不妊治療もステップアップしてくると、体外受精や顕微授精へとシフトしていきます。
最終ステージともいえる治療に、不安を隠せない方も多いかもしれませんね。
こちらの記事では、顕微授精の一連の流れや女性へかかる負担、顕微授精のメリットデメリットを中心に解説していきます。
きちんと理解し、前向きに治療に取り組めるよう、今後の治療に役立ててください。
不妊治療というのは、治療したからといって必ず結果がでるものではありません。
一度の治療で子供を授かる人もいれば、何年治療を続けても結果が出ない場合もあります。
そのため女性は、いつ終わるともしれない不妊治療に不安を抱きます。
顕微授精はいってみれば不妊治療の最終ステージです。
顕微授精へのステップアップが決まったことで不安を抱く女性も多いかもしれません。
しかし、顕微授精には費用が高いなどというデメリットの他にメリットもあるんです。
先ずは顕微授精の基本情報を見ていきましょう。
不妊治療を始める際、最初になにが不妊の原因なのか検査をした後、ほとんどの場合が自然妊娠を促すタイミング法から始まります。
しかし基礎体温を計り、採卵のタイミングに合わせて性行為をしても妊娠しない場合があります。
その場合には、人工授精、体外受精、顕微授精という順番に時間をかけてステップアップが始まります。
そのなかで、顕微授精は不妊治療の最終手段なのです。
しかし例外もあります。
男性不妊でTESEなどを行っている場合には、最初から顕微授精から始まります。
体外受精と顕微授精が混同されがちですが、この2つは異なるものです。
大きく違うのは受精の仕方です。
体外受精の場合には、精子と卵子を体外に取り出して受精するのですが、卵子を入れた特殊な培養液の中に精子を入れて受精させる方法です。
そのため生存力の強い精子が、自力で卵子に到達し受精します。
しかし顕微授精の場合には、人の手で受精します。
卵子の中に、ガラス管などを使って精子を注入して受精を行います。
そのため人の手によって精子が選択されるのです。
精子の運動率が低かったり、少量しか取れない場合などには、体外受精よりもずっと受精率が上がります。
顕微授精は、採卵した卵子にインジェクションニードルという針を刺してて精子を注入します。
顕微授精の受精率は高く、50%から70%くらいです。
また受精率は高くても、その後の胚培養で成長を止めてしまい胚移植まで進まないことも多いです。
それには卵子の老化などの状態や、精子の質などが関わっています。
良質の卵子や精子でも受精卵がまったくできないこともあり、それは完全受精障害といわれ1%に満たない確率ですが存在します。
顕微授精は保険適用にならないため、費用は自己負担です。
一概に顕微授精といっても、卵巣刺激の方法や使用する薬や量、胚移植の方法などにより費用は変わってきます。
医療機関によりますが、おおよそ約45万円から55万円くらいをみておいたほうがよいでしょう。
また他の方法と異なり、1個の卵子に1個の精子しか使用できないため、採卵回数が多くなりやすいこと。
男性不妊治療と関わりが深いため、TESEが必要な場合にはその費用もかかってくること。
それらも考慮に入れて、多めに費用を用意しておいてください。
では、顕微授精はどのようなときに選択肢としてあがるのでしょうか。
不妊の原因が男性不妊の場合には、自然妊娠が難しいので一気に顕微授精になります。
多くの人が「無精子症」という名前を聞くと愕然として、子供が望めないのではと絶望的な気持ちに陥りますが、実は無精子症でも精巣には精子があります。
無精子症とは精液に精子がない状態をいいますが、閉塞性と非閉塞性の2種類に分かれます。
閉塞性の場合には精管がなにかしらの原因で詰まってしまっていて外に出られない状態です。
そのため、つまりをなくす手術をしたり、精巣の中にある精子を取り出したりする処置をすれば受精可能な精子を取り出せます。
TESEなどにより取り出した精子は、凍結処理などをして顕微授精に備えます。
また非閉塞性の場合には、未熟な精子や奇形の精子しか作れず運動率が低くて卵子までたどり着けない状態や、精巣内を探してもほとんど精子がない場合があります。
こちらのほうが治療が困難なタイプです。
体外受精は卵子と精子をそれぞれ採取し、特殊な液の入ったシャーレの中で卵子と精子を一緒にして自然に受精させる方法です。
