2018.07.03

体外受精の流れとは?段階ごとの流れをチェック!

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妊娠したいけどなかなか授からない。

そんな不妊に悩む人は大勢おり、日本は世界一不妊治療を行う人の多い国となっています。

不妊治療にはさまざまな方法がありますが、その中でも妊娠率が高いとされる治療法は体外受精です。

そんな体外受精の流れについて、詳しく紹介します。

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体外受精の採卵から、妊娠判定までの流れ

一定の期間で、タイミング法から人工受精を6回ほど行ったにもかかわらず、妊娠へと至らなかった場合に、人工受精からのステップアップとして、体外受精が行われます。

体外受精では、妊娠の確率があがるという統計がありますが、「体外」と聞くだけで、どのようなことが行われるのか不安を感じる方も多いでしょう。

不妊治療の一環でもある、体外受精についてご紹介します。

体外受精のメリット・デメリット・費用

体外受精は不妊治療の中でも高度な治療ですが、どのようなことを行うのでしょうか。

体外受精の流れや、メリットやデメリット、また費用の面について紹介します。

男性不妊や卵管性不妊でも希望が持てる

精子の濃度が低い、または精子の運動率が悪いといった「男性側の不妊要因」であり、精子に問題がある場合、人工受精のような自然妊娠に近い治療方法での受精は、とても難しいようです。

しかし、濃度や運動率の高い精子を選んで行う体外受精では、受精の可能性が高くなります。

また、卵管につまりのある卵管閉塞や、卵管の先が癒着をして液体がたまっている卵管水腫などの卵管の通過性に問題のある卵管性の不妊症でも、卵巣から直接卵胞を採取する体外受精では妊娠の確率を上げることができるといわれてます。

排卵誘発剤による卵巣過剰刺激症候群のリスク

体外受精では、排卵誘発剤を使用して排卵を促しますが、排卵誘発剤の副作用でのリスクもあります。

排卵誘発剤とは、脳や卵巣への働きかけで卵胞の発育を促進し、排卵を誘発させるもの。

飲み薬または注射で投与します。

排卵誘発剤のリスクとは

排卵誘発剤によって、卵胞を過剰に発育させることで刺激をうけた卵巣が、大きく腫れを起こす副作用があり、症状が重くなると腹水や胸水が溜まることや、脳や肺などの血管がつまり脳梗塞や脳塞栓症を引き起こす場合があります。

この副作用からくる症状を「卵巣過剰刺激症候群」といい、卵巣の中の卵胞の発育を促進させる不妊治療の1つである「多嚢胞性卵巣症候群」の治療を行ったあとに、排卵誘発剤を使用すると起こりやすくなります。

リスクを理解した上で、医師と相談しながら行うようにしましょう。

平均約160万円の費用

高度不妊治療である体外受精の費用は、わりと高額であり、医院やクリニックによって費用のばらつきはありますが、平均約160万円の費用がかかるといわれています。

体外受精自体の1回の費用は約30万円ですが、診察料や投薬代、注射などの処置料に、術前検査に10万円前後の費用が必要に。

また、1回目の体外受精で成功する確率は20%と低く、回数を重ね、4回目にようやくほぼ成功とされる90%まで確率があがります。

よって、1回での体外受精には、全部で約40万円かかり、成功まで4回行うとして約160万円の費用になるという計算です。

助成金を活用するのも1つの手

体外受精は、国が実施している「不妊に悩む方への特定治療支援事業」による助成金の対象となる、特定不妊治療となるため、不妊治療費の助成金を受けとることができます。

1回目の体外受精につき30万円、2回目以降からは1回につき15万円が支給されますので、うまく活用して費用を抑えましょう。

体外受精を開始するまでの流れ

実際に体外受精を開始するまで、最初からの流れをご紹介します。

採卵の前周期に経口避妊薬を投与する

体外受精を行う前には、前処置が必要であり、一般にピルといわれる経口避妊薬を服用します。

卵巣内に卵胞を残さないよう、排卵を抑制して卵巣を休ませることにより、体外受精に使用するための質のよい卵子を作るためです。

また、子宮内膜がはがれにくくなる作用もあり、着床しやすくなります。

体外受精の前処置として使用する経口避妊薬は、一般的に避妊に使用されている低用量ピルより排卵を抑制する成分が強いとされている「中用量ピル」を使用するため、副作用が出やすいことも。

