晩婚化になっている現代日本では、ストレスも多く、女性の中には生理不順や無排卵月経に悩まされ中々子どもを授かりにくかったり、中には「高齢だけど子どもは欲しい」と思う方もいます。
人工授精しか方法がないとき、その成功率は一体何%程なのでしょうか?
人工授精を行うときに知りたいのが成功率ですよね。
人工授精における妊娠の成功率は5~10%程度、30代で10~15%、40代になると2%とまで落ちるので、年齢によって広く差があるのがわかります。
しかし、タイミング療法に比べると妊娠の確率は高い方だといえます。
人工授精の大まかな流れと成功率などについて詳しくみていきましょう。
人工授精の成功率に年齢差はあるのか?人工授精を何回行えば妊娠に繋がるのでしょうか?
人工授精の適応となるのは、タイミング療法で妊娠しなかったとき。
また、男性不妊症の場合、フーナーテストの結果から、人工授精が必要と診断されたとき。
性交が不能の場合、できるだけ早く妊娠したいなど、患者本人からの希望があったときなどに適用されます。
一般的に人工授精後の妊娠確率は平均で10%前後ほどといわれています。
タイミング療法では3~5%が妊娠確率といわれているため、それから比べると高いな、と思う印象を与えがちですが、人工授精を何回行うかや何度も行っても効果がなければ今後どういった方針をとるのかなども重要になってきます。
一般的に10%前後が妊娠確率の平均として出ていますが、人工授精を初めて行った第1回目が一番妊娠しやすいといわれています。
卵子や精子に異常がなく母体にも以上がない場合、通常5回目までには90%の方が妊娠するとされています。
しかし、回数を重ねていけば行くごとに人工授精の成功率は下がっていくため、5回人工授精を行っても効果がない場合は、次のステップアップの目安になります。
成功率が一番高いのはやはり20代がもっとも高いといわれています。
ついで高いのが30代です。
20代は他の年代に比べると体力もあり、骨格などの殆どの機能が適している状態にあります。
妊娠中から出産、出産後も含めて身体に体力がないと、母体側が危険に至ったりなどの弊害が出てきたりします。
40代は、20代の頃に比べると妊娠力といわれるものが格段に低下しています。
女性には元々卵子の元となる原始卵胞をもって生まれてきますが、この卵胞は成長とともに減っていくのがわかっています。
加齢していくについれて、原始卵胞から生まれる卵子も加齢とともに機能が低下(卵子の老化が起こる)するため、人工授精でも妊娠確立は減少していきます。
特に若い頃と比べると、妊娠しても染色体異常というものが起きやすい状態にあります。
人工授精で途中までうまくいっても、染色体異常が起きてしまうと着床を目前に流れてしまうことがあります。
また、胎児を守っていく力も低下してしまうため知らず知らずのうちに流産しているということがあります。
このため妊娠確率は減少しています。
では、人工授精を数回行っても、成功しない原因は何なのでしょうか?
その疑問を少しでも減らすため、詳しく理由を見ていきましょう。
卵管が詰まってしまう卵管閉塞は、自覚症状がありません。
自覚症状がないため検査をしないとわからないという欠点があります。
卵管閉塞は、基礎体温や生理にも異常がないことのほうが多く、発見されにくい傾向にあります。
卵管が塞がっていると精子が通れないため卵子と出会うことができず、物理的に妊娠が不可能になってしまいます。
卵管閉塞は、卵管造影検査という検査をすることで診断が可能になっています。
また他の原因として、クラミジア感染や大腸菌、淋菌による感染症から引き起こされます。
特にクラミジアは免疫力が低下したりストレスを溜め込んでしまうと女性は発症しやすいため注意が必要です。
非常に稀ではありますが、虫垂炎から炎症が広がり、血液による細菌感染から卵管閉塞を起こす場合があります。
卵巣にチョコレート嚢胞ができることで発症する場合もあり原因は多岐に渡ります。
子宮内膜症があるとこちらも妊娠しにくい原因になっています。
内膜は本来子宮の内側にしか存在しません。
しかし子宮内膜症の方は子宮以外の卵巣や腹膜などで内膜を作ってしまう疾患です。
子宮内膜が何故別のところで発生してしまうのかという詳しい原因はいまの医学ではわかっていないのが現状です。