しかし精子の数が少なかったり運動率などがあまり高くない場合、なかなか受精まで至りません。
体外受精に何度か挑戦しても受精できなかった場合に、ステップアップして顕微授精に進みます。
顕微授精は直接人の手によって、精子を卵子に注入する方法です。
そのため多少運動率が低くても、受精確率は高くなります。
また、たとえ精子の数が一つだったとしても、成功すれば妊娠することが可能です。
どれだけ若く取り繕っても、女性は体の中の老化まで抑えることができません。
年齢以上に若くみえても卵子はどんどん老化しているのです。
女性は一生分の卵子を持って生まれてきます。
その数は生理と共に体外に放出され、増えることはありません。
そして良質の卵から失われていくのです。高齢と不妊は密接な関係があります。
老化した卵子が多く、なかなか受精まで至らない場合には顕微授精を行い、直接卵子に精子を送り込んで受精させる方法が有効です。
顕微授精の一連の流れをみていきましょう。
治療を進めるため、まずは基礎体温などをみて生理周期を把握します。
それから低容量ピルなどを使用して、治療する周期をベストな状態へ整えます。
治療方法にはロング法、ショート法、アンタゴニスト法などさまざまな方法がありますが、一般的なのは排卵誘発剤を用いて一度で採卵できる卵子を増やす方法です。
排卵誘発剤には薬を飲むタイプと、注射のタイプがあります。
治療方法によって異なるのでかかりつけの医師の判断に任せましょう。
また注射の場合には、10日間近く連続して注射を打つ必要が出てきます。
毎日クリニックに通って打つのか、それとも自己注射をするのか選択を迫られる場合が。
仕事を持っている女性にとって自己注射はありがたいのですが、自己責任になるので注射を失敗するリスクを抱えます。
そして卵子を最終的に成熟させるため、最後にhCGを注射します。
多くのクリニックは夜にhCGを注射して採卵を午前中に設定することが多いです。
採卵日当日は着脱しやすい服装で、化粧やアクセサリーはせずにいくようにしましょう。
手術になるので、緊急の事態が起こったときに医者が顔色などを診る必要があります。
採卵は採れる卵子が1~2個程度の場合には、麻酔を行わない場合もあります。
複数採れる場合には麻酔を使うことが多いです。
当日の流れは、麻酔の有無や凍結された精子を使うかどうかなどで状況が変わってきます。
看護師などの指示に従いましょう。
また採精は採卵にタイミングを合わせる必要があります。
フレッシュなものを使用する場合には、自宅で採って持ってくるか、クリニックで採精してください。
採卵した卵子一つ一つに、精子をガラス針で注入して受精します。
一般的に精子の選別は胚培養士によって、目視で行われます。
運動率がよく奇形ではないものが選ばれますが、目視では染色体の異常まではわかりません。
他に高倍率の顕微鏡を使って観察してから選ぶ方法もあります。
顕微授精は人の手が加わるため、医師の力だけではなく成功には培養室やラボの抱えている胚培養士たちの力量が成功率に大きく関わっています。
もしもなかなか受精しない場合には、顕微授精の成功率の高いクリニックに転院することを考えてもよいでしょう。
受精卵を培養する方法は、体外受精と同じです。
厳重に管理をしたインキュベーター(培養器)の中で、受精卵を育てます。
採卵した翌日に受精確認を行ったあと、受精卵は2日目に4分割、3日目に8分割、4日目に桑実胚、5日目に胚盤胞と成長していきます。
体外で現在育てられる最終形態は胚盤胞までです。
新鮮胚移植か凍結胚移植化によって採卵後の流れは変わってきますが、受精卵を凍結する場合にはできるだけ成長した状態での凍結が望まれます。
受精卵を子宮に戻す方法は、大きく分けて2つあります。
新鮮胚移植(初期胚移植)と凍結胚移植です。
それぞれのメリットデメリットを知って、移植方法を決定しましょう。
採卵周期に受精卵を凍結せずに子宮に戻す方法です。
メリットは受精卵にとってはやはり子宮の環境は成長に最適であり、凍結に耐えることができない受精卵でも育つ可能性があることです。
デメリットは採卵周期はホルモンバランスが崩れていることが多く、子宮内膜など着床の環境が整っていない可能性があること。
そして本来なら胚盤胞まで育たない受精卵も移植されることにより、着床率が低くなることです。
受精卵を凍結させてしまい、採卵周期での移植を見送る方法です。
メリットは凍結に耐えうる受精卵を保存できること。
