2018.07.24

人工授精後のスケジュールと過ごし方。気を付けるべきこととは?

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時間やお金をかけて挑んだ人工授精。

少しでも成功させたいものですよね。

もしも人工授精後の過ごし方によって、少しでも成功率が上がるのだとしたら、適切な行動を取りたいと思いませんか?

この記事では、人工授精後のスケジュールと理想的な過ごし方、そして注意点について解説します。

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待ち遠しい!人工授精後の妊娠判定日

人工受精をすると、お腹の中に命の可能性を抱える事になります。

成功するかまだ分かりませんが、少なくともこの時だけは、妊婦さんの感覚を得ることが出来ます。

この小さな命を守るためには、待ち遠しい妊娠判定日までどのように過ごせばいいのか考える人も多いでしょう。

それではこれから、人工授精直後から妊娠判定までの一連のスケジュール。

そして、術後にあらわれるかもしれない体の症状、妊娠判定日までの理想的な過ごしかた、そして人工授精後の注意点などを見ていきます。

体にとって良いこと、悪いことをしっかり理解し、不安など余計なストレスから解放されましょう。

なにより術後は心安らかに過ごすことが大切なのですから。

人工授精後の流れ

人工授精が終了したときから、あなたのお腹の中には命の可能性が宿っています。

妊娠判定までの一連の流れを押さえておきましょう。

直後は15~30分ほど安静に!

人工受精はほとんどの場合、麻酔は使用せずに進められます。

カテーテルを挿入する際に若干痛みを感じる人もいるようですが、カテーテルを通して子宮に受精卵が戻される映像などに集中して、痛みをやり過ごしましょう。

手術が終わると、別室に移動して15~30分ほど安静にします。

飲食の許可が下りる病院では、あらかじめこぼれにくいストローなどを使用した飲み物や、食べやすいおにぎりやサンドイッチなどの食べ物などを用意しておくと良いです。

栄養価が高いものを口にすると良いので、ナッツ類などもおすすめ。

せっかくなので、胚移植をしたばかりの子宮に手を当ててみてください。

この時だけは、妊婦さんの気持ちを十分に味わうことができますよ。

感染症予防の抗生剤を服用

移植後は膣内に傷がついている場合があるので、水やお湯に浸かることで感染症にかかる危険性があります。

そのため病院から感染症予防のために抗生剤が出ることも。

抗生剤は、細菌感染症に有効な薬であり、服用に際して過剰に神経質になる必要はありません。

医師の指示に従って服用してくださいね。

また移植当日は、入浴などを控えるように病院から指示が出ると思います。

これは傷ついた膣内からの感染症予防の一環でもありますので、指示があれば守るようにしてください。

せっかく移植をしても、母体が感染症などで弱れば、お腹の子どもにも影響してしまいます。

リスクは少しでも避けるようにしましょう。

黄体ホルモンの補充

体外受精による妊娠の場合、子宮環境を整える必要があります。

そこで必要となるのが黄体ホルモンの補充です。

黄体ホルモンには、基礎体温を上げたり、子宮内膜を厚くして胚が着床しやすい環境をつくる働きがあります。

少しでも着床しやすくするには、着床に必要とされる子宮内膜の厚さを保たなければなりませんが、体外受精時に使用するゴナドトロピン製剤などの卵巣刺激をしている場合には、黄体ホルモンの分泌量が抑えられてしまったりします。

