2017.08.10

【不妊漢方】漢方薬の不妊治療の目的と効果・使い方とは?

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でも、赤ちゃんを切望しているのに妊娠できないカップルは、10組に1組というデータがあり、不妊治療を受けず避妊をしない状態で妊娠する確率は、1年間で80%、2年間で90%、そして3年目には極端に確率が低くなるとされています。

また、最近では、7組に1組のカップルが不妊ともいわれ、決してあなただけの悩みではありません。
自然妊娠の願いが叶わず、不妊治療を受けても効果があらわれない、そんなときに頼りたくなるのが「漢方薬」です。

漢方を用いた不妊治療について、効果や使い方をまとめました。

◆ 漢方による不妊治療

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西洋医学の基本は、症状に合わせた対処療法です。
医学の進歩によって、それぞれの病状への処置も確立されています。

しかし、どんなに最先端の医療技術を駆使しても、改善されない病もあります。

そんなとき、人間に本来備わっている自然治癒力を引き出すのが漢方薬です。

漢方薬は、体質を改善する事を目的として用いられます。
西洋医学の薬と比較すると、効き目は穏やかながらも副作用が少なく、知らず知らずのうちに回復へ向かうことで知られています。

不妊に効果があるとされる漢方薬も多く、男性女性ともに症状の改善が見られたというデータもあるため、不妊治療専門の医療機関でも、漢方を取り入れるところが増えてきました。

漢方薬と西洋薬を併用することで、それぞれの欠点を補い、相乗効果によってそれぞれの作用を高めるということも考えられます。
いうならば漢方はカラダ全体を治す総合医療であり、不妊治療もその考えにもとづきアプローチしています。

◆ 漢方薬治療の目的と効果とは?

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漢方治療が、どのような目的で用いられているのかをみてみましょう。

① 腎(じん)

体力の根本的な部分、成長や老化・生殖機能などの土台となるエネルギーと、栄養の貯蔵庫のような働きがあると考えられています。

・腎陽虚(エネルギーが不足している):

体が冷えやすく、月経不順、性機能の低下、慢性的な腰痛などの症状がよくみられます。

・腎陰虚(栄養が不足している):

めまい・耳鳴り・健忘・脱毛・月経量の減少など「虚」の症状と、体の熱を冷やす冷却効果の低下からの虚熱(熱の症状)である火照り・のどの渇き・寝汗・多夢などがよくみられます。

② 肝(かん)

栄養代謝などの働きではなく、体全体のコントロールをする指揮官の役割をすると考えられています。
自律神経や内分泌などの働きに近いものがあり、この働きが損なわれることで、消化器官の円滑な活動に妨げます。

胸やけ・胃炎・便秘・下痢や、ホルモンバランスの乱れから月経周期や量の問題、また、体の活動の滞りから老廃物が生じ、子宮筋腫など腫瘍ができる可能性もあります。

③ 脾(ひ)

解剖学的な脾臓の働きではなく、主に消化吸収、排泄の働きや、栄養代謝、その分配などの働きを司ると考えられています。
この働きが衰えると(脾虚)と、栄養を吸収しにくくなり、虚弱になります。

消化不良や便通異常以外にも、免疫力の低下で風邪やヘルペスにかかりやすくなるほか、代謝が落ちることによる冷え症や貧血、子宮内の状態や胎盤を作る機能が不十分になることからの不育症の一因になるなど、いろいろな方面へ影響します。

◆ 漢方薬の使い方は?

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漢方では、手足の冷えや体の疲れ、胃腸の不調など、病気に向かいつつある状態を「未病」といいます。

漢方薬は、穏やかに体質を改善していくため、とくに未病に対して有効とされています。
しかし、手術可能な病気や細菌感染などに対しては、局部そのものにアプローチする西洋医学の方がふさわしく、漢方と西洋医学にはそれぞれ得意・不得意とする分野があります。

漢方薬は、症状だけに合わせて処方されるものではなく、その人の体調や体質にあったものを処方します。
それぞれに合った漢方薬を処方するためには、専門的な知識と経験が必要です。

「不妊症には○○湯」というような画一的なものではなく、同じ病気でも、体質や体型、抵抗力、自覚症状がそれぞれ異なります。
腹診、脈診、舌診などで体力の強弱や体質などを判断し、一人ひとりにあった漢方薬を処方することで、改善し強化することが漢方の治療内容です。

漢方の治療内容、目的を理解したうえで、自分に適した治療法を、医師や薬剤師、漢方専門医に相談して決めるようにしましょう。

まとめ

十人十色といわれるように、人にはそれぞれ持って生まれ持った先天的な体質があり、その後の生活スタイルによってつくられる後天的な体質があります。

持って生まれた体質を変えることはできませんが、後天的な体質は変えることが可能です。
先天的体質の弱点を補い、不調の原因を改善することで、体全体を整えていくのが漢方治療です。

不妊治療においても、不妊の原因がホルモンバランスなのか、冷えなのか、あるいは月経前症候群にあるのかなどを突き止め、それを改善するための漢方薬が何かを探ります。
たとえ不妊の原因が不明だったとしても、体質改善ができるのであれば、「妊娠しやすい母体づくり」につながる可能性もあります。

さまざまな不妊治療にチャレンジしても、なかなか結果が出ないときは、漢方など違うアプローチをしてみることも、一つの方法ではないでしょうか。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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