タイミング法とは、女性の排卵日に合わせて性交渉を持ち、妊娠の確率を上げる方法です。
個人で行う事もできますが、不妊治療として医師の指導を受けながら実践することもできます。
個人で行うのと医師の指導で行うことの違いは、後者の方が正確な排卵日を予測できることで、より妊娠の可能性が高くなります。
不妊治療では、タイミング法を1~2年試みても結果が出ない場合、薬の使用を提案されることがあります。
それでも妊娠が困難なケースでは、注射を使ったタイミング法があります。
タイミング法で用いられる薬、注射についてまとめました。
自分が使用することになる薬がどんなものか、どんな効果、効能、副作用があるのかを理解した上で利用しましょう。
タイミング法で処方される主な飲み薬は、クロミッドやセキソビットなどの排卵誘発剤です。
排卵誘発剤を用いるのは、服用することよって卵の数が増え、妊娠する確率が高まるからです。
また、生理の周期の影響を受けずに、一定の時期に排卵が起こるため、排卵日が特定しやすくなるというメリットがあります。
不妊治療において、初期の段階から処方される薬が排卵誘発剤のクロミッドです。
無排卵の方や、排卵があってもタイミングがうまくとれない方、原因がはっきりしない不妊症の方に処方されます。
生理開始後3日目から服用を開始し、5日間ほど服用を続けることで、クロミッドの成分が排卵をコントロールする脳の視床下部に働きかけ、排卵を誘発します。
服用することで卵胞の発育が良くなるといわれていますが、長期での服用を続けることで、子宮内膜が薄くなるなどの副作用の症状が出ることもあります。
排卵誘発剤の服用だけでは効果が表れない場合、注射を勧められますが、良く使用されているのがhMG・hCG注射です。
どちらも筋肉注射ですから、薬剤注入時にはかなり痛みを伴う注射です。
hMG・hCG注射は、単独でも使われますが、一緒に使われることもあります。
hMGとは、ヒト閉経ゴナドトロピンと呼ばれるホルモンの一種で、クロミッド同様、排卵誘発剤として使用されています。
hMGは卵胞を育てる効果があり、生理開始後3か目から使用し、7~10日ほど卵胞のチェックをしながら投与を続けます。
効果の継続が1日と短いので、毎日投与する必要があります。
卵胞の成長が足りない時に、1~2回ほどの短い投与を受けることもあります。
クロミッドよりも排卵の効果が高く、クロミッドで思うような効果が得られなかった場合に使用されます。
hCGは、ヒト絨毛性ゴナドトロピンと呼ばれるホルモンの一種で、hMGが卵胞を育てるのに対し、hCGは排卵を促す効果があります。
hCGは単独でも使用されることが多い薬で、投与してから24~36時間後に排卵が起こることから、タイミング法では良く使われている注射です。
◆ 黄体ホルモン補充薬
排卵後の着床を助け、高温期を継続させるのがルトルーラという黄体ホルモン補充薬です。
卵巣で育った卵胞から卵子が放出されて排卵が起こり、排卵後に卵胞は黄体という組織に変化します。
この黄体から分泌されるのが黄体ホルモンで、黄体ホルモンには子宮内膜を厚くし、着床しやすい状態を作るほか、高温期を維持させる効果があります。
排卵後から10日間ほど服用し、服用中は生理が始まることはなく、高温期が継続し、服用をやめると妊娠が成立していない場合、数日後に生理が始まります。
ルトルーラは、不妊治療では良く使われる薬剤のひとつですが、薬である以上、少なからず副作用もあります。
服用後に、食欲不振・下痢・吐き気・腹痛・乳房の張り、痛み・不正出血・下腹部痛などを訴える方もいます。
また、その他にも倦怠感・眠気・頭痛などが現れることがあるようですので、少しでも異常を感じたら、すぐに担当医に相談しましょう。
薬や注射を使うことで、自然周期によるタイミング法と比べて、妊娠の確率が倍になるという報告もあります。
赤ちゃんを切望している方にとっては、この高い効果は見逃せません。
タイミング法を病院で指導してもらう場合は、個人で行う場合に比べて排卵日の予測が正確になるため、より精度があがります。
また、病院でのタイミング指導では、排卵日を特定してくれるだけでなく、個人の症状に合わせて薬の処方や注射などの対応をしてくれるので、ますます妊娠の確率が高くなります。
クロミッドなどの排卵誘発剤は、使用を重ねるたびに身体に耐性が出来てしまい、どんどんと効かなくなってきてしまいます。
できれば、薬が効いているうちに、妊娠に辿り着きたいものです。
医師の適切な指導を受けて、なるべくタイミングを合わせられるようにチャレンジしましょう。