2018.05.14

不妊治療の副作用って?知っておくべき不妊治療のデメリットとは?

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不妊治療の初期で処方されることが多い排卵誘発剤や妊娠の確率を大きくアップさせる体外受精。

これらの方法は、妊娠の可能性を高める有効的な治療法であるというメリットがある反面、副作用というデメリットがあります。

こちらの記事では、知っておくべき副作用について解説します。

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妊娠の確率を上げる「不妊治療」には副作用も

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不妊治療の初期段階で使用される飲み薬や注射などの排卵誘発剤や次のステップとして行なう体外受精など、妊娠の確率を高めるために有効な治療法です。

しかし、薬や体外受精などの不妊治療には、体に負担がかかる副作用があります。

不妊治療を行なうときは、メリットだけでなく、デメリットである副作用について知っておくことも大切です。

排卵誘発剤の種類

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排卵誘発剤の摂取方法には、飲み薬と注射の2種類あり、その成分や副作用についても違いがあります。

排卵誘発剤の種類や副作用について、考えていきます。

注射剤のゴナドトロピン製剤

HMG製剤やFSH製剤と呼ばれているゴナドトロピン製剤。

ゴナドトロピンは、脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンであるFSHと黄体比ホルモンであるLHのことをいいます。

この2種類のホルモンが、卵巣に直接刺激を与え、卵胞の成長と排卵を促します。

このゴナドトロピン製剤は、直接卵巣を刺激して卵胞の成長を促すため、妊娠率は上がりますが、流産率も上昇。

卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠、妊娠高血圧症候群などになる確率も高く、副作用が強いというデメリットがあります。

内服薬のクロミッド

卵胞刺激ホルモンと黄体刺激ホルモンの分泌を促すクロミッド。内服薬で処方されるクロミッドは、注射剤のゴナドトロピン同様に、2種類のホルモンの分泌を促すことで、卵胞を成熟させ、排卵を促進しますが、体に大きな負担のかかる副作用は少なくなります。比較的軽い排卵障害であると診断された場合に処方され、生理の5日目から5日間飲み続けることで、飲み終えた翌日から1週間以内に排卵させる効果があります。

効果が緩やかなセキソビット

生理がこない悩みや生理周期が長い悩みなど、緩やかな効果で生理周期を改善していくセキソビット。同じ内服薬のクロミッドと比べ、排卵誘発効果が弱いため、軽い排卵障害と診断された場合の治療や不妊治療初期段階のタイミング法で処方されることが多い傾向に。セキソビットは、排卵誘発効果が弱いため、排卵誘発剤の中でも比較的、副作用が少ない薬になります。

排卵誘発剤による副作用

排卵誘発剤によって、強制的に排卵を促すため、体への負担は少なからずでてきます。

薬を使うことの副作用については、さまざまあります。

多胎妊娠の確率が上がる

妊娠の確率を上昇させる排卵誘発剤。通常、人間の体は生理周期に合わせて、卵胞から卵子を1個排卵します。そのため、自然妊娠での双子の可能性は1%ほどしかありません。

しかし、排卵誘発剤を注射や内服薬などで摂取している場合、強制的に卵胞を成長させ、排卵を促しているために、卵子を2個以上排卵してしまう可能性が上昇。

双子や三つ子といった多胎妊娠の確率が上がってしまうのです。

多胎妊娠の可能性は、摂取している排卵誘発剤の種類によっても異なります。

卵巣に直接刺激を与え、卵胞の成長を促すゴナドトロピン製剤は、多胎妊娠の可能性が15%から20%。

内服薬のクロミッドやセキソビットなどでは、4%から5%の可能性で多胎妊娠することがあります。

卵巣が腫れる卵巣過剰刺激症候群

排卵誘発剤の効果により、卵巣へと刺激される力が強すぎることで卵巣が腫れ、腹水が溜まる症状を卵巣過剰刺激症候群といいます。

軽度の症状の場合は安静にしていることで回復しますが、腹部全体に水が溜まってしまったり、血液が濃縮して血栓症などの合併症を引き起こすほど重症化してしまったときには、入院して治療をすることになります。

