生まれてくる赤ちゃんが男の子なのか女の子なのか、または双子なのか、とても気になるところです。
顕微授精では男の子が生まれる確率が高くなるといわれていますが、実際はどうなのでしょうか。
目覚ましい勢いで医療技術が進化し、赤ちゃんの性別が決まるメカニズムも解明されていることから、男女の産み分けも、ある程度までは可能ともいわれています。
だからといって、体外受精や顕微授精で簡単に産み分けできるかといえば、そう簡単なものでもありません。
男女の産み分けの可能性について、調べてみましょう。
2014年に発表されたイギリスの論文では、顕微授精で生まれる胎児は体外受精に比べ女の子が多くなり、胚盤胞移植では男の子が多くなるという報告がされています。
これは統計的なデータであり、医学的な因果関係が証明されているわけではありません。
国内の体外受精・顕微授精によって生まれた子どもの男女比についても、証明できるようなデータは見当たりません。
今後の研究成果に期待しましょう。
顕微授精では、よく動く元気な精子を、培養士の目視で選び、卵子に直接注入します。
その際、精子の中で動きが素早いと考えられているY精子(男の子)が選別される確率が高いために、男の子が多くなる可能性が高いと考えられています。
また顕微授精後に成長する受精卵には、「4AA」や「3BC」などといった成長度合いに応じてグレード(ランク)がつけられます。
数字が高いほど男の子の性別である受精卵の可能性が高く、数字が低いほど女の子の性別を持つ受精卵である確率が高いとされています。
日本の産婦人科での産み分け法としては、「パーコール法」があります。
男性の精液をパーコール液という特殊な液体に入れ、精子のX・Y染色体の重さの違いを利用して分離し、X染色体をもつ精子を選別して卵子に受精させる方法です。
これによって、女の子が生まれる確率が高まりますが、日本産科婦人科学会は、遺伝性疾患の遺伝を避けるなど、医薬品としての目的のみに利用を認めているため、いわゆる産み分けは、日本では認められていません。
アメリカでは、「ファミリー・バランシング」(家族の中で男女の人数のバランスを取ること)を目的に、「着床前診断」を利用した産み分けを希望するカップルが多いとされています。
産み分けを目的にした海外の民間サービスもありますが、高額な費用がかかるうえ、リスクが伴うこともあるので注意が必要です。
「着床前診断」は、体外受精や顕微授精において受精卵の段階で実施する検査のことです。検査の目的は、染色体や遺伝子の異常の有無を調べるためですが、技術的には、男の子になる受精卵と女の子になる受精卵の選別も可能です。
男の子の場合は「XY染色体」、女の子なら「XX染色体」と、それぞれの性別になる受精卵が持つ染色体の組み合わせが異なります。
この違いを着床前診断で特定して子宮に移植すれば、かなり高い確率で産み分けができるということになります。
ただし、治療とは直接関係のない性別選択については賛否両論あり、認めている範囲も国によって異なります。
日本産科婦人科学会は、着床前診断の本来の目的はスクリーニング(産み分け)ではなく、目的以外での解析や開示はしないとしており、国内で体外受精や顕微授精を行う際に、着床前診断を利用して性別の産み分けをすることは原則として禁止されています。
人間の出生性比率は、地域や時代に関わらず、男児のほうが女児より多くなっています。
では体外受精や顕微授精による妊娠の男女比はどうなのでしょうか?
体外受精とは子宮から卵子を取り出し、体の外で、卵子と精子を受精させてから子宮に戻す治療法です。
一般的には培養容器の中に卵子を入れ、そこに精子を振りかけるような方法で受精を試みます。
体外受精における妊娠の男女比は、男児のほうが若干多いようですが、地域や時代にかかわらず、自然妊娠でも、人工授精でも男児の方がやや多いようです。
どうしても男の子が欲しい人もいれば、女の子が欲しい人もいるでしょう。
他人が介入できる問題ではありませんし、時代を越えて人々が悩んできた永遠のテーマです。
でも、妊娠そのものが、ある意味では奇跡です。
その奇跡に対して、どのようなスタンスで臨むべきなのかを、ご夫婦でよく考え、納得のいく答えを探してみてはいかがでしょうか。