体外受精の移植後は、さまざまな検査や治療を行います。
検査や治療の流れ、移植後の過ごし方と注意点を知っておくことは大切です。
また、移植後に起こりやすい症状や体の変化について知っておくことで、体調に変化が起こったとしても落ち着いて対処できます。
体外受精の移植後は、さまざまな検査や治療を行います。
検査や治療の流れ、移植後の過ごし方と注意点を知っておくことは大切です。
また、移植後に起こりやすい症状や体の変化について知っておくことで、体調に変化が起こったとしても落ち着いて対処ができます。
体外受精の移植直後は安静が第一です。
とはいえ、いつまで安静にしているべきなのでしょうか?
体外受精で移植を受けたばかりだと、その後どのように過ごしたらよいのかなど、さまざまな悩みや疑問がわいてきます。
移植後の過ごし方を知るためにも、まずは体外受精後に行われる検査や治療の流れを知っておきましょう。
そうすることで、移植後どのように過ごしたらいいのかもわかってきます。
どれくらい安静にしていたらよいのかなど、移植後の過ごし方について学んでいきましょう。
体外受精の移植後には妊娠に成功するため、または妊娠判定のためにさまざまな検査や治療を行います。
体外受精の移植後は、黄体ホルモン補充のための注射をすることがあります。
子宮内膜を厚くして、受精卵が着床しやすい環境を整え、妊娠しやすい体を維持することが目的です。
受精がうまくいったとしても、受精卵が子宮内膜に着床し、その後妊娠を継続しなければ本当に成功したとは言えません。
そのために、子宮内膜を増強することが必要です。
体外受精移植後5~7日目に妊娠判定を行いますが、そのときに妊娠が陽性であれば黄体ホルモンの投与はそのまま継続します。
着床に成功したら妊娠したということになりますが、移植後14~21日くらい経ってからしか正確な妊娠判定をすることができません。
病院での妊娠判定は移植後16日目以降に行われることが多く、採血によるホルモン検査により妊娠判定を行います。
着床に成功すると、妊娠ホルモンを呼ばれているhCGホルモンが分泌されます。
そのため、血液検査をし、血中にhCGホルモンが分泌されているかを調べて、妊娠の判定を行うのです。
採血によるホルモン検査をして陽性の結果が出た場合、約2週間後に今度は超音波による妊娠判定を行い、胎嚢があるかを調べます。
胎嚢が確認できたら、その約2週間後に心拍の確認を行うという流れです。
移植後の流れをまとめると、血液検査、胎嚢確認、心拍確認という流れで進んでいき、正確な妊娠判定が行われます。
体外受精の場合は自然妊娠の場合と比べて、妊娠判定までにさまざまな検査を行うので、移植から妊娠判定までは日にちがかかりますが、焦らずに検査を進めていきましょう。
体外受精の移植後に起こりやすい症状を知っておくことで、体の異常が起きた時でも冷静に対処できます。
体外受精の移植後に少量の出血がある場合、着床出血もしくは移植時のカテーテルによる刺激で出血している可能性があります。
着床出血であれば、移植をしてから数日後に少量の出血や茶色っぽいおりものが出ることがあり、妊娠初期に起こる症状です。
また、移植の際に膣内を消毒した刺激や、カテーテルを挿入する際についた小さな傷が原因で出血することもあります。
着床出血の場合は、移植して数日経ってからの出血ですが、移植の際の刺激による出血であれば、移植後すぐに出血があります。
どちらも、一般的には数日間で出血がおさまるので、それほど心配しすぎる必要はありません。
しかし、出血が長く続いている場合や出血の量が多い場合は、病院に行き医師に確認してもらいましょう。
移植してから数日後に、下腹部の痛みを感じることがあります。
この痛みは妊娠初期に起こる症状なので、下腹部の痛みを感じたら妊娠の可能性があるということです。
ただし、妊娠初期に下腹部が痛むかどうかには個人差があり、痛みの感じ方も人それぞれ違います。
チクチクする痛み、重だるい痛み、生理痛のような痛みなど。
これらの下腹部の痛みの原因は、受精卵が着床する際に子宮が変化するために起こります。
下腹部の痛みがあったからといって、必ずしも妊娠の可能性があるともいえません。
子宮外妊娠や卵巣過剰刺激症候群の可能性もあるからです。