ゴナドトロピン製剤のように、注射で投与する排卵誘発剤は効果が高いため、卵巣過剰刺激症候群になる可能性は上昇。

クロミッドやセキソビットなどの内服薬で摂取する排卵誘発剤では、注射の排卵誘発剤に比べ、排卵誘発の効果が弱まるため、起こりにくい副作用です。

頸管粘液の減少が起こる

内服薬の中でも、排卵誘発の効果が高いクロミッドを続けて飲むことで起こりやすくなる副作用が、頚管粘液の減少です。

頚管粘液とは、子宮頸管で分泌されている粘液のことをいい、排卵日近くになると粘りの少ない粘液へと変化するため、スムーズに子宮へと精子を運ぶ役目をします。

しかし、クロミッドの副作用で頚管粘液が減少してしまうと、粘りの強い粘液になってしまい、精子を子宮へと運ぶことができません。

そのため、頚管粘液の減少が確認されたときは、クロミッドの服用を中止するか、エストロゲン製剤と併用しながら服用を続けるかなど、治療方針の見直しがされます。

着床に必要な子宮内膜が薄くなる

頚管粘液の減少の他に、クロミッドを服用し続けることで起こりやすくなる副作用があります。

着床に必要な子宮内膜が薄くなるということ。

赤ちゃんが育つ土台となる子宮内膜が薄くなっていては、きちんと着床することは難しく、妊娠しにくくなる状態が続きます。

このような副作用を引き起こすクロミッドには、抗エストロゲン作用があり、子宮内膜の増殖に必要な黄体ホルモンとエストロゲンの作用の邪魔をしてしまうことがあります。

そのため、医療機関ではクロミッドを服用中は必ず黄体期に子宮内膜の厚さを確認。

クロミッドの服用が原因で、子宮内膜が薄くなっていないかを調べます。

このとき、クロミッドの副作用で、子宮内膜が薄くなっていることが確認できた場合には、クロミッドの服用を中止するかエストロゲン製剤を同時に服用するかなど、治療方針の見直しがされます。

吐き気や体重増加などの副作用

不妊治療のタイミング法でうまくいかなかったときに処方されることが多い排卵誘発剤。妊娠の確率を上げるために、注射や内服薬など、治療法に合わせて処方される排卵誘発剤は、ホルモンバランスに影響してきます。

そのため、卵巣過剰刺激症候群や子宮内膜が薄くなるといった副作用でなくても、軽度の副作用が起こる可能性があります。

軽度の副作用は、体と排卵誘発剤との相性にもよるので、症状はさまざま。

吐き気やめまい、頭痛、嘔吐、便秘、体重増加など、体に変調をきたす場合もあれば、更年期と勘違いしてしまうほどイライラしやすくなるなど、出てくる副作用は人それぞれ違ってきます。

また、排卵誘発剤により、月経周期がズレてしまうことがあります。

月経周期が短くなってしまったり、遅れてしまったりすることで、精神的に不安定な状態になることも。

不妊治療中の副作用やストレスは、治療を阻害してしまう可能性があるので、医師に相談しましょう。

体外受精の際の副作用

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タイミング法で妊娠が望めなかった場合、次の治療方法となる体外受精。

妊娠の確率を格段に上げることができる体外受精は、リスクのある治療方法でもあります。

採卵時に起こる腹腔内出血や膀胱出血

体外受精を行なうために、採卵する際、超音波下で慎重に卵巣の卵胞に針を刺します。

この採卵時に針を刺すことで出血し、ごくまれなケースとして起こる副作用が、腹腔内出血や膀胱出血。腹腔内出血や膀胱出血は、症状により手術が必要となる副作用なのです。

採卵時に卵巣の卵胞に針を刺した際、少量の出血が起こりますが、通常、人の体には治癒能力が備わっているので、自然と出血は止まります。

しかし、腹腔内出血になってしまう状態は、少量ですむはずの出血が、なかなか止まらない状態となるため、医師の判断により、開腹手術が行われることも。

また、卵巣が通常の位置になく、膀胱を貫通して卵巣の卵胞に針を刺さなければいけない状態のときに起こる可能性があるのが膀胱出血です。

多くの場合が一過性の症状なので自然と治っていくのですが、採卵翌日まで血尿が続く場合や尿が出にくいと感じるときは、医師に相談する必要があります、

発熱や腹痛が起きる骨盤内感染症

採卵時には、卵巣まで針を通すので、滅菌と消毒をされた器具を用いたとしても、膣内に細菌がいた場合、腹腔内へと細菌が侵入してしまう恐れがあります。

腹腔内に細菌が侵入してしまうと、発熱や腹痛などの症状を引き起こす骨盤内感染症になる可能性が高まります。

このような感染症を未然に防ぐためにも、多くの医療機関では採卵を行なう前に膣内を念入りに消毒してから採卵を実施。

また、膣内の消毒だけでなく、抗生剤の投与を行なう医療機関もあります。

不妊遺伝子が遺伝する

男性側に不妊の原因がある二人が体外受精を行なう場合、その不妊の原因が子どもに遺伝する可能性があります。

男性の性染色体に異常があるとき、通常の性行為を行っていても妊娠することはありません。

この性染色体に異常のある状態を無精子症と診断され、子どもを望む場合に有効な方法が顕微授精という体外受精になります。

この顕微授精では、採取した卵子に精子を直接注入するため受精させることができ、子宮内で無事に着床することができれば妊娠となります。

そのため、本来、受精することができない精子でも受精できてしまうので、子どもに無精子症が遺伝。

この無精子症が遺伝しないために女児を望んだとしても、性染色体の異常はY染色体に現れ、Y染色体がある精子は男児の受精卵となるため、生まれてくる子どもも不妊症に悩まされる可能性があります。

副作用を理解し、前向きに不妊治療をしましょう

妊娠の確率を高める不妊治療。排卵誘発剤により、ホルモンバランスが崩れてしまったり、合併症を引き起こしたりと、副作用があることも事実です。

しかし、必ず副作用が起こるということではありません。

副作用が起こる可能性があることを理解し、前向きな気持ちで不妊治療を行いましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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