体外受精を行う際に排卵誘発剤などを、注射によって投与することがあります。
通院でも行うことができますが、自己注射をすることで通院する負担を減らすことができます。
また、ある程度の知識を持っていると、注射に対する不安も和らげることが出来ます。
この記事では、自己注射についての利点や注意点など詳しく解説していきます。
最近では女性の社会進出が進み、晩婚化も進んでいます。
そのため、女性の結婚する年齢が上がっていることで妊娠をする年齢も上がり、不妊に悩んでいる女性も増えてきています。
不妊治療には、タイミング法、人工授精などがありますが、それでも妊娠することができない場合は、体外受精を行うことになります。
しかし、不妊治療には時間がかかることから不妊治療新薬を自己注射することで、排卵を抑制し、体外受精前に排卵してしまうのを防ぎます。
とは言え、自分で注射を打つというのは恐怖が伴いますよね。
それにより、なかなか踏み切れない女性も多いのが現状です。
体外受精を行う場合、治療前に不妊の原因を調べる検査や採卵、受精卵の移植など数多くの治療を行う必要があります。
そのため、治療に専念するとなると仕事との両立が難しくなることも多く、仕事か不妊治療のどちらかを選ばなくてはならなくなることも多いです。
しかし、自己注射を選択することで、自分で注射を打つことができるようになりますので、毎日のように病院に通う必要がなくなり、不妊治療を始める前と同じように生活することができます。
また、通院にかかる時間と交通費を減らすことができるため、経済的な負担も減らすことができます。
体外受精を行う場合、何度も病院に通う必要があるため、仕事との両立が難しくなる場合があります。
そのため、不妊治療に専念するために仕事を辞める女性もいます。
しかし、自己注射を行うことで自宅で決まった時間に自分で注射をし、病院を同じ治療の効果を得ることができます。
時間の調整がしやすくなり、仕事の調整もしやすいというメリットがあります。
体外受精の治療として病院で注射を打つ場合は、数日間続けて打つ必要があるため、交通費などの費用もかかってきてしまいます。
治療のほかにも交通費などの費用がかかり、治療費が高額になる場合があります。
ですが、注射のたびに病院に通うことが難しい場合は、自宅で自己注射をするという方法があります。
ですが、自己注射をする場合は、自分で注射を打つことになるため、クリニックなどで注射の指導を受ける必要があります。
この際に、技術料として数千円ほど費用がかかってしまいますが、何度も通院することに比べると、交通費を節約することができます。
自己注射をする場合は、注射器や薬剤・技術料だけではなく、消毒用のコットンや持ち帰り用の容器に費用がかかるため、覚えておきましょう。
体外受精の際に行われる自己注射は、二種類あります。
一つめは、シリンジタイプの注射器です。
シリンジタイプは、注射器と針がセットになっていて、自分で注射器で薬液を吸い取って注射します。
使用後の片付けなどを考えると、外出先での注射は難しいかもしれません。
二つめは、ペン型の注射器です。
シリンジタイプと違ってあらかじめ薬剤が中に入っているため、簡単に持ち運ぶことができます。
そのため、外出先で注射をする場合は、ペン型タイプがおすすめです。
※以下で紹介するのは、あくまでも例です。必ず医師に確認してください。
体外受精の自己注射をする場合は、おへその周りを避けた腹部、太もも、二の腕のどこかに打つことになります。
また、前回注射したところと同じところに注射をしないように注意します。
注射時には、注射する場所の皮膚をアルコール綿などでしっかりと消毒します。
次に、注射する場所の皮膚を軽くつまんで水平にしてから打つようにします。
この際に、注射器を約30度から60度の角度に傾けるようにします。
また、針がすべて見えなくなるまで刺すようにします。
針を自分で刺すことで、痛みや恐怖を感じてしまうことがあります。
そのようなときは、注射する場所の感覚を鈍くさせることで、痛みを和らげることができます。
