体外受精をすると、待ちきれないのが「妊娠判定」です。
妊娠判定が出るまでの期間は、気が気ではない夫婦が多いことでしょう。
1日も早く知りたい妊娠判定。
では、この妊娠判定は一体いつから出来るのでしょうか。
また、妊娠判定後に見られる症状についても合わせて知っておきましょう。
体外受精で妊娠判定が出たら、受精卵が問題なく子宮に着床したという証です。
妊娠は、受精卵が出来ただけでは成立せず、着床をしてやっと妊娠成立となります。
体外受精をした夫婦にとって、この妊娠判定ほど嬉しいものはありません。
しかし、妊娠判定が出ると妊娠がスタートする為、母体にはさまざまな症状が出てきます。
初めての妊娠では、こうした症状も心配になるものですよね。
そんな妊娠判定について、そしてその後の症状について詳しく見ていきましょう。
まずは、体外受精の進め方を見ていきましょう。
体外受精は、自然妊娠とは少し違った方法となりますので、この工程を知っておくことも大切です。
体外受精においての最初の段階は、卵巣を刺激して、排卵を誘発することから始まります。
卵巣には卵子がたくさんあり、その中から選りすぐられた卵子が排卵されます。
なるべく妊娠しやすくなるように、できるだけ健康な卵子が排出されるのです。
本来、排卵は月経のリズムに合わせて、女性ホルモンのバランスが変わることで起こります。
しかし、体外受精においては、ホルモン剤を使用して排卵を誘発していきます。
ホルモン剤を使うことで、より効率的に妊娠しやすい卵子を確実に排卵させるのです。
また、ホルモン剤を使用することで、より健康に卵子を育てられるのです。
排卵されるタイミングを見計らい、健康な卵子を採取していきます。
体外受精の場合は、妊娠しやすいように複数の卵子を採取することもあります。
そして、それと同時に精子も採取して、体外での受精が始まります。
採卵も採精も、その鮮度がとても重要となってきます。
そのため、排卵のタイミングに合わせての施術となることが多くなります。
いざ採卵・採精が済んだら、体外受精をスタートします。
卵子の上から精子を振りかけて、自然に受精するのを待つのです。
ちなみに、顕微授精という方法もあり、これは体外受精とは少し違った方法となっています。
顕微授精の場合は、自然に受精するのを待つのではなく、人工的に授精させていきます。
顕微鏡を使い、精子の中から元気なものを選んで、卵子に注入していくのです。
そのため、体外受精よりも、受精する確率は高いとされています。
ただし、その分、料金が高くかかってくることがほとんどです。
受精が成功して受精卵になると、細胞分裂が開始されます。
細胞分裂が起こって、受精卵は胎児へと成長します。
この細胞分裂が始まった受精卵を「胚」と呼びます。
体外受精では、この胚を専用の培養液を使って培養していきます。
培養された胚は、子宮内へと移植していきます。
こうして、受精卵は体内へと戻っていくのです。
そして、着床するのを待つことになります。
胚移植が完了したら、黄体ホルモンの補充を行います。
黄体ホルモンは、妊娠を維持するために欠かせない女性ホルモンです。
このホルモンが十分に分泌されていないと、流産の原因となってしまうこともあります。
黄体ホルモンの補充を行うことで、着床率を上げていきます。
着床率が上がれば、妊娠に至る可能性も非常に高くなるといえるのです。
ここまで処置をすれば、あとは妊娠判定を待つばかりです。
実際に妊娠判定をするのは、胚移植をしてから12日前後となります。
このタイミングで病院へ行き、妊娠が成立しているかのホルモン検査をしていくのです。
しかし最近では、市販の妊娠検査薬の精度も非常に高くなっています。
体外受精をした夫婦では、1日でも早く妊娠判定をしたいものです。
早い人では、体外受精から7日ほどで妊娠検査薬で反応が出ることがあります。
ただし、これには個人差があるので、あまりにも早い段階で検査しても、陰性となるケースが多くなっています。
あせらずに、病院での妊娠判定を待つほうが賢明といえそうです。
体外受精に成功して妊娠判定となると、実際に妊娠がスタートしていきます。
妊娠すると、胎児を育てるために、母体にはさまざまな変化が起こってきます。
妊娠が成立すると、微量の出血をすることがあります。
自然妊娠においても同様で、少し驚く人が多いです。
これは、着床出血と呼ばれるもので、受精卵が着床したときに起こる出血です。
そのほとんどのケースでは問題はなく、妊娠もそのまま問題なく継続していきます。
このときの出血は、微量であるケースが大半ですが、中には生理と同等レベルの出血をすることもあります。
心配なときは、医師に相談しましょう。
女性の体調のバロメーターともいわれる「おりもの」にも、変化が見られることが多くなります。
妊娠判定を受けたあとは、おりものが増えることがあるのです。
サラサラしたおりものが増えることが多いですが、中には白濁や黄色っぽいおりものになることもあります。
これも個人差が大きいものなので、あまり大きく心配する必要はありません。