その足りない分を補うには、注射により黄体ホルモンを補充しなければならないのです。

黄体ホルモン注射は着床後もしばらく続けられることが多いので、自己注射をしている人も自己判断はせず、やめるタイミングは医師の判断に従ってください。

自己判断で中止してしまった場合には流産の危険性を高めてしまいます。

超音波で排卵を確認する

人工授精後に、超音波により排卵を確認します。

これは人工授精をするタイミングが合っていたかどうかを確認する作業です。

人工受精時には卵胞がみえているものですが、タイミングがあっているならば人工授精の翌日には卵胞がしぼんでいたり、消えています。

排卵の確認も黄体ホルモンの補充とともに必要な検査となるので、しっかりと受けましょう。

尿や血液検査で妊娠判定

人工授精を行ってから1週間~10日後に尿や血液検査で妊娠判定を行います。

ほとんどの病院では10日以上たってからの妊娠判定が多いでしょう。

妊娠判定には、着床後に急激に増えるホルモンであるhCGの量を測定します。

結果を待つまでの期間があまりに長いので、フライング検査を行いたくなる人も多くいます。

フライング検査とは、事前に市販のフライング検査薬などで自分で妊娠判定を行うことですが、体外受精を行っている場合には検査するタイミングが非常に重要です。

そもそも人工授精後は数日間、受精卵は着床せずに漂っています。

そのため早すぎるとまだ着床していませんし、薬の影響でhCGが多く尿に含まれて誤った結果が出てしまうこともあります。

フライング検査をしてもよいのですが、一喜一憂するのは正確な病院の判断を得てからにしましょう。

人工授精後に起こりやすい症状

人工授精後に、体になんらかの症状があると不安になるものです。

心配しなければいけないものと、そうでないものがあるので事前に知っておきましょう。

少量の出血や茶色のおりもの

人工授精後、下着に少量の出血や茶色のおりものがつくことがあります。

出血というと、もしかして流れてしまったのかと心配になるかもしれませんが、たいていの場合の出血はカテーテル挿入時の傷であることが多いのです。

数日で出血は止まりますので、あまり心配しすぎないでください。

人工授精後すぐには受精卵は子宮内を漂っています。

ふわふわ浮いた状態で2~3日おりますので、ちょっとした軽い運動くらいで流れてしまうようなものではありません。

ただし、出血が持続的で一週間以上続く場合はカテーテル挿入時の傷が原因ではない可能性がありますので、一度医師に相談をしてみたほうがよいでしょう。

子宮収縮による痛み

人工授精後に下腹部に痛みがある場合、いくつかの理由が考えられます。

その中の1つが子宮収縮による痛みです。

子宮が収縮する理由ですが、胚移植の処置の際にカテーテルが子宮にぶつかったり、子宮の入り口をカテーテルを挿入するために引っ張ったりした場合に、子宮が収縮して痛みが出ることがあります。

他にも排卵後の子宮収縮や、ホルモンバランスの変化が理由の場合も。

術後に黄体ホルモンが増加し、骨盤の中が充血したような状態になることで痛みが引き起こされるのです。

生理痛のような痛みならば、この子宮収縮の可能性があります。

着床による下腹部痛

人工授精から1週間ほどたった頃にチクチクとした痛みを感じたら、それは着床痛かもしれません。

着床痛とは、受精卵が着床するときに発生する痛みで、感じ取ることができるのは敏感な人だけです。

症状がないからといって着床していないわけではありません。症状なしの場合もあるのです。

着床痛がなぜ起こるのかメカニズムはわかっていません。

受精卵は移植後数日は子宮内を漂いながら、成長を続けます。

そして絨毛を伸ばし、子宮内膜に潜り込み酸素や栄養を母体から吸収する準備を整えます。

これが着床です。

この絨毛が定着するときの痛みが着床痛ではないかといわれています。

お腹の張りや下痢

お腹の張りや下痢といった症状がおこる場合があり、この理由もいくつか考えられます。

妊娠初期症状では、黄体ホルモンが腸の蠕動運動を鈍くして便秘になることがあります。

また下痢になったり、おならが頻繁に出ることも。

ただしお腹の張りや下痢は、妊娠のよい兆候だけとは限らないので注意が必要です。

人工授精の場合は、薬により卵巣刺激をしています。

その排卵誘発剤の影響により卵胞が通常よりも大きく育ち、卵巣が腫れることがあるのです。

卵巣刺激症候群(OHSS)といわれる症状で、軽いものならよいのですが、重症化すると血栓症などを起こす可能性があるので、痛みが激しいようなら即座に医師に相談する必要があります。