下腹部の痛みがひどい場合や、痛みに対して不安に思うことがあれば必ず医師に相談しましょう。
移植後に吐き気やめまいが起こる場合、妊娠初期症状である可能性もありますが、不妊治療の薬の副作用の可能性や自律神経失調症などの可能性も考えられます。
着床後に吐き気やめまいの症状が出るのはよくあることなので、体外受精をして着床に成功したサインだととらえることもできますが、そうでない可能性も頭に入れておいたほうがよいということです。
妊娠初期症状のめまいが続く場合は注意が必要。
妊娠初期の頃は赤ちゃんに大量の血液が送られるため、貧血になりやすいです。
症状がひどい場合は、医師から鉄剤が処方されることがあります。
吐き気やめまいが続くようであれば、妊娠の症状に限らず、他の病気が隠れている可能性もあるので、医師の診察を受けましょう。
着床後はおりものが変化することが多いのですが、どう変化するかは個人差があります。
例えば、おりものの量が増える、粘り気がなく水っぽいおりものに変化するなど。
おりものが白く濁る、クリーム色になる、着床出血によりおりものに血液が混じって茶色っぽくなるということもあります。
体外受精の移植後におりものが変化したら、妊娠の可能性があるということを覚えておきましょう。
ただし、おりものの変化には個人差があり、妊娠してもおりものの変化を感じないということもあります。
妊娠初期には、風邪に似た症状が出ることがあります。
そのため、体外受精の移植後に風邪に似た症状が出た場合は、妊娠の可能性があるということです。
妊娠したら黄体ホルモンの影響で基礎体温が高くなる「高温期」が続きます。
高温期になると、熱っぽさや頭痛、体のだるさ、下痢、ぼーっとするなど、風邪に似たような症状が出やすくなるのです。
くれぐれも、風邪と間違えて市販の風邪薬を飲まないように注意しましょう。
もし妊娠の症状だった場合、独断で市販の風邪薬を飲むと、お腹の中にいる赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があるので、自分で判断せずに病院で診察を受けましょう。
体外受精の移植後はどのように過ごしたらよいのでしょうか?
何か制限はあるのでしょうか?
体外受精の移植直後は、病院で30分くらい安静にします。
しかし、その後は自宅に帰り、普段通りの生活を送っても問題がないといわれることが多いです。
夫婦生活についても、特に制限はありません。
(病院の方針や体質等によっては、制限されることがあるので、医師の話をよく聞いて従うようにしましょう。)
また、夫婦生活に制限がないといわれたとしても、出血がある場合は別です。
出血がある場合は、感染症のリスクや体の負担を考えて、夫婦生活は控えるようにしましょう。
体外受精の移植後は、体を温めたほうがいいという意見と、温めないほうがいいという意見と、両極な意見があります。
結論からいうと、体を温めても問題はありません。
体を温めないほうがいいという意見は、些細なうわさが広がったものだといわれています。
結果をまとめると、体外受精の移植後に体を温めるのは問題なく、温めて血流をよくすることで妊娠率が上がったというデータもあります。
温めることがよいというよりは、血流をよくすることが着床をサポートすることにつながるということです。
妊娠しやすい体をつくるために、鍼灸や半身浴などで体を温めて血流をアップさせましょう。
体外受精の当日は仕事を休む必要がありますが、翌日からは通常通りの仕事も家事もOKです。
安静にしなければいけないのは、体外受精の移植直後のみ。
当日でも帰宅してからは、激しい運動はなるべく避けたほうがよいのですが、それ以外は普段通りに生活を送れます。
翌日からは、仕事もOKなので、過剰にいろいろな制限をする必要はありません。
ストレスを溜め込むほうが体にはよくないので、なるべくストレスを感じないように普段通りの生活を送りましょう。
ただし、体調面に問題があるなど、無理をするとよくないという医師の判断があった場合は、仕事を休まなければいけない可能性もあります。
飛行機やバスなどに長時間乗ることは、揺れや振動が着床に悪い影響を与えるのでは?という心配があります。
