます。
治療自体は、数分とあっという間に終了。
ほとんど痛みを感じなかったという人もいるので、痛みに対し、そこまで不安に思う心配はなさそうです。
移植とは胚移植のことをさし、女性と男性それぞれから採取した卵子と精子を培養し発育させ、受精卵になったものを子宮の中に移植させる処置のこと。
子宮内膜に何らかの問題があり、胚移植ができない場合は、受精卵を凍結保存し、子宮状態が改善するまで待ちます。
胚移植をおこなった数日後、受精卵の着床が確認されれば、体外受精は成功です。
体外受精後の黄体ホルモンの補充により、卵巣が腫れてしまい、痛みを感じる場合があります。
人によっては、妊娠したかのような見た目になることもあります。
痛みや腫れを軽減するためには、自然周期法など、過度な排卵誘発をおこなわない治療法を選択し、卵巣を刺激し過ぎないことが大切です。
卵巣の腫れや痛みは、個人差はありますが、生理がくれば徐々に治まってきます。
痛みや腫れがひどい場合は、卵巣過剰刺激症候群の可能性もあるので、担当医に相談しましょう。
黄体ホルモンには、子宮の状態をよくし、着床をサポートしてくれる役割があります。
体外受精後、補充することにより、着床を促進し、流産などの可能性を軽減します。
治療法によって異なりますが、黄体ホルモンの値が低ければ、数回にわたり補充をおこないます。
着床のサインとして、着床痛や着床出血がみられる場合があります。
着床とは、子宮の内側に浮かんでいた受精卵が、子宮内膜に潜り込むこと。
症状は人によって異なりますが、この際、痛みや出血など体に変化が表れる場合があります。
着床している場合は、体外受精が成功し妊娠していると判断できます。
受精から7日目以降に下腹部にズキズキとした痛みを感じたり、おりものが茶褐色に変化したり、微量の出血がある場合は着床の可能性があります。
ただし、まったく症状がでない人もいるので自己判断せず、病院で診察を受けましょう。
着床痛は、体外受精や自然妊娠など、妊娠方法にかかわらず表れることの多い症状です。
黄体ホルモンは、筋肉注射レベルの痛みを感じます。
妊娠しやすい身体を維持するためには、黄体ホルモンの補充は大切です。
注射の回数は、個人の状態によって異なります。
うつ場所は腕だけでなく、腰やお尻にうつことも可能。
注射の痛みはうつ場所によって変わるので、極力痛みの少ない部分を探し、痛みからくるストレスを軽減しましょう。
黄体補充のための注射は、自分でうつ自己注射という方法があります。
ペン型タイプでうちやすく、病院でうってもらう注射よりも痛みが少ないため、ストレス軽減が期待できます。
毎日うたないといけない人は、病院に通う手間や費用などを考えると自己注射のほうが効率的かもしれません。
卵管造影検査の治療中に、痛みを感じる場合があります。
卵管造影とは、卵管の詰まりなどの異常を調べる検査のこと。
子宮内に造影剤を注入し、レントゲンや超音波を使って調べます。
個人差はありますが、痛みを感じるポイントは2つ。
造影剤の逆流を防ぐために、子宮の中に管を入れ風船を膨らまし子宮が圧迫されたときと、卵管に造影剤を流すときです。
卵管造影検査は、体外受精のときだけでなく、不妊治療検査の一つとして用いられる一般的な検査です。
不妊治療の中で、ある程度痛みをともなう検査があることは、理解しておきましょう。
痛みをともなう治療に関して、局部麻酔や静脈麻酔をしてくれる病院があります。
とくに採卵処置の際、場合によっては、かなりの痛みを感じることがあります。
卵胞が採取しやすい場所にあるときは、一瞬の痛みで終わるので麻酔は必要ありませんが、卵巣の場所や複数カ所から採卵を行うときは、麻酔をしたほうが負担が軽減されます。
麻酔をすると、治療中痛みを感じることはほとんどありませんが、麻酔がきれた後、下腹部に違和感や痛みを感じる場合があります。
また、麻酔代も治療費に加算されますので、前もって理解しておきましょう。
痛みには個人差はありますが、治療前に麻酔が使えるかどうかを、担当医に確認しておくと安心です。
先生の技術によっても、痛みの感じ方が異なります。
不妊治療専門の先生は知識や経験が豊富なため、治療方法も的確で高度な技術が期待できます。
クリニックを探す際は、目星のつけた病院の情報だけでなく、先生の口コミや経験歴などもチェックするようにしましょう。
腹巻きや靴下を身に着け、常に体を温めておくことで、治療での痛みを和らげる効果が期待できます。
冷え切った身体は、血流が悪いため身体が固くなり、痛みを感じやすくなっています。
不妊治療では、下半身中心の治療になるので、お腹や足などの冷えにはとくに注意しましょう。
体を温めることは痛みの軽減だけでなく、妊娠率アップにもつながります。
身体を温め血流を良くすることで、体外受精後の受精卵の着床を促進し、胎児の成長をサポートします。
子宮に戻された受精卵は、細胞分裂を繰り返し成長した後、子宮内膜に潜り込み着床します。
着床が成功すると、受精卵と母体の間に血流が開始。
母体を通して酸素や栄養を受け取り、受精卵はどんどん成長していきます。
体を温め、血流を促すことは、妊娠力を高める重要なポイントです。
慣れない治療の連続で筋肉が固まり、常に体は緊張状態です。
緊張している体は、治療中余計な力が入ってしまうため痛みを感じやすく、自律神経の乱れにより血流が悪くなっています。
体外受精の胚移植後の体は、リラックス状態でストレスがない状態をキープすることが大切です。
リラックスしている体は緊張がほぐれ、血流が良くなり、妊娠力の高い体環境といえます。
痛みやストレスを軽減するためにも、日々の生活の中で緊張をほぐすちょっとした工夫が大切です。
おすすめは、アロマオイル。
匂いを嗅ぐだけで、リラックス効果が期待できます。
とくに、ラベンダーやクラリセージなどは、精神的な落ち込みや筋肉痛、頭痛の解消などの改善が期待でき、女性に多く使われている精油です。
お風呂に数滴たらしたりと工夫して、日々の生活に取り入れてみましょう。
採卵などの治療によりお腹が痛くなった場合、病院によっては、鎮痛剤や座薬などの痛み止めを処方してくれます。
痛み止めの効果は個人差がありますが、痛みがあるときは我慢せずに担当医に相談しましょう。
痛みがなくなるだけで、だいぶ負担は軽減されます。
基本的に服用は、医師の指導の元、処方された薬のみです。
処方された痛み止めは、体に悪影響を及ぼすものではないので、安心して服用しましょう。
ただし、市販で購入できるロキソニンなどの鎮痛剤は、治療に対し何らかの影響があった場合を考え、自分勝手な判断での服用には注意が必要です。
治療中の体はとても敏感です。
わからないこと、不安なことは自分で判断せず、必ず専門医に相談しましょう。
体外受精での治療は、どうしても痛みがともないます。
多少のリスクはあるものだと理解し、勇気をもって治療へ踏み出しましょう。
多少の痛みはあっても、妊娠し、出産を経験すればすぐに忘れてしまします。
あまり不安に思いすぎず、赤ちゃんを授かる前向きなイメージを抱くことが大切です。
常にリラックスした状態で治療に臨むことが、妊娠率を高める重要なポイントです。