2017.08.23

【女性不妊/男性不妊】に処方される『漢方薬』まとめ

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不妊の原因は、女性にだけあるわけではありません。

男性側に原因があるケースが約40%で、女性側の原因(40%)とほぼ同じ割合です。
また男女双方に問題があるケースが15%、原因不明が5%とされていて、まさに男女半々です。

男性側の原因でもっとも多いのが造精機能障害で、なんと70~80%という高い割合となっています。
精力増強といえば、すぐに思い浮かべるのが漢方薬ですが、実際に漢方薬は、不妊治療の現場でも、多く用いられるようになっています。

女性と男性の不妊治療に効果的な漢方についてまとめました。

◆ 漢方は女性にも男性にも有効!

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漢方薬は体質改善が目的で、穏やかな効き目が特徴です。
最近は、不妊治療専門の医療機関でも、治療に漢方薬を取り入れているところが増えてきました。

漢方薬は副作用が少なく、症状が急激に変わることはありませんが、不妊に効果があるとされる漢方薬も多く、男性女性ともに症状の改善が見られたという声も多く寄せられています。

また、不妊治療そのものというより、排卵誘発剤などの副作用を軽減するために用いられる場合もあります。
検査では異常なしと診断されたものの、なかなか赤ちゃんに恵まれない場合など、漢方薬など別のアプローチを試みてみるのもいいでしょう。

男性の不妊原因は精子の形成や成熟ができない造精機能障害、精子の輸送経路が障害されている精路通過障害、精嚢、前立腺の炎症によって精子が影響を受ける副性器の障害、性交、射精ができない性機能障害などが知られています。
また女性の不妊の原因は、ホルモンバランスなのか、冷えなのか、月経前症候群にあるのかなど、なかなか特定できない場合もあります。

不妊の原因が分からない場合でも、漢方薬の目的が体質改善ですから、体に何らかの好影響を与えることが期待できます。
不妊治療に効果があるとされる漢方薬の種類は色々ありますが、この症状には「この漢方薬」という、画一的なものではありません。

その人の体調や体質にあったものを使いますから、あなたの症状にぴったりと合う漢方薬に出会うことができれば、効果が期待できるでしょう。

◆ 女性の不妊治療に効果的な漢方

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● 当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん)

病院でも処方されることの多い漢方薬で、血流を改善しホルモンバランスを整える働きがあり、疲労、冷え性、貧血、生理不順、生理痛、生理前後の不快症状などの改善効果や、むくみ、頭痛、めまい、肩こり、更年期障害など女性の諸症状に広く適応する漢方薬です。

● 温経湯 (うんけいとう)

冷え性や生理不順、生理痛、更年期障害、頭痛、足腰の冷えや痛み、冷えのぼせ、しもやけなどに適応する漢方薬で、ゴナドトロピンの分泌を促す効果があり、副作用がほとんど見られないことから、副作用が強いとされるhMG、hCG療法の際、副作用を軽減するために補助的に用いられることもあります。

● 加味逍遙散(かみしょうようさん)

肩こりや疲れやすい、冷え性、不眠症など、女性の更年期障害に多く用いられる漢方薬で、月経困難や月経不順などの治療にも使われます。
エストロゲンやプロゲステロンなどホルモン物質の分泌量を改善する作用があり、子宮内膜の増殖や卵胞の発育にも効果を発揮するほか、自律神経を調整し、イライラやのぼせを鎮め、血行を促進させる作用があります。

● 婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)

頭痛、肩凝り、貧血、生理不順、生理痛、冷え症など、更年期障害の諸症状の改善のために用いられる漢方薬です。

● 芎帰調血飲第一加減 (きゅうきちょうけついんだいいちかげん)

産後の衰弱や血の道症、月経不順、骨盤内鬱血症候群、自律神経失調症、乳汁分泌不足などの改善に作用する漢方薬です。

◆ 男性の不妊治療に効果的な漢方は?

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● 八味地黄丸(はちみじおうがん)

老化防止に有効とされ、昔から”腎虚”の改善に多く用いられてきた漢方薬です。
体の弱った機能を補い、主に足腰や泌尿生殖器など下半身の衰えを回復させる薬効があり、腎のはたらきを良くする8種類の生薬が配合されており、新陳代謝機能を高めて中年以降の保健薬・治療薬としても知られています。
女性の、子宮・卵巣機能の低下が気になる方のホルモンバランスをサポートする作用もあります。

● 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

血行をよくすることで胃腸のはたらきを改善し、食欲増進を促す、疲労回復に有効な漢方薬で、滋養強壮作用にも優れています。
疲れやすい人、体力があまりない人、性欲減退気味の方におすすめの漢方薬です。

● 瀉火利湿顆粒 (しゃかりしつかりゅう)

湿熱による排尿痛、残尿感、尿のにごり、頻尿などの症状に用いられます。
湿熱は、皮膚炎、糖尿病、高脂血症、高血圧症、結石、心筋梗塞、動脈硬化症などのリスクがあり、卵管や精路の閉塞の原因になり、熱に弱い精巣の機能を低下させます。
湿熱を取り除くことで、精巣機能や射精の障害を改善します。

● 参馬補腎丸(じんばほじんがん)

虚弱体質の男性に適した漢方薬で、疲労、食欲不振、血色不良、冷え症の改善に効果があるとされています。

●桂枝ぶくりょう丸(けいしぶくりょうがん)

女性にも男性にも用いられる漢方薬で、血流の改善効果が高い漢方薬です。
精索静脈瘤ができやすい体質の男性に効果的で、女性への適応は、生理不順や生理痛、頭痛、めまい、肩こり、のぼせ、足の冷えなどで、更年期障害の治療に用いられています。
そのほか、子宮内膜症や筋腫、ニキビやシミ、しもやけ、痔、打ち身、肝臓病などにも効果があるとされています。

まとめ

十人十色といわれるように、人にはそれぞれ持って生まれ持った先天的な体質があり、その後の生活スタイルによってつくられる後天的な体質があります。
持って生まれた体質を変えることはできませんが、後天的な体質は変えることが可能です。

先天的体質の弱点を補い、不調の原因を改善することで、体全体を整えていくのが漢方治療です。
たとえ不妊の原因が不明だったとしても、体質改善ができるのであれば、「妊娠しやすい母体づくり」につながる可能性もあります。

さまざまな不妊治療にチャレンジしても、なかなか結果が出ないときは、漢方など違うアプローチをしてみることも、一つの方法ではないでしょうか。

妊活部編集スタッフ
この記事のライター 妊活部編集スタッフ

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