子宮を休ませ、着床できる環境を万全にしてから受精卵を受け入れられることです。
デメリットは本来体内で育っていたかもしれない受精卵が、凍結に耐えられずに失われてしまうことです。
妊娠判定は、移植後2週間から3週間後に受診して血液検査で判定を行います。
着床している場合には、胎盤になる組織から出るhCG値によって行いますが、事前に市販のフライング検査薬などで自己判定することも可能です。
ですが、体内環境をホルモン剤などによって調整しているため検査薬を使うのが早すぎると別の結果が出てしまいます。
フライング検査をした場合も自己診断だけを信じず、最終的な血液検査を待ちましょう。
続いて、顕微授精を行うと、身体にどのような負担がかかるのかみていきましょう。
排卵誘発剤には、さまざまな副作用があります。
多胎妊娠や、子宮内膜が薄くなるといったものですが、一番注意しなければならないのは卵巣過剰刺激症候群です。
卵巣過剰刺激症候群とは過剰な刺激で卵子が多く育ちすぎてしまい、卵巣が腫れて腹水がたまる状態をいいます。進行すると、稀ですが命の危険性がある血栓症になる場合もあるので、早めの対処が必要です。
前兆として腹部のつっぱりや、軽度の胃痛や嘔吐感などがあります。
もしも卵巣過剰刺激症候群の可能性があるのなら、安静にして水分補給をできるだけ制限しましょう。
採卵は麻酔をして手術台に上ることになるので、どうしても緊張やストレスがおこります。
特に初めての場合にはどのような流れなのか、痛みは強いのかなどわからないことがたくさんあり不安でしょう。
そのようなときには、手術前に呼びに来てくれる看護師などと軽い会話を交わしてみてください。
多くの看護師は採卵前の女性の緊張をよくわかってくれています。
麻酔をしない場合などには、手を握っていてくれたり声をかけ続けてくれる人もいます。
不安な気持ちは抱え込まずに吐露することで、緊張感はやわらぎます。
子宮内膜を厚くして受精卵を着床させる環境を整えるために黄体ホルモンを補充しますが、それらの飲み薬や注射の副作用により、体調不良がおこることがあります。
頭痛や吐き気、倦怠感など人によって副作用の症状は異なります。
仕事を持っている場合は、ただでさえ不妊治療による早退や欠席で職場に迷惑をかけてしまっているので、仕事内容だけはきちんとこなしたいと考えます。
しかし体がついてこないで苦しむ女性がたくさんいるのが現状です。
身体的な負担だけではなく、顕微授精には心の負担もあります。
不妊治療のステップアップは、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精の順で進んでいきます。
そのため顕微授精までくると「もうステップアップできない」「これで成功しなければ、もう子供を一生授からないのではないか」という精神的な焦りに襲われます。
しかし最終手段ということは、逆をいえばまだ可能性はあるということです。
マイナス思考になってしまうとストレスがかかり治療に悪影響を及ぼします。
焦らずゆったりした心持で臨みましょう。
男性不妊ではいきなり顕微授精から始まりますが、普通は長い年月をかけてステップアップをしてきます。
そうすると今までかけてきた不妊治療費でも経済負担が大きいところに持ってきて、顕微授精の高額な治療費が肩にのしかかります。
顕微授精をしたからといって、成功するとは限らない。
「あと何回、採卵をしたら終わりにするか」という選択肢を、電卓をはじきながら出さなければならなくなります。
今では顕微授精は珍しくなくなりました。
しかし親の世代では「試験管ベビー」などと呼ばれて珍しがられていたこともあり、心から喜ばれるとは限りません。
不妊治療のどの方法よりも、顕微授精には人の手が加わるからです。
職場や親族などに、なかなか打ち明けられずに心の中にモヤモヤがたまる人も多いでしょう。
不妊治療と仕事の両立が難しく会社を辞めた場合など、なぜ会社を辞めたのかと尋ねられ返事に窮することもあります。
話をしても受け入れられなそうな人の場合は、黙っていることも1つです。
夫婦間の問題なので、本当に信頼できる人以外に打ち明ける必要はありません。
顕微授精には多くのメリットもあります。
他の治療と比べてどのような点がメリットといえるのかみていきましょう。
確かに顕微授精は高額です。