子宮内膜が卵巣などで発生した場合、卵管の癒着などの原因から不妊へと繋がってしまいます。
また腹膜などで発生してしまうと子宮内膜は腹腔内にとどまってしまうため炎症や痛みなどの原因に繋がるので注意が必要です。
卵子の機能低下だけではなく、精子にもまた原因があったりします。
精子の原因は、無精子症と加齢による精子の運動率の低下にあります。
無精子症にも2つ種類があり、閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症とあります。
非閉塞性無精子症の場合、高プロラクチン血症の結果として精子形成に異常が発生してしまう状態のことです。
この2つの無精子症の確率としては、閉塞性無精子症は15~20%、非閉塞性無精子症は80~85%となっています。
多く報告がある中で男性も30~40歳を目処に精子の機能が低下するため、精液の量やそこに含まれる精子数、また運動率が低下するため妊娠に繋がりにくい原因になります。
抗精子抗体とは馴染みのない言葉ですが、不妊に悩む約3%ほどの女性がこの抗体をもっているといわれています。
また、稀に男性にも認められる免疫機能の異常です。
抗精子抗体をもつ女性は、精子が体内に入ってくると精子を異物とみなし攻撃をしてしまうため、不妊に繋がってしまいます。
免疫機能の異常ということはわかっていますが、抗体が作られてしまう原因は詳しくわかっていません。
人工授精の成功率が低い原因はわかったけれど、逆に成功率をあげる治療法や日常生活でできることは何なのでしょうか?
不妊検査をしたときに、高温期に対して黄体ホルモンの分泌が足りないことがわかれば、黄体ホルモンを補充する治療を行い、成功率をあげるための準備をします。
黄体ホルモンの補充は経口剤や注射で簡単に行うことができます。
黄体ホルモンの分泌低下は、受精卵の着床障害や、流産の原因に繋がるため、「妊娠したい」と思っている女性はしっかりと治療することをオススメします。
黄体ホルモンを補充することで、着床率をアップします。
排卵誘発剤は、排卵が不規則な人や、多嚢胞性卵巣症候群、人工授精での併用で用いられることがあります。
排卵が不規則な人は、タイミングを合わせやすくするために重症度に応じて経口剤や注射を使い分けることで治療を行います。
多嚢胞性卵巣症候群では経口剤が向こうな場合が多いため、基本は注射による排卵誘発剤を使用しますが、卵巣過剰刺激症候群になりやすいため細心の注意が必要となってきます。
人工授精における排卵誘発剤の併用は妊娠率を向上させるのに有効であるという結果が出ているため、成功率をあげるためには、排卵誘発剤を併用した治療をしていきましょう。
自然妊娠を望むにしてもある程度、排卵日が予測できなければ妊娠の確立は低いです。
排卵日を予測するために、超音波エコーによる卵胞の大きさや、着床時に必要となる子宮内膜の厚さを測定、また血液検査によるエストロゲンと呼ばれるホルモンの数値を測定することで、正確な排卵日の予測が可能となっています。
また近年では尿検査で排卵日がわかるものもあります。
採取された精子を洗浄し凝縮することで、濃度の濃い精子を子宮に入れることが可能です。
採取された精液は雑菌やゴミなどがついている場合があります。
子宮内に注入される精子は0.3ml程度であるので洗浄・凝縮しない場合雑菌やゴミなどがはいってしまうため、十分な精子量が子宮内に入らないことが予測されます。
洗浄・凝縮すると、運動率の高い精子はすべて子宮内にはいるため妊娠率は高くなります。
人工授精をするためには男性の精子と女性の卵子がないと成り立ちません。
転勤が多い場合や出張、海外赴任などのさまざまな理由から人工授精当日に精子を用意できない場合は、-196℃の冷凍庫に冷凍保存をし、それを使用して人工授精をします。
凍結保存では、解凍時に運動率のなくなってしまった精子があったりしますが、解凍時に生き残っている精子は、元気な精子が生き残っているといえます。
精子の凍結保存では、精子の数が少ない場合、運動率が低下している場合などに、凍結回数を重ね精子を貯めることで、まとめて融解し治療に使用できるメリットがあるため、蓄積しないといけないデメリットはありますが、運動率の高い精子なども混じって治療に使うことができます。