しかし、体調に問題がなければ、体外受精の移植後に飛行機などの移動手段を利用することも問題ありません。
着床に影響を与える可能性は低いのですが、もし妊娠している場合は、揺れや振動により吐き気やめまいの症状がひどくなる可能性があります。
体調が優れないときは飛行機などに乗るのは控えたほうがよいです。
栄養バランスのとれた食事をすることで、卵子の質が良くなり着床率が上がるといわれています。
また、老化防止や黄体ホルモンの生成に影響のあるビタミンEを意識的に摂取するのもおすすめ。
外食やファストフードばかりではなく、栄養バランスを考えた食生活を心がけましょう。
バランスのとれた食事だけでなく、睡眠など基本的な生活習慣の見直しをすることが重要です。
夜更かしを避け、規則正しい生活を贈ることで、自律神経が整い、ホルモンバランスがとれた健康的な体になります。
体外受精の移植後はそれほど細かい制限はなく、慎重になりすぎる必要はありませんが、気をつけておきたい注意点は知っておいたほうがよいです。
移植のときにはカテーテルを挿入するのですが、そのときに膣や子宮口に小さな傷がつくことがあります。
その傷から細菌に感染するのを防止するため、移植後24時間は入浴を避けるようにしましょう。
医師から、当日は湯船に浸かるのを避けてシャワーのみにしてくださいという指示があることもあります。
もし指示がなかったとしても、念のために移植当日はシャワーのみにしておいたほうが安心です。
病院によっては、感染症のリスクを減らすために抗生物質が処方されることもあります。
ストレスを溜め込むと、自律神経が乱れたり、ホルモンの分泌が不安定になるなど、体に悪影響を及ぼします。
体外受精後は無事に着床するかなど、不安な気持ちが強くなりがち。
あまり思いつめるとストレスになってしまうので、なるべくリラックスして過ごすことを心がけましょう。
ストレスが溜まったら、趣味などの好きなことをしてストレス発散をするとよいです。
ストレスを感じそうになったら、音楽を聞いたり外に出てきれいな景色を見るなどして、気持ちを落ち着かせましょう。
たばこや飲酒は体外受精の成功率を下げる原因になります。
妊娠しやすい体にするためにも、たばこや飲酒は控えましょう。
妊娠後のたばこや飲酒もよくありません。
妊娠中の喫煙は、赤ちゃんに酸素や栄養が行き渡らなくなる原因になるといわれています。
また、早産や流産のリスクもあるので、禁煙するようにしましょう。
アルコールは、胎児に奇形が発生することがあります。
妊娠超初期の頃であればたばこや飲酒をしても大丈夫といわれていますが、赤ちゃんに悪影響が出る可能性は0%ではありません。
妊活をするのであれば、妊娠前の妊活中から控えるのが望ましいです。
独断で市販の薬を飲むのは危険です。
体外受精の移植後は、腹痛や頭痛や風邪のような症状が出やすくなります。
しかし、痛みや風邪の症状があるからといって、移植後に市販の薬を飲んでしまうと、妊娠しにくくなってしまったり、妊娠している場合は赤ちゃんに影響を及ぼす可能性もあります。
また、痛みや風邪のような症状は、妊娠の兆候である可能性もあるので、独断で市販の薬を飲むのではなく、病院に行き医師の診察を受けましょう。
体外受精の移植後から妊娠判定までは日にちがかかります。
それまで待つことができず、市販の検査薬を使うフライング検査を試したいと思うかもしれません。
自然妊娠の場合は、生理が1週間遅れたら検査薬で陽性反応が出ますが、体外受精の場合は注意が必要です。
治療でhCGホルモンの注射をしている場合、妊娠していなくてもhCGホルモンの注射の影響で陽性反応が出ることがあります。
フライング検査の結果だけを信じるとぬか喜びになってしまう可能性があるので、確実に妊娠しているのかを知りたいのであれば、病院の検査の日まで待ちましょう。
体外受精の移植後、妊娠判定日までは日にちがかかります。
移植後には、少量の出血が出る、体調に変化があるなど、いつもとは違う症状が出ることがあり不安な気持ちになるかもしれません。
しかし、不安な気持ちが強すぎてストレスになってしまうと、体によくありません。
ストレスを溜め込まないようにリラックスして過ごすことが、妊娠しやすい体をつくるために重要です。
不安は捨てて、普段通りの生活を心がけましょう。