しかし治療の際に採取した精子や、採卵後受精に成功した胚は凍結して、二回目以降のために保存することができます。
顕微授精で一番大変なのは、移植それ自体ではなく採卵までの道のりです。
採卵周期のために体調を整え、排卵誘発剤などの副作用に苦しんだり、注射を毎日打ったりしなければなりません。
もしも凍結可能な胚が複数個取れるならば、後は成功するまで移植をしていくだけです。
その場合の精神的負担はかなり減ります。
体外受精と異なり、顕微授精では精子を卵子に直接注入するため精子が1つでも受精できます。
それは重度の男性不妊のカップルにとっては、大きなメリットです。
精子の数が少なくても問題ないからです。
運動率が低く、卵子まで到達することができなかった精子を卵子のもとまで届けることで、他の方法では不可能だった受精を可能にします。
また人工授精に比べて受精率も高めです。
顕微授精にステップアップすることはデメリットばかりではありません。
そのカップルにあった治療を医師が選択してくれますので、そのクリニックで治療を受けると決めた以上信頼して任せましょう。
不妊治療の経済的負担を軽くするために、厚生労働省が不妊治療にかかる費用の一部を助成しています。
対象となるのは特定不妊治療(体外受精と顕微授精)です。
給付の内容は1回の治療につき15万円ですが、凍結胚移植など採卵を伴わない場合は半額の7.5万円です。
所得制限や回数制限、年齢制限などがあるので詳細を確認する必要があります。
また各市区町村が独自の助成金制度を設けている場合もあるので、役所に問い合わせてみるとよいです。
助成金の申請には、期限があります。
忘れていて助成金をもらえないということがないように、気をつけてくださいね。
顕微授精のデメリットはどのようなものかあらかじめ知ることで、成功しない場合に備えて心の準備をしておきましょう。
卵子は繊細です。
顕微授精は、その卵子に針を刺して精子を注入しなければなりません。
顕微授精のデメリット、それは卵子にかかる負荷が大きいことです。
卵子の質、それから胚培養士の腕の良し悪しによっては、卵子が壊れてしまうことがあります。
また受精のときだけではなく、凍結胚にした場合には凍結や解凍の際にかかるストレスにも耐えられなければなりません。
顕微授精には、高度な知識と技術が必要です。
顕微授精の成功率が高いクリニックは、信頼できる医師がいるだけではなく、優れた胚培養士やラボを抱えています。
もしも顕微授精を何度も繰り返しているけれど成功しない場合には、転院することも選択肢に入れておくとよいかもしれません。
顕微授精で直接精子を送り込んだとしても、受精率は高いのですが確実ではありません。
受精は100%ではないのです。
受精以前に、針を刺した段階で壊れてしまう卵子もあります。
またせっかく受精しても割球が不均等もしくはほとんどみられず、細胞の破片(フラグメンテーション)で埋め尽くされているようなグレード5だと、凍結までは至らないことが多いです。
特に卵子の老化が進んでいる場合には、受精率が大幅に低下します。少しでも卵子の質を上げるためには、採卵前から食事療法などを日常生活に取り入れ、質の良い卵子を採れるように準備をしておくとよいでしょう。
また良好な精子を選んで顕微授精を何度しても、受精まで至らない完全受精障害というケースも1%未満ですが存在します。
どの精子を選ぶか、それは胚培養士の選択によります。
多くの場合は、たまたま視界を横切った運動率がよく目視の上で異常のない精子が選ばれます。
そして選ばれた精子は、顕微鏡下で不動化処理を行った後に卵子に注入されます。
しかしあくまで精子の選択は目視であるため、染色体などにの異常まではわかりません。
そのため選んだ一つの精子が異常な場合もあります。
染色体異常のある精子が注入された場合、多くの確率で出産まで至ることはありません。
他の治療方法と異なり、この精子の選別がある点が顕微授精の特徴ともいえるでしょう。
ある意味、胚培養士の選択が神の手であり運命の分かれ道ともいえるのです。
顕微授精を施したあと、過ごし方などに注意点があるのかみていきましょう。
病院でも指示があるかもしれませんが、移植当日の入浴は控えたほうがよいです。
出血がなかったとしても、器具を挿入したことにより膣内に傷がついていたりする場合があり、入浴することで感染症がおきる危険性があります。
移植の当日は入浴ではなくシャワーなどで、さっと汗を流す程度にしましょう。
