2018.06.14

体外受精の「受精率」が悪い原因は?授精しやすい体作りのポイントまとめ

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不妊治療のひとつに、体外受精があります。

受精がなかなかうまくいかない場合には、さまざまな原因が考えられます。

その対処法と受精率を高めるポイントを把握して、夫婦で妊娠しやすい体作りができるような生活を心がけましょう。

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意外と高い体外受精の平均受精率

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体外受精とは、自然妊娠が難しい場合に行う「不妊治療」のひとつです。

女性から卵子を、男性から精子をそれぞれ体外に取り出し、外で受精をさせてから培養。

再び子宮に戻し、妊娠の確率を上げる方法です。

体外で受精がうまくいく確率は、70~80%と意外に高い反面、なかなか受精がうまくいかない方もいます。

では、受精率が悪い場合に考えられる原因は何なのでしょうか。

対処法を理解して、受精率が高まる体作りを心がけましょう。

体外受精の受精率が悪い原因

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精子の質が悪い

自然妊娠がうまくいかない場合と同様に、体外受精の受精率にも、精子の質が大きく影響します。

体外で受精する場合、顕微鏡での体外受精を除き、精子自身の力で卵子に入る必要があります。

その為、運動率が低下している精子の場合は、受精が難しくなるのです。

また、年齢とともに精子数は減少しますが、その数も重要です。

禁欲をすれば、それだけ精子の数が増えるという説もあちらこちらで聞かれますが、これは大間違い!