味覚の変化や吐き気

妊娠超初期症状は、人それぞれで人によって異なる症状がでます。

ホルモンバランスが崩れているので、ニキビができやすくなったり、匂いに敏感なる卵胞ホルモンの増加により、嗅覚や味覚に変化が起きる場合があります。

また妊娠超初期症状でも吐き気を感じたり、ムカムカするといったつわりの症状を感じることがあります。

つわりは早くても妊娠3週くらいから感じるものですが、ちょうどそれは受精卵の着床の時期に当たります。

着床をしたことにより、体は赤ちゃんを受け入れる準備を急速に進めるため、予期しなかったような症状が出ることがありますが、落ち着いて対応をしましょう。

人工授精後の理想的な過ごし方

人工授精後は、どのように過ごせばよいのか不安になります。

少しでも成功率を高めるためのポイントをみていきましょう。

体を温めることを心がける

不妊に冷えは大敵です。体は冷えると血流が悪くなります。

それは子宮にまで及び、胚が着床するはずの子宮内膜の状態を悪くしてしまいます。

腹巻きをするなど、腹部をしっかりと温めることを心がけてください。

特に夏場だと油断しやすいのですが、エアコンの効きすぎによっても体は冷えます。

外出する際には、薄手のカーディガンなどを持ち歩くとよいでしょう。

またリラックスをすることも兼ねてお風呂で半身浴をしたり、血流をよくするために鍼灸に通ってみるのもよいかもしれません。

妊娠に必要な栄養を摂る

着床した受精卵は、絨毛を伸ばし子宮内膜から母体の栄養を取り込み始めます。

そのために妊娠に必要な栄養を摂ることは不可欠。

現代の女性はやせ気味で、普段の食生活からも必要とされる栄養素が取れていない可能性が高いのです。

意識して栄養を摂り、足りない分はサプリメントなどで補いましょう。

妊娠に必要とされる重要な栄養素はタンパク質、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、葉酸、鉄や亜鉛などです。

タンパク質は妊娠初期にはそれほど量を増やす必要はないのですが、不妊治療中には良質の卵子を作るために、妊娠中期以降には胎児の血肉になるために必要不可欠です。

また葉酸は、妊娠前からの摂取が厚生労働省によっても推薦されているくらい重要な栄養素で「赤ちゃんのビタミン」とも呼ばれているくらいです。

食事から必要量摂取するのは難しいため、サプリメントを使用するとよいでしょう。

適度な運動で血行を促進する

人工授精直後は体を安静にする必要がありますが、それ以降は寝たきりになっている必要はありません。

むしろ基礎体温を上げたり、体の血行をよくするために激しくない適度な運動は体にとってよいです。

体温が上がったり血流がよくなると、子宮に流れ込む血流もアップします。

しっかり血液が子宮に流れることで、着床した受精卵はしっかりとそこから酸素や栄養を吸収することができるようになるのです。

あまり激しくはない、ストレッチやヨガといった運動が人工移植後の運動には向いています。

または職場への通勤や買い物など、ウォーキングを兼ねて徒歩で行くのもよいかもしれません。

ストレスは上手に解消する

妊娠にとってストレスはよくありません。

悪くすると流産を引き起こしてしまうので、ストレスは上手に解消しましょう。

夫が非協力的であること、不妊治療と仕事の両立、妊娠判定を待つ期間のストレスなど、なにに不安や緊張を感じるかは人それぞれことなります。

問題点がはっきりしている場合は、人工授精をする前から問題解決するために動いておくとよいかもしれません。

また半身浴をしたり、アロマで気持ちを落ち着けたり、お気に入りのカフェでゆっくりと読書して過ごすなど、自分なりのストレス解消方法をみつけておきましょう。

人工授精後の注意点

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人工授精後には、控えたほうがよいことなどもあります。注意点を知って、心身共に健康的な生活を心がけましょう。

