2018.06.08

体外受精後に気を付けるべきポイント!リスクを避けるコツとは?

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つらい治療を乗り越え、費用もかけてこぎ着けた体外受精。

お腹の中にこれから赤ちゃんに育つ可能性をもった卵が宿っていると思うと、感激もひとしおです。

治療後にどのように過ごしたら、少しでもリスクを軽減させることができるかの方法を知り、体外受精を成功に導きましょう。

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気になる体外受精後の生活

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費用も時間もかけて、ようやくたどり着いた体外受精。

初めてのことばかりで、吐き気や痛みを感じるとすぐに、なにか問題が起きたのではないかと心配になってしまうかもしれません。

体外受精後に起きる症状などもありますので、あらかじめそれらを知ってストレスを軽減するとよいです。

また体外受精後にしたほうがよいこと、またはしてしまうとマイナスの影響を与えてしまうものがあります。

体によいことをしてあげることで、精神的にも安定します。

後悔先に立たず。

あらかじめ正しい情報を取り入れ、出来ることから始めてみましょう。

この記事では、体外受精をした人のために、術後に適した過ごし方や、人工授精後の体への影響、リスクなどをまとめました。

体外受精後の過ごし方

体外受精が初めての場合は、体外受精の一連の流れ自体がわからず不安になるものです。

移植直後からその後の過ごし方までみていきましょう。

胚移植直後は安静第一

胚移植には麻酔はほぼ使いません。

そのため移植後から動くことはできますが、ほとんどのクリニックでベッドに横になって30分程度休むように指示されます。

胚移植直後は安静が第一です。

その日一日ゆっくりと過ごすために、仕事は休むほうがよいかもしれません。

移植後にベッドに横になりながら食べ物を取る場合には、軽食ならおにぎりやサンドイッチなど食べやすいもの、もしくはナッツなどの栄養価が高く腹持ちによいものが向いています。

飲み物はストロー付きのものを準備しておくとよいでしょう。

胚移植直後というのは、自然妊娠でいえば排卵3日目くらいです。

自然妊娠の場合、排卵したばかりだからといって一日中横になっていることはありませんね。

胚移植の場合も、移植直後以外は横になっている必要はないといわれています。

ただし、クリニックから安静にしているように指示があった場合にはそれに従ってください。

栄養バランスのいい食事

体外受精後かどうかに関わらず、不妊と栄養のバランスは非常に密接な関係を持っています。

痩せすぎ、太りすぎ、カロリー摂取過多、栄養不足など、厚生労働省が公表しているような標準体重や摂取カロリー量から大きくずれている場合には、適切な値に戻せるよう生活スタイルを見直してください。

たとえばマラソン選手など、食事制限をして痩せすぎだったり激しいスポーツをしている場合には、生理周期に乱れが出たりホルモンバランスが崩れる人もいます。

そのような状態だと不妊症になりやすいのです。

また妊娠する上で必要とされる栄養素を摂取するように心がけてください。

妊娠に関わる栄養素で有名なのは「葉酸」です。

厚生労働省は、妊娠1カ月以上前から葉酸を1日400マイクログラム摂取することを奨励しています。

これは神経管閉鎖障害という胎児の奇形に関する病気を予防するためでもあります。

他に亜鉛、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、鉄分なども必要量摂取し、満たない場合はサプリメントなどで補充するようにするとよいです。

体を冷やさないように温める

受精卵の着床には、子宮内の血流の良し悪しが影響します。

子宮は卵のベッドのようなものですが、そこに着床した受精卵は、母体の血液から酸素や栄養を受け取るようになります。

そしてこの血流が良くないと、それらの機能がうまくはたらかなくなってしまうのです。

血流が滞らないためには、お腹を温めたりして体全体の血流をよくすることが大切。

冬場なら腹巻きをしたり厚手の靴下を履くなどして、手足が冷たい状態になるのを避けてください。

夏場のエアコンは、意外に体を冷やしてしまうものです。

職場など室内の温度調節が難しい場合には、カーディガンなどで冷気から体を守りましょう。

また適度な運動は、体温を上げるだけではなくストレスを軽減する作用もあるので、普段からヨガやストレッチ、ウォーキングなど取り入れてはいかがでしょうか。

タバコは吸わない

生活習慣となっている嗜好品などは、なかなかやめるのが難しいものですが、妊娠を成功させるためにはやめたほうがよいものもあります。

その代表的なものがタバコです。

タバコは体にとって悪いことだらけです。

タバコを吸うことにより妊娠に必要な要素であるビタミンCが大量に消費されてしまいます。

それだけではなくニコチンの血管収縮作用により、子宮内の血流悪化を引き起こす可能性も。

子宮はせっかく胚移植を施した受精卵のベッドです。

着床するためには、居心地のよいふわふわの状態にしておかなければならないのに、タバコはそれを阻害してしまいます。

タバコ以外にも妊娠によくない嗜好品は多々あります。

アルコールはきっぱりとやめるか、控えたほうがよいです。

またタンニンやカフェインが多く入った飲料(緑茶、日本茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒーなど)も控えめにしましょう。

