2017.07.12

【排卵誘発剤とは?】 妊娠確率、費用、副作用のリスクは?

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排卵誘発剤は費用が高額で、副作用の問題もあることから、使用することを諦める方も多いようです。
しかし、排卵誘発剤は、卵子の成長を促し、排卵しやすい状態にする働きがあり、不妊で悩む夫婦にとっては、強い味方でもあります。

排卵誘発剤の費用や副作用について、またもっとも気になる妊娠率についてご紹介します。

◆ 排卵誘発剤とは?どんな薬?

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排卵誘発剤とは、そのものズバリ「排卵を促すための薬」です。

不妊症の原因はさまざまですが、排卵がない無排卵月経、生理がない無月経、月経周期が異常に長い希発月経など、排卵に障害のある場合に排卵誘発剤が使われます。

排卵誘発剤を利用するのは、1~2年間タイミング法を試してもなかなか妊娠ができないときに、次なるステップとして用いられます。
薬で卵巣を刺激することによって成熟した卵胞の数を卵巣で増やし、いわゆる「良質な卵子を育てる」ことで、妊娠の可能性を高めるための薬です。

人工授精や体外受精などの不妊治療でも幅広く使用されている、妊娠の可能性を高めるための薬が排卵誘発剤です。

◆ 排卵誘発剤の種類は?

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排卵誘発剤は、内服薬と注射があります。
代表的な内服薬は「クロミッド(クロミフェン)」で、脳下垂体に作用することでFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体刺激ホルモン)の分泌を促します。

また、効果が比較的穏やかで、副作用が少ない「セキソビット(シクロフェニル)」や、排卵後に妊娠しやすい環境を作る「黄体機能」のサポートをする「メドキロン」「ルトラール」などの内服があります。
内服薬で効果が見られないときには、筋肉注射で使用することもあります。

排卵誘発剤は卵巣を直接刺激するため、妊娠の可能性が高いとされるのが筋肉注射で、効果が高い分、副作用が起こる可能性も高くなります。
卵巣の反応を見ながらの使用となり、排卵を促す作用のあるhCG注射は、クロミッドやhMG注射( FSHとLHが配合されたホルモン注射)で卵胞を成長させたうえで、排卵を促すために用います。

◆ 排卵誘発剤による妊娠確率はどのくらい?

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排卵誘発剤の種類や不妊の状態によって異なりますが、排卵率は70~80%、妊娠確率は20~40%程度とされています。

内服薬クロミッドに適した不妊症の方に投与したときの妊娠率は約25~30%で、排卵の成功率も無月経の方で約7割、無排卵周期症の方では約9割という高確率です。
担当医師と十分に相談しながら、それぞれの条件、症状に合った排卵誘発剤を選びましょう。

◆ 排卵誘発剤を使うタイミング

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内服薬クロミッドは、生理3〜5日目から1日1〜3錠を5日間服用します。
注射薬hCGは、超音波検査などで卵胞の成長具合をみながら、産婦人科医がタイミングを見計らって誘発剤を注射します。

排卵誘発剤を使うにあたって大切なのは、「排卵と性行為のタイミングを合わせること」です。
薬によって排卵がうまくできたとしても、精子と受精できなければ妊娠は成立しません。

内服薬クロミッドを利用したときは、だいたい服薬後7〜10日後に排卵が起こるのが一般的とされています。
また、クロミッドを服薬した後の基礎体温は低温期に入るため、この低温期の基礎体温が約0.3〜0.5度上昇したときが排卵日と判断してもいいでしょう。

◆ 排卵誘発剤の副作用って?

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排卵誘発剤は薬の力で排卵を促すため、副作用があらわれる場合があります。
代表的な副作用が、双子や三つ子で生まれてくる「多胎妊娠」と、卵巣が腫れてしまう「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」です。

1. 多胎妊娠の発生率

自然妊娠の場合、多児の発生率は1%未満ですが、hMG注射の場合は多胎の発生率が20%、クロミッドでも約5%だといわれています。

2. 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の症状

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、排卵誘発剤によって刺激された卵巣が大きく腫れ、重症になると腹水や胸水が溜まり、呼吸困難を起こすこともあります。

副作用は注射によるものがほとんどで、内服薬での副作用の発生はあまりありません。

◆ 排卵誘発剤の費用はどのくらい?

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排卵誘発剤は高額という印象がありますが、一般的には内服薬も注射も保険が適用されるので、一概に高額とはいえません。

内服薬クロミッドは、1か月あたり保険適用で自己負担額は500円程度です。
注射は、1回約400円~1,500円ほどです。
ただ薬や注射の使用回数が増えれば、それだけ費用はアップします。

薬の投与量が増えると保険適用外になる場合もありますので、不妊治療が長引けば長引くほど費用はかさんでいくことを心得ておきましょう。

まとめ

妊娠を希望している方が、みな自然妊娠から出産できれば良いのですが、どうしても医療の力を借りなければ妊娠できない方もいます。
そんな不妊に悩む方が、排卵を促進するために使うのが「排卵誘発剤」です。

排卵誘発剤は、いまや不妊治療にとってなくてはならない薬になりつつありますが、妊娠の確率が高まると同時に、金銭的・時間的負担に加え、肉体的にも精神的にも負担が大きくなります。

また副作用のリスクも少なからずある薬なので、薬の目的や効果とそのリスクをきちんと理解した上で、産婦人科医とよく相談して治療方針を決めることが大切です。
不妊の原因のひとつである排卵障害を改善するには、生活習慣を改善する事も大切です。

ストレスや過度なダイエット、激しい運動が原因となっているケースが多くあり、ストレスの解消や食生活を整えるなどの自己管理も大切になります。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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