2018.07.16

人工授精と体外受精は何が違う?それぞれの特徴や方法、費用の違いは?

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不妊治療における人工授精と体外受精。

名前は知っていても、実際にどのようなことが行われるのかはよく分からないことも。

妊活していくにあたって、それぞれの特徴やリスク、治療の流れを理解し、費用や助成制度についても押さえておきましょう。

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それぞれの受精方法の違いとは?

不妊治療において、基本的にタイミング法がうまくいかなかった場合にステップアップすることになる「人工授精」と「体外受精」。

具体的な方法を見ると全く違っており、適応条件やメリット、デメリットも異なります。

治療を始めるにあたって、それぞれの特徴を知っておきましょう。費用ついても解説しているので、参考にしてください。

「人工授精」ってどんな方法?

排卵に合わせて子宮へ精子を注入する人工授精について、特徴や治療法を説明していきます。

精子に問題があっても希望が持てる

精液検査の結果、精子の数や奇形率・運動率に問題がある場合でも、人工授精を行えば妊娠の可能性が上がります。

採取した精液から健康な精子を選別して使用するため、妊娠率が向上するのです。

また、勃起不全や射精障害などの性交障害がある場合や、精子が通りづらい子宮頚管狭窄(きょうさく)の場合にも有効な治療方法です。

精子が子宮内に入る段階をサポートするのが、人工授精なのです。

ただし、女性の体内に精子を攻撃してしまう抗精子抗体がある場合は、抗体の強度にもよりますが、人工授精は不向きであるとされます。

精子を子宮に直接注入する

基礎体温や超音波検査、血液検査、排卵検査薬などを駆使して排卵日を予測し、治療に臨みます。

排卵検査薬で陽性が出た翌日が治療となる場合がほとんどです。

排卵誘発剤を使用した場合、多胎妊娠の可能性が高くなります。

人工授精当日に採取した精子を洗浄、調整したのち、なるべく速やかに、細いカテーテルを使って膣から子宮内へ注入します。

カテーテルが挿入しづらい場合は少しの痛みが生じることがあります。

作業自体は数分で終了し、10分ほどベッド上で安静にしてから、会計をして帰宅します。

その後の受精や着床は自然妊娠と同じで、精子と卵子は卵管内で出会い受精します。

体外受精などの「高度生殖医療」に対して、人工授精は「一般不妊治療」と呼ばれ、自然妊娠と同等とする考え方もあります。

卵管に異常があり体内での受精が困難だと、人工授精は適応されないことがほとんどです。

人工授精後の副作用

治療時やその後に痛みはほとんどなく、副作用もほぼありません。

特別な安静も必要なく、治療当日から普段通りに生活できます。

人工授精で妊娠が成立した場合も、胎児への影響はないとされます。

激しい運動は着床率を下げるといわれますが、これは自然妊娠でも同じです。

とにかくストレスを溜めないこと、規則正しい生活を送ること、身体を冷やさないことが、着床成功への近道です。

妊娠した人の平均回数は4~5回

人工授精の成功率は5~10%となっており、それほど高くありません。

治療4~5回で成功するのが平均的とされており、6回以降は妊娠率が下がる傾向にあります。

5回で結果が出なければその後に成功する確率は低いと言われ、体外受精を考えるよう提案する病院が多くなっています。

不妊期間が3年以上、あるいは患者の年齢が35歳以上なら、3回など、もう少し早めにステップアップを勧められるケースもあります。

「体外受精」ってどんな方法?

