体外受精のリスクで最も不安に感じるのが、ダウン症などの赤ちゃんへの障害についてですよね。
ここでは、気になる体外受精とダウン症の関係性について詳しく説明しています。
ダウン症について理解を深めることで、治療や妊娠に対しての不安を取り除きましょう。
高齢出産が増えるいま、不妊治療による体外受精で、妊娠を望む人が年々増加しています。
そんな中、誰もが不安に思うのが、
「体外受精によりダウン症の赤ちゃんが産まれてくる可能性」
です。
健康な赤ちゃんを授かりたいのは、誰もが願うこと。ダウン症に対しての不安や悩みを解消し、気持ちに余裕をもって治療に挑みましょう。
人の手を介して妊娠する方法は、果たして自然妊娠よりもダウン症を発症する確率は高いのでしょうか。
まずは、ダウン症について把握し、関係性を理解しましょう。
体外受精によって、ダウン症など胎児への染色体異常リスクが高まるという医学的な根拠はありません。
したがって、ダウン症の発症確率は、人工授精であろうと体外受精であろうと、自然妊娠と変わりはありません。
ただし、排卵誘発剤を用いて、人の手を介して妊娠する方法なので、自然妊娠よりも妊娠リスクは高いといえます。
ダウン症への直接的な原因になることはないですが、そのほかの妊娠リスクが生じる可能性があるということは理解しておきましょう。
ダウン症とは、ダウン症候群とよばれる「染色体異常」による生まれつきの疾患です。
通常は2本ある21番目の染色体が、3本(トリソミー)になっている状態をさし、染色体がうまく分離できなかったり、転座したりすることが主な発症理由です。
ダウン症の特徴として、人によって差はありますが、主に精神発達や身体発達に遅れがみられます。
ダウン症発生確率は、年齢に比例します。
とくに35歳以上の高齢出産になると、ダウン症などのリスクは急激に高まります。
これは、加齢による卵子の老化が原因。高齢になると、卵子の劣化が起こり、分裂異常を引き起こします。
通常、この状態では流産してしまう可能性が高いですが、受精卵が成長した場合、ダウン症の原因となります。
精子に関しても同じことがいえます。
加齢による精子の老化もダウン症の原因と考えられるからです。
妊娠する年齢は、ダウン症と大きく関係するということをしっかり理解しておきましょう。
顕微授精でのダウン症発症率も、体外受精と同様、自然妊娠と変わりはありません。
つまり、妊娠方法はダウン症と直接的な関係はないといえます。
ただし、顕微授精は特別な技術が必要となる治療法です。
ダウン症ではないにしても、何らかの妊娠リスクを生じる可能性があることは理解しておきましょう。
体外受精や顕微授精で、ダウン症の赤ちゃんが産まれやすいと錯覚してしまうのは、治療を受ける年齢が関係していると考えられます。
基本ステップアップしておこなう不妊治療では、体外受精や顕微授精は高額で専門的な技術が必要なため、最終段階の治療法。
そのため治療を受ける人は、30代後半や40代の女性が多くなります。
ダウン症発生率は年齢に比例するため、体外受精や顕微授精はダウン症を発症しやすいと錯覚がおきてしまいます。
ダウン症かどうかを調べられる検査は、数種類あります。
それぞれメリットやリスクがあるので、事前に把握しておきましょう。
血清マーカーテストは、妊婦の血液を採取し、血中の成分濃度を調べてダウン症の可能性を検査します。
検査できる時期は、妊娠15週から21週目の間。
費用は、病院により多少差はありますが、1万から2万円程度です。
血清マーカーテストの結果をみて、羊水検査や柔毛検査を受け、ダウン症かどうかを判断します。
血清マーカーテスト自体に特にリスクはありませんが、確定診断ではありません。
あくまでも、ダウン症である可能性を知るための検査です。
胎児本人がダウン症だとわかるわけではありません。
結果によっては、余計気に病んでしまう場合もあるので、しっかり考えてから検査を受けましょう。
羊水検査は、お腹の上から注射器を刺して子宮から羊水を採取。
羊水の中にある胎児の細胞を培養して、染色体異常があるかどうかを調べます。
精度は99%以上と高く、ダウン症の確定診断として用いられます。
そのため、陽性反応がでれば、ほぼダウン症であると判断できます。