頭痛・眠気・吐き気、乳房の痛みなどの症状が出たり、また血栓症を起こすリスクもあります。

副作用は、飲みなれてくると治まってきますが、あまりに副作用がひどい場合には、医師と相談して薬の種類を変えるなどして調整します。

排卵誘発剤や注射薬で複数の卵子を育てる

排卵を止めたあと、複数の卵子を育てるために、生理が開始してから3日後の刺激周期に排卵誘発剤の投与します。

または、注射を打ち、卵巣を刺激して卵胞の発育を促進し、排卵を誘発させることも。

身体への負担を抑え、低刺激法といわれるマイルド法は、内服薬にて排卵誘発剤の投与を行う方法です。

マイルド法は、卵巣への刺激が強すぎないため、注射での投与に比べて排卵の量は減りますが、排卵誘発剤による副作用を抑えることが可能に。

また、精神的な面や、費用の面でも負担が軽くなります。

採卵針を使って卵子を体外に取り出す

個人差はありますが、生理開始後およそ10日~14日目に、十分に育った卵子を取り出す処置を行います。

超音波検査装置で卵巣の位置や卵胞の成長度と数を確認し、採卵針を使用して卵子を卵胞液ごと摘出。体外受精の成功率を高めるために、できるだけ多く質のよい卵子を採卵することが重要です。

しかし、質のよい卵子が多数採取できた場合でも、35歳以上の高齢出産となる方で、なおかつ不妊の確率が高いケースを除き、多胎妊娠を防止するために移植に使用する卵子は1個のみです。

よって、残りの卵子は凍結保存される場合があります。

個人差はあるものの、痛みを感じることも

採卵は、麻酔なしで行われるケースが多く、採卵針を刺す際に痛みを感じることがあります。

局所麻酔や性脈麻酔を行う場合もありますが、麻酔が切れた後、下腹部痛を訴える人もいるようです。

精子の選別から受精確認までの流れ

精子の採取から受精の確認までの流れをご紹介します。

採取した精子から良質なものを選ぶ

体外受精に使用する精子は、新鮮な精子が必要なため、体外受精を行う数時間前に採取します。

また、なるべく質のよい精子を採取するために、採取当日の5日前には一度射精をし、禁欲期間を設けてから精子の採取するようです。

精子の採取は、自宅で行う場合と、クリニックや医院の個室を使って行う場合の2パターンです。

男性にとってストレスの少ない方法を選んで行います。

自宅採取の場合は、殺精子剤が含まれているコンドームは使用せず、直接容器に出します。

そのとき、遮光をし、人肌温度を保つよう冷やさないようにするなど、必ず病院の指示に従って適切な管理のもとで運ばなければなりません。

採取した精子は、細菌や白血球、死滅した精子が含まれているため、それらを取り除くために洗浄されます。

その中で、もっとも元気で良質な精子のみを選び、濃縮処理が行われます。

卵子に精子をふりかける

くぼみが多数あるマイクロプレートの各くぼみに、1mlの培養液をいれ、そこに2~4個採卵した卵子と10万~40万個になるように濃縮処理をした精子をふりかけ、自然な受精が行われることを待ちます。これが「媒精」と呼ばれるものです。

