「ツボ」とは何かを説明する前に、まずは東洋医学の考え方について理解しましょう。
東洋医学の基本的な考えの1つに、「陰・陽」の考えがあります。
「ひかげ」からイメージできることです。
暗い、寒冷、下部、内側などが「陰」に分類されます。
「ひなた」からイメージできることです。
明るい、温熱、上部、外側などが、「陽」に分類されます。
この「陰・陽」の考えに従って人間の体を分類すると、女性は「陰」、男性は「陽」。
下半身は「陰」、上半身は「陽」。
親は「陰」、子供は「陽」。
赤ちゃんは子供なので「陽」に分類されますが、お腹の中で日に日に成長していく、生命力に満ち溢れた存在なので、「陽のかたまり」と言われています。
女性の下半身は、「陰」の中で更に「陰」の部分となりますから、とても陰性が強く、冷えやすいのです。
不妊や妊娠後、産後の体のトラブルは、下半身が「陰」に傾きすぎることが原因だと考えられます。
では、どうすればそれを防げるのでしょうか?
東洋医学では、体中に「気」と「血」を巡らせることだと考えています。
「気」・「血」とは、エネルギーや栄養成分のこと。
「気」・「血」が体の中を隅から隅まで循環していれば、下半身が「陰」に傾きすぎることはなく、体のトラブルをケアできるのです。
「気」・「血」が流れている通り道を「経絡」と呼び、「経絡」に沿って「ツボ」があります。
「ツボ」を刺激することで、「経絡」のめぐりを、すなわち「気」・「血」のめぐりを促進させ、不妊を含めた体の不調を改善することができます。
不妊改善のためのツボは、たとえば子宮や卵巣に関係のある「ツボ」を押すことで、ホルモンの分泌を調整し、子宮内を整えることができます。
このように不妊症に効果的なツボを押して、着床率や妊娠率をアップさせましょう。
花瓶や水瓶などのようにいわゆる「壺(ツボ)」=「へこみ」をイメージして、体にある「へこみ」を探してみて下さい。
基本的にツボはへこんでいますが、例外もあり、いくつか硬くてへこんでいない特殊なツボもあります。
目安になる場所を中心に押してみて、気持ちがいい「へこみ」を探して下さい。
「へこみ」ですので、基本的には骨や、血管、筋肉のスジなどの堅い所の上にはありません。
押してみて、かなり痛みを感じる場合は、ツボではないところを押しているか、力強く押し過ぎているのかもしれません。
ツボを押すときのポイントは、「少し痛いけれど気持ちがいい」、つまり「イタキモ」と感じるツボを見つけて、「イタキモ」程度の力の強さで押すことです。
単なる痛みは、体に緊張をもたらします。
「気持ちがいい」と思うことは、体をほぐす働きがありますから、もし押す力加減が分からない場合には、弱めの押し加減から始めて、少しずつ調整してみましょう。
副作用は特にありません。
ただし、今まで血液の循環が悪かった場合、次のような症状が起きることが考えられます。
これらの症状が起きたとしても、心配ありません。
ツボの刺激に体が慣れて、正常化してくると、これらの症状はなくなります。
今まで溜まっていた要らない物が掃除されていると解釈して下さい。
特に、子宮筋腫の方、内膜症の方など、病名が付くトラブルを子宮にお持ちの方は、過多月経となることが考えられますので、生理直前~生理3日目位の刺激は、軽く行うことをお勧めします。
その他、「押した場所が後々まで痛い」「内出血してしまった」「ストレッチしたところが後で痛くなった」などといった症状が出た場合は、やり過ぎか、やり方に間違いがあるかもしれません。
次回は弱めに力加減を調整してみて下さい。
刺激量には、個人差があります。
ご自身にあった刺激量に調整しましょう。
繰り返しになりますが刺激量は、少し痛いけれど気持ちがいい=「イタキモ」ですので、ご注意下さい。
万が一、体の調子がいつもと違う心配な症状が出た場合は、自己判断せず、必ず医療機関の受診を受けましょう。
経絡やツボを刺激するときは、あなたのやりやすい手や指で構いません。
効率よく刺激するために、基本的には、「母子(親指)で押す」ことをお勧めします。
ツボの位置などに合わせて、「両手の母指を重ねて押す」「片手の母指だけを使って押す」など、使い分けてみて下さい。
刺激する際には、ツボの位置など目で確認しながら皮膚を直接刺激していきます。
お腹など敏感な部位は、洋服などの上から刺激し、強い刺激を避けましょう。
ツボを押すときの呼吸は、
・押すときに吐く
・放すときに吸う
です。
刺激のリズムは、基本的に次の2種類です。
A) 1で押して、2で力を抜く、1-2、1-2・・・というリズム。
B) 1-2-3で、徐々に力を入れて、1-2-3で徐々に力を抜く、1-2-3、1-2-3・・・というリズム
力を入れる方向は、体の中心に向かって「まっすぐ」が基本です。
押す時には爪を立ててはいけません。
できるだけ爪は短く切りましょう。
棒などの道具も使わないで下さい。
道具を使うと刺激が強すぎてしまい、事故の原因となることもあります。
また、かえって逆効果になることもあります。
足の裏に対しても、棒などの道具は使わないで下さい。
痛ければ痛いほど効果があるという考え方は間違いです。
例えば、足の裏の場合、間違った強い刺激により足底筋膜炎を起こすこともありますので、絶対に使わないで下さい。
不妊改善のための「ツボ」押しは、毎日少しずつでも良いので、毎日の生活習慣として取り入れてみて下さい。
また、より一層効果を出すには、ただ単に「ツボ」や「経絡」の刺激だけで終わらせるのではなく、毎日の食事や生活そのものをたまには見直すことも、とても大切です。
妊活は食事、運動、生活習慣…できる範囲でいろいろなことをやった方がよいです。
ツボ押しは、ジョギングやウォーキングのようにわざわざ外に出なくてよいし、時間もとらないし、つらくありません。
むしろ気持ちいいです。
テレビを見ながらだってできます。
最初は1日5分とかでもよいので、あなたの妊活のなかに取り入れてみてはいかがでしょうか?