基本的におりものは、膣内を清潔に保つ役割を担っています。
妊娠が成立すると、母体は胎児を守るために働くようになるので、おりものが増えると考えられているのです。
妊娠が始まると、大半の女性のつわりが始まります。
つわりの代表的な症状としては、吐き気や好みの変化が挙げられます。
しかし、つわりにも個人差があるので、人によってその症状はさまざま。
食べものを食べると吐き気がするタイプや、食べものを食べていないと吐き気がするタイプなど、人によって全く異なってきます。
また、食の好みが変わることもよくあります。
今まで嫌いだったものばかり食べたくなったりするなども、つわりの1つです。
つわりが始まったら、無理して食べたりする必要はありません。
妊娠を健康的に維持するためには、栄養をしっかり摂らなければと考える人が多くいます。
しかし、つわり中に関しては、食べられるものを食べられるだけ食べていれば大丈夫です。
栄養バランスについては、つわりが落ち着いてから考えましょう。
ただし、食べつわりで、食べ物を食べていないと吐き気がしてしまう場合は、ガムやアメなどを活用していきましょう。
ここであまり食べ過ぎてしまうと、妊娠中に過度に体重が増えてしまう原因となります。
体重が増えすぎてしまうと、出産が大変になってしまうこともあるので注意しましょう。
着床痛と言い、下腹部の痛みが出ることもあります。
チクチクとした痛みのことが多く、これは着床したことにより起こると考えられています。
妊娠初期には、腹痛はとても心配になるものですよね。
しかし、この着床痛に関しては問題はありません。
ただし、中には危険な腹痛の場合もあるので、心配な場合は医師の診察を受けるようにしてくださいね。
また、妊娠初期は、腹痛の症状が出るケースが大変多いものです。
その大半は心配のない腹痛なのですが、安静にしていても治らなかったり、過度の痛みをともなったりした場合は受診しましょう。
妊娠が始まると、風邪のような症状が現れる人が多いものです。
熱っぽくなったり体がだるくなったり、吐き気や腹痛などですね。
これらは、妊娠初期ならではの症状なので、基本的には心配ありません。
特に微熱は、妊娠初期には多くの妊婦さんが経験するものなのです。
ただし、いつもと感じが違うなどの違和感が大きい場合には、早めに医師に相談しましょう。
妊娠初期は大変デリケートな時期なので、無理せずにゆっくりと体を休めていくことが大切です。
体外受精後には、出血をすることがあります。
出血はどんなときでもドキッとするものですので、ビックリしないようその理由も頭に入れておきましょう。
生化学的妊娠とは、化学流産と呼ばれるものです。
体外受精に成功し、妊娠判定で陽性の確認をしたにもかかわらず、胎嚢を確認する前に流産してしまうことをいいます。
化学流産は決して珍しいことではなく、自然妊娠でも起こります。
一説では、4割近くが化学流産しているともいわれているのです。
化学流産の原因は、そのほとんどが胎児側の問題とされています。
染色体などの異常により、着床後に成長できなかったのです。
残念ながら、この場合は妊娠の継続はできなくなります。
着床出血という可能性も、もちろんあります。
着床出血は、受精卵が子宮へ着床する際に、絨毛を傷つけてしまうことによるものです。
つまり、着床に成功したために起こる出血なのです。
この着床出血は、鮮血が少量出ることが特徴です。
ただし、場合によっては、大量の出血をしてしまうこともあります。
自分だけでの判断は非常に難しいので、判断に困る場合は早めに受診しましょう。
妊娠が始まっても、出血は起こるものです。
妊娠中は刺激に弱くなるため、出血しやすくなるといえるのです。
また、妊娠自体も大変デリケートなものなので、ちょっとした変化でも、出血しやすくなっているといえます。
その多くの場合で、出血は心配しなくても良いものとなっています。
出血したら安静にし、それで出血が止まるようであれば、問題がないケースがほとんどです。
ただし、こうした場合に関しても、素人目には判断が難しいもの。
特に妊娠中は、とても大事な時期で、何があるか分かりません。
心配なときや違和感があるときは、迷わずに医療機関へ相談しましょう。
体外受精したからといって、100%確実に妊娠できるわけではありません。
妊娠判定までは、気が気ではない期間となりますが、ゆったりと待ちましょう。
そして妊娠は、一人一人によって全く違うものです。
妊娠成立後の症状も、人によって異なってくるのです。
妊娠が始まると、母体は大きな変化が始まります。
そのため、つわりを始めとするさまざまな症状に悩まされる期間がスタートするのです。
その後は、お腹もどんどんと大きくなるなど、母体は大きく変化していきます。
これは、胎児を健康に育てるためには避けることのできない期間ですが、母体にとっては大変な負担となってくることは間違いありません。
ぜひ、心身ともにゆったりと過ごして、大切な妊娠期を乗り切るようにしてくださいね。