2018.06.16

体外受精は本当に痛い!?痛みを感じやすいポイントと緩和処置

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体外受精に挑戦したいと思っていても、それに関わる治療で痛身を伴うという噂を聞けば、痛みが苦手な方は踏みとどまってしまいます。

体外受精を受けるうえで、本当に痛みを伴うのでしょうか。

最新の治療方法や緩和処置について見ていきましょう。

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「体外受精」は痛みが強そうなイメージ

体外受精に挑戦しようとしている方の中には「体外受精は痛いらしい」という話を聞いて、最初の一歩が踏み出せないこともあるようです。

体外で精子と卵子を受精させ、再度体内に戻すという方法なので、痛そうなイメージはありますよね。

では、本当のところはどうなのでしょうか。

痛いのは本当?

痛いとしたらどのくらい?

といった、不妊治療の疑問について調べてみました。

体外受精で痛みを感じやすいものは?

採卵針を使った採卵

体外受精を行うためには、採卵を行う必要があります。

なるべく成熟した状態の卵子を、卵胞液ごと採取します。

方法としては「採卵針」という細くて長い採卵専用の針を使用し、医師が超音波で卵巣の様子を確認しながら、膣から針を入れて卵巣に刺して採取する方法です。

針を刺すので、痛みを感じる人は少なくありません。

ただ、痛みには個人差があり、ほとんど痛みを感じない人もいます。

恐怖が強すぎて刺激に敏感になっていたりすると、余計に痛みを感じる人も。

麻酔をかけずに採取することもありますが、本人の希望によっては局所麻酔や全身麻酔をして採取することも可能です。

痛みに弱い人は、麻酔のことも事前に医師と相談してみましょう。

採卵にかかる時間は?

採卵自体にかかる時間は5~20分くらいです。

しかし、この時間は採卵の個数や麻酔の深度によって異なります。

また、採卵前の準備や身体の状態を確認するという期間や、採卵後に必要な安静時間も必要です。

採卵する当日は、朝病院に入り、午後には帰宅できるという「日帰り入院」が多いようです。

採卵した日はゆったり過ごせるよう、他の予定は入れず、身体を休めるようにしましょう。

毎日の自己注射

質のよい卵子を採取するためには、成熟した卵子を排出できるように卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンを含む注射をします。

これは、一度ではなく数日間・毎日病院で打つことが多いようです。

しかし、毎日通えないという人のために、自己注射という方法があります。

卵子を育てるために、採卵の日まで注射を打つのですが、これはシリンジ型注射器かペン型注射器かを選べることが多いです。

採卵の日が確定すると、排卵を促すための注射薬を決められた時間に打つ必要があるのですが、これは筋肉注射になるのでシリンジ型の注射器になります。

シリンジ型注射器

注射器と薬剤、注射針などのセットを処方されます。
病院で看護婦さんに注射の方法を指導してもらう必要があり、指導料も発生します。
注射針を自分の皮膚に刺すので、恐怖心の強い人や先端恐怖症の人には難しいかもしれません。

ペン型注射器

予め薬剤が投入されており、比較的簡単に注射できるタイプ。
シリンジ型よりは慣れれば楽に注射できます。
あくまでも「注射」なので、注射特有の痛みはいずれの場合もあります。

費用に関しては、どちらを選んでも通院して注射をするよりは若干高くなります。

事前によく相談してみるとよいでしょう。

受精卵の胚移植

受精卵を子宮に移植する胚移植には、採卵後すぐ移植する「新鮮胚移植」と一旦受精卵を凍結して次の周期以降に移植する「凍結胚移植」があります。

採卵した周期では排卵誘発剤などの影響によって、女性ホルモンや黄体ホルモンの値が上昇して着床環境が整わない可能性があるという考えから、一旦凍結して次の周期で移植するケースが増えているようです。

また、過去には着床率を向上させるため、受精卵を複数個、子宮に移植することがありましたが、多胎妊娠で母親への身体的負担が大きくなるため、現代では原則1個だけ移植するようになっています。

