不妊治療において、体外受精は有効な手段です。
はじめて体外受精を行う人は不安も多いと思います。
しかし、人にはなかなか聞けないデリケートな話でもありますよね。
治療を始める前に、体外受精をしたあとの体の変化について知っておきましょう。
不妊治療にはたくさんの治療方法がありますが、その中でも有効な方法が体外受精です。
体外受精とは体外に女性の卵子を取り出し、パートナーの精子と受精させて、出来た受精卵を子宮に戻して着床を促す方法です。
体外受精による出生児は、全世界で400万人を超えたともいわれていますが、いろいろな不妊治療をしてきて、これから体外受精に臨むという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、有効な方法である体外受精は、非常に高度な技術や複雑な治療が必要となる方法でもあります。
また、あなたの体や精神への負担も大きくなりがちです。
あなたの健康は、なにものにも変えられません。
体外受精の採卵後、体にどのような影響があるのか見ていきましょう。
体外受精をする場合には、卵子を体外に取り出す「採卵」を行う必要があります。
局所麻酔で採卵はできますが、場合によっては、鎮静剤や静脈麻酔を使用します。
体外受精の第一歩である採卵では、卵巣に針を刺しているため、個人差はありますが痛みや違和感を感じる場合があります。
また、採卵時に子宮を傷つけてしまい、出血することもあります。
出血があっても時間が経てば徐々におさまってくるので、少量であれば経過観察で大丈夫です。
しかし、出血が大量だったり長引く場合には、早期に病院へ行って診察を受けるようにしましょう。
採卵後に痛みがあるかどうかは、個人差があります。
中には咳をしたり排便時に力んだりすると、腹圧がかかって痛みが強くなるという場合もあります。
あまりにもひどい痛みが続くようであれば、病院の医師に相談しましょう。
また、体調不良が続いたり、お腹に張りがある場合は、採卵前に使った排卵誘発剤による「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」の可能性があるので注意が必要です。
卵巣過剰刺激症候群は、排卵誘発剤などによって卵巣が過剰に刺激され、さまざまな症状を引き起こします。
軽症であれば、水分を摂取して様子を見ましょう。
排卵誘発剤は、卵巣過剰刺激症候群が発症する恐れがあるもののひとつとして、頭に入れておいてくださいね。
採卵する前に、排卵誘発剤を使っている場合には、卵巣への刺激によって体内のホルモンバランスが変化し、体調を崩してしまうケースが多くあります。
例としては、吐き気やおう吐、めまいなどの症状が挙げられます。
採卵当日は病院でゆっくり休めたとしても、2日目以降は家事に追われたり、仕事に行かなければならないこともあるでしょう。
家事や仕事と並行して不妊治療をしている人は、何日も休みを取ることは難しいかもしれません。
しかし、吐き気やめまいを感じたら、無理をせずゆっくりと休むことが大切です。
無理をすることで、症状が悪化することもあります。
症状の悪化を防ぐためにも、一人で無理をせずに相談をして、パートナーや職場の仲間に支えてもらうことも重要になってきます。
体外受精は、採卵が済んだら終わりではありません。
採卵が体外受精の始まりであり、採卵後は次のステップが控えています。
採卵後の過ごし方が、妊娠の可能性を左右するという医学的根拠はありませんが、次のステップに備えて、ゆっくりと体を休ませてあげましょう。
体を十分に休ませるためにも、採卵当日は激しい運動は避けましょう。
採卵後の体には、自分が思っている以上に負担がかかっています。
よって、次のステップに向けて、激しい運動は避け、なるべく健康的な生活を送るように心がけましょう。
また、体だけではなく、心も休める必要もあります。
体への負担だけでなく、心の負担であるストレスは、妊娠するうえで大敵になり得ます。
体を休めると同時に、本を読んだり食事をしたりしながら、リラックスすることで、心も一緒に休めましょう。