人工授精後に少しでも成功率をアップさせるためには、普段から何に気をつければいいのでしょうか?その点を重点的にお伝えします。
人工授精後は、しばらく病院で安静に過ごすことが大切です。
入院の必要性はなく日帰りで帰宅できることがメリットです。
人工授精をしたからといって、日常生活を制限する必要はありません。
人工授精後の性交については、特に制限はありませんが、病院によっては、自然妊娠も促すために、人工授精をする前と人工授精をした後に性交を促す場合があります。
妊娠をしようとするときに一番重要になるのが、栄養バランスの取れた食事と適度な運動、適度な睡眠を心掛けることが大切です。
また特にビタミンEは、身体の中で作ることができないビタミンですが、女性ホルモンの代表、妊娠において大切なエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌を促進する働きがあるため、常日頃からサプリメントなどで補強しておくことが大切です。
一度は聞いたことのある葉酸。こちらも妊娠の確立をあげるためには必要です。
妊娠したときに葉酸が足りないと胎児に異常が出たりするので葉酸のサプリメントを飲み補うことが大切です。
女性は男性に比べると、筋肉量が少ないことがわかっています。
身体の冷えは妊娠にとっては大敵です。
根菜類や薬味である生姜などを積極的に摂取し、身体の冷えを予防しましょう。
タンパク質は胎児の成長に欠かせない栄養素です。
また、身体の重要な免疫系の構成をしているためこちらも積極的にとっていきたい栄養素となっています。
妊活中でもそうですが、人工授精をしたあとは、ストレスや不規則な生活をすることは、妊娠をするためにもよくありません。
ストレスや不規則な生活は、それだけでも女性ホルモンの低下などを引き起こしてしまうため、できるだけ貯めないように心掛けることが大切です。
できることなら、心身ともに安心して生活を送れる状況に身をおくことが大切です。
まずは、一日の中でリラックスできる時間を確保しましょう。
マイナスの感情はそれだけでもホルモンのバランスを崩してしまうため、リラックスできる時間を意識的に取り、ストレスを解消させましょう。
ストレスを解消するためには、まずは自分の好きなことに集中できる時間を作ることが大切です。
読書が好きな方は、静かに本に没頭できる場所を設ける、料理が好きな方はお菓子を作ってみるなど、自分が楽しんで行えることを積極的に取り入れましょう。
そして最後は、自分自身をいたわってあげることです。
ストレスは心の疲れのもとといえます。
月に1回、週に1回などのペースで自分へのプレゼントを用意してあげましょう。
身体が冷えると、血行が悪くなったり血管が収縮してしまいます。
血管の収縮は全身の血流を低下するだけでなく、女性の大事な子宮や卵巣の血流低下を起こします。
新鮮な栄養素や酸素が入った動脈の流れが滞ってしまうと子宮や卵巣の機能低下をもたらす可能性があります。
子宮や卵巣の低下は不妊の原因になりやすいです。
夏は冷房の効きすぎた部屋に長居せず、薄手の長袖を羽織る、冬は暖房器具なども使用しますが腹巻きや靴下を着用し、できるだけ身体を冷やさないように工夫することが大切です。
また、キンキンに冷えた飲み物はさけ、熱めまではいかずとも温めの飲み物を飲むことも、身体を冷やさないようにする工夫といえます。
下半身の冷えは妊活の大敵です。
特に足先の血液は心臓に戻るときに子宮周りの血管を通るため、子宮を冷やしてしまいがちです。
下半身の冷えに悩んでいる方は「第二の心臓」と呼ばれているふくらはぎをマッサージしましょう。
下半身の血液を戻すために重要な役割を担っているふくらはぎをマッサージすることで、びっくりするほど下半身の冷えが改善されます。
首周りや太もも脇の下は大きな血管が走っているため冷やしてしまうと全身が冷えがちになってしまいます。
妊活中ではない場合も、冷やさないように注意しましょう。
健康的な生活は妊活において重要な部分となってきます。
現代社会では健康的な生活をおくるための設備が整っていない現状もありますが、できるだけ健康的な生活を心がけ妊娠の確率を高めましょう。
妊活から出産までの流れは大変なことが多いですが、我が子に会えたときの感動はなにものにも変えられないものがあるため、長いようで短い期間を乗り切ってくださいね。