2017.07.11

不妊症改善のための鍼灸 どんな効果がある?治療期間や費用は?

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私たちは不妊だと、まずは病院や専門クリニックでの「西洋医学」の不妊治療を考えます。
でも、不妊改善のために、赤ちゃんを授かるためにできる事は、それだけではありません。

漢方や鍼灸、ツボ押し、マッサージなどの東洋医学に、整体やカイロプラクティックなどもあります。
実際にこれら西洋医学以外に属さない医療を「補完代替医療」と呼んでいます。

ここでは「補完代替医療」の1つ、鍼灸についてご説明します。

◆ 鍼灸とは?

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鍼灸(しんきゅう)とは、細い金属の「鍼(はり)」や、もぐさを使った「灸(きゅう)」を使い、体の「ツボ」に刺激を与えて、様々な疾患や病気の予防・治療を行います。
鍼灸で「ツボ」を刺激することで、気の流れを妨げているものを取り除いくのです。

鍼灸がなぜ体に良いのか?を理解するためには、「ツボ」「東洋医学」について知る必要があります。

◆ なぜ不妊改善に鍼灸が効果的なの?

東洋医学の基本的な考えの1つに、「陰・陽」の考えがあります。

・「陰」とは?

「ひかげ」からイメージできることです。
暗い、寒冷、下部、内側などが「陰」に分類されます。

・「陽」とは?

「ひなた」からイメージできることです。
明るい、温熱、上部、外側などが、「陽」に分類されます。

この「陰・陽」の考えに従って人間の体を分類すると、女性は「陰」、男性は「陽」。
下半身は「陰」、上半身は「陽」。
親は「陰」、子供は「陽」。

赤ちゃんは子供なので「陽」に分類されますが、お腹の中で日に日に成長していく、生命力に満ち溢れた存在なので、「陽のかたまり」と言われています。
女性の下半身は、「陰」の中で更に「陰」の部分となりますから、とても陰性が強く、冷えやすいのです。
不妊や妊娠後、産後の体のトラブルは、下半身が「陰」に傾きすぎることが原因だと考えられます。

では、どうすればそれを防げるのでしょうか?

東洋医学では、体中に「気」と「血」を巡らせることだと考えています。

「気」・「血」とは、エネルギーや栄養成分のこと。
「気」・「血」が体の中を隅から隅まで循環していれば、下半身が「陰」に傾きすぎることはなく、体のトラブルをケアできるのです。

「気」・「血」が流れている通り道を「経絡」と呼び、「経絡」に沿って「ツボ」があります。
「ツボ」を刺激することで、「経絡」のめぐりを、すなわち「気」・「血」のめぐりを促進させ、不妊を含めた体の不調を改善することができます。

「ツボ」を刺激する方法は、指で行う「ツボ押し」と「鍼(はり)」や、もぐさを使った「灸(きゅう)」で行う「鍼灸」があります。
「鍼灸」によって気の流れを取り戻し、血流を改善することで周期・ホルモンバランスを整え、卵巣や子宮の機能を良くして、妊娠に導きます。

◆ ツボ押しと鍼の違い~鍼とお灸の違い

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では同じツボを刺激するのに、指で行う「ツボ押し」と「鍼灸」にはどのような違いがあるのでしょうか?
結論からいいますと、ツボに与える刺激の強さ、影響度が違います。

指でツボを刺激することは、肌の上からツボを押すことになり、厳密にいえば、直接ツボを刺激できません。
それに対して鍼は、ツボに直接「刺す」ので、ツボを直接刺激することができます。

では、鍼とお灸はどう違うのでしょうか?

大きな違いは、お灸は「熱」を発することです。
人の体、特に女性は体の機能が弱っているときは、体が冷えている場合が多いです。

冷え性の人や「熱」で温めることによってアプローチした方が効果的な症状には、お灸が効果的です。
鍼灸院では、一般的に鍼とお灸が併用されます。

◆ 鍼灸は痛い?費用は?治療期間は?

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1. 鍼は痛い?

「鍼は痛いんじゃないの?」と不安になる人は多いと思います。
まず、鍼を皮膚の表面に刺すときのチクっとした感覚があります。
次に、鍼を刺したあと、その鍼を揺らして振動を加えられるのですが、そのとき体内に響きを感じる感覚があります。
これらの刺激の感じ方に個人差はありますが、基本的に痛みはほとんどない、といってよいでしょう。

ただ、感覚はあくまで個人差ですし、その日の体調によって感じ方に差が出たり、刺激するツボによって、若干変わってくるかもしれません。
かといって、「痛い!」ということはないはずですのでご安心ください。

2. お灸は熱い?

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同様に、「お灸は熱いんじゃないの?」と不安になる人は多いと思います。
これも鍼と同じで、感じ方に個人差はありますし、その日の体調によって感じ方も変わってきます。刺激するツボによっても変わります。

お灸は、基本的に「適度な熱さ」を感じます。
ただし、当然ですが、長時間行い過ぎると熱くなるので気を付けてください。
熱いときは遠慮なく鍼灸師に相談してください。

また、熱さの好みは個人差があります。

「熱ければ熱いほどいい。限界ギリギリの熱さが気持ちいい。」

という人もいれば、

「熱いのは苦手。温かいくらいがちょうどよい」

という人もいます。

これはどちらが良いということではなく、自分自身が「心地よい」「気持ち良い」と感じる方を選んでいただいて大丈夫です。

3. 鍼灸の費用はどれくらい?

不妊治療の鍼灸は保険が適応できません。
当然、院やコースによって変わってきますが、大体の目安として、1回につき5,000円以上でしょうか。
月額コースや期間限定コース(例:6か月など)、鍼とお灸の併用コースなど、コースと価格設定は院よって様々です。

4. 鍼灸に通う頻度/治療期間はどれくらい?

通う頻度ですが、これも院、先生によって様々で、目安は月に1~2回といったところでしょうか。
次に治療期間ですが、これは他の不妊治療と同じで一概には言えません。

不妊治療は「妊娠するか・しないか」なので、妊娠するまであきらめず続ければ続きますし、あきらめればそれで終わります。
体質の変化、効果を感じるようになる期間は、これも個人差があり一概に言えませんが、目安は3ヵ月~、半年~と言われています。

◆ 西洋医学との併用も可能

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鍼灸は、西洋医学の不妊治療との並行が可能です。
東洋医学の考えに則ると、鍼灸で体全体を整えてから、西洋医学で特定の症状にアプローチする、という風に、鍼灸は西洋医学の不妊治療の効果をサポートする働きもできます。

体外受精などの高度生殖医療と、鍼灸を併用される方もいます。
鍼灸院を紹介する不妊治療の病院、クリニックもあります。

しかし、不妊の原因や体質によって、鍼灸をおすすめしない病院、クリニックもあります。
もし不妊治療を受けていて、鍼灸も希望される場合は、クリニックの先生に相談しましょう。
また、鍼灸院に通う場合も、どんな不妊治療を受けているのかを伝えましょう。

まとめ

以上、「鍼灸について」また、「なぜ鍼灸が不妊に良いのか?」についてご紹介しました。

不妊の鍼灸は鍼灸院で受けることができますし、先述したように不妊治療の病院、クリニックから紹介されることもあります。
興味があれば受けてみてください。

また、鍼もお灸も知識があれば、自宅で自分で行うことができます。
薬局やアマゾンなどのネットショップで探すと、自宅用の簡易鍼やお灸がありますよ。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

妊活部編集スタッフです。妊活に関するお悩みを解決するためのサポートをします。最新情報から妊活にまつわる情報を提供します。