男性が、精子濃度の低い高度乏精子症の場合には、精子を少量で済ませる方法もあります。

30~50μlのドロップをつくり、そこに卵子を1個ずついれ、濃縮処理をした精子をふりかけ、蒸発しないようにミネラルオイルで覆うというものです。

翌日には受精が確認できる

媒精をした17~20時間後、おおよそ翌日には受精が成功したかどうかの確認ができます。

卵子の前核と、精子の前核が2つ並んだ「前核期胚」の確認が見受けられれば、正常受精の成功となります。

媒精した翌日、この前核期胚が確認できなければ、受精は失敗。

また、3個以上の前核が見える場合には、精子が2つ以上卵子へと入ってしまった多精子受精という異常受精となります。

どちらも受精卵に至らないので、次の段階の培養へは進めません。

また、受精後22時間以上たってしまうと、卵子と精子の前核が融合してしまうため、正常受精だったのか異常受精だったのかの判断ができなくなります。

培養から妊娠判定までの流れ

受精卵確認後から妊娠への判定までの流れを説明します。

受精卵を初期胚や胚盤胞まで培養する

正常受精した受精卵の培養を体外で行います。

受精卵は、細胞分裂を始め、媒精後の2日後には4細胞期胚になり、3日後には8細胞期胚に。

この時期の細胞分裂が行われている胚は「初期胚」と呼ばれているものです。

媒精からさらに培養後の5日目には胚盤胞となり、胚盤胞までいくと着床率がぐっと高くなります。

よって、妊娠に近づけるよう、初期胚から胚盤胞まで培養しているのです。

胚盤胞までになる確率とは

初期胚全体の胚盤胞まで到達する確率は約50%ですが、媒生から3日後に8細胞期胚へ到達した胚は約70%の確率で胚盤胞まで到達します。

なお、媒精後の25~27時間以内に第一細胞分裂した胚の中には、良質な胚が多いとされています。

また、初期胚の染色体異常の確率は約65%であり、胚盤胞まで到達しないこともあるようです。

初期胚や胚盤胞を子宮内に戻す

培養した初期胚や胚盤胞で、なるべく質のよいものを選んで移植します。

つまり、子宮内へ戻す作業です。胚を移植しやすくするために、膀胱内に尿をためてから、超音波検査で子宮を観察し、カテーテルを子宮内に挿入して、培養液とともに胚を戻します。

胚を子宮内へ戻す移植方法は2つあります。

初期胚の移植は、一般的な移植方法です。

採卵から2~3日経過するまで培養し、分裂が確認できた良質な初期胚を体内に戻します。

胚盤胞の移植は、同じく排卵から5~6日後に行う方法で、胚盤胞1個あたりの着床率が高いため、1個のみ移植をし、多胎妊娠を防ぎます。

移植後1~2週間で妊娠判定が可能

胚の移植後、約12週間で妊娠判定が可能となります。

胚の着床が成功すると、絨毛(じゅうもう)といわれる組織から、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という通常女性の体内にないホルモンの分泌が開始。

このホルモンは、黄体ホルモンを刺激し、胚の着床後のエネルギーのもととなるグリコーゲンを子宮内膜に貯める働きを促進させ、妊娠の継続を助けます。

このhCGの濃度を、尿検査や血液検査で調べ、妊娠判定をします。

医院やクリニックでは、より判定の制度の高い血液検査で血中のhCGの濃度を調べ、数値が100mlU/mLを超えていれば妊娠は確定です。

まれに数値が00mlU/mL以下の場合でも妊娠しているケースもあるため、再検査を行うところもあります。

市販の妊娠検査薬では妊娠の有無がわからないことも

市販の妊娠検査薬も尿中のhCG濃度で妊娠判定をしますが、胚の移植後約<週間後では、まだ市販の妊娠検査薬では反応しません。

より早く妊娠の可能性を知りたい気持ちでフライング検査を行う人も大勢いますが、医院やクリニックでの血液検査のほうが、精度が高く、確実です。

市販の妊娠検査薬の結果に左右されず、確実な妊娠判定を待ちましょう。

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よく理解してから治療を進めよう

体外受精は、妊娠の確率を上げてくれる半面、費用面や身体にリスクが伴うこともあります。

タイミング法や人工受精などの不妊治療をしているけれどなかなか授からない方は、体外受精も視野にいれましょう。

まずは、体外受精について正しい知識をもち、パートナーや家族としっかり話し合うことが大事です。

きちんと体外受精についてよく理解をしてから治療へと進めましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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