体外受精後に起こりやすい症状

体外受精を行ったあと、引き起こされやすい症状というものがあります。

たとえば出血をしたからといって、危険な状態にあるわけではありません。

自己判断をせず医者に相談することが大切です。

着床痛による下腹部痛

着床というのは、精子と卵子が出会って受精した後に子宮内膜に潜り込もうとすることです。

受精卵は子宮の中に入って、すぐに着床するわけではありません。

3~7日間は子宮内部を漂っています。

そして7日目頃に繊毛が生えてきて、子宮の中に潜り込み酸素や栄養を得ようとします。

着床痛というのは、このときに感じる痛みだといわれていますが、まだはっきりとわかってはいません。

全員が感じるわけではなく、とても敏感な人だけがわかります。

そのため着床痛が体外受精の一週間後くらいになかったからといって、妊娠していないわけではありません。

着床時には、着床出血といって妊娠6週前に軽い出血がみられることがあります。

こちらは妊娠した7割近くの人が経験するものなので、少量の血や茶色のおりものがあらわれた場合には、着床出血をうたがってもよいかもしれません。

カテーテル挿入による痛み

胚移植をする場合には、膣内を消毒してカテーテルを挿入します。

狭い場所に器具を通すのですが、あまり痛みを感じないという人もいれば、採卵のときよりも痛くて油断していたという人もいるようです。

カテーテルを通り胚が子宮に入れられる姿を解説してくれる病院では、その映像に集中して痛みをやり過ごすのも1つでしょう。

また、無理矢理カテーテルを通しているため、膣内がこすれて傷ができる場合があります。

もしも術後に出血があるようならば、多くの場合はこのカテーテル挿入による痛みや出血だと考えられます。

それらの刺激による出血や痛みは、数日間で治まることが多いので、あまり心配する必要はありません。

痛みが長引く場合には医者に相談してください。

吐き気などの妊娠初期症状

着床したあとに、妊娠初期症状が出ることがあります。

妊娠初期症状とは、妊娠4週から妊娠14週までの妊娠初期にあらわれる体調の変化のことです。

赤ちゃんもお母さんも共に体にさまざまな変化を伴っている時期なので、アルコールやカフェインを控えたりしなければなりません。

妊娠初期症状であらわれる体調の変化には、つわりに似た吐き気、下腹部の痛み、胸の張りや痛さ、腰痛、頭痛、むくみ、だるさや眠さ、頻尿などがあげられます。

また身体の変化だけではなく情緒不安定になったりもします。

「もしかして妊娠初期症状かも?」と思うようなものがあれば、医者への相談なしに薬を飲んだり、飲酒や喫煙をしたり、生ものを食べることなどを控えてください。

体外受精後の出産リスク

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体外受精をすると、自然妊娠をしたときに比べて子どもへの影響が大きいのではないかと心配になります。

実際にはどうなのかみていきましょう。

障害の発生率は自然妊娠と同程度

体外受精を行ったからといって、ダウン症など、障害の発生率が高くなるということはないといわれています。

障害が出やすいという意見もありますが、体外受精を受ける人たちが高齢出産が多いことも影響しているかもしれません。

自然妊娠も、体外受精も、高齢出産になると障害の発生リスクは上がります。

卵子や精子が老化していて、染色体に異常がでやすいのです。

障害の発生率が上がるだけでなく、老化は流産や受精障害のリスクを増すことがあるので、高齢出産での妊娠は特に注意が必要。

体外受精をしたから障害が出やすいというわけではありません。

どちらかというと高齢出産で注意しなければならないことを気にかけたほうがよいでしょう。

双子が生まれる確率が高い

まず双子ですが、同じ遺伝子情報を持った一卵性双生児と、異なる遺伝子情報を持つ2つの受精卵から生まれる二卵性双生児があります。

そして双子を妊娠する確率は、妊娠全体の1%といわれます。

不妊治療をした場合、治療の過程で受精卵を複数個、子宮に戻す場合があります。

そして複数の受精卵が正常に成長した場合、多胎妊娠の可能性が高くなるのです。

多胎妊娠は母体に負担がかかるため、2008年以降は体内に戻す受精卵は1つにするように規定ができました。

それ以降、双子の確率は減っています。

男児に不妊症が遺伝する可能性がある

男性不妊の疑いがある人の24%は、染色体に異常があるといわれています。

そしてもしも男児が生まれたらその不妊は遺伝されると、勘違いされることがあります。

男性不妊が遺伝する可能性があるかもしれないのは、顕微授精の場合のみです。

なぜそういわれるかというと、顕微授精は卵子に直接精子を注入するため、自然妊娠のときとは異なり、伝える必要もないものまで伝えてしまう可能性があるからです。

しかし実際には、顕微授精の技術自体の歴史は浅く、顕微授精を受けた子供の世代が不妊という壁にあたっていません。

男児に不妊症が遺伝する可能性はあるものの、まだわかってはいないのです。

後悔しないために正しい知識を身につけよう

体外受精までの道のりは、けっして短くありません。

せっかく宿した小さな命の灯を守るために、正しい知識を身につけておくことは大切です。

体外受精後の適した過ごし方を知り、少しでもリスクを避けるように心掛けましょう。

後悔しないためにできることはしておくことで、心も穏やかに過ごせます。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

妊活部編集スタッフです。妊活に関するお悩みを解決するためのサポートをします。最新情報から妊活にまつわる情報を提供します。