不妊治療と聞くと、人工授精や体外受精などを思い浮かべるでしょうが、最初からそれらの治療を行うとは限りません。
まず不妊検査で不妊症の原因を調べ、年齢も考慮に入れながら治療法が選択されます。
経済的・身体的に負担の軽い治療からスタートしていきますが、最初のステップが「タイミング法」です。
女性の年齢が35歳未満の場合、自然妊娠できる確率が比較的高いため、まずはタイミング法による妊娠を目指しますが、妊娠が成功する確率、治療の期間やかかる費用などを紹介します。
妊娠しやすい排卵の時期に合わせて、性行為を持つことを「タイミング法」といいます。
タイミング法のキーポイントとなるのが、排卵日の予測ですが、より正確に排卵日を把握するためには、医療機関で診てもらう方が確実です。
毎月1回、排卵日を予測しながら性交渉を行い、その後に妊娠しているかどうかを確認するという作業を繰り返します。
月経中から月経直後に受診し、超音波検査で卵巣の様子や卵胞の育ち具合から排卵に問題がないかを確認し、おおおよその排卵時期を予測します。
前回予測した排卵日の直前に受診して、超音波検査で卵胞の大きさをチェックし、正確な排卵日を予測します。
医師が予測した排卵日ごろに性行為をします。
排卵予定日の数日後に受診し、超音波検査で卵巣を確認します(排卵前に見えていた卵胞が消えたりはれたりしていたら排卵があったと判断)。
タイミング法の費用は、指導を受けるだけであれば健康保険が適用され、1回2,000~3,000円程度で済みます。
しかし、排卵日を予測するための超音波検査(月1回まで保険適用)やホルモン検査を月に複数回受けたり、排卵を促すための排卵誘発剤を処方してもらったりすると、保険適用外となるケースが多く、1~2万円かかることもあります。
通院や検査の回数、薬の使用で費用に違ってきますが、2,000円から2万円とみておきましょう。
女性の子宮が前に傾いている(前屈)か、後ろに傾いている(後屈)かによって、妊娠しやすい体位は違います。
前屈子宮の人は、正常位で行うと妊娠の確率が上がるといわれています。
後屈子宮の人は、ペニスの挿入が深くなる後背位がおすすめの体位となります。
排卵日だからときって、1日何度も性行為をしても、妊娠する確率は変わりません
妊娠したいからといって、無理に性行為を何度も行う必要はありません。
排卵日を意識せずに、定期的に行いましょう。
排卵日前後は2~3日に一度が理想ですが、「子づくり」を意識しすぎると義務感が出てしまうので、普段通りに「楽しんで」性行為を行ってください。
性行為の後は、できるだけたくさんの精子が子宮に入りやすくなるような体勢をとることで、精液が膣外に出にくくなり、妊娠しやすくなるともいわれています。
女性は子宮が前屈している人と後屈している人がいます。
前屈の人は精子がたまりやすいのですが、より子宮に上りやすくするために腰に枕などをあて、すこし高くした上であお向けになりましよう。
後屈の人はうつ伏せになり、そのまま30分ほどじっとしていましょう。
前屈か後屈かは、病院で診てもらえばわかる場合があります。
セックスの数時間後に、精液がたくさん出てきたからといっても、全部出てきたということではないので心配する必要はありません。
また、膣奥まで洗いすぎなければ、シャワーも問題ありません。
男性は「排卵日だから…」と、強制的に性行為を求められると、それがプレッシャーと感じてしまうこともあります。
排卵日だけにこだわらず、ゆるやかな性行為のスケジュール立てる方が、タイミング法の成功率を高めることにつながります。
妊娠への思いが強すぎると、心の余裕がなくなって授かりにくくなるものです。
タイミング法を試みても妊娠がむずかしい場合がありますが、それは病院で検査をしてはじめてわかるケースが大半です。
そのことを知らずにタイミング法を続けていても、いたずらに時間が過ぎてしまうだけです。
タイミング法は、自分でもできる妊活ですが、何度チャレンジしても妊娠しないのであれば、早めに医療機関で診てもらいましょう。