胚移植後の着床痛

普通に妊娠した場合でも、着床痛の有無は個人差があります。

着床というのは、受精卵が子宮内膜に入り、子宮内膜を溶かしてさらに中に入って、母体の血液から栄養や酸素をもらうことができるようになること。

この時に感じる痛みが「着床痛」です。

体外受精では、着床痛はよほど敏感な人でなければあまり感じないといわれています。

しかし、着床痛自体の詳しいメカニズムがわかっていません。

体外受精の場合も、着床痛は個人差があると考えてよいでしょう。

着床痛がないからといって妊娠してしないわけではありません。

ゆったりと妊娠することを願いましょう。

体外受精で痛みを緩和してくれる処置

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痛みに弱い場合は麻酔

体外受精での痛みといえば、やはり卵子を採取する時の痛み。

もちろん個人差があるので、痛みをほとんど感じない場合もあります。

しかし、初めての治療の場合、緊張や恐怖でいつも以上に痛みに敏感になってしまうこともありますよね。

そんな時は局所麻酔や全身麻酔で痛みなく採取することも可能です。

事前に医師と相談することをおすすめします。

点滴や鎮痛剤の使用

胚移植の時は痛みを感じない人がほとんどですが、やはり個人差があります。

痛みを感じやすい人には、座薬の鎮痛剤や点滴を使うことも可能です。

採卵の時の痛みも、座薬の鎮痛剤を使うこともあります。

医師は、患者さんの負担をできる限り軽くしようと考えてくれるので、不安なことはなんでも相談してみましょう。

できるだけ細い針の使用

卵子を採取するときに使う採卵針。

これには太さの種類がいくつかあります。

太いもの、細いものでそれぞれメリットとデメリットがありますが、痛みに関していえば細い方が痛みは少ないようです。

太い針

太い針のメリットは、卵子を回収するスピードが速いことです。
針が太いので、卵子が崩れにくく、さっと採取できます。
デメリットとしては、やはり痛みが強いこと。
また、技術が未熟な医師が行うと、血管損傷などを起こしやすいということもあるようです。

細い針

細い針のメリットは、痛みを感じにくいこと。
針が細いので、血管を傷つけたとしても、自然に出血が止まります。
デメリットは、卵子の回収に時間がかかります。
針が細いので、吸入の方法によっては、卵子を壊してしまうこともあるようです。

体外受精後に痛みがある時の過ごし方

アロマオイルでリラックス

採卵後も移植後も、基本的には普段の生活をしていて大丈夫です。

痛みがある時は、お気に入りのアロマオイルでリラックスすることもおすすめ。

大好きな香りを部屋に香らせてみてはいかがでしょうか。

アロママッサージもよいのですが、緊張などで肌が敏感になっていることもあるので、治療後のリラックスは香りを楽しむだけにしてみましょう。

ストレスを感じないように過ごすことは、体外受精を成功させるためにも大切です。

妊娠中に使えないアロマがある

香りを楽しみたいとはいえ、妊娠中には使えないアロマもあります。

「通経作用」といって、生理を促し、生理不順を改善する作用のものは妊娠初期には使えません。

あらかじめ注意しましょう。

特に、クラリセージ、サイプレス、シナモン・カッシア、ラベンダー、カモマイル・ローマン、ローズ、ローズマリーは通経作用があるといわれています。

以下は、妊娠中に使えるアロマです。

妊娠中でも使えるアロマでリラックス効果のあるもの

・コリアンダー
・ゼラニウム
・ネロリ
・プチグレン
・フランキンセンス
・ベルガモット
・マンダリン
・リトセア
・ローズウッド

妊娠中でも使えるアロマでリフレッシュ効果のあるもの

・グレープフルーツ
・レモン
・レモングラス

体を温める

慣れない治療で緊張している身体は、痛みを感じることもあるかもしれません。

痛みの有無もですが、妊娠中や妊活中は、身体を冷やさないことが大切です。

受精卵の着床には母体の血流のよさが重要となり、体外受精時にお腹が温かいと、着床率が高まると考えられています。

緊張した身体をストレスや痛みから解放するために、半身浴で身体を温めたり、身体を温める飲み物をゆっくり飲み、ゆったり過ごしてみましょう。

無理をしないで休む

体外受精の治療では、採卵日と胚移植の日に休みを取ることは必要です。

ですから、体外受精の治療後に痛みのある時は無理をしないで休みましょう。

痛みを感じているのであれば、家事や仕事も無理せず休み、ゆっくりと温かくして過ごしましょう。

痛みが収まったら、血の巡りをよくするために、横になってばかりでなく、適度な運動をするほうが、子宮内の血流アップにも役立ちます。

怖がり過ぎずリラックスして治療に臨もう

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体外受精をしようとする場合、たくさんの情報を知ることで怖くなってしまうことがあるかもしれません。

しかし、必要以上に怖がることはないのです。

気になる痛みのことも、医師と相談して適切な処置を受けることが可能なので、自分の体を一番に考えて治療を受けましょう。

着床率の向上には、母体がリラックスできているかどうかも大切なので、不安なことはなんでも医師に相談し、安心を得ながら治療に臨んでくださいね。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

妊活部編集スタッフです。妊活に関するお悩みを解決するためのサポートをします。最新情報から妊活にまつわる情報を提供します。