注射する場所の感覚を鈍くする方法として、保冷剤がおすすめです。
注射する前に、保冷材を皮膚に約1分から3分あてて皮膚を冷やすことで、感覚を麻痺させて注射による痛みを和らげることができます。
また、保冷剤が無い場合などは、袋に氷をいれたものを注射する場所にあててもよいでしょう。
自分で皮膚に注射するときに緊張してしまうと、筋肉も緊張して固くなってしまいます。
筋肉が緊張している状態で注射を打つと、より痛みを強く感じてしまいます。
そのため、緊張せずにリラックスした状態で注射を打つようにしましょう。
心身ともにリラックスしたい場合は、お気に入りのアロマを使うことがおすすめです。
アロマを嗅ぐことで、全身をリラックスさせることができ、身体の緊張をほぐすことができます。
また、注射をするときに深呼吸をすると、身体が緩み緊張がほどけるため、痛みを和らげることができます。
自己注射する場合は、針を皮膚に刺してからは、薬剤をゆっくりと入れていくことがポイントです。
自分で打つ恐怖や、早く終わらせてしまいたいという気持ちから、薬剤を急いで注入してしまうと、より痛みが出やすくなります。
注射をする前に3回ほど深呼吸をして、4回めの深呼吸の息を吐くタイミングに合わせて針を刺し、次の呼吸のタイミングでゆっくりと注入するとよいです。
リズムよく行うことで、痛みを減らすことができます。
体外受精の自己注射をする場合は、おへその下の部分を除くお腹や太もも、二の腕などに打つことが多いです。
また、病院によっては、お腹に打つように指示される場合もあります。
お腹は、太ももに比べて、間違って皮下組織の下にある血管や筋肉の部分に注射してしまったり、大切な神経を傷つけるリスクが少ないためです。
注射を打つ場合は、前回打った場所と同じ場所に打たないようにする必要があります。
また、3cm以上離れた場所に打つことが望ましいとされています。
同じ場所に何回も打ってしまうと、打った部分の皮膚が固くなってしまいます。
そうなると、打ったときに痛みがでるだけではなく、その場所に打つことができなくなってしまいます。
注射器の薬剤を自宅で保管する場合は、直射日光があたる場所や湿気が多い場所での保管は避けましょう。
また、薬剤を凍結させてしまうことがあるため、冷凍庫での保管はしないでください。
薬剤が直射日光や熱、湿気などの影響を受けると、変色したり薬の効果を十分に発揮できなくなる場合があります。
また、身体に有害な影響を与えてしまう可能性もあるため、注意しましょう。
自宅に小さな子どもがいる場合は、子どもの手が届く机の上などでの保管もやめるようにしましょう。
子どもがいたずらしないように手の届かない場所に置くか、引き出しにしまって保管するようにしましょう。
自己注射をしたあとに、注射を打った場所の皮膚に赤みがでてしまうことがあります。
また、排卵誘発剤や卵巣刺激剤を使用することで、薬剤に過剰に反応してしまうといくつもの卵胞が成長してしまい、卵巣過剰刺激症候群になってしまう可能性もあります。
この卵巣過剰刺激症候群の主な症状として、頭痛、体重の増加、のどが渇く、腰痛、お腹が張るなどの副作用がでる可能性があります。
卵巣過剰刺激症候群になってしまった可能性がある場合は、排卵誘発剤の使用を中止する必要があります。
また、症状の度合いによって治療方法は異なってきます。症状が比較的軽症の場合は、自宅で安静にするとともに病院で点滴による治療が行われます。
症状が重症だった場合は入院が必要になり、場合によっては腹腔穿刺が必要になることがあります。
体外受精を行う場合は、排卵を誘発させるために注射によって排卵誘発剤や卵巣刺激剤を使用することがあります。
病院での治療は、通院回数も多いことから私生活に支障がでることがあります。
そのため、自己注射という方法をとることで、通院する必要がなくなり、負担を減らすことができます。
注射を打つ場合は、毎日決まった時間に打つことで効果を得ることができます。
しかし、注射を打つことによるリスクもあるため、医師による説明をしっかりと聞きましょう。