検査時期は、妊娠15週から18週頃の間。
費用は、病院によって異なりますが、12万円から15万円程度必要です。
結果がでるまで、約2週間ほどかかります。
羊水検査は、お腹に針を刺しておこなうため、流産や死産のリスクがあります。
また、羊水を採取した後、出血や破水、下腹部の痛みなどを生じる可能性があることは理解しておきましょう。
絨毛検査は、お腹に検査用の針を刺すか、子宮の入り口にカテーテルを挿入して絨毛を採取し、染色体異常を調べます。
絨毛とは、胎盤から子宮璧にのびる突起物のことで、将来胎盤の組織になるものです。
絨毛は胎児と同じDNAをもっているため、非常に精度が高く、確定診断として使用されます。
検査時期は、妊娠10週から14週頃まで。
費用は、病院によって異なりますが、10万円から20万円程度です。
羊水検査と同様のリスクが考えられ、検査自体が技術的に難しいため、病院によってはおこなっていないところもあります。
事前にホームページなどで確認しましょう。
検査結果を受け、その後どうするかは、夫婦の考え方によってさまざまです。
どういった選択をするにしても、授かった子どもと夫婦のために、逃げないで、精一杯考え悩みぬくことが大切です。
遺伝カウンセリングを受け、悩みやわからないことを解消してもらいましょう。
専門知識のある先生に不安や疑問をぶつけることで、気持ちがだいぶ落ち着き、選択の幅も広がります。
また、疾患遺伝の可能性についてなどの専門的な知識も得ることができます。
まずは、ホームページなどで調べ、遺伝カウンセリング外来をやっている病院に行ってみましょう。
専門医から情報を得ることは、次のステップへ進むための大きな一歩になります。
ネットや書籍などを利用し、ダウン症の症状や、基礎知識を身につけることで、ダウン症としっかり向き合う機会をつくりましょう。
「昔よりダウン症の寿命が延びていること」や、「ダウン症でも大学に行ったり就業したりすることができること」など、知らなかったことを知ることで、ダウン症に対しての考え方が大きく変化します。
わからないことの怖さが、不安を大きくし、マイナスな考えばかりを生んでいる原因かもしれません。
結論とは別にして、子どもと向き合うという意味でも、一度ダウン症について勉強してみましょう。
実際にダウン症の子どもを育てている人たちの経験談を知ることは、自分たちと子どもとの将来をリアルに想像するための材料になります。
ダウン症の赤ちゃんの育て方、教育環境や社会の中での実情など、経験を通してでしかわからないことが、たくさん知ることができます。
きれいごとや励ましではない、現実的な内容を知ることができるのは、実際ダウン症を育てているご家族からの情報です。産まれてくる前の準備として、ブログを通し、日々の生活をのぞいてみましょう。
夫婦であらゆる可能性について話し合い、意見をすり合わせておくことが大切。
ダウン症の検査についてや、ダウン症の可能性があった場合どうするかなど、お互いが納得している状態で、一歩ずつ進むことが望ましいです。とくに、ダウン症の検査を受ける前は、検査を受ける理由を明確にし、夫婦共通認識のもとおこなうことで、その後の結果が受け入れやすくなります。
妊娠は自然妊娠であっても、不妊治療での妊娠であってもリスクは伴うもの。ダウン症だけでなく、流産や感染症など、母子ともにさまざまなリスクを背負うことは、十分理解しておきましょう。
妊娠中絶を希望する場合は、妊娠21週までに中絶手術を受ける必要があります。
中絶手術は、保険適応外で、費用は15万円くらいから。
院や妊娠週によって異なります。
胎児が大きくなるにつれ、母親にかかる負担も大きくなるので、できるだけ早めに決断することも大切です。
病検査でダウン症であると結果がでた場合、産むか産まないか悩むのは当然です。
どちらの答えに行き着いたとしても、夫婦でだしたその答えが一番正しいはずです。
ダウン症についての考え方は人それぞれ違います。
結果がでて、いろいろな人に相談しても、実際に育てるのは当人である夫婦です。
まずは、授かった命としっかり向き合い、たくさん悩むことが大切です。
妊娠は産んで終わりではありません。
赤ちゃんと自分たち夫婦のためにしっかり将来を見据え、後悔のない決断をしましょう。