2017.07.12

【卵巣の病気とは?】卵巣トラブルの種類や症状、治療法は?

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ストレスやダイエットの影響により、若い女性に増えているのが「生理不順」です。

「遅れても平気」「来ない方が楽」などと軽く考えている人もいますが、実は怖い病気が潜んでいる場合があります。
放置しておくと卵巣機能が低下し、不妊症になってしまうこともあります。

そして、気づいていないだけで、生理不順の女性20人に1人が「卵巣の病気」というショッキングな報告もあります。
女性の妊娠や出産に深くかかわるのが卵巣の、不妊につながる病気についてまとめてみました。

◆ 卵巣の病気と症状

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卵巣は、卵子を作り、成熟させ、排卵を起こす働きをするだけでなく、女性ホルモンを分泌する役割も担っています。
重要な役割を担う卵巣は、腫瘍などの病気にかかりやすい臓器でもあり、悪化すると不妊の原因にもなりかねません。

卵巣は、子宮から左右に伸びた卵管の先にある2つの器官で、親指くらいの大きさをしており、この中に、卵子の元になる「卵細胞」と、それを包む「卵胞」が入っています。

卵巣の中の卵胞は、「卵胞刺激ホルモン」の作用で発育し、やがて「排卵」へと至ります。
また、卵巣からは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2種類の女性ホルモンが分泌され、これらの分泌バランスによって月経周期がつくられます。

卵巣が病気にかかると、ホルモンバランスが崩れて生理不順や排卵障害などが引き起こされ、不妊につながる恐れがあります。

生理の周期が長かったり短かったり、出血量が多かったり少なかったり、出血している期間が長かったり、痛みがひどかったりするなどの生理不順症状は、女性器に何らかの変調をきたしている可能性があると思われます。

また、さまざまな病気を発症している可能性が高く、注意が必要です。
生理だと思っていても、実は不正出血だったということもありますが、不正出血の場合は子宮筋腫や子宮ガンなどの病気も考えられますので、専門医の診断を受けるようにしましょう。

◆ 卵巣にできる主な病気

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1. 卵巣がん

卵巣は、腫瘍ができやすい器官といわれており、腫瘍の性質によって「良性腫瘍」「境界悪性腫瘍」「悪性腫瘍」の3つに分類されます。

卵巣は体内の奥深くにあるため、腫瘍ができても初期の頃は気づきにくいものですが、腫瘍が進行していくと、おなかの張りや下腹部痛、圧迫感、しこり、不正出血などの症状があらわれます。

卵巣がんの進行ステージによっては、卵巣や卵管のみの摘出で済む場合もあれば、子宮やリンパ節まで摘出する必要性が出てくるケースもあります。
また、手術後は抗がん剤による化学療法を行います。

2. 卵巣チョコレート嚢胞

卵巣の内部に子宮内膜と同じ組織ができる病気で、正式には「卵巣子宮内膜症性嚢胞」と呼びます。

この組織は、生理と同じように剥がれ落ちますが、その血液は子宮から排出されず、卵巣内にたまってしまいます。
症状は子宮内膜症と似ており、生理痛や腰痛、排便痛などを伴うことがあります。

進行してから症状があらわれはじめるため、一般的に、初期の頃はほとんど自覚症状がありません。

3. 子宮付属器炎(卵巣炎・卵管炎)

卵管の炎症(卵管炎)と卵巣の炎症(卵巣炎)を「子宮付属器炎」と呼びます。

卵巣炎が単独で起こることは少なく、卵管炎が卵巣まで広がるケースが多いため、一括りにされることが多いのです。

卵管炎は、大腸菌やブドウ球菌、レンサ球菌などの細菌やクラミジアが、膣や子宮を通って卵管に侵入し、感染することで発症します。
下腹部痛や発熱、膿性のおりものが症状として現れ、周りの骨盤腹膜や卵巣、子宮などと癒着を起こしてしまうこともあります。

原因菌に合った抗菌剤の服用や点滴による治療を行うのが一般的ですが、激しい下腹部痛や高熱など、症状によっては、入院による治療が必要になります。

4. 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

卵巣の中でできる卵胞の発育が遅く、ある程度の大きさになったとしても排卵されず、卵巣内に溜まってしまう病気です。

多嚢胞性卵巣症候群は20~40歳代の女性の数%に発症の可能性があり、無月経や過多月経といった月経不順、にきびや吹き出物の増加、多毛、肥満などの症状に悩まされる女性が多いとされます。

発症の原因はまだはっきりとわかっておらず、根本的な治療法はまだ見つかっていません。

5. 卵巣機能不全(卵巣機能低下症)

精神的なストレスや過度なダイエット、激しい運動などが原因で卵巣の機能が低下している状態です。

ホルモンバランスが乱れることで、月経周期の乱れや排卵障害が引き起こされるほか、イライラや疲労感、のぼせ、めまいといった更年期障害に似た症状に悩まされるケースもあります。
無月経や無排卵の状態が長く続くと不妊の原因になるため、妊娠を望む場合は特に、早めに婦人科を受診することが重要です。

また、女性ホルモンが体内で不足している場合、ホルモン剤を服用して補うこともあります。

◆ 卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)とは?

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卵巣嚢腫とは、卵巣内に液体や脂肪がたまる良性腫瘍で、大きくなると、こぶし大やそれ以上になることもあるので注意が必要です。

子宮内膜症が原因で起こるチョコレート嚢胞以外、嚢腫がなぜできるのかはっきりとした原因は究明されておらず、卵巣を持っているかぎり、どの女性もかかる恐れがある病気です。
普通は大きさが2~3cmですので、少しくらい腫れていてもそれほど影響はありませんが、腫れてこぶし大より大きくなってくると、下腹部の腫れや痛み、違和感などを覚えるようになります。

痛みがないからといって放っておくと、卵管が引き伸ばされ卵巣の働きが悪くなり、不妊症の原因にもなってしまうこともあります。

◆ 卵巣嚢腫の治療・手術

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卵巣が腫れていても、大きさが4~5cm以下で成長スピードが遅い場合は、しばらく様子を見ても良いでしょう。
急な痛みや違和感を覚えた場合は必ず医師の指示を仰ぐ必要があり、卵巣の大きさが5cmを超え、どんどん大きくなっている場合は早めに処置をした方が良いでしょう。

治療は手術となることがほとんどで、嚢腫だけを切り取るか卵巣全体を切り取る手術が必要になります。
手術は、腹腔鏡手術と開腹手術があり、腹腔鏡手術は、開腹手術に比べると傷が小さくてすみ、術後の傷跡も目立たず、回復が早いことがメリットです。

まとめ

卵巣の病気が見つかると「妊娠できなくなるのでは? 」と心配になるかもしれません。
しかし、全てのケースが不妊につながるわけではありません。

卵巣に腫瘍が見つかり、摘出手術をすることになった場合でも、2つある卵巣のうち片方を健康な状態で残せることができれば、術後も妊娠・出産できる可能性はあります。
卵巣の機能が低下し、月経異常や排卵障害がある場合でも、ホルモン療法などによって人為的に排卵を促すことができれば、やはり妊娠することは可能です。

ただし、いずれの場合も、病状が進行して月経異常や排卵障害が慢性化するほど、不妊につながるリスクは高まりますので、気になる症状があれば、すぐに婦人科を受診しましょう。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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