古い精子が残ることにより、運動率は低下します。

2~3日で精子は酸化してくると言われており、5日を過ぎると妊娠の確率はとても下がってしまうのです。

卵子のコンディションが悪い

受精率を上げるためには、卵子のコンディションも重要です。

加齢や生活習慣により、卵子のコンディションが悪い場合、うまく受精できない原因になります。

卵子は産まれたときからすでに体の中にあり、年齢と共にどんどん減少していきます。

精子のように新しくは作られません。

卵子の質は、年齢を重ねるにつれて低下していくものなので避けられません。

しかし、生活習慣を整えることで急激な質の低下を避け、老化を遅らせることが出来ます。

体の酸化ストレスが大きく影響しますので、毎日の食事や睡眠に気をつけるようにしましょう。

受精卵の染色体異常

卵子と精子がうまく受精できたとしても、その後の細胞分裂がうまくいかず、成長できない染色体異常という場合もあります。

染色体異常とは、染色体の数が通常と違っていたり、突然変異を起こしてしまうことで、受精卵の細胞分裂が難しくなります。

仮に妊娠できたとしても、うまく育たずに、流産してしまう確率がとても高くなるんです。

わずかの確率で出産出来ることもありますが、その場合は赤ちゃんにダウン症などの障害が出ます。

染色体異常は、35歳を過ぎると急激に増加することから、卵子や精子の老化が影響しているとも言われていますが、はっきりした原因は残念ながら分かっていません。

体外受精の受精率が悪いときの対処法

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顕微授精に切り替える

なかなか受精率が上がらない場合は、体外受精の方法を変えてみましょう。

最初の段階では精子と卵子を体外に取り出し、精子自身の力で卵子に辿り着かせて受精させます。

しかし、精子の運動力が弱まっている場合や、精子数が少ない場合は難しいことがあります。

その場合は、顕微鏡受精に切り替えるとうまくいく場合もあるんです。

これは体外に取り出した精子と卵子を、顕微鏡を見ながら直接卵子へ送り込む方法で、専門の方が行います。

病院で最初の段階で説明があると思いますが、顕微鏡をまだ行っていない場合は、切り替えることも検討してみましょう。

誘発方法を変えてみる

卵子を採取するときは、排卵誘発剤を使って卵巣を刺激し、排卵を誘発します。

最初の体外受精で使用されることが多いロング法は、生理前の高温期から点鼻薬を使い、採卵までの間に何度も点鼻と注射を行います。

排卵のコントロールがしやすく、質のよい卵子が多く採取できるので、妊娠率も上がります。

しかし、投薬量が多く体に刺激があるため、まれに卵巣が腫れたり、体調不良になったりする場合もあります。

ショート法は、生理が始まってから点鼻を行うため、ロングに比べて投与量も少なく済みますが、卵子の質はロング法より低下してしまいます。

排卵誘発剤には、点鼻薬や注射・経口などがあり、方法もロング法やショート法の他にもさまざまあります。

病院によって異なりますので、自分の体調などを考慮して医師とよく相談してみましょう。

医師の腕がいい病院に転院する

病院によって、治療方針や考え方はさまざまです。

体外受精には、医師の腕や培養士の力などが、少なからず影響してきます。

よって、なかなかうまくいかない場合は、転院を検討してみてもよいでしょう。

不妊専門の病院の中には体外受精に力を入れていることも多く、相談に行くと今までとは違った新しい提案をしてもらえることもあるからです。

また、周りのスタッフや環境が変わることでリラックスでき、うまくいく場合もあります。

転院は、前の病院には伝えなくても良いですが、新しい病院で診断書が必要な場合もあるでしょう。

その場合は電話をして、診断書が必要になったので準備ができたら連絡をもらえるように伝え、後日受け取りに行きましょう。

体外受精の受精率を高めるポイント

ストレスをためないようにする

ストレスがたまると、体内の細胞が酸化して、卵子や精子の質の低下を招きます。

ストレスをなくすことは難しいですが、上手に発散できる方法を見つけておきましょう。

妊活自体がうまく進まずストレスになることもあり、そういう時は毎日そのことばかりを考えてしまいがちです。

そんな時には、1週間にこの曜日は好きなことをすると決めて、思いきり楽しめる日を作ってうまくストレスを発散しましょう。

つい、女性だけが悩んでしまうことも多い妊活ですが、思いつめないようにしましょう。

また、夫婦や自分の家族と話をする機会を増やすことも大切です。

体を動かしたり、温かいお風呂にゆったり浸かったり、週に1回は好きなものを思いきり食べたりして、リラックスできる時間を作ってくださいね。

栄養バランスのとれた食生活

食生活はとても大切です。

とくにビタミンの多い野菜、肉、魚、玄米などを、和食中心でバランスよく摂ることで、体の調子が整えられ、卵子や精子の質がとても良くなります。

しかし、炭水化物や洋食、ファーストフードなどは量に注意が必要です。

また、同じものばかりを食べて栄養が偏らないように、いろいろな種類のものを食べるようにしてください。

特に朝ごはんは、体温を上げるためにも必ず頂くようにしましょう。

タバコは体が酸化するので止めて、お酒も量に気をつけます。

サプリは信頼のおけるもので、無添加のものであれば、食事と一緒に摂ることもおすすめです。

特に葉酸は、女性の妊活には必須となる栄養素です。

葉酸は水に溶けやすく熱に弱い為、摂取が難しい栄養素でもある為、不足している分はサプリで補うこともよいでしょう。

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体の冷えを予防する

体の冷えを防ぐことも、妊娠しやすい体作りにはとても大切です。

冷えにより血流が悪くなると、卵巣や子宮の機能が低下します。

体外授精で受精卵を子宮に戻されたときに、うまく妊娠につなげるためにも、体の中から体温を上げることが大切です。

足元を冷やすと体全体が冷えてしまいますので、靴下を必ず履き、お腹まわりや首まわりも極力冷やさないように気をつけましょう。

食べ物や飲み物で、体が温まるものを多く摂るように心がけるとよいです。

カフェインは摂ったあとは体の中が冷えてしまいますので、ホットコーヒーなどは摂りすぎには注意が必要です。

お風呂にゆったり入るとリラックスも出来、体も温まります。

夏は冷たいものの摂りすぎに気をつけ、シャワーだけにせず、湯船につかるように心がけましょう。

適度な運動を心がける

適度な運動はストレス発散と、血行促進につながります。

血流が良くなることで細胞が活性化し、卵子や精子の質だけではなく、体調も改善していきます。

毎日できなくても、週に2~3回は、軽めに運動するように心がけましょう。

ウォーキングやサイクリングなど、有酸素運動も効果的です。

また、運動することにより、睡眠の質が改善します。

睡眠中は体中の細胞が活性化する、もっとも大切な時間です。

睡眠不足をすると自律神経が乱れ、ホルモンバランスの調整もうまくいかなくなります。

ホルモンバランスが崩れると、基礎体温も低くなります。

そのため、適度な運動と十分な睡眠を心がけましょう。

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夫婦で妊娠しやすい体作りをしよう

体外受精の確率は高いですが、うまく受精して妊娠するためには、毎日の生活習慣も大きく影響してきます。

日常から食生活に気を付け、適度な運動と十分な睡眠、ストレスを発散することで、精子や卵子の質も良くなり、妊娠しやすい体に近づきます。

女性だけの問題ではなく、精子の運動量や数も、体外受精には影響してきます。

夫婦で話し合う機会を持つようにして、一緒に生活習慣を見直してみましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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