精子と卵子を採取し、人の手で受精させてから子宮に戻す体外受精。

どのような特徴があるでしょうか。

体内では受精が困難な人でも希望が持てる

自然妊娠や人工授精では体内で精子と卵子が出会い受精しますが、体外受精は文字通り体の外で受精させる治療法です。

受精障害や卵管性不妊、高齢などさまざまな理由で体内での受精が難しい場合でも、体外受精を行えば妊娠につながる可能性があります。

分裂した受精卵=胚を移植しても、着床障害や初期流産などの問題はありますが、理論上は精子が1匹でも見つかれば、顕微授精によって妊娠が可能であるといえます。

体外で受精した受精卵を子宮に戻す

卵子を採取することを採卵、精子を採取することを採精といいます。

採卵日には夫婦で来院し、採卵に合わせて採精します。

体外受精の場合は培養液の中で卵子に精子を振りかけ、顕微授精の場合は卵子に直接精子を注入し、受精させます。

そうして得た受精卵を培養して、うまく分裂が進めば2~3日後には初期胚、5~6日後には胚盤胞(はいばんほう)と呼ばれるステージに育ちます。

この胚を子宮に戻し、着床を待ちます。妊娠判定はおよそ2週間後です。

胚を移植する方法はいくつかあり、初期胚(分割期胚)移植、胚盤胞移植、二段階胚移植、SEET(シート)法などから、医師の説明を受けつつ選択します。

体外受精の副作用

採卵方法にはいくつか種類があり、それぞれリスクも違ってきます。

排卵抑制剤や排卵誘発剤などの薬剤を使用して卵子を採取する「刺激法」と呼ばれる方法では、「卵巣過剰刺激症候群」のリスクがあります。

卵巣に薬で刺激を与えて複数の卵胞の成熟を促すため、卵巣の腫れや腹部に水が溜まる腹水といった症状が現れます。

自覚症状としては腹痛や吐き気、排尿困難などが挙げられます。

刺激法には「ショート法」や「ロング法」などさまざまなやり方があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。

状態に応じてよりよい方法を、医師と相談しながら決めていくことになります。

自然周期法では薬剤をほぼ使用しないため、副作用が起こる確率は極めて低くなっています。

年齢が上がるごとに低下する成功率

体外受精の成功率は、20代が40%で最も高くなっています。

年齢が上がるにつれて徐々に下がりますが、35歳以下では約35%をキープしています。

しかし40歳で約20%、45歳では5%にまで低下します。

これは加齢によって卵子や子宮内の状態が劣化していくことが原因だといわれています。

30代後半で不妊治療を行う場合、治療方法の早めのステップアップを勧められることが多いのは、こうしたデータをもとにした考え方によります。

人工授精と体外受精、それぞれの費用

治療法が違えば、かかる費用も変わってきます。

国や自治体が行う支援事業についても確認しておきましょう。

どちらも保険適用外

人工授精も体外受精も、保険は適用されないため全額自己負担です。

人工授精の場合、治療1回につきおよそ2~3万円が一般的です。

その他、ホルモン補充の注射代などが別途かかるので、総額は個人によって差があります。

体外受精は、人工授精と比べると高額になります。

治療1回につき30~60万円が平均といわれていますが、個人差が大きく100万円を超えるケースもあります。

一度の治療で必ず妊娠につながるわけではないので、回数を重ねるとそれだけ金銭的な負担は増加します。

いずれにしても、治療を開始する前に、治療1回の総額を確認しておくことが重要です。

料金体系は病院によって異なり、支払いのタイミングもまちまちです。

よく説明を聞き、納得してから治療に臨みましょう。

助成金制度を利用する

高額な不妊治療費の負担を軽減するため、国や自治体から助成金が出る制度があります。

「特定不妊治療費助成制度」は、国が行う特定治療支援事業です。

不妊治療をしないと妊娠が望めない、または妊娠の見込みが低いと医師が認めた夫婦に対し、治療費の一部を助成します。

ここでの「不妊治療」とは体外受精と顕微授精を指し、人工授精は含まれません。

国の助成制度には対象者の年齢制限や所得制限がありますが、自治体によっては国の制度をベースにした上で制限をなくしたり、助成を拡充したりしているところもあります。

各自治体が基準としている国の特定不妊治療費助成制度を詳しく見てみると、治療期間初日の時点で女性が43歳未満であることが助成を受ける条件です。

所得制限は夫婦の合計で730万円です。

初めて助成を受けた治療の初日時点で女性が40歳未満なら、通算で6回助成が受けられます。

40歳以上は通算3回までです。

助成金額は、治療1回につき15万円まで、初回のみ30万円まで、凍結胚を用いて採卵が不要な場合は75,000円までです。

採精を手術によって行い、採卵を要する場合は別途15万円まで助成されます。

また医療機関が各地で指定されており、1回の治療を最初から最後まで指定医療機関で受けることが助成条件となっています。

指定医療機関は厚生労働省のホームページに公開されています。

一般不妊治療、すなわち人工授精への助成は、多くの自治体で行われています。

助成条件や金額などは自治体によって異なるため、各ホームページをチェックしてみてください。

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医師と相談しながら治療方法を決めよう

人工授精と体外受精は治療法が違うだけでなく、メリットとデメリット、向き不向きや費用の負担などが大きく異なります。

治療方法を選択する前に、まずは自分で基礎知識を押さえておくのが望ましいです。

体の状態やライフスタイル、そして予算を考慮に入れつつ、医師とよく話し合って、最終的には夫婦で決断しましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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