不妊症の治療というと、病院や専門クリニックでの不妊治療をイメージしますが、東洋医学である漢方も、不妊治療の1つです。
「漢方」がなんとなく不妊に良いことは分かってるけど、なんとなく手を出しづらい…という方が結構いらっしゃいます。
そんな方のために、
についてご説明します。
漢方薬は、自然界にある植物を中心に、動物由来のものや鉱物などを原料にした、複数の生薬を組み合わせたものです。
生薬の持つさまざまな作用を組み合わせて調合することにより、1剤で様々な効能を生みだします。
例えば、食卓でお馴染みの『ショウガ』は、「冷え」改善以外にも、新陳代謝、健胃、食欲増進、発汗などの効能があるといわれています。
このショウガのように、1剤で1つの症状だけでなく、複数の症状に対しての効果がある場合もあります。
冷え改善のために漢方を飲み続けていたら、「便秘、生理不順も改善された」というケースがあるのが、漢方薬の特徴です。
「漢方」というと、「中国」というイメージがありますよね。
漢方の起源は確かに中国なのですが、日本での「漢方医学」は、日本独自のものなのです。
長い年月をかけて、日本の風土、日本人の体質に合わせて、日本の「漢方医学」は発展し、今にいたります。
フレンチやイタリアンやラーメンやカレーなどの料理と同じですね。
女性の体は、毎月の月経周期によって、女性ホルモンの分泌の波に常に影響を受けます。
冷え、むくみ、イライラ、肌荒れetc…。
ホルモンバランスの変化によって、体調をうまくコントロールできなくて悩んでいる女性は少なくありません。
漢方は、そんな繊細な体をもつ女性にピッタリです。
漢方の薬局や専門医では、その人の症状、体質、年齢に合わせてその人にあった処方が決められるからです。
西洋医学の不妊治療の薬には、痛みなどの副作用があります。
漢方には、副作用がないというイメージですが、もし処方された漢方が体質に合わない場合、もしくは逆に効きすぎてしまった場合、動悸、熱、むくみなどの症状があらわれる場合があります。
もしなんらかの副作用が出た場合は、専門医にすぐに相談しましょう。
西洋医学との大きな違いは、症状に対するアプロ―チ方法です。
西洋医学の薬が、特定の症状にアプローチして治療を促すのに対し、東洋医学である漢方薬は、体全体を整えて、体が本来もっている自然治癒力を高めることを目的としています。
(西洋医学の不妊治療を受ける土台となる体をととのえて、妊娠率を高めるというアプローチで、西洋医学と東洋医学の併用が可能です。)
漢方は「この病気にはこの薬」とは決まっていません。
前述したように、専門医がその人の症状、体質、年齢に合わせてその人にあった処方を決めます。
「不定愁訴(ふていしゅうそ)」という言葉を聞いたことがありますか?
「疲労感が取れない」
「頭が重い」
「肩がこる」
「イライラする」
など、原因は分からないけど、なんとなく体調が悪いという自覚症状のことを指します。
西洋医学で有効な治療法が少ない病気や、検査では異常なしといわれる病気や不調も「不定愁訴」といわれますが、東洋医学の漢方は、この「不定愁訴」を得意とします。
不妊症は主に生殖器官である子宮、卵巣、卵管などに問題がある場合が多いですが、加齢など、様々な問題が絡み合っている場合が多いです。
原因がはっきりしないけど、「なかなか赤ちゃんができない」という方はたくさんいらっしゃいますよね。
つまり不妊症も、この「不定愁訴」の要素があります。
原因がよく分からない「不定愁訴」だと西洋医学での不妊治療は、なかなか難しい部分があるともいえます。
一方、漢方での不妊治療の考え方は、赤ちゃんを産む土台となる身体と心、すなわち体全体を整えることです。
不妊の原因となる「箇所」はつかめなくても、『全体』を改善することによって『全体』に含まれている「箇所」を治してしまおうという考えです。
すなわち、体全体を整えて、体が本来もっている自然治癒力を高めることが、漢方の目的となります。
「体が本来持っている自然治癒力を高める」ことは、「体が本来持っている生殖機能」を取り戻すことも同じです。
漢方は、心身を健康にして、ホルモンバランスを整え、血液やエネルギーの巡りを良くして、子宮や卵巣をきちんと機能させるという理由から、不妊治療にも用いられています。
また、漢方は、西洋医学の不妊治療との並行が可能です。
「漢方で体全体を整えてから、西洋医学で特定の症状にアプローチする」という風に、漢方は西洋医学の不妊治療の効果をサポートする働きもできます。
「いくつまで妊娠できるの?」
これは妊活女性のみなさんの共通の疑問です。
漢方医学的には、「排卵があるまで可能」と考えられています。
この説は、とても勇気が出ますね!
もちろん、これにはちゃんと理由があります。
女性の体は「7の倍数の年齢」で変化すると考えられています。
14歳で初潮を迎え、21~28歳で妊娠期となり、女性としてのエネルギーは上昇し続け、ピークを迎えます。
それから35歳まではフラットに維持し続け、35歳を過ぎてから徐々に下降。
42歳を過ぎてから閉経まで、下降が急になっていき、49歳頃に閉経を迎える・・・という目安です。
(あくまで「漢方医学的」考え方の目安です。)
「35歳」が妊娠力の分かれ目と考えるのは、西洋医学と同じですが、漢方医学での見方は「年齢」ではなく、「ちゃんと排卵しているか」「卵子の質がよいか」という体の機能で考えます。
「年齢」はあくまで目安として考えます。
20代でも排卵に障害がある方もいれば、30代後半でも40代でも排卵が順調な方もいる、ということですね。
ですので、漢方医学的には、妊娠に関係してくるのは「年齢」ではなく「体の機能」です。
確かに加齢とともに、排卵機能や卵子の質は衰えていきます。
でも、高齢でも妊娠・出産される方はたくさんいるように、生殖器官がちゃんと機能していれば妊娠できます。
以上、「漢方について」と「漢方がなぜ妊活・不妊に良いのか?」についてご紹介しました。
不妊の漢方は、漢方薬局や漢方内科のある病院などで処方を受けることができますので、興味がありましたら、ぜひ受けてみてくださいね。