飲酒やたばこは控える

通常体によくないとされている飲酒やたばこは控えてください。

人工授精をしたことにより、あなたの体の中には小さな命が宿っています。

着床していれば、すでに絨毛を通して母体であるあなたから酸素や栄養の補給を開始しているのです。

その赤ちゃんのことを考えれば、絨毛を通して赤ちゃんまで渡ってしまうようなアルコールなどを摂取することは難しいのではないでしょうか。

せっかく宿った命です。守ってあげられるのは母親です。

お腹に手を当てて、自分と赤ちゃんのどちらを優先させるのかもう一度考えてみてください。

医師に確認をせずに市販薬を飲まない

着床後には、着床痛や妊娠の超初期症状などがおこり体がめまぐるしく変化をしています。

その中には基礎体温が上がるものや、頭痛など風邪の初期症状に似ているものもあります。

ついつい市販の風邪薬や頭痛薬を飲みたくなりますが、医師に確認をせずに市販薬を飲むことは控えましょう。

市販薬のパッケージなどを見ると「妊娠中禁忌」という言葉や、妊娠中は服用を控えるように書かれている注意書きなどをみかけると思います。

よく知られているロキソプロフェン(ロキソニン)などにも注意書きはあります。

胎児への万が一のリスクを避けるために、市販薬は医師の確認をしてから使用したほうがよいです。

激しい運動はしない

疲れ果てるほどの激しい運動は、人工授精後は避けてください。

ただし安静にしすぎる必要はありません。

自然妊娠の場合は、着床したばかりの頃に妊娠したことに気がつく人は少ないでしょう。

普段通りの生活をしていて問題ないのです。

むしろ適度な運動は、基礎体温を高めたり血流をよくするので子宮にとってよい働きがあります。

おすすめは軽いストレッチやヨガなどリラックスする効果があるものがよいでしょう。

無理のない適度に体を動かしてください。通勤や買い物に行くのに、車ではなく歩くのも効果的です。

夫婦生活は体調を見て行う

人工授精後に夫婦生活を通常通りに営んでもよいのか気になるところかもしれません。

基本的には問題ありません。

ただし医師によって意見が異なる場合もあるので、気になるようでしたら医師に相談してみてもよいでしょう。

また人工授精後に腹痛、腰痛などの体調不良がある場合には、卵巣刺激症候群(OHSS)などの可能性もありますので、無理は禁物です。

体をいたわりながら、ハグ程度の愛情表現にしておいてはいかがでしょうか。

腹痛が続く時は医師に相談する

一時的な腹痛ですめばよいのですが、持続的に耐えがたい腹痛が続く場合には、妊娠の超初期症状などではなく卵巣刺激症候群(OHSS)の可能性があります。

卵巣刺激症候群とは、排卵誘発剤などの影響で卵巣が腫れてしまい、腹水に水が溜まったりする症状です。まれですが、血栓症など命に係わる重篤な症状がでることでも知られています。

腹痛が長く続く場合には、医師の診断を早めに受けてください。

またできるだけ体を安静にして、飲み物などを取りすぎないように気をつけてください。

調子が悪い時には無理をしない

体調が悪いときには、無理をしないことが大切です。

仕事や家事など、女性にはしなければならないことがたくさんあります。

良き妻であるほど、ついつい頑張りすぎてしまうものですが、ときには手抜きもしてください。

いまなによりも大事にしなくてはならないのは、お腹の子です。

自分が無理をすることで、お腹の子供になにかあったら、夫も自分も悲しい思いをすることになります。

人工受精後は、なにより自分を大切に労ってあげてください。

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人工授精後は健康的な生活を心がけよう

人工受精後の過ごしかたは、基本的にはムリをしないことです。

ストレスをためず、家事などは少し手を抜いてしまいましょう。

睡眠や栄養をしっかりととり、お腹の子供にとってもよいと思える健康的な生活を取ることが肝心です。

あなたのお腹の中には、小さな命が宿っています。

なにかに迷ったら、お腹に手を当てて考えてみてくださいね。

お腹の声を聴くことで、きっと適切な答えを出すことが出来ます。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

妊活部編集スタッフです。妊活に関するお悩みを解決するためのサポートをします。最新情報から妊活にまつわる情報を提供します。