また病院からの指摘がないことが多いけれど避けたほうがよいこともあります。
たとえばタンポンの使用、夫婦生活、長距離の自転車移動などです。
基本的な考えかたとして、移植後1~2日程度は膣内に雑菌等が入らないよう心掛けるとよいです。
自然妊娠の場合を考えてみてください。
生理が止まったり、初期妊娠症状が出て妊娠に気がつくまでは普通の生活をしていますね。
移植後の生活は、自然妊娠の場合と同じで普通の生活で問題ありません。
そもそも移植後数日は受精卵は子宮内を漂っています。
着床までには数日かかるのです。多少体が揺れたからといって、子宮の壁から落ちるなどということはありません。
成功率に影響はないのです。
胚移植後は30分程度の安静が必要ですが、その後は別に横たわって休んでいる必要はありません。
ただし日常生活の中で気を付けるべきものもあります。
不妊の原因となりやすいといわれているものなどは避けてください。
特に体の冷えは血行不良を引き起こします。
本人の生存に関わらない子宮などの血行は特に滞り、せっかく着床した受精卵に十分な酸素や栄養が行き届かない可能性があります。
移植をした時点で、自分は妊婦だと心得ましょう。
アルコール摂取や喫煙は避けてください。
妊婦さんがアルコールを大量に飲んだり、タバコを吸ったりしたらどうでしょうか。
お腹の中の受精卵は、小さくても繊毛を子宮内膜に潜り込ませ、必死に酸素や栄養を母体から吸収しています。
血液にアルコールやタバコの影響が出たら、よくないことは誰でもわかります。
タバコを吸うと、ニコチンの影響で血管が細くなります。
血流が滞ると、子宮にまで十分な酸素や栄養がいかなくなってしまいます。
アルコールもタバコも中毒性があるので、なかなかやめるのは難しいかもしれません。
そのため移植前にはしっかりと断酒、禁煙できている状態をつくっておいてください。
できれば不妊治療のスタートとともに、嗜好品を断ってしまうとよいです。
アスリートなど普段激しい運動を日常的にしている人は、しばらく激しい運動は休止しましょう。
またアスリートでなくても、ジョギングやテニス、柔道などの格闘、長距離の自転車なども避けたほうが無難です。
また運動でなくても、日常生活で重いものを持って歩くような仕事をしたり、家事をする場合は誰か別の人に手伝ってもらってください。
「これは大丈夫かな?」と迷ったならばやらないほうがよいです。
しかし運動一般がだめなわけではありません。
適度なら大丈夫、というよりむしろヨガやストレッチなら血行もよくなりよい影響を与えます。
運動をするのなら、なにごともほどほどを目指しましょう。
ストレスはためずに、リラックスして過ごすようにしてください。
この機会にパートナーと旅行するのも素敵ですね。
治療にあてていた時間が浮くと思うので、読書をしたりアロマをたいたりと趣味のことに没頭するのもよいです。
ストレスをため込みすぎると、肉体的精神的に消耗し、抵抗力や免疫力が弱まります。
生体機能が低下し体のあちこちに不調がでやすくなります。
仕事のこと、不妊治療のこと、家事のこと。
なんでもストレスを感じたら、素直にパートナーに相談してみてください。
声にするだけでも精神的に楽になることがあります。
また妊娠できたかどうか早く知りたくてそれがストレスになる場合もあります。
フライング検査薬を使って妊娠しているのか確認するのも一つの手ですが、顕微授精では体がさまざまなホルモン剤の影響を受けているため正確な結果が出にくくなっています。
たとえフライング検査でどのような結果がでても、あくまで正確な判定は病院のものを待ちましょう。
顕微授精に不安を抱くのは当然です。
治療の内容もそうですし、成功率や、費用面など気になる部分も人によって違います。
顕微授精は一度治療をスタートしたら、体の周期に合わせて注射を打ったり薬を飲んだりしなければなりません。
そして移植日は医師からこの日といわれたら大きく移動することはできないのです。
なにも知らずに治療を始めてしまうと、後々高額の治療費に苦しんだり、仕事と治療の両立に悩んだりします。
事前に情報を集め、メリットとデメリット両方を知り、夫婦でしっかりと話し合ってください。
手を取り合って夫婦で協力すること。
先がみえない不妊治療だからこそ、年齢や採卵回数などでおおよそのゴールを2人で話し合っておくこと。
それらが後悔しない秘訣です。