採卵後は、卵巣に針を刺すため、非常にナイーブな状態にあります。
卵巣が腫れたり、傷ついたりする可能性があるので、刺激を与えることはよくありません。
激しい運動を避けることと同様に、夫婦生活も極力避けるようにしましょう。
本を読んでリラックスするなどして、できるだけ安静に過ごすようにすることが大切です。
採卵後のナイーブな状態で夫婦生活をしてしまうと、膣内に細菌が入って感染することも考えられます。
子宮内を清潔に保つためにも、夫婦生活は極力避けるようにしましょう。
仕事をしながら体外受精などの不妊治療をしている人は、採卵後に仕事をしてもよいのかどうかが、気になるのではないでしょうか。
基本的には、採卵後に仕事に行くことは可能です。
ただし、局所麻酔をした場合は、最低でも1時間、静脈麻酔をした場合は、2時間は安静にするようにします。
しかし、採卵時の副作用で、体のだるさや違和感を感じることが多いので、採卵当日はできるだけゆっくり休息を取りましょう。
ここで無理をしてしまっては、体に負担をかけてしまい、せっかく行った採卵も無駄になってしまいます。
可能であれば当日はゆっくりと休み、翌日以降に仕事に行くことをおすすめします。
また、腹痛や出血などが気になる症状がある場合には、あまり無理をしないようにして、重いものを持つなど体に負荷のかかる作業は避けるようにしましょう。
採卵後は、子宮や膣内に傷ができることがあり、正常な状態より弱っている状態にあります。
そんな状態でお風呂につかってしまうと、その傷口から雑菌が入ってしまい、感染症にかかるリスクを高めてしまいます。
また、採卵で疲れた体で熱いお風呂につかることは、疲れが取れるどころか、かえって体力を消耗させてしまうことも考えられます。
そのため、採卵後は感染症予防のためにも、お風呂につかることは避け、シャワーにしましょう。
妊娠するためにも、自分の体をいたわりながら、感染症のリスクを減らすことが大切になります。
採卵後の痛みの度合いには個人差がありますが、無理して痛みに耐える必要はありません。
痛みがある場合は痛み止めを飲んで、安静にして体を休めましょう。
しかし、痛み止めを飲むといっても、自己判断で市販の痛み止めを買って飲むことはNGです。
医師に相談し、医師から処方された痛み止めを飲むようにしましょう。
痛みの度合いに個人差があるように、痛み止めの効果も人によってさまざまです。
処方された痛み止めを飲んでも収まらない場合には、その旨を医師に相談してみましょう。
採卵後は、慣れない治療でストレスを感じたり、緊張したりすることが多くあります。
このような状態になると、自律神経の交感神経が働き、血流が悪くなってしまいます。
血流が悪くなると、体が冷えてしまい、採卵後の痛みが増すことも。
そのため、まずはリラックスして体の状態を良くし、血流を良くして体を温めるようにしましょう。
体を温めるためには、腹巻きやホッカイロなども効果的です。
少しでも痛みを減少できるように、こうしたアイテムを活用しながら、体を温めるように心がけましょう。
採卵後に一番重要になることは、やはり無理をせずに休むということです。
休むといわれても、なかなか休めないという人も多いかもしれません。
しかし、何のための採卵なのかをもう一度考え、家事や仕事と並行して不妊治療をしている人も、未来のためにも思い切って休みましょう。
また、パートナーに頼ることも大切です。
不妊治療は自分一人の問題ではないので、パートナーに理解してもらい、協力を仰ぎましょう。
不妊治療における体外受精は、有効な方法であると同時に、複雑な治療を要します。
また、採卵後は腹痛などに悩まされる人も多くいます。
そんなつらい場合には、無理は禁物です。採卵後に痛みなどがある場合には、医師に相談して、ゆっくりと体を休めることに専念しましょう。
採卵後は、ゆっくり体を休めることが一番重要になります。
採卵後の次のステップを考え、なるべく無理をしないように心がけましょう。